新刊読書日記2000年上半期


6月30日(金)

「傭兵ライフの極め方」 非日常研究会 同文書院 1300円

はじめはいいが、後半にはいると消防士だ、登山家だ、ダイバーだと、現実的に。非日常実用講座も20巻を数

えるといよいよタネがつきたのか。いかにも気楽に仲間で軽くやってるようで不愉快。もっとまじめにやってくれ。

今日で2000年も半分すぎた、ということはあと半年で21世紀に突入か。年をとると速いぜ、月日の経つのが。


6月29日(木)

「指揮官の人心統率術」 柘植久慶 中公文庫 648円

一時は経歴詐称とたたかれた柘植先生も文庫ででるほど根強い人気。戦場心理、戦闘行動の分析が彼の

イフワークなんだろう。そこでのリーダーとしての資質とはなにか。ゲームとして自分の能力を試し、さら

その過程を楽しむほどの、余裕こそが一番必要なのだろう。これはたしかにビジネスのうえでも参考になる。


6月28日(水)

「アジアいいもの図鑑」 秋川ゆか トラベルジャーナル 1600円

アジア旅行好きな著者のきわめて個人的な思い入れの品々を陳列する。この本の意義は実際にそれらを日本

国内(といっても首都圏だが)で求められる店を紹介しているところ。しかも地図入りだからヒマなオバさん向け。


6月27日(火)

「グリーン・ツーリズムの潮流」 多方一成・田淵幸親・成沢広幸 東海大学出版会 2500円

前1/3は怒りを覚えるような悪文。どうも単なるフランスの報告書の訳のようだ。中間では都市と農村の共進化

(とてつもなく古い言葉)を提唱している。最後に北海道士別町、新得町、高知県梼原町さらに大分県直入町

事例紹介。都会の財布を当てにしちゃダメなのよ。地域の中で、生きることを考えなきゃ。ちょっと軌道に乗ると

初心を忘れ、より多くを望んだあげく、空中分解のパターンだ。それにしても T B 氏の感傷的な文章には閉口。


6月26日(月)

光と影の映画史「撮影監督・宮川一夫の世界」 キネマ旬報社 1762円

昨年なくなった、伝説の映画キャメラマンー宮川一夫の緊急特集。「羅生門」「雨月物語」から「炎上」「用心棒」

「影武者」さらに「瀬戸内少年野球団」まで、監督談議、撮影論議、現像秘話がつづられている。映画にはくわし

くはないが、そこでの微妙な色と空間の美意識は京都で生まれ育った経歴と無縁ではないと想像するものだ。


6月25日(日)

浅野八郎の「寿司占い」回転寿司にも完全対応 日東書院 850円

おいおい、気はたしかか?好きな寿司を5つ選んで得点により性格、金運、相性など占う。やってみると「束縛

嫌う超マイペース人間」で「自由な発想を生かせる自由な職場」がベストで「副業をもつべき」だとさ。さらに選

だ順番で、その人の「見栄」「本音」「恋愛感」「家庭感」「変身願望」がわかるんだと。飯田図書館も心が広い。


6月24日(土)

「きほんのき」 朝日新聞学芸部 1300円 朝日新聞社

意外と知らない生活技術を、その道のプロに教わる新聞家庭欄の連載をまとめたもの。子どもの散髪、これは

中学までは、やってました。自信あります。笑えるのは、クリスマスプレゼントの置き方。そういえば長男のには

毎年苦労した。ないものばかり頼むんだから。候補を2、3きいておいて、市内のオモチャ屋ぜんぶ探したなあ。


6月23日(金)

「“隣人”の素顔」 NHK沖縄放送局編 NHK出版局 2200円

沖縄の米軍基地のルポ。海兵隊をはじめに陸、海、空の4軍の施設のすべてをドキュメンタリーのように感情を

おさえ、たんたんと報告。50年かけて築きあげてきた巨大なシステムの一部だけだが感嘆するのみ。しかし

材にたちあ軍人の、対応のソツのなさには驚くばかり、日本ではこうはいかない。能力というより教育の問題。


6月22日(木)

図説「メディチ家」古都フィレンツェと栄光の王朝 中島浩郎 河出書房新社 1800円

ルネッサンスを彩るフィレンツェと主役のメディチ一族の栄光と落日。300年にわたる、内外の抗争の歴史には

くわしいが、ドゥオモについての記述がなく残念。ローマから電車でフィレンツェを訪れたのは20数年前の年末

寒くてどうにも動けず、結局ドゥオモを見ただけ。やっぱり旅行はハイシーズンでなきゃいかんと実感した次第。


6月21日(水)

恥をかかない「○×会話術」 植西 聰 東京書籍 1200円

日常生活、職場、友人、恋愛、家族、それぞれの場面でシチュエーションを設定し、会話のしかたを○×で解説

するもの。うーん、ここまでやってやらなきゃならんのか。まあコミュニケーション能力が、非常におとろえてきて

いるというのが定説だが、むしろ現在の社会構造の中で、それをどのように教育していくのかむずかしい問題。


6月20日(火)

「ゼネコンは永遠に不滅です」 江戸一好 エール出版社 1400円

いったい本気でこの人そう思っているのか。「建設崩壊」というベストセラーの内容があまりにも過激なためか

現実にはなんの対策もなく座っているだけ、という多くの建設会社の状況にたいし多少なりとも安心感をという

意図が見え見え。日本のムラ社会の象徴が土建屋。一品生産に甘えることなく、つねに改革することが必要。


6月19日(月)

「裏の山にいます」 遠藤ケイ 山と渓谷社 1700円

房総の山中に暮らす同世代の著者もBE−PAL創刊以来で、太目に老眼の眼鏡の姿。しかし骨太な文章は

まだまだ、現役の男の匂いがプンプン。季節の中で遊び、かつ食い、飲む。そこで2つの質問をしたい。1つは

家族、とくに子どもの教育の実践について。もう1つはしのびよる老いというものについて、どう感じているかだ。


6月18日(日)

「男は男らしく生きろ」 徳大寺有恒 大和書房 1500円

優雅なもんじゃないか。それができるのも、毎年出る「間違いだらけ…」を買う人が多いからだ。今年からは、

年2回だすとさ。東京に住んでいれば、やっぱり気取らないと生きては行けないが、その点、田舎は気が楽。

生懸命、優雅にやるほど、「バーカ」といわれるだけ。つぎは着物を極めてみたいだと。かかるぞ、あれは。


6月17日(土)

「歴史毒本」 英雄の素顔、大事件の裏側 山本 茂 光文社 1500円

新聞記者あがりの九州女子大の先生が、古代から現代まで、世界の歴史を自分なりに解釈しなおし

た本。1年半かかったというが、後半には右翼性がでてきたりする。ただ資料をつぎはぎしただけとか、

評価はいろいろあろう。しかし、なによりも等身大の人間を、という視点が一貫していて好感がもてた。


6月16日(金)

「アジアの離島」 下川裕治責任編集 双葉社 1500円

好きになっちゃったシリーズ第17弾。究極のリゾート「離島」、アジア6カ国、36の島々の体験記。下川さんが

だから若者むけ、貧乏旅行が主体だが、さすがに部分的には一般のホテルも登場せざるをえないところ。

本国内であくせく働き、定期的にアジアで沈没する。そういう選択肢はたしかに存在する。あこがれる生活。


6月15日(木)

「右ハンドルか左ハンドルか」 富沢昭三 文芸社 1200円

名前からもわかるように昭和3年生まれの元個人タクシー運転手が、その50年におよぶ運転哲学を語る。

利きの人間にとっては左側通行が自然で、左ハンドルのほうがすべてにわたって運転しやすく、事故も少ない

というのが持論。さらに対面交通も、不要なものであると力説。一理あるんだけど、世界では右側通行が優勢。


6月14日(水)

「フレグランス」香りのデザイン 広山 均 フレグランスジャーナル社 3500円

このところ飯田図書館、新刊がすくなくて、こんな専門書を読むはめに。半分以上が香料の名前と説明。

誰でもカンタンに「市場調査ができる本」 指方一郎 同文館 1500円

だれでもできるわけないだろう。調査会社が存在し、高い調査料はなんなんだ。単なる市場調査の紹介本。


6月13日(火)

「浪費なき成長」新しい経済の起点 内橋克人 光文社 1200円

言わんとすることは、よくわかります、内橋さん。ずっとアメリカ型経済社会への批判を、規制緩和への疑問を

発し続けているのも承知してます。でもそろそろアクションプランを提示して欲しいんです。いまや皆が余裕が

ないんですよ。この不景気を脱するんだったら、どんなことでもいいんですよ、というのが偽らざる心境なのよ。


6月12日(月)

アメリカおみやげ薬100」 海外ドラッグ研究会編 同文書院 1300円

ドラッグストア大国アメリカの、日本でいうところの栄養補助食品ーサプリメントの事典ーといっていいだろう。

ういうマニアもいる。ダイエット、風邪薬、ストレス、疲労回復、頭脳活発化、美容と健康、若返り、いわゆる

生活習慣病、精力回復などの機能別に解説。ほんとに効くのか。いずれ日本でも一般化することになりそう。


6月11日(日)

