オール読書日記2009年下半期

 

 

 

 


12月31日(木) C

「道路が一番わかる」技術評論社1780円

しくみ図解シリーズは、高校の土木科教科

位置付けのようだ。監修・窪田陽一は

埼玉大教授 執筆も同大学関係者による。

平成21年も暮れていきます 良いお年を。


12月30日(水) C

「フォトネシア 眼の回帰線・沖縄」 仲里 効

未来社2600円。沖縄出身評論家による沖

縄写真および沖縄写真家論は 既出文の再

構成。現実感がそれほどないままに終了。


12月29日(火) C

「スピンドクター」窪田順生 講談社+α新書

838円。1974年生まれの元週間誌編集長

ライター。業界での各種事件の情報操作

の具体例の数々。書名はそういった「モミ消

し屋」をしめす言葉だという。ヤバい世界だ。


12月28日(月) C

「すぐわかる イスラームの美術」枡屋友子

東京美術2000円。東大文化研究所教授

によるイスラームの建築・写本芸術・工芸

の概要紹介。小型ムック本で、要領宜し。


12月27日(日) C

「季語の誕生」 宮坂静生 岩波新書

700円。1937年生まれの信大名誉教授

俳人。前書きを読んで期待したのだが、

内容は 雪月花論に終始。さらに独自のア

ニミズム論への展開に、まったくの失望。


12月26日(土) C

「なぜ対馬は円く描かれたのか」 黒田 智

朝日選書1200円。朝鮮側の地図では円

く描かれた対馬の民俗風景を紹介する早

大若手助教。アジールとネイション、の主

題に拘るのだが、終始それに馴染めず。


12月25日(金) C

「謎解き 人間行動の不思議」 北原義典

講談社ブルーバックス940円。日立研究

員による人間行動心理学の初心者編だ。

期待したのだがややハズレ気味で終了。


12月24日(木) C

「アンコール・ワットへの道」 石澤良昭

JTB楽学ブックス1700円。カンボジア・ア

ンコール・ワットの発掘で有名な上智大学

長の小型ムック本。800年におよぶ 各地

の建築物の全貌。ただし構成には 疑問。


12月23日(水) B

「中国歴史建築案内」 楼慶西 TOTO出版

3000円。中国精華大建築史の講義ノート

から、中国の歴史建築詳細は全403頁

重量級。初めて知ること多く有益だが

の長城が どこにも出てこないのは何故?


