オール読書日記 2002年上半期

 


6月30日(日) C

ファッションビジネス「21世紀の旗手21人」 (株)商業界 1680円

月刊誌「ファッション販売」1月号臨時増刊。専門店・チェーンストア・

レルメーカーなど、ファッション業界で今をときめく21人にスポットラ

イト。一方でちょっと前にはハナエ・モリの倒産の報。栄枯盛衰である。


6月29日(土) C

別冊宝島Real031「大地震で壊れる町、壊れない町」 宝島社

1200円。脅かすものである。今後起こりうる海溝型と直下型の8つ

地震の自治体の被害想定をまとめる。その昔、多少かかわった

ら述べれば、基本は局地的な地盤の問題。要は高いところに住むこと。


6月28日(金) C

「不肖の息子」 森下賢一 白水社 1900円

歴史に名を馳せた父たちの困惑、というのが副題。誰もが興味のある

こと。そして、不肖の息子を期待するのが人の常でもあり、それに答え

る様に、けっこう辛辣に人物を書いていて、後味はあまりよろしくない。


6月27日(木) D

「映画・音楽・書籍のタイトル大百科」 ピエ・ブックス 3800円

全608頁に6000のタイトルが並ぶだけ。まえがきに「著作権」に関す

る考察はあるが、これで大百科とは。しかも「これがあるはず」というの

載ってなかったりする。そう考えると何のためにと考えてしまうのだ。


6月26日(水) C

「これから伸びる職業510」 本多信一 毎日新聞社 1800円

現代職業研究所を主宰する司法試験くずれ。ライターとして、また職業

相談員としての経験からの、現代の職種を概観。全部が伸びるわけな

でしょ。多分に楽観的なオジさんの、読み物として接するべきだろう。


6月25日(火) B

「日本人の姿 JGSSにみる意識と行動」 岩井紀子・佐藤博樹 編

有斐閣選書 2200円。全国20才以上89才以下4500人の男女を対

象にした国民生活調査の解析である。はじめは期待してなかったのだ

が、これが意外に面白いのだ。ひとえに切り口が、現在の社会問題そ

ものだからなのか。2000年から始めて、今後も続けるそうである。


6月24日(月) C

「ジェットコースターにもほどがある」 宮田珠己 小学館 1500円

ほどがないのはアンタだろう、というジェットコースター・フリークだ。

地アメリカのそれを乗りに行く話がメイン。素直な語り口で、嫌味さ

ないのがいい。日本のものも、それぞれ採点。こういう趣味もあるわサ。


6月23日(日) C

「建築・環境キーワード事典」 (社)建築設備技術者協会・編

オーム社 2800円。建築の設備屋さん達が集まってまとめた建築に

おける環境問題の考え方と現況。まずは環境問題を、どう数値化する

かだ。現状は、まだそこにとどまっている感じ。しっかりやって頂戴ナ。


6月22日(土) C

「ぼくらの経済民主主義」 三ツ谷 誠 NHK出版 1500円

たしかにわかってれば楽しいんだろうな。資本主義の発達過程の必然

長々と説明する、証券アナリスト。もう帰らない現実、モナドからノマド

へと自由の中で元気をだして行こうじゃないかと、アジテートするのだ。


6月21日(金) B

「デジカメだからできるビジネス写真入門」 田中長徳 岩波書店

岩波アクティブ新書、940円。銀塩カメラが趣味の世界のものとなり、

いよいよデジカメ時代。文章もいいが、デジカメについての見方にも

。ただ、この本が数年のうちに古くなって、読まれなくなるのが残念。


6月20日(木) C

「マッキントッシュの世界」 木村博昭 平凡社 1600円

コロナブックス。チャールズ・レニー・マッキントッシュ研究の神戸芸術

工科大学教授が、モダンデザインの魁の建築家兼デザイナーを語る。

とくにそこにある和風の匂いこそが日本のアートからの影響、と指摘。


6月19日(水) B

「本当は心に怪物を飼う普通の人たち」 小田 晋 ぶんか社 1500円

けっこうタカ派的な言動の精神医学者。読んでみれば至極まともで拍

抜け。社会面を賑わす人格障害のいろいろを米精神医学会の手引

き書をもとに解説。それにしても「自分」というものは恐ろしい存在だ。


6月18日(火) C

別冊歴史読本「日本神社名鑑 諸国一宮」新人物往来社 2000円

諸国一宮ってなんだい。22社ってなんだい。よくわからないまま最後

まで。中世の神社の格付け、各国でもっとも格式の高い神社を定めた

らしい。68旧国の74社と京都近郊の22社を紹介。まだわからんな。


6月17日(月) A

「自然体のつくり方」 レスポンスする身体へ 斎藤 孝 太郎次郎社

2000円。前著「身体感覚を取り戻す」も面白かったが、今度はその

践編。さらに後半は、劇団のワークショップなどのコミュニケーション

論。鴻上尚史の身体論とも共通するものが。今後はこっちが主体

なりそうだ。いずれも小学校前半の、教育の一環として実現する必要。


6月16日(日) C

「赤と黒」 南 伸坊 白水社 1400円

赤と黒をお題にしての言葉遊びだが、そこは伸坊、そこそこの博識と

トボけた味わいの解釈、意表をつくイラストで、読者と一緒に楽しむ姿

勢はあいかわらず。肩はこらないが、力もはいらない。ひまつぶし本。


6月15日(土) C

「ナノテクが日本を救う」 池澤直樹 講談社 1600円

作家・池澤夏樹にまぎらわしい、野村総研の主任研究員。もちろん

術進歩の必然としてのナノテクにも詳しいが、むしろ技術論として読み

解きたい。研究開発のありかた、そのマネジメントの重要性、さらには

門教育の分野、あるいは行政にまで言及する。力がはいっている。


6月14日(金) C

「ニコンファミリーの従姉妹たち」 豊田堅二 朝日ソノラマ 1700円

ニコンの本家、Fシリーズ以外のカメラを解説するのは、ニコンの開発

技術者だ。日本の精密工業の発展の歴史を見るかのごとく、さまざま

な問題点の出現と、その解答の開発秘話。クラシックカメラ選書24。


6月13日(木) B

「日本の地形レッドデータブック第2集」 小泉武栄・青木賢人 編

古今書院 5200円。北海道、神奈川、新潟、富山、山梨、静岡の各県

保存すべき地形。意外に楽しめた。2万5千の地形図が想像力を

きたてる。早朝の、小鳥のさえずりを聴きながらの、静かなひととき。


6月12日(水) C

「スピリッツ銘酒事典」 橋口孝司 新星出版社 1500円

ウィスキー、ブランデー、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラほかリキュー

ル、焼酎、泡盛まで世界の蒸留酒のオンパレード。逸品をカラー写真

で紹介する、ホテルバーの支配人。さまざまなボトルの形が魅力的。


6月11日(火) C

「中国茶自由自在」 成田重行 日本放送出版協会 1400円

こういう人を趣味人というのだろう。オムロン常務から転身の地域振興

開発コンサルタント。中国茶を、花茶、青茶、緑茶に代表させ、そ

を語る。ところどころのスケッチも玄人。最後に点心のレシピ付。


6月10日(月) C

一気にわかる!「住宅金融公庫廃止論」 PHP研究所 1300円

著者は猪瀬直樹+MM日本国の研究企画チーム。表題よりも住公

ほか、都市基盤整備公団と雇用・能力開発機構の廃止・解体を提唱。

執筆陣が多岐で雑多な印象。小泉改革の目玉として実現できるか?