「自由な新世紀・不自由なあなた」 宮台真司 メディアファクトリー 1700円

いつものとおりミヤダイ先生は、現代社会現象とくに若者の理解不能の行動を、バッサバッサと切り捨てるよう

に、理系の頭脳で説明していく。新しい言葉をどんどんつくっていくため、前作を読んでいない読者はついていく

のが精一杯。もっとシンプルに、基本的には「家族とアイデンティティ」の問題と指摘してはいけないのだろうか。


6月10日(土)

「ベーコン野外術」 尾崎紀世彦 マガジンハウス 1300円

ベーコン大好き人間のキヨさんがアウトドアについて語る。この年代には、西部劇のイメージがしみついている。

だからテントも使わず、寝袋野宿専門というわけ。男性的じゃないか。キャンプ場で、昔のように地べたに座り込

んで飯を食っていたら、笑い殺される、ご時世だ。アウトドアライフを、もっとシンプルに、というのには大賛成だ。


6月9日(金)

「落とし処の研究」 実録・交渉学入門 大西啓義 ダイヤモンド社 1600円

書名に惹かれて借りてきたが、内容は薄い。交渉の実践例にもなんとなく底の浅さを感じてしまう。が著者は

自信満々である。このギャップはどこからきているのか。おそらく、この人は講演が達者なのであろう。つまり

話がうまいのだ。あとで講演録を読み返すと、なんだこれはということと、同じではないかと推測するが、如何。


6月8日(木)

「屋根のデザイン百科」 武者英二・吉田尚英 彰国社 4200円

法政大学建築学科武者研究室10年の成果、とあとがきで書いている。たしかにこれは有用だ。設計屋ならば

蔵書としておくべきもの。屋根は建築でもっとも重要な部分で、その詳細は日本の風土でつちかわれた先人の

知恵の結晶である。作例に東洋大学豊丘セミナーハウスを発見。いい建物だと思っていただけにうれしかった。


6月7日(水)

「オランダモデル」制度疲労なき成熟社会 長坂寿久 日本経済新聞社 1700円

ジェトロのアムステルダム所長を務めた、現拓大教授のオランダ論。一時の「オランダ病」からEUの優等生へ

脱皮できたのはなぜか、その独特な社会・経済システムから解説する。現在の日本にも学ぶところはありそう。

つまりアメリカ的思考一辺倒だけではなく、日本のムラ的社会を前提とした、あたらしいシステムをさぐる方向。


6月6日(火)

「完全収録!フェイスマーク・ライブラリ2000」 StereoMagic編 (株)ジーオーティー 1280円

2000個のフェイスマークを感情・行動別に分類。今のところ必要ないが、使いたい人は使ってみて。

「ブックハンターの冒険」古本めぐり 牧 眞司 学陽書房 1500円

SF好きの古本マニアが、古書店めぐりをする話に、冒険とは大げさな。こうやって古本マニアの本が

たくさん出ているというのは、それだけ人口が多いからなのか。ちょっと専門的すぎてたいくつだった。


6月5日(月)

「少数ができない大学生」 岡部恒治・戸瀬信之・西村和雄 東洋経済新報社 1700円

同じ著者達の「分数のできない大学生」の続編だが、今回は各誌に発表された、学力低下に関する論文をまと

めたもの。前著の域を出ないというか、同じことをいう人が増えただけで、むしろ不愉快。問題は小学校高学

の算数、割り算の反復練習がすべての始まりだと、個人授業で知り合いの女の子2人に、教えてみての実感。


6月4日(日)

「トウガラシの文化誌」 アマール・ナージ 晶文社 2800円

唐辛子の世界も奥が深い。タバスコの商標裁判にも詳しいが、それを知ると、別のソースに変えた

なる。前はジャマイカン・チリソースを愛用していたが、品切れで、やむなくタバスコに。半中毒状態。

たしかにダイエットにもなったし、やや高目の血圧も劇的にさがった。カプサイシン・パワーはすごい。


6月3日(土)

「超 発想法」 野口悠紀雄 講談社 1600円

内容は理解できるんだけど、野口先生のきわめて個人的な、発想にかんするエッセイと解釈したい。

とてもこれがベストセラーになるほどの、ハウツー本としては評価できない。発想能力はやはり資質

の問題ではないか。前回同様、もう「超」はやめようと思ったんだけど、新聞書評を眼にすると、つい。


6月2日(金)

「中年シングル生活」 関川夏央 講談社 1600円

「おい、情けないこというなよ」、という感じ。「ソウルの練習問題」は新鮮だったが、あれから17年か。

おそらく東京に残っていれば、そうなったと思うし、誰かのために働いている、それだけで生きている

んだと、身につまされる思い。だけど皆そんなに変わりゃしないぜ。元気出していこうぜ、関川さん!


6月1日(木)

「腕時計 雑学ノート」 笠木恵司・並木浩一 ダイヤモンド社 1800円

雑学ノートシリーズ、腕時計の巻。機械式高級腕時計の存在をどうみるか。ほかのブランド物と同じステイタス

象徴として考えたほうがいい。だから地位も金もないひとは、どんなに欲しくても、こういったものに手を出

のはやめましょう。1点豪主義ってのは実は、なんにおいても、ありえない話。生活もスタイルもデザインも



5月31日(水)

下伊那写真帖「伊那谷今昔」 原 守夫 南信州新聞社出版局 限定200部著者謹呈

これは面白い。大正4年出版の写真帖の88年後の現在をたんねんにたどり、同じアングルで対照

させた郷土写真集。苦労が偲ばれる。季節もあろうが、緑の量が、ずいぶん増えているのは不思議。

人間の記憶が、次々と新しいページをつくり、古いのは忘れていくのを実感。3500円で普及版あり。


5月30日(火)

「古本屋さんの謎」 岡崎武志 角川書店 1500円

古本マニアの楽しみ方。首都圏、関西、地方の古書店探訪記、名物古書店ルポと数寄者が行く。

ほんとうに本が好きなひとたちなんだな。新刊を漁っているようじゃいかん。最後に「なないろ文庫

ふしぎ堂」店主のいっていることが、古本界およびマニアを言い当てているようで、おかしかった。


5月29日(月)

旅ゆけば心たのしき…「日本の街道ハンドブック」 稲垣史生 三省堂 1500円

日本全国 81の街道を紹介している。国道○○号線よりもイメージ豊か。地理とともに歴史まで

思い浮かべるのだから当然。2000年にわたって歩いてきた、日本人の営みがここにあるわけ。


5月28日(日)

「人類は80年で滅亡する」CO2からの脱出 西澤潤一・上墅助黄 東洋経済 2200円

特別に頭のいい人としゃべると、疲れる。話が飛躍しすぎて追っかけていくだけで精一杯。いま札幌に

いる医師がそう。西澤学長の本も、読むたびに同じような苦労をしてきた。温暖化だけでなく、空気中の

二酸炭素の濃度についての心配なんだけど、例によって話はあっちいって、こっちいってしまうのだ。


5月27日(土)

「マンガ 傑作落語大全」ウソとマコトの巻 高 信太郎 講談社 1600円

ちょっと古いが、コーシンが古典落語21題をマンガ化。新作の巨匠、春風亭柳昇門下、蛾昇を名乗る

とは知らなんだ。たしかに、柳昇のすっとぼけたところとは共通点がある。高座をきいてみたいところ。

とうぜん、新作でしょうな。まだ柳昇が倒前、新宿末広亭で聞いたことがあるけど、面白かったぜ。


5月26日(金)

「町おこし」の経営学 三井物産業務部「ニューふぁーむ21」チーム編 東洋経済新聞社 1500円

むかし、あるシンポジウムで「都会の金をあてにしない町おこしはあるのか?」と質問したことがある。

「食品関係を中心にすれば可能だ」というのが答えだった。成功例を2つ上げているが、いまひとつ

わからない点あり。自治体からの研修生も受け入れているようだ。自画自賛も多いし、釈然としない

ころも残る。30件以上のプロジェクトを抱えているというから、今後のなりゆきを、注目しておこう。


5月25日(木)

「化粧槍とんぼ切り」 森 雅裕 集英社 2000円

刀剣に詳しい著者が、いつものように手馴れた描写で、戦国末期、真田信幸に嫁いだ本多忠勝の娘を

主人公に、料理上手の忍びの家来とともに、徳川初期の歴史にたちあう話。途中でやめられず、昼間

の3時間つぶしちゃった。だから小説は困るんだよ。今日中にやらなきゃならん仕事があるっちゅうに。


5月24日(水)

「快傑チャート診断室」 分類王・石黒謙吾 駿台社 1300円

なんだいこれは。全篇、2択チャートの4タイプ分類が50個。あなたの性格、内面、性向、志向をずばり

分析するだと。おかしいのは、どれをやっても、そのルートのパターンが、ほぼ同じになること。それだけ

計算してつくってあるのか。あるいは多すぎて、やってる本人がどうでもよくなっちゃうのか。後者だろ。


5月23日(火)

「メディア決闘録ファイル」 逢坂 剛 小学館 1300円

TELEPALへの連載をまとめたもの。著者は2つ年上だし、育った環境もちがうのに、ものの考え方やら

好き嫌いが似ていて、あちこちに共感を覚えた。いまなお生きつづけている西部劇ファンとの交友をつ

づったところで、「ジョン・ウェインが生理的にダメと意見が一致した」とかいている。そのとおりだと思う。


5月22日(月)