12月22日(火) C

「暮らしのなかの左右学」 小沢康甫

東京堂出版 1900円。中国放送を定年退

職した、編集者の趣味。右と左に関する世

の中の現状を かなり大胆な推論を交えて

列挙の気楽読み物だが、どうでもいい感。


12月21日(月) C

「フルーツ・ハンター」 A・D・コウルナー

白水社2800円。カナダ在住若きジャー

リストの描く 新種・珍種の果物栽培に賭

る愛好者達の生態。著者の教養は認め

が、そもそも何でフルーツか。全383頁。


12月20日(日) D

「週刊誌は死なず」 元木昌彦 朝日新書

780円。深刻な読者離れや名誉毀損訴訟

額判決 青息吐息の週刊誌業界。元「週

現代」 編集長のウラミ節にお付き合い。

昔の栄華を懐かしんでも何にもならない。


12月19日(土) B

「世界香水ガイド1437」 原書房1800円

世界的権威の(M)L・トゥリンと香水批評の

(F)T・サンチェスによる5つ星評価。最も携

帯しやすい知性 と述べているが、それを表

現する、芳山むつみの的確な訳こそ秀逸。


12月18日(金) C

「カラー版 図解・曼荼羅の見方」 小峰彌彦

大法輪閣 2000円。練馬の観蔵院住職が

併設する美術館に収蔵の 金剛界・胎蔵界

の両曼荼羅の 内容解説小型ムック本。は

あそうですか、という感想だけで終わった。


12月17日(木) C

「スーパーリッチとスーパープアの国、ア

リカ」 B・エレンライク 河出書房新社1800

円。60数編の既出エッセイ再編。最後には

このリベラルなフェミニスト女性の品のない

文章に、いささかの拒否反応を抱くに至る。


12月16日(水) D

「わたしは、なぜタダで70日間世界一周で

きたのか?」伊藤春香 ポプラ社1200円。

卒業間近の慶大生がスポンサーを集めて

の世界旅行 前半は企業廻りの経過 後

旅行記は まるで平凡で 読む必要なし。


12月15日(火) C

「勝手に観光協会 グレイテスト・ヒッツ」

シンコーミュージック・E 1200円。オカリナ

の安齋肇と、みうらじゅん が旅先の旅館で

作った 46都道府県の歌。あいかわらずの

みうら節、これで食えるとは羨ましい限り。


12月14日(月) C

「二輪車・四輪車 安全運転テクニック」

山口好孝 東京図書出版会1600円。労働

災害コンサルタントの経験的運転術は、前

1/3が2輪 残りが4輪に関して。専門家で

はないものの、中身は頷けることばかり。


12月13日(日) B

「手妻のはなし」 藤山新太郎 新潮選書

1600円。水芸や蝶など、江戸手妻を継承

する1954年生まれ 奇術協会副会長によ

る日本手妻通史は359頁。文章構成も上

手で、まさしく後世に残る 貴重な資料だ。


12月12日(土) C

「エンジンのないクルマ」が変える世界』

大久保隆弘1600円 日経新聞出版社。

気自動車(EV)の、ビジネス未来を立大院

教授が予測。技術的な面はむしろ詳しくな

くて 日本の産業界の進むべき方向など。


12月11日(金) C

「図説 世界100の市場を歩く」 森枝卓士

河出書房新社 ふくろうの本シリーズ1800

円。日経新聞土曜夕刊の連載236回から

の再編集。1955年生まれ写真家・ジャー

ナリストの取材した世界各地の市場風景。


12月10日(木) B

「木綿再生」 福井貞子 法政大学出版局

2700円。ものと人間の文化史シリーズに

は、これで3度目の登場の1932年生まれ

今回は 鳥取倉吉での半生記を中心として

絣回顧譚。じっくりと読ませてくれます。


12月9日(水) C

「記憶はウソをつく」 榎本博明 祥伝社新書

760円。名城大心理学教授。裁判員制度が

始まる中 記憶がいかに不確かで 目撃証言

が変容しやすいか、という話。それはわかる

のだが、今ひとつ 突込みが足らない印象。


12月8日(火) C

「シャーマニズムの文化学 改訂版」 森話社

2300円。2001年初刊から3刷しての改訂

版は4人の共同執筆による 日本シャーマニ

ム研究概要。意外にも理解が進んだのは

併読していた 偶然性の読み本の影響かも。


12月7日(月) C

花・鳥・岳・人「山歩き」信州山岳ガイド』

岩渕正儀 信毎書籍出版センター 1900円

有名山より身近な山主体、県内北から南へ

日帰り102コース紹介は 立体イラスト付。


12月6日(日) C

「クリックしたら、こうなった」 多田文明

メディアファクトリー 1000円。「ついていっ

たら、こうなった」で、話題となったルポライ

ーの新作。ネット業界での様々なワナにわ

ざと、はまって結果は大体の予想通り。


12月5日(土) C

「建築物を読みとく鍵」キャロル・D・クラゴー

ガイアブックス 1800円。ハンディな体裁な

がら、内容はかなり高度な西洋建築の細部

部位別に、また時代様式を追っての説明で

すべて図版は 写真ではなく細密画による。