6月9日(日) C

「バイオエコノミー」 リチャード・W・オリバー ダイヤモンド社 2200円

I T の次は、バイオテリアルだと、この戦略論を専門とする学者は力説。

無限に成長を続けなければならない資本主義にとって、次の手段がバ

イオにあることはわかったが、「なんのため」と考えると、はなはだ疑問。


6月8日(土) C

「イタリア式クルマ生活術」 大矢晶雄 光人社 1700円

イタリアはシエナ在住のクルマライター。低い目線でイタリア庶民のク

ルマ事情、クルマ生活の報告だ。15年前のランチア・デルタを購入し

その修理に車検に悪戦苦闘しつつの、イタリア小市民との交流記録。


6月7日(金) C

「流通経済の手引2002」 日経MJ(流通新聞)編 日本経済新聞社

1800円。消費の最前線を取材というだけあって、その乱世ぶりを描

出す。しかし発行が2001年10月で、取材は6月まで、このころはまだ

ユニクロ絶賛の風潮。それが今や減収減益だ。おとろしいものである。


6月6日(木) C

[BMWの運転テクニック2002」 こもだ きよし メディアファクトリー

1500円。あこがれのBMW2002年モデル全車種掲載。こんなに

いろいろあるのかね。しかも新しくなるほど、人間にやさしくなってい

というが、シンプルな車に乗ってる人種にはとても扱えそうにない。


6月5日(水) C

中学生マミちゃんの大疑問「日本ってお金に復讐されてるの」

福田秀樹 中経出版 1500円。通産官僚から転身したコンサルタント

理想社会を夢見、第2の人間復興を提唱。その性善説にたった社

会の変革の方向はわからんでもないし、その情熱も十分伝わるが


6月4日(火) B

「熊を殺すと雨が降る」 遠藤ケイ 山と渓谷社 1700円

樵・炭焼き・マタギなど山の仕事野帳の復刻版。そんなに古くない父親

時代、パンドラの箱を開ける前「ひきこもり」も「フェミニズム」も「高

者介護」もなし。でも、なんとも酷な労働。こうまでして生きなきゃな

んのだ、死ぬまでの間は。なお著者は房総を離れ、郷里越後に移住。


6月3日(月) C

「日本人が食べたいほんもの」 向笠千恵子 新潮社 1800円

月刊誌「SINRA」と「一個人」への連載をまとめたものだという。

各地の、本物をつくる「食」の職人を訪ねる。内容はわかる、し

性的思考でありながら、その男性的文体に最後までなじめなかった。


6月2日(日) C

「知られざる自衛隊の裏わざ」 軍事同盟研究会・編

発行アリアドネ企画 発売三修社 2200円。1960年代生まれの軍

事フリーク達による、自衛隊の内部事情報告。それはそれで初めて

知ることばかりで面白いが、とても裏わざなんてもんじゃないでしょ。


6月1日(土) B

「匂いのエロティシズム」 鈴木 隆 集英社新書 680円

エロティシズムとして人類は社会性、家族性の点から「匂い」を封印し

「視覚」に求めたという強引な考察。ところが文学における「言葉」を意

したとき、同じ大脳新皮質の働きとしての「匂い」との共通性を指摘

する。「匂い」の求道者は今回も快調。つぎは社会学の博士論文だ。


 