ビール職人が伝授する「のどがほしがるビールの本」 佐藤清一 講談社 1400円

著者は元サッポロビールの工場長。グラスの選択、注ぎかた、飲みかたにうるさい。今ほど地ビールが

盛んになる前の平成4年、通販でもとめた自家製ビールキットで、中ビン30本ほどつくったことがある。

2度目の砂糖がすくなくて泡がいまいちだったが、そのエキス分の重さにまいった。1本飲むと腹一杯。


5月21日(日)

「日本美術応援団」 赤瀬川原平×山下裕一 日経BP社 1800円

明治学院大美術史の先生とゲンさんの対談集。「乱暴力」と称した、創作へのあふれ出るエネルギー

をキーワードに、日本美術を現代芸術的に楽しむ企画。高校のころ読んだ、岡本太郎の芸術に対する

見方と共通するものがある。しかしまあ、この赤瀬川原平という人の自由さ、まことに羨ましいかぎり。


5月20日(土)

全国各地の霊場を巡る「日本百観音」 後藤 博 みちのく書房 1650円

四国遍路からやみつきになり、秩父三十四番、坂東三十三番、西国三十三番の百観音巡り。どうでも

いいやと借りてきたけど、なかなかどうして。紀行と寺紹介、私事の塩梅の良さと、人柄がにじみ出る

うな文章。大正14年生まれ山形在住のご隠居。「日本の田舎にもこういう人がいる」と、うれしくなった。


5月19日(金)

浪漫列島「道の駅めぐり」 田村喜子 講談社 1800円

羊頭狗肉とはこのこと。全国で500ヶ所以上のうち129ヶ所を廻ったというが、1枚の写真もないバラ

エティに富んだ建物を見られると期待したのに残念。建設省御用達の著者にとって建物は興味の対

象ではないのだろう。ただ通過したというだけ。だが、紀行文としては要領よくまとめていることは事実。


5月18日(木)

気象ブックス 003 「流れ星の文化誌」 渡辺美和・長沢 工 成山堂書店 1600円

日本古来の記録を集め、流れ星がどのように見られていたかを検討する。本来、兇兆としてのそれが

科学の進歩にともない、良いイメージに変わっていく過程をたどる。ただ、それ以上でも以下でもない。


月17日(水)

ガマの油から薬用酒まで「伝承薬の事典」 鈴木 昶 東京堂出版 2400円

前半こそ、馴染みのないものが多かったが、後半になると今も健在の和漢薬が目白押し。けっこう

お世話になっているもんだ。著者は薬関係を得意とする、新聞記者あがりのライター。日本古来の

伝承薬にたいての、この愛はどこからと思ったら、実家が薬局だと片隅にさりげなく書いてあった。


5月16日(火)

an.an 特別編集「Girly Photo」 マガジンハウス 857円

先日、浅草新仲見世で、ライカM3を肩からさげた女の子を見ておどろいた。技術や機材ではなく、若い

女の子の感性だけで撮った写真をガーリーフォトというんだそうだ。小学校4年のころオモチャみたいな

カメラを買ってもらって以来45年、いろんなものを撮ってきた、おトーさんとしては、多少、複雑な心境。


5月15日(月)

「ミッドナイトイーグル」 高嶋哲夫 文藝春秋 1714円

横田基地を飛び立ったステルス爆撃機が、北アルプスに墜落。たまたま目撃した報道カメラマンが猛

吹雪の場に急行。積み荷の核をめぐり、自衛隊、北朝鮮はては中国の工作員との死闘。別居中の

妻のルポライターも巻き込まれ、と面白いが、主人公を死なせてしまうのは、冒険小説としては失格


5月14日(日)

NEWTONムック「考古学 70の不思議」 クリス・スカー編 ニュートンプレス 3200円

技術史の最初のページを飾る、古代の巨大建造物70が世界中から大集合。どうやってつくったか、

わからないから不思議ということだが、結局は、膨大な人手と気の遠くなるような時間から、とでしか

説明できない。たまには、そんな時間を想像し、連綿と続く人類の歴史を感じることがあってもいい。


5月13日(土)

プロが教える犯罪対策と最強アイテム「襲撃から身を守れ」 防犯対策委員会編 三天書房 1500円

この前の[GUN具百選」といい、この出版社のヘンな方向性には感心する。防犯グッズの紹介が

だが、現実に素人が持ち歩けるものは少ない。つまり、こういったものの好きなマニアがいるってこと。


5月12日(金)

「第3の社会」 ビジネス・家族・社会が変わる 奥野卓司 岩波書店 1700円

30年前にトフラーやマクルーハンを読んでいれば、いまのIT革命など驚くことはない。問題は2000年

続いてきた日本のムラ意識が、政治、経済、社会機構において、それにより変わるのか、という点だ。

最終章そんなエスニシティと第3の社会について触れてはいるが、明確な答えはない。決定力不足。


5月11日(木)

「四国八十八ヶ所を歩く」 へんろみち保存協力会監修 山と渓谷社 1400円

歩いて廻るのを歩き遍路というんだそうだ。5、6年前から歩いてみたいと思うようになった。

ほぼ50日くらいかかるらしい。いまの生活は、いつでも休もうと思えば、休日になるのだが

逆に長い休みはとりえない。だから元気なうちは、無理なのかなあと考える今日このごろ。


月10日(水)

「手業に学べ 風の巻」 塩野米松 小学館 1300円

職人の聞き書き、天と地とこれで、3巻目。記録としてはいいんだろうけど、方言まじりや、構成が

好きかってだから、読みにくいんだな、こういうの。しばらく、文句ばかりだったが、ふと「拾い読み

でいいんだ」と気楽になった。アンクル米松とはBE−PALの創刊以来だから何年になるだろう。


5月9日(火)

「快楽モノポリー倶楽部」 優 慧太 TBSブリタニカ 1500円

大恐慌のとき生まれたゲーム、モノポリー。残念ながらいままで触ったことはない。糸井重里が会長を

つとめる日本モノポリー協会の公認、百科事典といったところ。全日本選手権の実況やら盛りだくさん。


5月8日(月)

「さいたま新都心ガイドブック」 埼玉新聞社 1000円

横浜のMM21、千葉の幕張につづいてようやく埼玉県の新都心構想が実現する運びとなった。

大宮、与野、浦和の3市合併も、新名称は「さいたま市」に決定した。目玉は「けやきひろば」と

スーパーアリーナになるようだが、けやきひろばの下の1階レベルのありかたがよくわからない。


5月7日(日)

竹内敏信・風景写真講座「桜を撮る」 ショトル・ミュージアム 小学館 1800円

日本全国、桜の写真。この竹内敏信流のいいところは、すこし写真をかじったひとなら、「オレでも撮れ

そう」と思ってしまう、大衆的なところだ。しかも対象が桜とあれば、もういうところなし。今年の桜の名木

にもアマ写真家の姿が多かった。阿智の駒つなぎ桜の開花状況を聞く電話で役場は大忙しだそうだ。


5月6日(土)

「産地別 日本の化石800選」 大八木和久 築地書館 3800円

この道35年、全国の化石産地を股にかけた、愛好家の自選化石800個。好きな人にはこたえ

ないだろうと思うけど、ウーンというところ。前作の全国産地紀行文もマニアックだったなあ。


5月5日(金)

「超爆笑大問題」 爆笑問題 講談社 1200円

10年ほど前「ガハハ キング」という番組で、爆笑問題が10週勝ち抜きをするのを、家族4人で息を

ひそめて見ていた。その後、売れはじめたなと思っていたら、突然消えてしまっていた。「ボキャ天」

以降の活躍は、うれしい限りだが、 なぜそれまでホサレたのか、知った人がいたら教えてください。


5月4日(木)

「消えゆく鉄道車両図鑑」 安田就視・岩谷 徹 彩流社 1200円

JR&私鉄の、代表的な 「絶滅危惧種」 車両や、希少車を地域別に解説・紹介する、鉄ちゃん向け

マニア本。しかし感心するのは「青カエル」とか「いもむし」「なめくじ」などの、ニックネームのつけかた。


5月3日(水)

「面接官の本音2001」 辻 太一朗 日経BP社 1400円

元リクルートの人事担当があかす面接の実態は、いままでの面接本のなかでは、もっとも骨がある。

理想の面接を追求するあまり、担当側の「面接道」の存在すら感じられる。読者もそちらの方が多い

のではないか。すると、中年のオジさんには、プレッシャーとなったりして…。いやはや、大変である。

まあここまで理想の人間はそうはいない。最低の条件、コミニュケーション能力だけは養っておこう。


5月2日(火)

「自宅の書棚」 アラン・パワーズ 産調出版 3830円

副題に「本のある暮らし。本をインテリアとして生かす。」とあるけど、単に書棚のスタイルあれこれ

としてしか読めなかった。著者は英国の建築家で、仲間の自邸がモデルとして多いようにみえる。


5月1日(月)

図説「だまし絵」もうひとつの美術史 谷川 渥 河出書房新社 1800円

芸術の分野では発展とともに、知性を問いかける遊びが好事家のあいだでもてはやされるようになる。

美術史においては、異端の「だまし絵」として珍重されたようだ。それを著者は非常に繊細なゲームで

あり、修辞学的な戯れという。現代美術では当たり前のことだが、その集大成としての、華麗な世界。



4月30日(日)