12月4日(金) C

「日本めん食文化の一三〇〇年」 農文協

奥村彪生3800円。1937年生まれの料理

研究家の博士論文の再構成547頁。小麦

粉めん、とソバ食の2部仕立てで独自理論

の展開。さらには 各地の食べ歩き編まで。


12月3日(木) C

それでも「木密」に住みたい』 彰国社

2200円。「木密」とは木造密集市街地のこ

と。各分野4人の執筆による、路地裏まちづ

くりの本だが 専門家には物足りぬ内容。当

該地区の自治会長あたりが、読者なのか。


12月2日(水) C

「スローフード大全」 3334円スローフードコ

ミュニケーションズ。今や反グローバル化の

政治団体となったスロ−フード運動。世界各

有識者の全く同じ論調を 読むのは辛い。


12月1日(火) D

「自転車会議!」 PHP 1300円

疋田智の呼びかけで、自転車人間 片山右

京・今中大介・勝間和代の4人が集まり、

転車文化の熱い思い座談会+谷垣禎一。



11月30日(月) C

「インテリジェンス戦争」 大和書房762円

現在休刊中のワールド・インテリジェンス編

集長による対テロ時代の最新動向と題した

再録文庫版363頁 世界最強といわれる

スラエル・モサドの記述が少ないのが難。


11月29日(日)C

「たまたま」 L・ムロディナウ ダイヤモンド社

2000円。偶然の科学 つまり確率と統計

いて 多彩な話を展開の数学ライター。

は、世の中は偶然で成立しており それを

前向きに解釈 生きていくしかない という話。


11月28日(土) C

「全脳思考」 神田昌典 ダイヤモンド社

2000円。経営コンサルタントによる突き抜

けた想像力を得るための思考法、459頁。

前向きなHAPPY感情を追求する、各種方

法の集大成は、ややもすると宗教の世界。


11月27日(金) A

「戦場の哲学者」 J・G・グレン PHP研究所

1700円。1959年刊行以来いまだ重版中

という。欧州戦線への従軍の経験から戦争

ではなぜ平気で人が殺せるのか 人間を考

える故哲学教授 永遠の重い課題の名著。


11月26日(木) C

「金正日は日本人だった」 佐藤 守 講談社

1700円。金日成の息子ではなく、日本人ス

イの隠し子だ、というトンデモ本。それなり

に面白いので一気に最後まで。著者は退官

した空自高官、こんなウォッチャーもいる。


11月25日(水) C

「教え方のルール」 田中省三 明日香出版

1400円。あたりまえだけど なかなかでき

ないシリーズ。登校拒否 引きこもりだった

という プレゼンターの、相手と良好な関係

築き、伝えて、育てて、自立に導く方法。


11月24日(火) C

「一丁倫敦と丸の内スタイル」 求龍堂

2000円。大三菱の総力を結集して、1号

館の復元と美術館としての再利用の全貌

ムック本。歴史的な背景と 復元設計施

の三菱地所の記録は企画展のカタログ。


11月23日(月) B

「トイレの話をしよう」 R・ジョージ1800円

NHK出版。世界のトイレに関する本は 随分

読んできたが これは衝撃的。貧しさの原因

としてのニワトリが先か卵が先か。それは

さに文明とは何か、を考えさせる女性記者。


11月22日(日) C

「つながる喜び」 現代書館 1800円

立教大コミュニケーション福祉学部の教員

による農的暮らしとコミュニティ論。総体に

ナイーブな印象ぬぐえず 仲間内で読まれ

さらに社会から遠くなっていきそうな感じ。


11月21日(土) C

「B級グルメが地方を救う」 田村 秀700円

集英社新書。自治体格差を研究の新潟大

教授が 全国を食べ歩いたB級グルメ報告

もちろん駒ヶ根のソースかつ丼や 伊那の

ローメンも 華々しく登場する気軽な新書。


11月20日(金) C

「ウィキペディア・レボリューション」A・リー

ハヤカワ新書juice1400円。新書ながらも

443頁。ウィキペディアの草創期から 現在

までの詳細な物語。しかしながら 今後それ

がどうなっていくのかは、誰もわからない。


11月19日(木) D

「日本の I T コストはなぜ高いか?」

森 和昭 日経BP出版1400円。ドンブリ勘

定的保守契約が問題であり 今度はそれ

を査定する新ビジネスの宣伝に過ぎない。


11月18日(水) C

「なぜ、ウェブに強い設計事務所は家づくり

が上手いのか」 大戸 浩・森川貴志 エクス

ナレッジ1800円。むしろ施主とのコミュニ

ケーション・ツールとして、如何に構築して

きたか、その内容の詳細は 多少の参考。


11月17日(火) C

「最新ケータイを支える技術」 西田宗千佳

技術評論社1580円。ガラパゴスといわれ

る日本のケータイだが、そのハード技術に

迫る。iPhoneの出現にグローバル化の対

応が急がれるのは周知だが 最後に少し。


11月16日(月) C

「こんなコンサルタントが会社をダメにする!