5月31日(金) C

「シルバーアクセサリー2」 三菱マテリアル(株) 雄鶏社

1200円。三菱マ社・先端製品カンパニー・マテリアルアミューズメン

推進室の純銀粘土を使った指輪、ペンダントなどアクセサリーの製

実例ムック。純金粘土というのもある。しかし金のかかる趣味だワ。


5月30日(木) D

「魅力ある“まち”づくり論」 篠田暢之・編著 国書刊行会 1200円

1995年末発行。日本青年会議所御用達の哲学を専門とする短大教

授。前半はバブル崩壊を予言したとの自慢話。後半は出身の岐阜県

中濃地域の街づくり具体例。しかし、その後の7年を予想の内容なし。


5月29日(水) C

「NFLチアリーダーの“美”のルール」 三田智子 青春出版社

1300円。短大でソングリーディング部創設、全日本初出場で優勝、

オクラホマ州立大ほかでチアリーディングを。さらにダラスカーボー

イズのチアリーダーに。2年後帰国、新潟アルビレックスのチアリー

ダーを指導、という前向き人生、しかしながらプロとして厳しい女性。


5月28日(火) C

「山小屋の主人の炉端話」 工藤隆雄 東京新聞出版局 1500円

山登りといえば、神社仏閣と並んで、感動体験ができやすいらしい。

な登山者を相手にする山小屋の主人だから、貴重な話にはことかか

い。いろんな、泣かせる話がでてくるが、それも多すぎると食傷気味。


5月27日(月) C

「間違いだらけのハウスメーカー選び」 市村 博 廣済堂出版 1500円

ハウスメーカー主体の住まいづくりに疑問をいだき、実際に20社に設計

見積りを依頼し評価するという、1800棟設計実績の建築士。はじめ

面白いと思ったが、設計屋としての習性か、どんどん技術的に傾きすぎ

難しくなってしまった。素人に、そこまで要求するのは、如何なものか。


5月26日(日) B

「地方紙の研究」 鎌田 慧 潮出版社 2800円

月刊誌「潮」に連載、全国の新聞40紙を取材した渾身の力作、525頁

んですと。そこそこ、まとまっていて、さすがルポの名人といわれるだ

けのものがある。でも、こういう社会派、人権派は好きじゃないんだよ。


5月25日(土) D

最新!「世界危険度マップ」 別冊宝島 1143円

同時テロ後、世界はどう変ったか!そんなに急に変るわけないでしょう

が。恐ろしげな言葉をそこら中に散りばめながら、海外旅行の危険さ

あおるのだ。地域別にまとめられた内容は、新聞の報道の範囲内だ。


5月24日(金) C

「家具のモダンデザイン」 柏木 博 淡交社 2200円

19世紀末からのモダンデザインの成立と発展は非常にダイナミックで

面白い事柄だ。ところが、この本ではあまり伝わらない。後書き読んで

納得、雑誌「モダンリビング」の連載をまとめたものだという。拍子ぬけ。


5月23日(木) C

「かぶき手帳 2002年版」 (社)伝統歌舞伎保存会ほか 1143円

何かとおもえば、歌舞伎役者名鑑で、顔写真がならぶ。最後に歌舞伎

優家系図を添えている。ここらが大事なところなんだろうな。とうぜん

名家の役者はカラーの顔写真、一般平民出身の役者はモノクロ扱い。


5月22日(水) B

「サヨナラ学校化社会」 上野千鶴子 太郎次郎社 1750円

わかりやすい教育論。会社社会を否定、フリーターでいいじゃないか

自営業で行こうとそそのかす。今の私の生き方そのものじゃないか。

しかし定期的な収入がないのは辛いぜ。子供の教育費さえなければ

如何様にでもなるが。ここに大きな逆説。だからすっきりしないのよ。


5月21日(火) D

KAWADE夢ムック「GS!」あらたなる旅立ち 文藝別冊 1143円

50代のオジさんたちが、グループサウンズ全盛の当時をふりかえっ

エッセイと対談だ。内容的に同じものが延々と続くんだから、助けて

れと言いたくなる。昔を懐かしむ趣味はなし。したがって評価は「D」だ。


5月20日(月) C

「新卒無、業」 大久保幸夫・編著 東洋経済新報社 1400円

高校、大学をでたけれど就職しない人の増加。フリーターか、ひきこも

、いずれにしても社会問題となっている。そんな現象の報告。要は

サイトしているかどうかの問題なのだ。さらにリクルート ワークス

究所面々による執筆は、やはり人材教育の重要さに、行きつくのだ。


5月19日(日) C

「日曜日に楽しむ そば打ち」 井上 明 (株)エクスナレッジ 1500円

エクスナレッジムック「あっ簡単、すごくおいしい」だそうだ。そば打ちの

イロハを連続写真で解説。時々あちこちの友人から手打ちのソバを頂

くことがあるけど、こりゃいろんな意味で余裕がなきゃできないよねえ。


5月18日(土) C

「ロングセラー目録」 書店新風会 (株)読書人 3600円

書店の品揃えに役立つ、と銘打つ平成十四年度版。ジャンルに分けて

主要出版社201社の、4954点の書名を列挙。中身をみると、なるほど

と思う本がある反面、この読書日記でDランクをつけた本も多々あった。


5月17日(金) B

「アリゾナ無宿」 逢坂 剛 新潮社 1600円

健康診断のCTスキャンの時間を待ちながら読む。西部劇好きで、語り

のウマさでは定評の著者のこと、期待にたがわず。賞金稼ぎと記

喪失の剣の達人、みなしごの少女という主人公。まるで往時の映画の

ように、お約束の出来事の連続であきさせない。でもやっぱり古いか。


5月16日(木) C

「オーダーキッチン」 文化出版局 1600円

思い切ってキッチン改造!と副題のムック。全国ほぼ同じスタイルの

宅のキッチンと流し台だが、それにあきたらない、インテリア趣味の強い

様向け。しかし個性的にみえても、カントリースタイル志向がありあり。


5月15日(水) C

「日本ばちかん巡り」 山口文憲 新潮社 1800円

天理教金光教はじめ、いわゆる新興宗教14の聖地巡り。「芸術新潮」

1990年から5年間の連載だったという。良く書けているとは思うけど、

ぜ今ごろ出版するのか。12年前の話だぜ。意図が全然わかりません。


5月14日(火) C

「食わずに死ねるか!」 鈴木ヒロミツ 実業の日本社 1400円

あのGSのヴォーカリストも、いいオヤジになった。それにしても大仰な。

全国のウマイものが出てきて、土曜日曜の午後の食通旅番組を、見るお

もいだ。だけどさア、こんなに食って大丈夫かね。まあ、他人事だけどサ。


5月13日(月) C

「雑貨がいっぱい!No.5」 成美堂出版 950円

雑貨好きのためのハッピー・マガジンと銘打つムック。インテリアを彩る

貨がブーム。ここでは国ごとに、スタイルとイメージを定めての紹介。

ちょっと疑問だが、ひところのカントリーの一辺倒に比べれば進歩では。


5月12日(日) C

「テクノクラート小堀遠州」 太田浩司 サンライズ出版 1200円

淡海文庫22、つまり近江の文化を将来へ語り継ぐというシリーズ。茶人

庭園設計で名高い小堀遠州の生地が長浜近辺らしい。古文書も多く、

そこから大名、小堀遠州のむしろ優秀な官僚としての姿を克明に辿る。


5月11日(土) C

「ファラオの形象」 西本真一 淡交社 1800円

早稲田大学建築史教室の助教授の、エジプト建築調査ノートと付けられ

た副題のとおり、古代エジプト建築の発掘調査の雰囲気はある。文章も

ンスがいいし、言ってることもわかるけど、どうでもいいというところも。


5月10日(金) C

「コラージュ・ブック」 宮迫千鶴 NHK出版 1500円

教育テレビでの趣味悠々の教科書かもしれない。鮮やかな色の様々な

コラージュの作品が並ぶ。本は読んでいないが、こういうのも良いじゃな

いの。しかし画家の夫と伊豆高原の別荘暮らしとは優雅なもんですな。


5月9日(木) B

「1万年目の人間圏」 松井孝典 ワック出版部 1700円

文明論者としても名高い地球物理学者の「月刊シンラ」への連載。巨大

隕石の、6500万年前の痕跡を求めてのパタゴニアで、アルゼンチンの

アル経済に感心する。が、あの国すら筆者の言うサイバーワール

飲み込まれた現実。提唱する「人間圏」の分化の遠さをみるようである。


5月8日(水) C

「VirginDesignBook」 武田厚志 オーム社 3300円

イボイボが規則的に浮き出された印刷の表紙に驚くが、内容はイラスト

レーターとフォトショップを使っての、グラフィックのデザインのチュート

リアル。専門学校の教科書になるのかねえ。しっかり勉強してください。


5月7日(火) C

NEWTONムック「世界衛星アトラス」 Newton Press 2300円

ビジュアル サイエンス シリーズ、ランドサット他の衛星からの地表の写

真をそのままアトラスとした世界地図帳。それはいいんだけど、やっぱり

もう少し画像が細かくなくては見る方は面白くない。地図と同じだなんて。


5月6日(月) C

「女人禁制」 鈴木正崇 吉川弘文館 1700円

大相撲の土俵をはじめ、奈良県大峯山の山上ヶ岳は、今もって厳格な

女人禁制を守っている。修験道、仏教、穢れ思想から、成り立ちを探る。

しかし、何か奥歯に物がはさまった感じで、あまり明快とは言えないな。


5月5日(日) B

「地名の魅力」 谷川彰英 白水社 1900円

同い年の松本生まれ、教育学を専門とする筑波大大学院の教授だが、

ンガやら食文化やら地名やらと幅広い。できるだけ現地を訪ね、その

感覚から、地名の由来を楽しむという姿勢だ。非常にストレートで好感。


5月4日(土) C

「はじめての三峰川探検」 建設省三峰川総合開発工事事務所

1992年初版発行の中学生向けの教科書か。ご親切に、奥付けに名前記

の欄。サクラで有名な高遠と長谷村から天竜川に合流する三峰川の

、歴史と共にそっと建設予定の戸草ダムをPR。はたして実現できるか。


5月3日(金) C

「スローフード宣言!」 イタリア編 木楽舎 1600円

執筆はニッポン東京スローフード協会を名乗る、松山猛・奥村菜津・大

岡玲・島田雅彦。この通人たち、スローフードといいながらイタリアの片

田舎でグルメの女性誌の雰囲気。ただスローライフというのには賛成。


5月2日(木) B

「地方都市の風格」 辻村 明 東京創元社 6500円

全649頁、歴史社会学と称し都市のランク付けを試みる1926年生まれ

社会学者。城下町、旧日本軍の軍都、旧制高等教育機関の3つが

点根拠。ちなみに長野10点、松本16点、わが飯田3点。それにしても尾

道0点はかわいそう。独善的だが、意外とその通りかなあ、とも思うのだ。


5月1日(水) B

「賢治の見た星空」 藤井 旭 作品社 2800円

郡山在住の天文写真の第一人者。宮沢賢治の作品の中の星空イメージ

にあわせての写真集だ。この熱狂的な賢治ファンは彼の時代、実際のそ

の夜空の様子をも実証していく。好きな人にとっては秘蔵版である。



4月30日(火) D

「日経新聞〈裏〉の読み方」 ジェームス・松本 三五館 1300円

なんじゃこりゃ。お金と情報の快読テクニックだと、どこがじゃ。香港を縄張

とする、国際ビジネス開発コンサルタントだそうだが、内容はとてつもなく

い本。ただひとつ、産経新聞を評価していることだけが救いといっておく。


4月29日(月) B

「剣の思想」甲野善紀・前田英樹 青土社 2200円

独特の身体使いを提唱する古武術探究家の甲野氏と立教大仏文教授で

新陰流の遣い手、前田氏の剣術に関する往復書簡集「現代思潮」の連載

だとかで、哲学的な武術論だ。甲野氏の剣術はぜひともビデオで見たい。


4月28日(日) B

「春の数えかた」 日高敏隆 新潮社 1300円

竹下久美子の師匠で滋賀県立大の学長だった生物学者の随想。トヨタ財

団の関係で、その洒脱な人柄に一度だけ接した。その時のサルの話は

かった。生き物への限りない愛情、季節への素直なみずみずしい感情。


4月27日(土) C

「信濃の風土と歴史8」住−たてる・すむ・くらす 長野県立歴史館

中学生向けの風土と歴史シリーズ。全57ページながら、総アート紙の体

裁。全体的にはけっこうなんだけど、いつも思うように、現在の我々の暮ら

しが如何ににゼイタクなのかを、もっと感じさせた方がいいのではないの。


4月26日(金) C

「イマドキ現代用語50」 南 伸坊 朝日新聞社 1600円

2年にわたって朝日新聞の文化欄に連載されたという。その時の流行語に

ついて、記者がいわゆる有識者にコメントを求めまとめたものを、著者が茶

化す、という企画。こういうのは嫌いだ。コトバの選択はわるくないけどねえ。


4月25日(木) C

とんぼの本「夜桜」 清水洋志 新潮社 1500円

花と緑の散歩道シリーズと銘打つ写真集。全ページに全国の桜の夜景写

真が続く。ライトアップされたもの、あるいは長時間露光のものなど。当然

ひとの姿はない。考えてみれば不気味。人がいるから、見に行くんだもの。


4月24日(水)