[GUN具百選」 ケン野沢 三天書房 1600円

鉄砲のオモチャを、GUN具と称している。昭和30年生まれくらいの世代だから、もうウェスタンブーム

去っていたはず。20年代はやっぱりピースメーカーだ。素朴な火薬のオモチャから、モデルガンを

へてエアガンと時代は進んでいく。それにしても低いマニア度、誰に読まれたいのか、よくわからない。


4月29日(土)

「大阪ことば学」 尾上圭介 創元社 1000円

大阪に生まれ、神戸で育った東大の日本語学者。限りない愛情をもって、大阪弁の言い回しと、その

心理状態を言語学的に解説していく。それはまさに上方のお笑いに代表される大阪人間学でもある。


4月28日(金)

「林家ペーの有名人お宝写真館」 林家ペー 双葉社 1300円

こんなの見てれば、よっぽどヒマと思われそう。20年続けていれば立派に芸になるということ。

「撮影現場」 リウ・ミセキ KKベストセラーズ 1700円

こちらは女性専科の21年生まれの帰化華僑写真家。すごい自信とキザな文章。そのわりには、

けっこう泣かせたりするが、作家としての肩書きはゴメンだ。光線に一家言をもつだけに表紙写真

はレンブラントの絵をみるようで、印象に残る。書名は素っ気ないが、なにか思い入れがありそう。


4月27日(木)

「体内崩壊」加速する『41歳寿命説』 西丸震也 (株)法研 1200円

御年77歳の西丸先生、昨年は「机上登山」という地形図だけから想像するヴァーチャル登山で楽しま

せてもらった。まえがきで、これは遺作となるだろうといっているが、内容的には前作の範囲内で平凡。


4月26日(水)

ザ・スタッフ「舞台監督の仕事」 伊藤弘成 晩成書房 3502円

この出版社すごい名前をつけたもんだ。単なる仕事本と思ったら、そうではなかった。すでに第6刷

高校演劇部のための舞台バイブル、大道具、音響、照明などイラスト入りでわかりやすい。演劇に

のめり込んで、こういう本で、深みにはまっていく。この世界を味わったら、他にはいけないだろうな。


4月25日(火)

「TVドラマ ここがロケ地だ!!」 ドラまっぷプロジェクト サンブックス 950円

3月11日「TOKYO事件・芸能マップ」が評判よくて、これはTVドラマにしぼったマップ本。ドラマは

見ないけど、都市景観論のネタになりそう。分析すれば都市計画、デザインの参考になるかもね。


4月24日(月)

「帝国ホテル 感動のサービス」 宇井 洋 ダイヤモンド社 1600円

この出版社の「サービス」シリーズの一冊。3月30日の「ホテルのお仕事」とは目的も違うが、内容は

よりハードだ。ビジネスとしてのサービスをどう実現していくかの具体例。接客業は若さよりも、経験が

ものをいう仕事、能力のおとろえを日々感じる世代としてはある意味、うらやましいところでもあります。


4月23日(日)

NEWTONムック「世界の渡り鳥アトラス」 ジョナサン・エルフィック ニュートン プレス 2500円

とくに前半の飛翔、渡りのパターン、ルート、定位と航法など興味をそそる部分だ。ただアトラスと

銘打つにはアジア関係が弱いように思える。訳がこなれてなくて、読みにくさが終始つきまとった。


4月22日(土)

シリーズ日本人の手習い「宛字書きかた辞典」 有澤 玲編 柏書房 2000円

倫敦、巴里などの当て字である。読むための「宛字外来語辞典」は売れてるらしいが、これは人名、

地名、単位、普通名詞など、書くためのもの。アインシュタインは愛因斯坦ですよ。よく関西の喫茶店

やレストランを当て字で読ませる例を見かけるが、そんなことに使うのかな。リチウムは利知烏母だ。


4月21日(金)

勝ち残るためのCAD環境構築法「大江 匡のデジタル・スタジオ」大江匡・泉俊哉 2800円 日経BP社

MAC教の建築家のCAD実践講座。たしかにアトリエ派設計事務所といえどもよりデジタルに進ん

でいくだろう。でも声を大にして、いっておきたい。10年近くCADをつかってきても、模型を手で作る楽

しさには変えられない。つまり達成感が希薄なのだ。徹夜作業を終え、「さあ床屋でも行って、サッパリ

してくるか」という健康的な疲労感がないのだ。それから大江さん、TVのコメンテーターはもうやめて


4月20日(木)

路上写真の新展開「フォトモ」 非ユークリッド写真連盟 糸崎公朗・森田信吾 工作舎 2800円

写真(フォト)をそのまま切り抜いて模型(モ)をつくる、つまりは立体写真である。いや写真立体という

べきか。街の一角の再現などには不思議な魅力。さまざまに写真を加工し、現代芸術としてあそぶ。

こういうのを非ユークリッド写真と自称する。こんなのは初めてで新鮮だ。今後の発展に注目したい。


4月19日(水)

「東京インテリアショップ」2000>2001 beSure編集部 トーソー出版 1800円

2001年版、東京、横浜地域インテリアショップ案内。インテリア趣味の困ったことは、好みがそれぞれ

ということ。モダン、カントリー、クラシックなどなど。東京には答えてくれる店が、どこかにあるからいい。

その点、地方都市では人口的につらい。商品も、そんなに変えられないから、あきられちゃうんだよね。


4月18日(火)

写真でわかる謎への旅「マチュピチュ」 柳谷杞一郎 雷鳥社 1680円

よくあるマチュピチュを逆側からみた写真、あるいは廃虚の上部にある石を積んでつくった段々畑の

写真が興味深かった。しかしなぜ、あんな場所に都市がつくられたのかと思う。謎はナゾのままだ。


4月17日(月)

深く激しく面白く「宝塚非公式ハンドブック」 早稲田大学宝塚歌劇を愛する会OG 講談社 1500円

たいがいのことでは驚かないが、このディープな世界に唖然、絶句状態。チケットのとり方から、グッズ

各組スターや有望株評、そして究極のファンクラブのシステムなど。マニアといっても、モノや動植物が

相手じゃないから、それはもう、おとろしいワールドがひろがっている。もはや何も申し上げられません。


4月16日(日)

和英対峙「現代美術演習」〜X BゼミSchoolSystem編 現代企画室 2000〜3300円

33年の歴史をもつ、横浜市の私設現代美術学校 「Bゼミ」 の、1988年からの、演習記録全5巻。

生徒美大生なのか、制作した作品を前にしての講師との対話は、まさに現代美術の鑑賞のしかた

解説。その後の生徒がどうなるのか、知りたい。講師として同ゼミで教えている人もいるらしいが。


4月15日(土)

「子どもはどこで犯罪にあっているか」犯罪空間の実情・要因・対策 中村 攻 晶文社 1900円

東京にいたころ住宅団地の配置設計にかかわったが、当時から、犯罪空間については神経は使った。

しかし社会状況は悪化の一途、公園その他の空間での大きな犯罪は周知のとおり。その影には小さ

犯罪が多数、存在する。要は人の眼に見守られた、居住性の高い 「遊び場」 を実現することにつきる。


4月14日(金)

旅行人傑作選2「世界が私を呼んでいた!」 旅行人編集部 (有)旅行人 1600円

「世界の果てまで行きたいぜ!」の続き。けっこう皆、行ってるんだよね、世界中に。その中に藤原新也

に心酔するカメラマンが書いてる。苦手なんだよ、師匠ゆずりの文体、社会派はこの本にはいらない。

213pから100pにわたっての第6章、読者のお便り傑作選はたいくつだった。ちょっと水増し気味。


4月13日(木)

読みこなし・使いこなし・活用自在「広告がわかる事典」 塚本輝夫編著 日本実業出版社 1600円

広告に関する基礎知識・実務知識を集大成、一冊読み終えればあなたも広告のスペシャリストに!

とうたっているが、それほどでもない。概略すぎて現場の雰囲気が伝わらないせいかも知れない。


4月12日(水)

「女性ジャズ・ヴォーカル入門」 ジャズ批評編集部・編 (株)松坂 1900円

飯田図書館ひさしぶりのジャズ本。入門どころか「大全」だ。有名無名、世界の女性ヴォーカリストを

AtoZで412人、レコード、CD推薦盤を写真入りで詳説。しかし日本人はいません。知ってる名前を

数えたら、わずかに72人、脱帽いたします。毎週水曜午後4時、NHK−FM大橋美加、聴いてます。


4月11日(火)

沿線文化人類学「中央線なヒト」 三善里沙子 ブロンズ新社 1350円

そんなに中央線沿線は特別かいな。まあ路線による人種の違いは認めるけどさ。東京での最終地は

地下鉄新高円寺だった。先日、25年ぶりに歩いたが、よく行ったジャズ喫茶も小料理屋も跡形なし。


4月10日(月)

「M型ライカの買い方・使い方」 内田ユキオ ナツメ社 1800円

たしかに上面−軍艦部というんだが−の仕上げのよさにはほれぼれする、カメラの最高峰。それは

認める。でも使いにくいんだぜ。ライカ持ちの礼賛に閉口するのも予想どおり。レンズについても同様

切れがあって、しかもしっとり、色にコクがあるだと?。ワインじゃないんだから。ニコンのFで勝負だ!