千田琢哉 日本実業出版社 1500円。敏腕

ンサルタントの指南する、コンサルタントと

の付き合い方。現実感が希薄のためか、そ

タンスが 今ひとつ読みきれずに終了。


11月15日(日) C

「山で死んではいけない。」 1260円

山と渓谷社。106頁の山岳誌「山と渓谷」の

別冊ムック本。地図での遭難地点と その概

要は判りやすいが、内容は週刊誌の範囲。


11月14日(土) C

「里地里山文化論」 養父志乃夫 農文協

2500円。和歌山大シス工教授の農学博士

前半は日本列島誕生から 里山農業の成立

まで、後半は中国里山探訪。で結論は最後

5頁。里山文化からの循環型社会の形成。


11月13日(金) C

「布地見本帖」 BNN 3000円

米のテキスタイル・デザイン・グループの保

有する布地見本の中から600種以上を パ

ターン別に紹介。厚さ4cm全421ページ。


11月12日(木) C

「彰義隊遺聞」 森 まゆみ 新潮文庫

590円。2004年刊 同名書の文庫化。

刊地域誌 「谷根千」で名を売って、関係す

彰義隊上野戦争を丹念に取材。芳年の

浮世絵を彷彿とさせる 鮮やかな色彩感。


11月11日(水) C

「わけいっても、わけいっても、インド」

蔵前仁一 旅行人2000円。グラフックデザ

イナーの著者は絵を、妻は織物、いずれも

素朴な民族的な姿を求めての、インド深部

紀行は、通り相当ディープな二人旅。


11月10日(火) B

「木曽のおんたけさん」 岩田書院 1800円

菅原壽清・時枝努・中山郁。御岳信仰の歴史

と現状、最後に登山ガイドと至れり尽くせりの

内容。修験者の信仰が、一般化していく過程

の政治学、あるいは景観心理などに面白さ。


11月9日(月) C

「日本の宇宙開発」 GAKKEN 1600円

なぜ歴史群像シリーズのムック本なのか。

中身は惑星探査やロケット開発など国家プ

ロジェクトから、大学の超小型衛星 民間の

ロケット開発など さらに宇宙旅行の展望。


11月8日(日) A

「男おひとりさま道」 上野千鶴子 1400円

法研。おそろしく正論ばかりの、特大説得力

の老後男性の生き方論。しかし読むほどに

勇気が湧いてくるという不思議な本。なんと

かオレにも、出来そうな感じがしてきたゼ。


11月7日(土) C

「これが日本人だ!」 王志強 バジリコ

1500円。日本在住中国人コンサルタントの

日本人論。総じてよく描けている とは思うが

もはや、日本人論で一喜一憂する時代、は

った。今や中国人がそんな時代なのか。


11月6日(金) C

「ふるさとを歌おう!」 三國隆三 展望社

1800円。1928年生まれ、自作の油絵と記

念写真が一杯の自家出版雰囲気ながら、各

県毎、ゆかりの歌詞629曲を並べた 日本列

島うた景色の副題に恥じぬ労作 全350頁


11月5日(木) C

「日本の配色」 ピエブックス 2800円

四季や社会的な色彩感などからの、伝統的

な文物とそこでの配色を紹介、考えてはいる

ようだが、まとめきれていない印象 拭えず。


11月4日(水) C

「乱造される心の病」 C・レーン2000円

河出書房新社。単なる内気を病気に認定す

るという 垣根を低くした米のDSMと それを

バックアップする 製薬業界告発の書。しか

しテンポの遅い文章で説得力は今ひとつ。


11月3日(火) C

「ニッポンの観覧車」 監修・文 福井優子

イカロス出版1600円。日本の観覧車を北

から 南まで網羅した小型写真集。著者は

1947年生まれで、日本の古今のフェリス

イール調査での第一人者のようである。


11月2日(月) D

「この国の食を守りたい」 辰巳芳子

筑摩書房2200円。13年前の「辰巳芳子が

薦める ぜひ取り寄せたい確かな味」の加筆

版。もはやこれは宗教の世界といってよい、

教祖様は、1924年生まれの料理研究家。


11月1日(日) C

「毒と薬の世界史」 船山信次 中公新書

800円。薬科大教授の薬・毒論は当然、薬

学史の雰囲気であり、社会学的な視点は、

あまりないので、物足りなさも少々感じた。



10月31日(土) C

「図解 新世代鉄道の技術」 川辺謙一

講談社ブルーバックス980円。超伝導リニ

アから在来線車輌、エネルギー技術、新交