別冊宝島「TOKYOランドマーク」 宝島社 1143円

ダイナミックに生まれ変わる東京を楽しむ、新しい街&かっこいい建築物

ガイド。新宿・お台場・丸の内・渋谷・銀座・品川・大崎・横浜みなとみらい・

湾岸地区。同時に丹下、安藤、黒川、磯崎といった建築家の紹介もあり。


4月23日(火) B

「長期ナンバーワン商品の法則」 梅澤伸嘉 ダイヤモンド社 2200円

経営コンサルタントの博士論文だという。いわゆる先発商品の有利さを実

証する。さらにそんな「新市場創造商品」の開発手法を提唱する。けっこう

わかりやすいし、何より研究の方法論が明らかにされていて面白かった。


4月22日(月) C

「ナショナル ジオグラフィック傑作写真ベスト100」 1400円

日経ナショナル ジオグラフィック社。表紙は少し前、生存が確認され話題

なったアフガンの緑の瞳の少女。1888年の創刊以来の写真から100

枚を。強いて1枚といえば、砂嵐のなかの孤高のライオンかな、やっぱり。


4月21日(日) C

「工具べからず集」 京都機械工具・監修 日本プラントメンテナンス協会

1500円。保全マン必携と銘打つ、機械・電気保全べからず集シリーズだ。

こういうの嫌いじゃない。内容は中学の職業家庭での工具の扱いの常識だ

今の若い連中は勉強しなかったのかしら。京都機械工具はKTCの商標。


4月20日(土) C

「平沢建築ガイドブック」 志村直愛 長野県木曾郡楢川村教育委員会

中山道贄川宿と奈良井宿の中間、漆器で有名な平沢の歴史的建物209

を、すべて写真で紹介するブックレット。著者は芸大ドクター終了の大

講師。町並観光の対象ではないので建物は地味。今度行ってみるか。


4月19日(金) D

「お客さん大満足戦略」 椎野欣治 日本経済新聞社 1500円

1999年10月刊だから、ちょっと古いか。モノが売れない時代。いかにして

買っていただくか、を説く経営コンサルタントだが、講演ではわかるが、本に

してみると、といういつもの感じ。ワーワーと声をだしているだけでサッパリ。


4月18日(木) B

「日韓大変」 黒田勝弘 徳間書店 1300円

在韓20年の産経新聞ソウル支局名物論説委員。「なぜ過去離れができな

のか」が副題。日本のマスコミ各社の報道では絶対出ない話。対日戦勝

国になれなかった韓国にとって「謝罪」と「反省」の要求は元気の素だとさ。


4月17日(水) C

「武士は禿げると隠居する」 山本博文 双葉社 838円

東京大学史料編纂所教授が教える、江戸の雑学「サムライ編」だ。古文書

の中で見聞きする、江戸時代の武士達の生態を、現代の生活感覚でサラ

リと解説する。時代劇での間違い指摘やら、さすがに詳しいけど軽い本だ。


4月16日(火) C

「TVクイズ番組攻略マニュアル」 クイズ番組研究会 新紀元社 1000円

関西の大学クイズ研のOB達が著者。前1/4は番組応募、クイズ攻略の

本、問題の解き方を指南、あの元一橋大クイズ研の能勢チャンも登場。残

3/4クイズ番組必勝1000問と銘打つ問題集。いまさらそれは勘弁だわ。


4月15日(月) D

「小泉改革を邪魔するのはオヤメなさい」 長谷川慶太郎 日本実業出版社

1400円。あの時「投機は善なのだ」と、バブルを煽るのを、不愉快にみてい

た。ら、全く信用はしていないが、半年に一度くらいはヒマつぶしに読む。

今回も毒にも薬にもならず、目新しいことはなにもなかった。どうでもいいや。


4月14日(日) C

集英社新書「ケーキの世界」 村山なおこ 720円

「TVチャンピオン甘味王選手権」で準優勝したのちフリーに、菓子愛好家を

称する。菓子ブームの裏事情や、日本の洋菓子の歴史、専門店の選び方

ら世界のケーキ図鑑まで。菓子職人でないぶん、素人向けのわかりやすさ。


4月13日(土) B

講談社ソフィアブックス「タイムトラベルの哲学」 青山拓央 1500円

小さい頃から「今、生きている」という意識の無限さが不思議でならなかった。

千葉大大学院の哲学博士院生が考える、そんな今という時の流れあるいは

時間。よくわからないにしろ答えをつかんでいる様子。さてこれからどうする。


4月12日(金) C

岩波科学ライブラリー 「かたち探検隊」 小川 泰 岩波書店 1100円

朝日新聞に連載し好評を博したという、物理学者の自然界、人工物のかたち

の話。とうぜん数学的な、ある規則性をもった形のことである。というか、不規

性の形のなかに、規則性を考えるということ。まあこりゃむずかしい話だわ。


4月11日(木) C

「ウェザー・ファクター」 エリック・ドゥルシュミート 東京書籍 2400円

前作「ヒンジ・ファクター」でベストセラー。2匹目のドジョウはやっぱり居ない。

歴史を変えた戦争での天候。そして個人の能力ではどうしようもない、その底

辺での悲惨さを、これでもく。政治指導者の無能が歴史を作ったのだ。


4月10日(水) C

「会社図鑑2003天の巻」 石原壮一郎・オバタカズアキ ダイヤモンド社

1700円。順序が逆になったが12業界、金融、不動産、建設、鉄鋼、ビール、

製薬、製菓、自動車実体報告。すでに就職活動をはじめる学生にとっては

必須のバイブルになりそう。とくに田舎在住にとっては見ること聞くこと新鮮。


4月9日(火) D

「受験の神髄は人づくり」 百瀬昭次 朝文社 1800円

副題に「合格は付録でついてくる」とあるが、受験生の親の不安な心理につけ

こむ。内容はプラス志向で考えようということだけ。このオッさん教育研究所

称して学習塾を経営、全国で講演をしてるらしい。ナナメ読みで15分で終了。


4月8日(月) C

「風景の発見」 内田芳明 朝日選書 1400円

風景とはなにか?風景は「美しく感動するもの」という解釈で、地理学の確立し

た近代以降のものだといい、そのために長々と書物の引用を繰り返す1923

年生まれの老学者に、そんなもんじゃないだろうがと、怒りを覚えたのである。


4月7日(日) C

「ヒンジ・ファクター」 エリック・ドゥルシュミート 東京書籍 2600円

戦争における勝敗の分岐点を上記書名のように言うらしい。数々の戦争を経験

した在仏の特派員が古今の戦争、戦闘でのヒンジ・ファクターを探る。面白そう

なんだけど、それに対処する人間の能力は描ききらず。したがって消化不良。


4月6日(土) C

「ヒット力」 長田美穂 日経BP社 1600円

雑誌「日経トレンディ」に連載された、「ヒットの軌跡」をまとめたもの。いわゆる

ヒット商品の開発裏話である。いかにしてアイデアを出しエネルギーを使って

品化したかの連続だが、「へえー」と思う反面、むなしさも感じてしまうのだ。


4月5日(金) C

「懐かしの映画女優101」 児玉数夫 新書館 2600円

1920年生まれの映画評論家。戦前から戦後にかけて、映画配給会社あるい

出版社勤務の青春時代の銀幕のヒロインによせる想い。わずかに見知って

いる名前もチラホラと。華やかなりしその黄金時代とハリウッドへの鎮魂歌だ。


4月4日(木) D

美しい日本のむら「潤いのある風景」 全国土地改良事業団連合会

農水省の御用団体が、日本宝くじ文化協会から助成を受けてつくったもの。「美

しい日本のむら景観コンテスト」というのがすでに9回、もちまわりで全国から選

んでいるらしい。いかにも役所的なツマらん金の使い方。これをネタに風景とは、

また良い景観とはどんなものか研究でもしてみたら。そんな資料にはなりそう。


4月3日(水) C

「おじさんバンコク大脱走」 岡崎大五 トラベルジャーナル 1500円

いつものスピード感がない。宙ぶらりんないい加減さも感じない。リストラ目前の

友人とのバンコク5泊6日旅との触れ込み。本来、なんの目的もなくダラダラとし

南国の日常を描くのが、著者の持ち味ではなかったか。ちょっとがっかりした。


4月2日(火) C

「のりもの倶楽部 No.8」 イカロス出版 952円

特集は現役バリバリ伝説、往年の名列車、飛行機、バスの消息さらに消防艇

韓国の乗り物、廃線跡探訪、フェリー、スチュワーデスの制服、渡し舟と盛り

山。ディズニーランドの駐車場で全国から来た観光バスを撮影する企画もあり。


4月1日(月) D

「目利の利目」 中島誠之助 平凡社 1700円

読みすすむほどに雑然とした印象。最後をみれば、雑誌やらPR誌やら、あち

ちへ書いた雑文をまとめたものらしい。体裁は立派だが、内容は重複が多く

まるで田舎の年寄りの自費出版のような趣き。編集者よ、しっかりしてくれよ



3月31日(日) B

「山の畑をサルから守る」 井上雅央 農文協 1500円

いつもの自転車コースで20匹ほどのサルの群れに囲まれ恐怖を感じた。この

は里へおりるサルの被害を、いかに減らすかという話。まず無意識的な餌付

けをやめること。そして隣近所で協力しサルにプレッシャーをかけることらしい。

神戸の市街地でイノシシが出没し「餌付け禁止条例」ができたのも同じことか。


3月30日(土) B

「日本の土産」 渡辺弘行 トランスワールドジャパン(株) 2400円

全日空の機内誌「翼の王国」に3年ほど前、連載されたものだが、著者が急逝

110回で終了したらしい。海外への土産に、あるいは日本の思い出にふさわ

しいものは?という視点での選択だが、江戸趣味になるのはいたしかたない。


3月29日(金) C

山本 弘の「ハマリもの」 洋泉社 1300円

SF作家・と学会会長のきわめて個人的な趣味の羅列。あつかうものはアニメ

特撮・同人誌・海外ビデオ通販・プラモデル・食玩・UFOなどの、いわゆるマニ

アもの。趣味が違えばしかたないけど、見事にその対象がズレていて苦読だ。


3月28日(木) D

「シーマン語録」 シーマン言 斎藤由多加・編 ダイヤモンド社 1000円

現代人への185の賢言だとヨ。ゲームはやらないので、シーマンが何者かは

知らない。ただ、そこにあるのは飲み屋でグチをこぼし合い、やっぱり「…なの

よ」と、したり顔での言葉の羅列のような気がする。だから感想はなにもない。


3月27日(水) C

暮らしから描く「環境共生住宅のつくり方」 吉田桂二 彰国社 2600円

住宅建築の大御所が施主にむけて放つ住宅設計論と実例。日本古来の通風

重んじる吹き抜け大空間の考え方はわかる。しかし暖房をどうする。「寒くな

い程度にしてあとは衣服で調節」だとさ。昔のように、家の中でドテラを着るか。


3月26日(火) C

「そして世界は狂いはじめた」 古館伊知郎 新潮社 1300円

毎日新聞に連載されたというのだが、ビートたけし、までの発想の飛躍もなく、

尚史ほどの文体にキレもなく、ずーっと違和感。終わりのほうでやっと気

がついた。いつもの古館節。それが文章としての読み難さの原因だったのだ。


3月25日(月) C

「Visio2002図面のアイデア箱」 広瀬泰則 (株)SCC 2200円

オフィスで使う簡単な図形を描くためのソフトVisioの解説本。たしかにワープ

ロでレイアウト図、チャート図を描くのは大変。そんなときは迷わずCADソフト

だが、一般の人はそうもいかない。だからといって、そのためだけの存在は?