4月9日(日)

ミレニアムへの軌跡「豪華客船クルーズ」 日経ムック 日本経済新聞社 1890円

究極のジジイ趣味が客船クルーズだ。新造船から帆船まで、豪華客船141隻も紹介、こんなの全部

採算があうのかしら。世界は広いよ。某建設会社に勤務していたころ、施主の病院長夫妻が、クィーン

エリザベス2世号の常連だった。訪れるたびに、たくさんのアルバムを見せていただいたことも思い出。


4月8日(土)

就職カタログ「ゲームの全仕事」 学校法人 東放学園 新紀元社 1500円

業界そのまま、雑然とした印象。アルバイトからの出発が多い若さの世界。体力、精神力の必要性は

どこでも同じだが他よりももっときびしそう。いかに消費されずに達成感を味わっていけるかが課題だ。


4月7日(金)

「図解でわかる統計解析」 前野昌弘・三國 彰 日本実業出版社 1800円

統計を多少なりとも理解すべく、一念発起して借りてきました。結果は…はじめは良かったが、

やっぱり後ろのほうはアウト!予想どおりとなりました。現代社会の中での統計の位置づけが、

おぼろげなりにわかったことでよしといたします。つまりは社会をすべて数学で表現するという。


4月6日(木)

やきものをつくる「野焼き」 『つくる陶磁郎』編集部:編 双葉社 1700円

縄文文化を再現する歴史派と、陶芸を趣味とする焼き物派と、町おこしイベント派の3つがあるようだ。

まあいずれにしても精神的余裕がないとできない遊び。こちらは悲しいことにそんなゆとりのない生活。


4月5日(水)

「装丁家109人の仕事」 日本図書設計家協会編 玄光社 2000円

ブックデザイン、羨ましくなる、いい仕事だ。それぞれが10冊ほど自作を披露。華やいでいる。

その中に゛ガーデン国立"に住むイラストレーターを発見。まえまえから注目していたんだけど、

国立市の大学通りに面した、低層集合住宅は雰囲気満点。あんなところに住めたらいいよな。


4月4日(火)

「4本のヘミングウェイ」 古山浩一編 グリーンアロー出版社 2600円

モノに執着するのは男のサガ。万年筆好きと、職人が集まった本。マニア以外はたいくつ。

むかし持っていたペリカン400はどうも好きになれなかった。現在使用中のパーカー21は

近くの文房具屋でみつけたデッドストックもの。ヘミングウェイは万年筆の名前だそうです。


4月3日(月)

「旅客機 雑学のススメ」 谷川一巳 山海堂 1500円

まあ旅客機に関する雑学はそれなりに面白かった。しかし後半の3分の1は日本に乗り入れている

世界の航空会社の保有機の種類と機数などを詳説。これには参った。それほどのマニアじゃないよ。


4月2日(日)

「心配しないで−当世女子大生告解録」 小沢章友 新潮社 1200円

だいぶ迷ったが、NHK−FMのクロスオーバー・イレブンでときどき耳にする、ゴロのいい著者の名前で

借りてきた。これもありかよ、という感じ。短大での作文講義−人生を流れる4つの時間、「感動」「怒り」

「涙」「笑い」−を書かせ、まとめたもの。しかしうまい文章だ。笑わせるし、泣かせる。読んでソンはない。


4月1日(土)

スペースデザインシリーズ「収納スペース」 デボラ・ロバートソン 産調出版 3300円

アメリカのインテリアコーディネイトは中古住宅にたいしてのリフォームが中心で、日本の参考書の

ように新築時をイメージしたものではない。だから収納といってもそれをいかにディスプレイするかが

主眼となる。で、いきおい、ちょっと古いスタイルとなるのだが、それはそれで落ち着いた雰囲気。



3月31日(金)

百年の技、千年のかたち「日本の手仕事」 睦田幸枝 小学館 1460円

雑誌サライは、金とヒマのある高齢者むけ、ラピタはそれよりやや若向きか。どっちにしても

そこにあふれるジジイ趣味がきらい。このムックもその傾向がある。だけどやっぱりいいもの

はいいなあ、日本の伝統職人技。問題はその値段、材料と時間を考えれば当然なんだが。


3月30日(木)

「ホテルのお仕事」 乙田 健 ミオシン出版 1200円

よくある仕事のうちあけ話。一般的には定年間近い、ベテランが書くものだが、この著者は若そう。

あとがきでも弁解しているが、やっぱり重みにかけるところがある。逆にその軽さがいいという見方

もあって評価はいろいろだ。この出版社はいまのところ、後者の路線でやっていくようだ。


3月29日(水)

「すべてが最悪の状況に思えるときの心理学」 ポール・G・ストルツ きこ書房 1700円

副題のAQ逆境指数(AdversityQuotient)とは認知心理学、精神神経免疫学、神経生理学から

導きだされた、逆風にたいしての抵抗力。それは性格でもなく、精神のタフさでもなく、単なる技術

であるという。ただそれにたいしての思考方法がちょっと日本と違う感じ。わかるんだけどもう少し

日本人向けに訳をかみくだかないと実用にはならないと思った。いい線いってるだけに残念。


3月28日(火)

「箱庭鉄道模型 パイク」 松井大和 誠文堂新光社 1500円

持ち運べるくらいの小さい鉄道模型のレイアウトをパイクというそうだ。趣味の世界は広い。

ジオラマとくに樹木のつくりかたは建築模型でも苦労するところ。参考になった。


3月27日(月)

風水先生「四門の謎」を解く 荒俣 宏 世界文化社 1500円

博学の著者のいう「日本の四門」をさぐる旅。東北、対馬、小笠原、沖縄だそうだ。ほんとかねえ。

北門、西門、東門、南門それぞれの旅ルポとしてはいいのだが、まとめために、かえって苦しく

なったような気がした。まとめなくては、四門にはならないから、そもそも無理があるってこと。


3月26日(日)

「飛ばせ!手作りロケット」 日本モデルロケット協会編 誠文堂新光社 1800円

こういう遊びもあったか。これはペットボトル・ロケットではなく、火薬をつかった本格派。

打ち上げを見ているほうがおもしろそうな気がする。


3月25日(土)

「2000年間で最大の発明は何か」 ジョン・ブロックマン 草思社 1500円

一見面白そうなこの本は、インターネットでのチャットをまとめたもの。2000年という限定で、

なおかつ人と違ったものを、となるとけっこう厳しいゲーム。意外なものをあげた人ほど記述が

長くなる傾向。話のタネにはいいかも。常識的な線で゛鋼鉄(ハガネ)"ってのはどうでしょう。


3月24日(金)

大人の「男の実践 ゛森の生活"」 本山賢司・細田 充・真木 隆 山と渓谷社 1800円

3人のヒマ人が甲斐駒山麓で2週間、野宿をするという、現代版「森の生活」。でも思索はしない。

まったくなんということもない本なんだが、それでも少しは野宿をしたつもりになれる功徳あり。


3月23日(木)

「器 うつわ-魯山人おじさんに学んだこと」 黒田草臣 晶文社 1800円

副題よりも実際は近代陶芸作家達との父子二代にわたる交流録。芸術かデザインか、用か美か。

趣味の世界をなりわいにして生きていくのは大変だ、作家もそうだが陶苑も。


3月22日(水)

「USS JOHN C.STENNIS」 ゲーリー・L・キーファー ケン・クック グリーンアロー出版社 4200円

原子力空母「ジョン・C・ステニス」写真集。この6000人からの戦闘集団都市は、地球上でもっとも

巨大な、動くシステムだと思う。こんなものを12隻も持ちながら、それさえも全体の一部でしかない。

国家は力だ。あれほど意図的な中国大使館爆撃も、結局は知らぬ存ぜぬで通しちゃったんだから。


3月21日(火)

にっぽんの基礎知識「諸国名物地図」 市川健夫監修 東京書籍 2000円

中身の濃い本だ。56のテーマに分けて、日本全国の情報を網羅する座右の書。

本来は資料として百科事典的に使うものだろうが、読み物としても楽しめた。


3月20日(月)

今コソ知リタイ!「ロボットの未来」 別冊宝島 宝島社 743円

完全保存版 空想&現実 ロボットデータベースとある。大げさなもんだ。ロボットにロマンを

感じるか、どうかで評価はわかれる。想像力の方向がちょっと違うのかなあ。


3月19日(日)

「なぜ国家は衰亡するのか」 中西輝政 PHP研究所 657円

1998年11月初版、すでに11刷とは。土曜の朝、文珍の番組にときどき出てくる冴えないオジさん。

ローマ、イギリスの例から現在の日本の社会現象を完全に説明している。つまり国として衰退期に

いるということ。ではどうするか、本人の思索も継続中だが、歴史や伝統に自信をもって、日本としての

哲学を再構築させるという方向か。いずれにしても今後、この人には注目しておく必要がある。


3月18日(土)

「ニッポン バブル遺産建築100」 橋爪紳也 NTT出版 1500円

この大阪市立大助教授の建築学者はいわゆるバブル期の公共建築にたいして好意的な見方。

「あの金で何が買えるか」という本もあるが、ようするにおもしろおかしく、皆んなで食ったという

のが正解。だからそれについて、エラそうなことはいえないよ。建築は残っただけよかったワ。


3月17日(金)

図説「ニューヨーク都市物語」 賀川 洋 河出書房新社 1800円

とくに美文ではないけれど、要領を得た文章。移民の国アメリカに世界中から迫害を逃れ、あるいは

新天地を求め、来たるその歴史は感動的だ。クライスラービルの尖塔を一度は目にしたいもの。


3月16日(木)

「シンメトリーな男」 竹内久美子 新潮社 1400円

予定していた仕事がストップになって、一気に読んでしまった。この動物生態学者が言うには

人間をふくめオスの選ばれる理由は、シンメトリーにあるとか。あらゆる意味で左右対称男が

優秀なんだそうだ。しかし中年以降の免疫力の低下した時、やられやすいというオチがつく。


3月15日(水)

「ポンペイの遺産」 2000年前のローマ人の暮らし 青柳正規監修 小学館 1900円

構成が悪いのか、こちらの頭が悪いのか、どうもよくわからない。暮らしぶりが見えてこないのだ。

フレスコ画やモザイク画もいいけど、むしろ後ろの見開きの発掘されたポンペイ全景の航空写真に

迫力を感じた。その昔ローマへの新婚旅行の際、寄っているので、多少その頃を思い出した。


3月14日(火)

図説「剣技・剣術」 牧 秀彦 新紀元社 1900円

剣道に興味を失って、現在は古流に関心がある。これは武道ライターの剣技に関する初級解説書。

たしかに各流派をまとめた便利な本ではあるが物足りなさが残る。弟子入りしなくちゃダメなんだな。

絵にしろ写真にしろ形(かた)のスピードを表現することは不可能。目で見て身体で覚えるしかない。


3月13日(月)

新都建設は欺瞞である「NO-首都移転」 市川宏雄 光文社 1200円

書名からして怪しい。しかも値段のわりにハードカバー。都が金を出していると邪推したい。

写真も図もなく、ただ反対理由をならべるだけ。それじゃ「とりあえず」と移転候補に手を挙げる

地方と同じレベル。明治大学の都市計画の先生には、東京のあるべき姿を描いてほしいのだ。


3月12日(日)

「就職百科」直前対策 2000年版 日経就職シリーズ 日経事業出版社 1200円

今年に入って大学3年の長男あてに連日DMが届く。いわゆる一流企業の会社案内が多い。

で参考のために借りてきました。買い手市場とはいえ、いまの就職構造には違和感を覚える。

すでに3月、もういいとこ終わってる業界もあるらしい。大丈夫か、東京の仙太郎さん。


3月11日(土)

「TOKYO事件・芸能マップ」 ネスコ編 文藝春秋 1200円

東京新名所案内。スピード感あふれる文章で読んでて気持ちいい、ヒマつぶし用。

どうしようもなくヒマな時間ができたら、これを片手にあちこち訪ねてみたら。


3月10日(金)

高学歴男性におくる「弱腰矯正読本」 須原一秀 新評論 1700円

副題に男の解放と変性意識とある。フェミニズムの男性版としての右翼性の研究。

哲学、心理学的説明で少々むずかしい。著者のいう変性意識とは「キレる」と同じと

解釈する考え方もある。そうするとまったく別の話に進んでいきそう。

ただ現代人は優しすぎ、もっと横着に生きようではないか、という点については賛成。


3月9日(木)

「使うハーフサイズカメラ」 飯田 鉄 双葉社 1700円

いまハーフサイズカメラがオシャレなんだそうだ。大学2年の時、オリンパスペンWを買った。

いくらだったかは記憶にないが、結局、8000円で市川の質屋で流した苦い思い出がある。

意外と使いにくいんです、枚数がやたら多いというのは。ペン・ワイドは市場では高いらしい。


3月8日(水)

「男のきもの 雑学ノート」 塙 ちと ダイヤモンド社 1600円

雑学ノート シリーズではちょっと異色だが、経済界に強い出版社から読者の層がみえてくる。

男の着物は金がかかるというのが定説で、凝ってくれば上を求めてキリがなくなるわけだ。

亡き祖父、仙吉はいつも着物だったのでどこかにあるはず、帯も羽織の紐も結べるが、

ちょっと精神的な余裕がまだない。しかもうちにはタタミの部屋はない。


3月7日(火)

「天神さん人形」 木村泰夫 日貿出版社 2400円

はじめのうちはよかったが、延々と続く全国の天神さま人形の紹介。

なんでこの本を読まなきゃならんの、と虚しさを感じつつ、読書日記を書くためにとうとう終わりまで。

こんなコレクションを残された縁者は大変だろうな。受け継いでくれる人は全国的にはいるはずだが。


3月6日(月)

「包丁テクニック図鑑」 武蔵野調理師専門学校 監修 大泉書店 1500円

よくわからないけど初級者から中級向けなのか。総アート紙、オールカラーにしてはお買い得な本。

多少、勉強にはなりました。それより隣の鉄骨倉庫の解体で音と振動がすさまじく、参ってます。


3月5日(日)

「都心の美術館 旅先の美術館」 CRASSY 光文社 1500円

2月25日の「日本の美術館」から4年、増えたもんだぜ。実業家などの個人のコレクション美術館。

リゾートに建つ、いわゆる観光美術館。地方都市の公共美術館などなど。

「人けの少ない静かな空間で」というのが理想なんだけど無理だろうな。


3月4日(土)

「悶々と悩む 英語の疑問77」 松本 茂 NHK出版 1000円

NHK松本英語へのQ & A集。英語好きにはたまらないんだろうな、こういう質問。

それがどうしたと言ってしまえば失礼か。〜だからダメなんだよ。〜わかっています。


3月3日(金)

「クリスタル・ヒーリング」 リズ・シンプソン ガイアブックス 2800円

望んでいた自由をいざ手にしたとき、自己アイデンティティと精神のよりどころを求めることになった。

それが宗教や家族、趣味、あるいは癒しであってもおかしくない。それは個人の生き方なんだから。

お前はどうなんだ?と聞かれたら、「そこそこの運のよさに頼っていくだけ」と答えることにしている。


3月2日(木)

「京暖簾」 高井 潔 光村推古書院 1200円

暖簾(のれん)というより、京都の町屋の玄関廻り造作写真集としての用途のひろがり。


3月1日(水)

「朝食有害説」 渡辺 正 情報センター出版局 1600円

近ごろ朝食が重く感じられて発作的に借りてしまった。健康本、ダイエット本の類の

都合のいいことだけ書き、なんでも都合よく解釈する、うさんくささは勘弁してほしい。

これも西式健康法で多少その傾向あり。カロリーの総量を減らす意味ではわかります。



2月29日(火)

「名前が語るお菓子の歴史」 ニナ・バルビエ エマニュエル・ペレ 白水社 2200円

フランス洋菓子の名前の文化史。プロ菓子職人向け。ネーミングの参考書にはなる。


2月28日(月)

「タイ語でタイ化」 下川裕治 双葉社 1300円

きのうは韓国、きょうはタイ語の勉強。そのニュアンスとともに、タイ人の生活ぶりを語る下川さん。

アジアのことを書かせるとうまい、K大の福田先生にそのキタナそうな爪のアカを飲ませたいほど。

友達にタイで沈没してるらしいのがいる。聞くのが恐くて、奥さんにもずっと電話できない状態。


2月27日(日)

ワールド・カルチャーガイド「韓国」 トラベルジャーナル 1700円

関川夏央「ソウルの練習問題」以来の韓国本だった。お隣も大人になったものよのう。

サンケイ新聞は黒田勝弘という名物支局長がいて、情報は多いが世代的に片寄る傾向。

その点、IMF以降の現代の若者文化の解説は、なかなか面白かった。


2月26日(土)

「平成ゾンビ集」 福田和也 角川春樹事務所 1300円

タマの回転はいいが、その分、球質が軽い傾向のある、中国嫌いのニュー・ナショナリスト。

それにしても K大の先生なんだから、もう少し想像力あふれる書名を選んでほしいもの。

サンケイ新聞も喜びそうな内容。ウチは半世紀にわたって購読してます。わけは知りません。


2月25日(金)

ぴあ「日本の美術館」 2300円 ちょっと古く1995年発行

建築の華は美術館だ。有名建築家の作品を北から南まで110館紹介。

今もっとも肌にあうのは谷口吉生さんの作品かな。プロポーションの美しさ、

ディテールの確かさ、そして、おおらかさと品のよさ。MOMAの新館が楽しみ。


2月24日(木)

「TOWN for the FILMS」 種田陽平 角川書店 3200円

「スワロウテイル」や「不夜城」の美術監督の写真・散文集。面白そうな仕事だ。アジアの

架空の街をイメージだけでつくっていく。まさにインテリアデザインの極致。映画はみてない。


2月23日(水)

「中国のかわいいおもちゃ」 島尾伸三・潮田登久子 平凡社 1524円 1997年

中国への個人旅行をした人は、漢民族の中華主義とホスピタリティの無さが嫌いになる

ケースが多いといわれている。この写真家夫妻はそうじゃなくて、心から好きになったらしい。

単なるグッズ本でもなく、といって社会派でもない、ちょっとよくわからないスタンス。


2月22日(火)

「ミニコミ魂」 串間 努 晶文社 1900円

この間のが「Vシネマ魂」で今度のが「ミニコミ魂」か。出版社が違うので偶然だとは思うけど、

書名はもっと気張ってつけてもらいたい。200ものミニコミ誌を紹介する労作だが、

そのわりにあまり残らない。インターネットと、どんなかたちで棲み分けていくのかは不明。


2月21日(月)