3月24日(日) C

「場所の現象学」 エドワード・レルフ ちくま学芸文庫 1200円

文庫化が1999年、訳本は1991年とは古い。場所にたいする社会学的考察。

原書を大学院のゼミ輪講という、よくあるパターン。したがって訳はよくない。当

然、景観についても文系の解釈で、ちょっととまどうところも。この景観という理

系文系のはざまの問題は、しばらくは社会学的アプローチで研究してみたい。


3月23日(土) B

「戦国合戦マニュアル」 東郷 隆・著 上田 信・絵 講談社 1300円

まさに講談社発行にふさわしい内容。戦国時代の様々を考証し現代風に解説

する時代作家だ。イラストも雰囲気がでているが、古文書、文献からの解釈だ

で、ここまで書けるというのは、なかなかの力量だぞ。けっこう楽しめました。


3月22日(金) C

「コーヒーの事典」 日本コーヒー文化学会編 柴田書院 3000円

料理・飲食関係専門出版社からの事典だ。専門用語の解説でコーヒー業界に

就職する新人の教科書だな、これは。素人にとっては、わずかに飲み方の解説

とくに胡椒やナツメグ、ジンジャーほかの香辛料を加える方法に興味をもった。


3月21日(木) C

日本全国「レトロな乗り物の旅」 三澤春彦 光人社 1700円

鉄道マニア、通称「鉄ちゃん」の初心者向け。北から南まで、なつかしい昔日の

車輌を訪ねあるく。連絡船やYS−11も紹介。飛行機会社やホテル、旅行会社

に勤めたことのあるライターだが60年生まれにしてはオヤジ志向が強すぎる。


3月20日(水) C

「特殊部隊とは何か」 柿森秀久 青春出版社 667円

アフガンですっかり有名になった特殊部隊だが、陸上自衛隊でレンジャー訓練

を受けミャンマー、ラオス、カンボジア、コソボで戦闘に参加したという著者。

機管理コンサルタントという肩書きで、世界の特殊部隊の実状の辛口解説だ。


3月19日(火) A

「エドワード・ホッパー」 R・G・レンナー タッシェン・ジャパン 1000円

ニュー・ベーシック・アート・シリーズ、不思議な印象のアメリカの画家。著者は

そのフロイト的解釈を試みるが、わずらわしい。初期の人影のない風景画か

後期の人物を配した情景画まで、眺めるだけでいい。共通する、日差しまたは

人口照明の光と影と、そして必ずあるブルー系の色彩が、不安感を表出する。


3月18日(月) C

「印刷に恋して」 松田哲夫 イラストレーション・内澤旬子 晶文社 2600円

名編集者として名高い筑摩書房の専務が印刷の現場を歩く。活版から写植、オ

フセット、グラビアそしてデジタルへ。細かなイラストレーションも、いい雰囲気だ

し、読みやすい構成はさすがだが、最後まで来るとなにかしら意図不明の印象。


3月17日(日) B

「クルマの悩み解決します」自動車修理達人録 山口宗久 双葉社 2400円

500頁に52人の自動車修理の達人の紹介。アルファ・ベンツ・ポルシェ・ミニな

どの車種別、あるいはタイヤ・電装・内装・鈑金・塗装などの種類別にほぼ網羅

てルポする。職人の個性というか、生き方がそれぞれうかがえて面白かった。


3月16日(土) C

主婦の友生活シリーズ「焼酎大全」 主婦の友社 1600円

ワインブームのあとに、地酒ブーム、そして焼酎ですと。九州の蔵元の紹介、あ

るいは東京・大阪・福岡の焼酎の楽しめる店の案内。そのあいだに対談やら、

タビューをはめこむが、とても大全とは言えない。「泡盛大全」てのも発売中。


3月15日(金) C

知れば知るほど「神社と神々」 井上順孝・監修 実業の日本社 1300円

「知れば知るほど」面白くなる歴史シリーズ、なのだそうだ。安陪晴明の人気など

神社を尋ねる若者がふえたことからか、こういった入門書をときどき見かける。

内容は可もなく不可もなく、わかりやすい。ただし挿絵がシロウトっぽく幻滅する。


3月14日(木) C

「1000レアモノ大図鑑」 カルロス・ムスティエネス タッシェンジャパン(株)