「祭りの古代史を歩く」 オフサイドブックス編 彩流社 1200円

大和朝廷成立あるいはそれ以前の神話の時代、いわゆる日本古代史の謎の解明に力を

いれる人達の集合本。各地の祭りのルーツをそこに求める自説の展開はいいんだけど

いずれも尻切れトンボのきらいあり。


2月20日(日)

「小屋 働く建築」 INAXギャラリー INAX出版 1500円

作業小屋、炭焼き小屋、舟小屋、海女小屋、漁小屋、出作り小屋などを採集したもの。

執筆者に炭焼きで物書きの宇江俊勝さんの名前をみつけ借りてきた。

写真家の写したものだからキレイに見えるけど、実際はみすぼらしいものだぜ、きっと。

そういえば12年前、仲間十数人とつくった山小屋にも、しばらく行ってないなあ。


2月19日(土)

「虚構戦記 研究読本 兵器・戦略編」 北村賢志 光人社 1800円

「同 戦術・作戦編」の続編。前回もそうだが太平洋戦争の各局面での I F を徹底的に

論破することに情熱をそそいでいる。そうすると全ては史実どうりとなり、なんのために

読んでいるのかということになってくる。面白そうでまるで面白くない本。


2月18日(金)

別冊宝島「盛り場の顔役たち」 宝島社 933円

欲望産業の集合が資本主義社会で、その最もディープな部分が盛り場であり、

その底にはいつも Y さんが、という構造。


2月17日(木)

「推薦・AO入試!超マニュアル」 クロイワ正一 KKロングセラーズ 1200円

4年次にわたる豚児二人の受験生活は、親にとっても大きな精神的負担であった。

だから受験や大学に関する本は思わず手にとってしまう習性となったのであります。

AO入試へのマニュアルをやるのもいいけど、K大なんか今年の合格者は減らしたらしいよ。

こういうので勉強して、また同じような没個性の学生が増えていくのかな。


2月16日(水)

「ソムリエ・バーテンダーになるには」 大阪あべの辻調理師専門学校編 ぺりかん社 1170円

社交性のうすい身にとってはやっぱり無理か、おもしろそうな職業だが。


2月15日(火)

2000年版「間違いだらけのクルマ選び」 徳大寺有恒 草思社 1400円

書いてることは毎年同じなんだけど読んじゃうんだよね。もう24年間出しているんだから。

新書にしては高目の値段、5日目にして第5刷だ。小気味よい文体にたいしての信頼感からか。

こうなると強い。メーカーにたいしても言いたい放題。一般人は話のネタ本にするというわけ。


2月14日(月)

「西洋名画の値段」 瀬木慎一 新潮社 1200円

美術社会学というんだそうだ。名画の値段の変遷というよりも高騰ぶり。

コレクターとその時々の世界各国の懐具合と社会状況を反映する。

我々とはあんまり関係のない話。


2月13日(日)

「江戸東京ご利益散歩」 金子桂三 新潮社 1600円

願いがかなう神社・寺院108ヶ所を紹介。入学試験には三大天神、すなわち

湯島・亀戸・谷保の天満宮巡りがよろしいかと、体験的に申し上げておきたい。

なお野暮天の語源が国立市の谷保天満宮とは知りませんでした。


2月12日(土)

「源氏物語 六條院の生活」 風俗博物館編 3286円

京都下京区風俗博物館の常設展示。六條院を 1/4に模型化、室礼(しつらい)、調度を配し

衣装をつけた人形を、源氏物語の場面、季節にあわせ、ビジュアルに再現したもの。

この間のインテリアコーディネーター試験に一問ありました、当時の室礼を説明するのが。

早く見ていれば楽だったよなあ。本日2次試験の合格通知が届きました。


2月11日(金)

「日本の論点2000」 文藝春秋編 2667円

拾い読みだけで3日間。前の「是非問」とちがって、こちらは未来をどう読むか、だ。

理想論、現実論、楽観論、悲観論、グローバル派、ナショナル派、ハト派、タカ派、

改革派、守旧派、懐古派、フェミニスト、入り乱れての大論争。

気がつけば大国アメリカの影ですか。


2月10日(木)

「Vシネマ魂」 谷岡雅樹 四谷ラウンド 2000円

もうひとつの世界、ビデオ屋とVシネマへの想いを熱く、暴力的に語る谷岡教祖。

今後借りることもないと思われるひとにとっては不健康に思われるかもしれない。

しかし社会や時代が方向性を失っているいま、本音をきかれると困っちゃうのよ。

と、わけのわからない感想でした。


2月9日(水)

「不思議旅行案内」 長吉秀夫 大和出版 1400円

UFOを見たことがないという「不思議感覚」のうすい身としても、宇宙・愛・幻覚・精霊・輪廻

などわからないわけでもない。しかし著者の周辺に亡くしたひとが多いのが気になる。

それゆえポジティブに生きたいという言葉に危うさを感じた。


2月8日(火)

「是非問」ぜひもん 北野義則 葉文館出版 1500円

物事には2面性があるもんだが、社会の複雑化につれ判断に困るケースがふえてきた。

甲という意見があれば、まったく正反対の乙もありという。そんな議論のためのタネ本だと。

しかしあとがきで、5歳の娘に「パパがんばったよ」はないだろう。軟弱だぜまったく。


2月7日(月)

「早川良雄の仕事と周辺」 早川良雄 六曜社 2800円

幸運にも作家に、そして巨匠になることのできたグラフィックデザイナー。

日本のモダンをひっぱり、いまや悠々の旦那芸だ。さすがに品がよく、明るい。

節度、明るさってのは大きな要素で、それを無視したものは衝撃的ではあるにしても、

デザインとしては認めたくない。アートとしてやってくれ、といいたい。

だからベネトンの一連のキャンペーンは禁じ手だと思う。と話が飛んでしまった。


2月6日(日)

「神々の声」 R・M・ショック 飛鳥新社 1700円

地質学者がスフィンクスの年代測定をひっさげ、失われし古代文明論争に参戦か?

「神々の…」とくれば普通はそう考える。ところが原題は「VOICE OF THE ROCKS」だ。

ショック先生は古代文明の姿よりも、なぜ破局がおこったのかを追求していく。

最後には、彗星の衝突と地球の温暖化、オゾン層破壊を警告する、平凡な結末。


2月5日(土)

「古代エジプト文明」歴代王国3000年を旅する レンツォ・ロッシ PHP研究所 1400円

きわめて平易なエジプト文明図解。しかしだれが読むんじゃ。

 

「What’s AIBO?」 AIBOプロジェクト編 扶桑社 1524円

アイボについてはノーコメント。10年後にふりかえってみるか。


2月4日(金)

「ふと…」の芸術工学 吉武泰水・鈴木成文 監修 杉浦康平 編 工作舎 2500円

神戸芸術工科大学大学院芸術工学専攻の講義録。

ずーっと読んでいって途中で前に一度読んだことに気がついた。図書館の本だとよくあること。

芸術工学−別の言葉でいえばデザインか、よく文部省がウンといったなって感じ。

建築計画学の権威、吉武先生とその一番弟子、鈴木先生の前・現学長コンビの力を見る思い。

学生のころ建築計画学はデザインとはもっとも遠くにあると思っていたので不思議。

内容的にはまだ混沌、それこそがデザインなの?仙太郎さん。


2月3日(木)

「超」旅行法 野口悠紀雄 新潮社 1400円

趣味人なんだよね、野口先生は。で書くことが山ほどあるわけ。だからって、

コラムに載せるのはいいけど、それを集めて「超…」は、もういいやって感じかな。


2月2日(水)

「ひかりの引き出し」 島尾伸三 青土社 1600円

奄美出身の「島尾」という写真家の名前、それに気のきいた本の題名で読む気になった。

さすがに豊富な語彙と凝りに凝ったセンテンスの長い文章、それゆえ難解だ。

なぜここまでむずかしく言わなきゃならんのか。

まるで昔出会った、わざとむずかしく書かれた建築論と一緒だ。

写真展をいろどる、仲間うちでの評論としてはいいんだろうな。


2月1日(火)

「東京 消えた街角」 加藤峰夫 河出書房新社 2500円

ちょうど我々が学生のころ、昭和40年代前半の東京街角写真集。

人の記憶の不確かさ、モノクロゆえに感じる古さもあって、昭和初期にも見えるほど。

こんなところをイキがって歩いていたかと思うと汗がでるぜ。



1月31日(月)

「スター誕生」 吉田 司 講談社 1800円

ひばり・錦之助・裕次郎・渥美清の4人のスターと戦後日本復興期とを関連づけた社会論。

品のない軽薄な文体で、いつもなら放り投げるところ。

著者は同じ月生まれの同時代、しかし「ちょっとちがうんだよな」と終始、違和感を感じた。


1月30日(日)

「市川染五郎と歌舞伎へ行こう」 編集 ユニゾン 旬報社 1600円

このあいだ新聞コラムで新之助をベタほめ。ほんとにそうか。

 

[VWゴルフ達人バイブル」 ベストカー編 三推社/講談社 980円

どこまでクルマにこだわるかだ。しかし街乗り燃費が8km/lとはちょっと辛い。大きくなりすぎたか。

いまのミニが15kmくらい。前のシャレードはすごかった。平均25km最高で28km記録。

しかも軽油、それで結局、14年間18万キロ乗っちゃった


1月29日(土)

「飛行機プラモ カタログ」 イカロス出版 2000円

本屋の店頭では立ち読みしたが、図書館に入ったので借りてきた。

232機誌上作品展は製作日数、1日から300日あるいは23年というのもあり、笑えた。

ようするに、その間ほっといたということか。

年末に買った、B−377ストラトクルーザー1/72が完成するのは、いつの日か。

しかし完成品を数万円で売る商売があるとは。


1月28日(金)

「日本のバス年代記」 鈴木文彦 グランプリ出版 2400円

バスマニアがいるということは知っていたが、ここまで集めたか、その写真。

それらの歴史は、ほぼちょうど戦後育った環境と重なって、さらに今にいたるまでの

社会状況と関連しあっていて、それを思い浮かべながら読んだ。


1月27日(木)

「写真でつくる自分の世界」 織作峰子 広美出版事業部 1600円

元ミスユニバース日本代表。写真家として、はたして美人はトクかソンか?