3500円、厚さ5センチ。なんだこれは?という本屋の棚でのビニ本が図書館に

入った。世界に存在する珍奇と思われる商品を、ジャンルに分けて英文対訳の、

なんとも形容しがたい図鑑。したがって読後感も複雑、本自体の説明がほしい。


3月13日(水) C

「全国 桜の名木100選」 大貫 茂 家の光協会 2600円

いよいよ、この季節がやってきた。書店の旅行雑誌の棚は、桜の名木を訪ねる

企画が目白押しの状態だ。この本は桜前線にあわせ南から北へ、国、県、市町

村指定の天然記念物の桜を紹介。旧飯田長姫城址のエドヒガン安富桜も掲載。


3月12日(火) B

「自殺のコスト」 雨宮処凛 太田出版 1200円

新聞その他の資料から、自殺事件のその後、処理費用、保険金の支払などの

金銭面を丹念に追求。正体不明の著者は、1975年生まれとあるが、こんご伸

びそう。後味は必ずしも宜しくないものの、イラストの寄籐文平は今回も好調。


3月11日(月) C

「ゼネコン危機の先を読む」 辻村定次・野中郁江・篠井 謙 新日本出版社

2200円。まえがきで多面的で網羅的と自賛しているが、ゼネコン危機に至るま

ではなるほど詳しいが、表題のその先となるといたって一般的な解答しかない。

つまりは自民党政治のスタイルが、変らなくてはどうしようもない、ということか。


3月10日(日) C

「なぜ男はギャンブルに走り、女は占いにハマるのか」 野田秀樹 青春出版社

1300円。体裁にくらべ軽い本。おそらく口述筆記させたのだろうが、現在の男性

と女性像を、昔の姿、あるいはアメリカの現状とくらべ説明する。表もその

だが、それがどうした、というのが感想だ。このひと本を書き過ぎなんだよね。


3月9日(土) C

「舌づくし」 徳岡孝夫 文藝春秋 1714円

季刊誌「四季の味」に8年間の連載をまとめたもの。戦後すぐに三高から京大、

日新聞の記者を勤め上げたという、45年連れ添った妻をなくし、病に眼をやられ、

味の思い出をたどるという徒然だ。それにしても感傷的過ぎじゃ、ありますまいか。


3月8日(金) C

「ジャイロ活用技術入門」 多摩川精機(株)編 (株)工業調査会 2600円

移動体のセンサーとしてのジャイロについての教科書。多摩川精機という会社は

が飯田市の精密工業として大きな存在。ミサイルの部品をつくっているらしいと

きいていたが、これだった。いささか難しく、こういうのがあると覚えておくくらい。


3月7日(木) B

「文楽に連れてって!」 田中マリコ 青弓社 1600円

大阪出身の版画家で作家だそうだが、すでに宝塚について何冊も本をだしている。

文楽についても、ビギナーのようだが、軽薄な文章ながらも、要点は押さえてい

けっこうわかる。大阪で誕生した人形浄瑠璃と文楽を、歌舞伎と対比させて解説。


3月6日(水) C

「知っていますか?ユニークフェイス 一問一答」 解放出版社 1000円

松本 学・石井政之・藤井輝明 編著100頁。昨年4月8日の「迷いの体」の石井ほ

かが、ついに自助グループを立ち上げた。ユニークフェイスというのがその名称、

それはまた、そのような人のこと。今後どんどん一般化した言葉になるべきである。


3月5日(火) C

「間違いだらけの時計選び」 花谷正登 廣済堂 1600円

センスのない書名だ。編集者に押し切られたか、著者がこのていどの、人なのか。

名だけで、本を求めることだってあるんだから、もっと気をつかってもらいたいも

のだ。で内容は、ブランド機械式腕時計の最新型の解説と評価で、どうでもいい。


3月4日(月) C

「ガンマンの伝説」 ロバート・B・パーカー 早川書房 1900円

この著者のワイアット・アープ伝、とあれば期待しない方がおかしい。OKコラルで

決闘にいたるまでと、その後のアープ兄弟の物語だ。内容はほぼ映画の「ワイ

アット・アープ」に同じだが、なんで小説にしたのか意味不明なほど冴えなかった。


3月3日(日) C

「アウトドア達人パパも快適家族術」 田中ケン モダン出版 1300円

1964年生まれ、ドイツ人の父と日本人のハーフのモデルという。見たことないぜ。

同じモデルのやはりアウトドア派の木村東吉の弟子と称する。家族、子育て、すべ

アウトドアが解決してくれるという楽天家。それにしてもカッコよすぎるわこの人。


3月2日(土) C

「何でも買って野郎日誌」 日垣 隆 角川書店 1300円

前作「偽善系U」で、そのギャンブル好きと買い物道楽を、垣間見せた著者が

出した、そのままの本。タヒチで彼らさをみせるものの、我々が彼の買い物代

を負することはない。だからこそ、本を買わない主義の正当性を主張したい。


3月1日(金) C

竹内敏信の「風景写真入門」 竹内敏信 写真・文 小学館 1500円

アマチュアの手本そのものという写真が、季節を追って並んだショトルシリーズだ。

いつも写真とは何か、と考えてしまうのだ。ちょっとした祭り、あるいは名所にも、名

のある桜の下にも、カメラマンが一杯だ。そんな趣味人のために撮影データ掲載。



2月28日(木) C

「人を活かす木の家 木の家を活かす人」 赤塚幹夫 地濃茂雄 ビジネス社

1500円。木の家とあるから期待すれば、よくある宣伝本。健康法と一緒で住宅会

を興した社長の家づくりに関する自分の会社の自慢話。ところが後ろのほうは

潟工科大学の地濃教授が書いたらしく、家づくりについて平易ながら的をえた文。


2月27日(水) C

「雨の事典」 レインドロップス・編著 北斗出版

雨水利用を進める全国市民の会の6年にわたる構想を実現したという本。最初のう

ちは叙情的な書き出しで、期待させたのだが読み終わってみれば物足りなさも。

と水の事典というべき。挿絵をはじめ全体的に素人っぽさが残るのは仕方ないか。


2月26日(火) D

「日本の百選 データブック」 財務省印刷局 編集・発行 1400円

面白そうだと思って借りてきたが、ページをめくるにつれ腹立たしくなってきた。発想

貧困なのよ。役人の、あそこがあれなら、こっちはこれだとばかり似たような企画。

後の方では県や市の百選だ。そんなローカルのは知らんし、興味ないっつーの。


2月25日(月) C

「ニッポン鍛冶屋カタログ」 かくまつとむ 大橋 弘・撮影 小学館 1700円

月刊「ラピタ」に4年間連載し、ショトルシリーズとして、そのうちの全国22軒の鍛冶

を製作品とともに紹介する。刃物好きにとっては、なかなか面白い企画だ。写真

もきだから、お昼休みにソファに寝っ転がってパラパラするにはちょうどいい。


2月24日(日) C

図解雑学「マイホーム買い方・選び方」 山下和之・監修 ナツメ社 1300円

どんどん増える図解雑学シリーズだ、今回はマイホームで、あまり気乗りしなかった

借りてみた。例によって、わざわざ図解する必要がないことのほうが多い。内容的

には、ほぼ過不足なくまとめられているが、あえて読まなきゃならないもんでもない。


2月23日(土) C

「バリアフリー・デザイン・ガイドブック2002年度版」 三和書籍 3000円

バリアフリー商品のカタログだ。410ページ、入浴、排泄、就寝、食事、玄関・階段、

移動の6つのゾーンに生活の場をわけ、それぞれに商品を載せている。金額がわか

るのがありがたい。巻末には各自治体の助成・融資・貸付のリスト。役に立つのか。


2月22日(金) C

「お父さんが叱れない理由」 尾木直樹 佼成出版社 1400円

著者は中学教師をやめたライター。少年犯罪の凶悪化に、父親像の希薄さを指摘、

同時に父親の家事および子育てへの参加の少なさを糾弾。つまりは家庭での父親

の時間だ。そのとおり。問題は日本の会社システムだ。職人社会を再興するのだ。


2月21日(木) C

「コンビニ・フランチャイズはどこへ行く」 本間重紀・山本晃正・門田外司博 花伝社

880円、全88頁の小冊子だ。「コンビニの光と影」の著者、静岡大、本間先生は病

れたが、残る二人の法学者がコンビニ・フランチャイズに関する法律の整備を

案。あまりにも本部に有利な状況を、なんとか加盟店サイドにひきよせる試みだ。


2月20日(水) B

「新しい『中世』」 21世紀の世界システム 田中明彦 日本経済出版社 2233円

冷静に国際政治の歴史を検証、冷戦終結以降の世界の中での日本のあり方、とくに

日米安保と国連PKOを重視。しかし弱腰クリントン時代の1966年の初版から9刷目

その後のアメリカバブルの繁栄と終焉、子ブッシュの勇ましさ、グローバリズムとイス

ラムとテロについて続編を早く出して。なお「中世」という言葉を使うべき必然はない。


2月19日(火) B

「会社図鑑2003地の巻」 石原壮一郎・オバタカズアキ ダイヤモンド社 1700円

大学図鑑の兄貴分。天の巻につづく12業界、ハスに構えた本音で綴る代表カイシャ

実体報告は十分面白い。しかしテレビ、広告、新聞、出版、商社など、上位会社の

危機意識のなさが非常に気になる。日本経済まだまだ安泰ということなのだろうか。


2月18日(月) C

「飛行機プラモカタログ2002」 イカロス出版 2000円

今年も出たカタログだが、誌上作品展の色彩が強くなってきた。プラモ作成のマニュ

アル本も出たりして、技術的な向上は著しく、レアな飛行機、カラーリングを追い求め

ることになり手の届かないところへ行ってしまった感じ。模型クラブの高齢化も当然。


2月17日(日) B

「韓日戦争勃発!?」 野平俊水・大北章二 文藝春秋 1619円

どこの国にもトンデモ本がある、韓国語に堪能な二人が、韓国の日本に関するその

報告。日本への異常なまでの対抗心からの、日本との戦争小説や民間学者による

百済が日本のルーツとする歴史物、そのほか日本文化物などあり、けっこう笑える。


2月16日(土) B