こう言っただけでセクハラになる時代。

たんなる素人のための写真の撮り方解説本だが、カメラマンとはなにかを いろいろと考えさせてくれた。


1月26日(水)

マイスターのQ&A 「弦楽器のしくみとメンテナンス」 佐々木 朗 音楽の友社 1600円

高校の剣道の先輩に、クレモナでヴァイオリンを作っているひとがいるけど、

これほどまでに微妙なものとは。そして、金のかかるものとは。おそれいりました。


1月25日(火)

「なりたい !! 陶芸家」 大栄出版編集部 大栄出版 1200円

陶芸屋さんもけっこうきびしそうだなあ。

楽で愉しく収入の多い仕事はないか。


1月24日(月)

「ヘンだと思ってたけどやっぱりヘンだったあのヒトたち」 山田美保子 双葉社 1500円

ワイドショーの裏話。

 

 

「見世物小屋の文化誌」 鵜飼正樹・北村皆雄・上島俊昭 新宿書房 3000円

まだ2つの見世物団体が残っていたとは。

昔のうちから200mほどの今は公園になっている空き地に時々、小屋を張っていた。

入った記憶はある。ことによると、この本で紹介しているチームかもしれない。


1月23日(日)

「絶景 冬列車の旅」 櫻井 寛 東京書籍 2200円

鉄道マニア兼写真家の旅ルポ。夜景写真が秀逸。

 

「ファッション ビジネスはこう変わる」 小島健輔 こう書房 1600円

いやー読ませる。初版発行は平成10年4月というのに第5刷、1月11日の読書感想を訂正したい。

つまりファッション業界だけでなく、社会的感情を変えざるをえないのだ。

この不況下でも勝者はいるのだ。

そして変えられなければ消えゆくのみということ。しかし、その勝組も明日はわからないのだ。

要は,効率とQR(クイック・レスポンス) 消費者の要求に、いかに素早くこたえられるかということ。


1月22日(土)

[B級裏モノ探偵団」 唐沢俊一 大和書房 1400円

「世界ヨット百科」 ピーター・ジョンソン 同朋舎出版 12000円

詳細な歴史とクルージング記録、レース結果。

その昔、江ノ島でY−15に1回だけ乗った身にはけっこう辛かった。専門家向き。


1月21日(金)

「ザ・ミュージアム グッズ」 淡交ムック 淡交社 1900円

美術館、博物館という異次元空間。

展示物の他に建築、インテリア、ディスプレイ、マルチプル、グッズいずれも楽しむべきもの。

とくにハイセンスなグッズは、いつも苦労する親しいひとへのお祝い返しにいいかも。


1月20日(木)

「包丁と砥石」 柴田ブックス 柴田書店 1800円

さすが刀剣の柴田書店、マニアな本をだしてくれる。ナイフ好きとしては思わず借りてしまった。


1月19日(水)

「東大が倒産する日」 森 毅 旺文社 1500円

森先生の話はたしかに面白いんだけど、あまりにも本の題名がいいかげん。

さすがにインタビュアーがあとがきで、題名をつけたのは森先生本人と言い訳していた。


1月18日(火)

なんたって「ショージ君」 東海林さだお 文藝春秋 2476円

798Pあれば、面白いところと、そうでない部分もあるわな。


1月17日(月)

図説「長崎歴史散歩」 原田博二 河出書房新社 1800円

長崎へは25,6年前、行ったことがある。仕事だと思うのだが、記憶にない。

YS−11で羽田まで帰ってきたことは覚えているがどうやって行ったのかも思い出せない。


1月16日(日)

質屋の知恵袋「平成売物図鑑」 大気舎編 風雲舎 1200円

質屋には昔たいへんお世話になった。これは現代の値踏み帳。


1月15日(土)

「世界の紛争がわかる本」 毎日新聞社編 東京書籍 1700円

世界中紛争だらけだ。それまでの何らかの重しがとれて、それぞれが主張し紛争が始まる。


1月14日(金)

「バリア・フリー百科」 日比野正己 TBSブリタニカ 2850円

いま児童福祉施設を設計しているので確認の意味で借りてきた。

アートやデザインはまさに想像力こそすべてというわけだが、デザインは美しく、かつ使いやすく、

さらに経済性が必要で、想像力の多様性が要求される。

それがもっとも問われるのが、このユニバーサル・デザインの分野であり、デザインという

わかりにくい言葉も、現実性を帯びてくると思う。


1月13日(木)

「自由業・フリーで生きるためのマニュアル」 野口哲典 明日香出版社 1300円

明日がわからないってのは面白いというよりも、泣きたくなることのほうが多いってことかな。

 

大図解「世界の潜水艦」 柄本 明 グリーンアロー出版社 2400円

パトリック・ロビンソンの2作目「キロ・クラス」は前作「ニミッツ・クラス」よりさらに面白かった。

そこで飛行機少年が潜水艦小僧になるべく借りてきました。

潜水艦シミュレーションゲームがあったらやってみたい。


1月12日(水)

「クルマで見抜く性格と運命」 野本靖士 アスペクト 1500円

乗っているクルマで性格がわかるってのはいいけど、運命までとはね。

 

「田舎暮らし夢の家」 吉津耕一 ハート出版 1600円

10年ほど前、同じ著者の「田舎暮らしがおもしろい」を読んで”35才までの人間は「サカリのついた猫」

と同じだから相手にしない”ってのが気に入ったけど、バブルを乗り越えよくがんばっているなあと思う。

今、辛いだろうなとも思う。田舎暮らしおおいに結構なんだけど、問題は子供の教育費を出せるだけの

収入が確保できるかということ。山間部のクラフトマンで高校の下宿代がだせなくて「大検」目当てに

高校に行かせないという話も聞いた。


1月11日(火)

「全予測日本2000」 三菱総合研究所 ダイヤモンド社 1600円

三和総研よりは楽観的か。いずれにしても2000年連綿と続いてきた社会的感情を全く変えようと

するんだから大変だ。


1月10日(月)

「運転士”裏”運転手帳」 奥西次男 山海堂 1300円

「なぜ、これがアートなの」 アメリア・アレナス 淡交社 2500円

現代アートの味わい方。アートは何でもありの社会学だ、仙太郎さん。それに社会学と違って

時代の先を行かなければならない。しかし、こうして親切に、作品の背景、手法を説明してくれれば

わかるけど、一般的にはそれはない。そこが問題なのだ。


1月9日(日)

「世界の旅客機図鑑2」 航空ファン編集部 グリーンアロー出版社 2000円

「一生モン」人生の室を高める逸品 東 理夫・出石尚三・松山猛 講談社 1500円

図でわかる「味の老舗」 芦辺洋子&なんでもランキング審議会 光文社 1300円

3冊まとめてしまいました。


1月8日(土)

「2000年日本はこうなる」 三和総合研究所 講談社 1600円

悲観論。問題があることはわかっている。


1月7日(金)

「これならわかるアートの歴史」 ジョン・ファーマン 東京書籍 1800円

けっこう独善的だが、それが芸術の本質かもしれない。美術の歴史を3日で理解するにはちょうどよい。


1月6日(木)

「思いのままに脳を動かす「残像」力」 高岸 弘 講談社 1400円

カードによる残像現象を利用したメンタルトレーニング。ヒマがあったら試してみたい。


1月5日(水)

「家づくり七軒とことん奮戦記」 愛川欽也 講談社 1500円

普請道楽という最高の趣味、それをとおして最高の施主、旦那になっていく。そういった旦那との

建築の楽しさ、職人もいつのまにか乗せられて、出来上がった建物に皆が満足。そんな施主とは

何回でも仕事をしたくなる。


1月4日(火)

「スーパー・ストラクチュア」田中直毅 講談社 1600円

高度資本主義社会の向こうには何があるのか。いままでそれに答えてくれた本は無かった。

確かにスーパー・ストラクチュアが存在し、それに向かって世界が動いているのかも知れない。しかし

例えば北朝鮮についてそれを認めるにしても、個人的な感情と、どう折り合いをつけていくのか。


1月3日(月)

「世界の神話百科」アーサー・コットレル 原書房 4800円

いやー長かった。533pただ読んだだけ。


1月2日(日)

「日本の高塔」兵頭二十八・小松直之 四谷ラウンド 1900円

自衛隊から神奈川大学英文科さらに江藤淳のひきで東工大大学院という異色の軍事評論家、兵藤氏

著作、データとして使えそうだ。

伊那図書館前のベルディでピザを食べた。家族4人でラージ4枚レギュラー1枚、店員もあきれ顔。


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