「ドン・キホーテの休日 7」 鴻上尚史 扶桑社 1333円

クロネコ便の事務所まで書類を持ちがてら、自転車で25キロを走ってきた土曜の午

後に、ソファで寝っころがって読むにはちょうどいいこのシリーズも7冊目。週間スパ

への連載をまとめたものだが、いつまで続くのか。しかし、こういう本があってもいい。


2月15日(金) C

「若者のすべて」 斎藤 環 PHP研究所 1400円

おおげさなタイトル。若者を「ひきこもり系」と「じぶん探し系」の、ふたつに分類した

神科医。博報堂の広報誌に掲載の教養人向けなのか、やたら難しい言葉を弄

傾向。ところどころ解りかけては、また雲の彼方という繰り返し。インテリには困るぜ。


2月14日(木) A

「余命一年…だとしたら」 スティーブン・レヴァン (株)ヴォイス 1700円

5日かかって読んだのだが、本を開くたびに背骨に響いた。「死」を肯定的にとら

え、そのトレーニングを試み東洋思想に詳しい詩人。身体で覚えるべき禅を言

葉で的確に表現。訳もうまくストレートに理解。今後、何回も読み返すことだろう。


2月13日(水) B

「ちょっと待ってケナフ!これでいいのビオトープ?」 上赤博文 地人書館 1800円

うまい書名だ。ケナフ万歳、ビオトープ万歳という風潮に、あえて警鐘を鳴らす高校の

生物教師。生物多様性保全の視点から自然体験活動の今後を提案。日本固有の自

然とは、いつごろのこと。そして自然環境保護の目標をどこにおくのか、難しい問題。


2月12日(火) D

「最新 名門小学校への母親塾」 三石由起子 発行・フォーユー 1400円

不愉快さを感じながらも最後まで読んだぜ。いわゆる「お受験」の問題集でもある。作

家と称してはいるが、最近はこの手の個人教授を行っているとか。聞かれたら答えれ

ばいいのさ、詰め込む必要はない。こんな子供の追跡調査を誰かやってくれないか。


2月11日(月) C

「シェルター」 ロイド・カーン 発行ワールドフォトプレス 3619円

正直いうと読めなかった。A3のタブロイド新聞版に図版と小さな文字。1973年の刊

行時そのままの訳本。ヒッピー文化華やかなりし頃の、自然派の手作りシェルターの

各人の報告を掲載。あの頃はお互い若かった。でももう今は読めない。残念ながら。


2月10日(日) C

「超ロングセラー大図鑑」 竹内書店新社編集部・編 竹内書店新社 1500円

1890年(明治23年)の花王石鹸から、1971年(昭和47年)のカップヌードルまで

・大正・昭和を生き抜いた45の傑作商品を、時代の雰囲気とともに紹介。当時から

の商標、パッケージとロゴマークの変遷の写真入り。うん、これは、よくあつめたよな。


2月9日(土) C

「面白いほどよくわかるクラウゼヴィッツの戦争論」 大澤正道 日本文芸社 1300円

ぜんぜんわからないじゃないか。「国富論」「資本論」とならんで、有名かつ難しい古典

ての「戦争論」だ。性悪説にたつ、クラウゼヴィッツが、ほのかにみえるくらい。あの

柘植久慶先生も、戦争論の解説本を出しているようだから、そっちを読んでみるかね。


2月8日(金) C

「掃除の達人になる!」 安部絢子 大和書房 1400円

なぜ、こんな本を読むのか?それは短大で、家政学実習のうち住分野の授業を、うけ

もっているから。この片付け嫌い、掃除嫌いが、掃除を教えるという笑い話だ。結局は

早目、はやめに小マメにやっていくしかない、ということ。しかしこれは性格の問題だ。


2月7日(木) B

「女子アナ鑑賞案内」 伊達直太・鈴木 工・池田武史・宮増章成 同朋社 1500円

あのリリー・フランキーの仲間たちが、性懲りもなく女子アナを料理する。さすがにNH

Kの加賀美、広瀬、山根といった古株や桜井、森田、目加田の中堅にまでおよぶ。民

放も推して知るべし。皆、うまい文を書くもんだが、それに酔っている困りものもいる。


2月6日(水) C

どっちの料理ショー「特選素材 取り寄せカタログ2002」 日本テレビ 1200円

番組のなかでの「特選素材」の入手方法の、問い合わせが多いのだろう、そればかり

集めた食品カタログ。おい日本はほんとにデフレなのかよ。番組自体は美人コンテス

と同じで、どっちの料理の方が多いのか、の読みのたたかい。で大差のつく傾向だ。


2月5日(火) A

「日本百低山」 小林泰彦 山と渓谷社 2200円

写真は最後の著者紹介の小さな顔写真だけ、というイラストレーターの著者にふさわし

体裁。マーカーでの明るい山の絵と、手描き地図。月刊「山と渓谷」に20年以上の連

載「低山歩き」だという。百もあると、多少退屈するも、妙にホッとする本。癒し系なのだ。


2月4日(月) D

「潰れる大学・伸びる大学 辛口採点」 梅津和郎 エール出版社 1500円

少子化のなかで大学の経営方針はどうあるべきか?と建前は立派だが中身はうすい。

紋切り型の診断を、全国の私立大学に当てはめる。さらに思いつきの統合構想。どうも

この出版社の本は作られ方が安易すぎる。それにしても大学と名のつくのが多いなあ。


2月3日(日) C

「立ち飲み酒」 立ち飲み研究会 創森社 1800円

ただ延々と首都圏66軒の立ち飲みスポットを紹介するのだ。前作「立ち飲み屋」の姉妹

版という。酒屋の立ち飲みコーナーから、焼き鳥屋、おでん屋ほか、アイリッシュバーか

らショットバー、いわゆるクラブ(ディスコ)まで幅広し。いまけっこう流行ってるらしいよ。


2月2日(土) C

「ジャスコはなぜ大躍進できたのか」 梛野 順 ぱる出版 1500円

昨年の決算でイトーヨーカ堂を抜き、大手総合スーパーの営業利益トップにたったジャ

コあらためイオングループの躍進の秘密をヨーカ堂と対比させあきらかにする。しかし

大変な世の中だわ。あれほどの急成長のユニクロも減益という有り様、あなおそろしや。


2月1日(金) C

「コンクリートのデザイン」 キャサリン・スレッサー 産調出版 3100円

世界の現代建築家4人の地域的感性と称し、アメリカ南西部のアントワン・プレドック、日

の安藤忠雄、オランダのウィール・アレッツ、メキシコのリカルド・レゴレッタそれぞれ4

作品を紹介。でも編集がしっくりこなくて、その地域性がストレートに理解できなかった。



1月31日(水) C

「MTBで山に行こう」 山中 剛 アテネ書房 1800円

堺在住のMTBフリークが、その山遊びの日常を延々と語るのだが、そのダラダラとした

文章に半分キレかかる。もちろんMTBの選び方、用品、メンテナンスとぬかりはないが

やっぱり若者の遊びだわさ、とロード派のオジサンとしては、羨ましくも感じるのである。


1月30日(水) A

「ニコマコス流 頭脳ビジネス学」 大平 健 岩波書店 1200円

不思議なビジネス書である。各章の鏡に、アリストテレスの「ニコマコス倫理学」からの

引用。聖路加病院精神科医長ながら、読み進むにつれ「楽しさ」としてのビジネスを感

ずることになる。なるほど仕事とはこういうものだったのか、と思いしらされてくれる本。


1月29日(火) C

「語源辞典 植物編」 吉田金彦 東京堂出版 2400円

京都で日本語語源研究所を主宰する、言語学者による語源辞典。他にも「動物編」「形容

詞編」さらには「衣食住語源辞典」などの編著書多数。植物それぞれについて、その名の

由来の各説を列挙したうえで、良し悪しを断定する。その自信たっぷりさが笑えるところ。


1月28日(月) B

別冊太陽 骨董をたのしむ−40 「古民家再生術」 平凡社 2400円

このシリーズはあくまでも骨董という視点、したがって古民家もそんな見方。そこには

だの自然だの講釈は言わず、ただ好き嫌いの観点だけ。だから民芸調にこだわらず

いろんなスタイル。これなら一度やってみたい。そんなファイトをかきたてさせるムック。


1月27日(日) C

「大学生の常識」 鈴木雄雅 新潮社 1000円

40代なかば、文学部教授のS氏が、現代の大学あるいは大学教授および大学生の実態

報告する。まあ大凡のことは予想通り。巻末には卒業論文・ゼミ論の書き方として懇切

丁寧な指南をしている。さらには大学生活に関するインターネットのホームページも紹介。


1月26日(土) A

「図説 民俗建築大事典」 日本民俗建築学会・編 柏書房 13000円

「民俗建築」が「民家」をしめすものと、初めて知ったとは情けないではないか。460頁

を超えるこの事典は、民家を建築学だけからではなく民俗学、歴史学、住居学、家政

学など様々な面から見つめ直すものでもある。執筆者は90名におよび、民家を体系

的に知るには、まことによろしい、貴重な資料。来週の住生活論の講義にもってこい。


1月25日(金) C

庭のデザイン2「飛石・敷石」 中根史郎 学習研究社 1800円

庭のデザインシリーズの第2冊目は飛石と敷石。やはり冒頭から桂離宮の各所の意匠

らはじまる。いかに庭の意匠の先駆かを物語るもの。今回は一般の住宅でも応用可能な

敷石の類、なかでも小石を一つ二つあるいは三つと散らす、「一二三(ヒフミ)石」に興味。


1月24日(木) D

「推理力」 アート・サプライ編 双葉社 1500円

誰がだれのために書いたのか正体不明の本。ミステリーに登場する、尾行・張り込み、

号、鍵、変装、筆跡、指紋、嘘、凶器その他をその道の達人にインタビュー。さらにそれら

がテーマの作品、ビデオの紹介など。それにしてもレベルが低すぎる。頭をひねるばかり。


1月23日(水) C

「図説アイ・トリック」 種村季弘・赤瀬川源平・高柳 篤 河出書房新社 1800円

ふくろうの本、遊びの百科全書と副題があるのだが、なんとことかわからない。騙し絵の世

界をお三方が解説。アナモルフォーズ、アルチンボルトからエッシャーまで、ルネサンス以

降の遠近法の発明、錯視の発見からの芸術の紹介。しかしそれがどうしたといわれると?


1月22日(火) A

「大工力」五重の塔から立体トラスまで 黒田重義 理工学社 3800円

14で弟子入り、以来58年の大工の棟梁。戦時中の大空間洋風トラスの実践から、つい

間伐の小径木を使った立体トラスの考案にいたる。小言幸兵衛のウルサさも、格調の

ある文章だ。専門の研究会はあるようだが、後継者はいるのか?木の建築が、見直され

ているだけに今後の展開に期待したい。それにしても大工というのはスゴい存在である。


1月21日(月) C

「京都色彩紀行」 吉岡幸雄 PHP研究所 2400円

京都在住の染色家の四季つれづれの散策随想。地図入りで案内本でもある。ページを彩

写真家、岡田克敏の四季の色のクローズアップもきれいに再現。もとはといえば、新幹

線車内雑誌への寄稿に書き加えたものという。はたして岡部伊都子、男性版になれるか。


1月20日(日) B

「ペンネームの由来事典」 紀田順一郎 東京堂出版 2600円

明治以来244人のペンネーム、雅号の由来を述べる。それは文学の歴史はもとより社会

でもある。そこに記された、その人の出生から死までの生涯もまた様々であり、興味深

ものがある。博識な著者は、そんな人物像の紹介をいかにも楽しんでいる様子である。


1月19日(土) C

「今すぐ運命を好転させる5つのルール」 浅野八郎 主婦の友社 1500円

心理テスト関係で一世を風靡した浅野先生も70才か。運が良くなるために、目標をもち、

イメージし、実行する、さらに人間関係を大切に、ときに占いも重視する、との5つを提案。

それができないから困るんじゃないか。で急遽、「運」に関する私論をまとめてみることに

した。私のはもっと簡単だ。興味のある人は、ホーム上の智留彦・運勢論をみてください。


1月18日(金) D

「忍者のラビリンス」 天野 仁 創土社 1900円

書名がよかったから借りてはみたが、最初から最後まで違和感。忍者を軸に世界まで

想を深める。本人はいいが、読む方はたまらない。本職は理論物理学者らしく、論旨が

ぶのは理系ゆえ、とうそぶく始末だ。怪しげな雑誌に、自説を開陳する歴史マニアと同じ。


1月17日(木) C

「自転車生活の愉しみ」 疋田 智 東京書籍 1700円

1999年の「自転車通勤で行こう」で自転車派の有名人になったTBSのディレクター。

は自転車の選び方、メンテナンスを、後半ではドイツ、オランダの自転車事情をルポす

る。自転車利用を社会運動としたいらしい。それはいいが、6頁もの落丁をなんとかして。


1月16日(水) C

行きつけにしたい「旨い店 1」 Men'sEx特別編集 世界文化社 1200円

イタリアン・フレンチ・バーを全国から厳選して170軒の紹介。まあいずれにしても田舎暮

らしには縁のない話。インテリアの参考にと思ってパラパラするだけ。同時発売の「割烹・

和食・居酒屋」編とあわせれば、接待やデートに困ることはない、というのが歌い文句だ。


1月15日(火) B

学研歴史群像シリーズ「現代の潜水艦」 学習研究社 2100円

潜水艦小説「ニミッツクラス」「キロクラス」の面白さから、すっかりサブマリンファンになっ

てしまった。このムックは現代海軍での、空母に勝るとも劣らない、戦略的価値の高い潜

艦のすべてを写真とイラストで紹介。これを見れば、もう立派な潜水艦小僧になれる。


1月14日(月) C

「奇想天外ヒコーキ映画」 渓 由葵夫 山海堂 1650円

奇想天外というのは、この著者が当てた兵器シリーズのこと。映画、それも出演する俳

やたら精しいヒコーキマニアの、悪ノリした、かつチャラチャラした文章は、読みにく

い。飛行機についても詳しいが、ちょっと違うなという感じ。あてがはずれた印象だった。


1月13日(日) C

ブルーバックス「日本の原子力施設全データ」 北村行孝・三島 勇 講談社 900円

JCOの臨界事故には驚いた。住宅地で、あんなにも危険なことが行われていたとはね。

で、読売新聞の科学部記者の原子力施設の報告。日本の電力の3割をまかなって

いるというが、やっぱり原発には反対だ。あまりにも事故の際の被害範囲が大きすぎる。

故防止にギーを使うなら、もっとプラスの方向にそれを使った方がいいのでは。


1月12日(土) C

「アイビーの時代」 くろす としゆき 河出書房新社 1600円

大学へ入って上京した時、東京はアイビースタイルの全盛時代。その教祖が石津謙介な

らば、VAN企画室のこの著者は伝道師だ。その半生記を懐かしのグッズとともに語る。今

でも、背中に「VAN for the young and the young-at-heart」のTシャツは3枚持っている。


1月11日(金) C

「ホストの世界」 沢村拓也 河出書房新社 1200円

2ちゃんねるのホスト地獄相談に書き込みをしているうちに、編集者の眼に留まり、かきお

たという。最後に、かなり繊細な心情を吐露、それでホストのストレスに耐えられ

俺も1晩だけならできそうだが、2夜と続かまい。施主と2時間しゃべればクタクタ状態じゃ。


1月10日(木) C

「よい腕時計にはワケがある」 Watch Watchers編 双葉社 1400円

山田五郎先生他2名のプロが、50の機械式腕時計をそれぞれランキングする。昨日の

示的消費の代表選手のようなものだ。価格は15万から100万くらいのもの。それにし

も都会のアンチャンが、ロレックスをつけているのを見ると、なんともという気分になる。


1月9日(水) C

「顕示的消費の経済学」 ロジャー・メイソン 名古屋大学出版会 3600円

魅力的な書名に惹かれて借りてはきたが難しい本だった。3人の経済学者の共訳、

ほとんどが、顕示的消費をどうあつかうか、という経済学の歴史に終始。産業革命以降の

消費行動の著しい向上、そして顕示的消費はまさに資本主義そのものの本質なのだろう。


1月8日(火) C

庭のデザイン3「手水鉢」 中根史郎 学習研究社 1800円

庭のデザインシリーズの3冊目は手水鉢だ。庭といっても当然、茶庭ということになり儀式

また庭の点景上、かかせない手水鉢の各スタイルである。古今のいわゆる名品の紹介

主なもの。まあ日本文化そのものという感じだが、あまりわれわれには関係のない話か。


1月7日(月) C

「写真家になる!2」 土岐小百合・長峰輝明 メタローグ 1600円

CWSレクチャーブックシリーズ「写真家になる!」第2弾。CWSとは何の略か?高校生の

ための職業案内か。今回は5人の写真家へのインタビューと撮影現場報告。これみて写真

家を志す若者も。カッコいいし楽そうだもの。とくに楽園ものの三好和義なんかイイと思うよ。


1月6日(日) C

「トラック業界・改革なくして高収益なし」 森田富士夫 エール出版社 1500円

規制緩和のうねりの中、もっとも旧態依然の運送業界も、改革せざるをえなくなったようだ。

著者はトラック運送業界新聞の記者を、長くつとめた物流ジャーナリスト。積載率、実車率

回転率の向上つまり生産性をたかめることにより、収益性を上げることしかないということ。


1月5日(土) C

三本和彦の「ニューカー・ベストセラーカー大解剖」 出版文化社 1400円

いつも思うのだが、この人の文章はよみにくい。乱雑というか、あまりにも書きたいことが

りすぎるのだろうか、ストンとこない。クルマという、この現代の魔法のジュータンこそ、

選択は各人の自由だ。まるで生き方そのもののように、誰も文句が言えないのが面白い。


1月4日(金) C

「文庫びっくり箱」 則枝忠彦 青弓社 1600円

先生を退職し、晴耕雨読の文庫コレクター。集めかたは、今まで刊行された文庫と名のつ

ものを網羅したいらしい。なかには、その総目録が載ったりしていて、自己満足の様相だ。

子供のころ、街にカバヤの自動車が来たのは覚えているが、カバヤ文庫は知らなかった。


1月3日(木) B

ラッコブックス「医者がススメル安楽死」 柴田二郎 新潮社 1100円

今年73才になる開業医。前身は山口大医学部で生理学を研究、そのあと精神科の教授

という経歴。前作の「医者のホンネ」に続き、老化に対する医療の空しさとともに、できれば

楽死さもなくば、ガンをわざと放置する尊厳死がよろしいと解くのだ。そのとおりだと思う。


1月2日(水) C

「業界用語辞典」 米川明彦・編 東京堂出版 2800円

俗語研究、手話研究、聖書研究がテーマだという女子大教授。160集団のいわゆる隠語

7300語を網羅して大好評、という「集団語辞典」からの抜粋が本書であり、業種は86種、

4800語を収録しているという。まあ面白いけど、品位のない言葉がずらりと並んでいる。


2002年1月1日(火) B

「宝もの、見つけた」 ニ部治身 文化出版局 1800円

あけましておめでとうございます。読書日記も、3年目に突入です。本年もどうぞよろしく。

2度目の登場のナチュラリスト。そのクサさがたまらんのだが、蒐めたアジア、アフリカの

民具、雑貨には眼がクラクラし文句はいえなくなってくるわさ。息子がNYで設計事務所に

勤めているというからダンナは同業者かもしれない。アジアものはインテリアでもブーム。


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