通システム、駅施設や乗車券システムと

方位的に網羅した最新情報は、実に有益。


10月30日(金) C

「信州水系圏をゆく」 八十二文化財団

2000円。銀行財団法人による長野県文化

史。第1部は識者座談会 第2部は作家・水

楊の千曲川・天竜川紀行。第3部は古代

から近代、信州発文化の概観 全409頁。


10月29日(木) C

「悪いのは私じゃない症候群」 香山リカ

ベスト新書 686円。世間に蔓延する多罰的

思考。自分が責められる前に、ともかく他人

を責める というのだが 少し論点が未整理。


10月28日(水) C

自然界をゆるがす「臨界点」の謎』1580円

技術評論社 知りたいサイエンスシリーズは

各界の識者による生物大発生と大絶滅、

宙、地球気候、超伝導・超臨界、核分裂・

融合、がん細胞、経済コンドラチェフ理論。


10月27日(火) C

「書の世界 常識と非常識」 堀 久男

芸術新聞社 2500円。同社発行の書道誌

「墨」 への同名の連載8年分。書道会主宰

の同年代の書道家で 先行きジリ貧気味な

書道界の有り方に苦言を始め 書壇批判。


10月26日(月) C

「宇宙で暮らす道具学」 雲母書房1800円

東大大学院を中心とする、宇宙建築研究会

編著。月あるいは火星での生活を目標に世

界中で開発された、住居や各種構造物、設

備や道具か衣類までの 現状図解報告。


10月25日(日) C

「ひたすら歩いた 沖縄みちばた紀行」

カベルナリア吉田 彩流社2000円。元編

者のフリーライターは沖縄旅行記ばか

り8冊。今度は 歩きでの全島制覇。開発

で 揺れる島民の心情に、少しく感傷的。


10月24日(土) C

「面白くてよくわかる!犯罪心理学」

作田 明 アスペクト1300円。TVにもよく登

場の犯罪心理学者による最新犯罪の心理

学入門編。半分がイラストの水増し気味。


10月23日(金) C

「日本の珍地名」 竹内正浩 文春新書

790円。平成の珍地名というべき、大合併

で誕生した新地名に関する政治学が中心

の内容で 元JTBライターの調査は詳細。


10月22日(木) C

「密教の神々」 佐藤 任 平凡社ライブラリー

1500円。1934年生まれ在野の研究者に

よる1979年の著作の文庫化。密教の月天

観音・聖天・明王の起源をインドに求めるも

のだが難解至極。なぜ文庫化か が不明。


10月21日(水) C

「水道が語る古代ローマ繁栄史」中川良隆

鹿島出版会 2200円。東洋大土木教授に

よる 古代ローマの水道技術の詳細説明か

ローマ繁栄の文化論への展開。江戸の

道文との比較もあって 抜かりはない。


10月20日(火) C

「銅鐸の祭りと倭国の文化」 三浦茂久

作品社1600円。1934年生まれの在野の

研究者による論文10編 銅鐸に関しては冒

頭部のみ、残りは古事記よりも日本書紀を

重視しての古語の解釈アレコレ全448頁。


10月19日(月) D

「100年予測」 G・フリードマン 早川書房

1800円。米 シンクタンクの所長の21世紀

100年予想。地政学と言いながら、過去

の歴史を再現しているだけ 日本とトルコが

第3次世界大戦を引き起こすと悪い冗談。


10月18日(日) C

「宮本常一が撮った昭和の情景 上巻」

毎日新聞社2800円。こちらは昭和30年か

ら39年かけてオリンパス・ペンでの 白黒

写真集。先に見た下巻より、古い時代だが

その印象が強すぎて、それほど感激せず。


10月17日(土) C

「誰から取り、誰に与えるか」 井堀利宏

東洋経済新報社1800円。格差と再分配の

政治経済学の副題通り、不公平 ・非効率な

再分配政策をただす、と鼻息の荒い東大院

教授 政治技術的な頭の痛い永遠の課題。


10月16日(金) B

「中井精也の鉄道撮影術 撮り鉄」1800円

アスキー・メディアワークス。時代はもはや

完全に変わってしまったようだ。デジタル一

眼レフの高機能を駆使しての写真は、鉄道

写真というよりも、芸術作品としての存在


10月15日(木) C

「城と城下町」 高見敞志 技報堂出版

1900円。城や城下町建設での法則を探る

西日本工大教授。ビスタの存在は、わかる

大和三角形なる法則は、コジつけ気味。


10月14日(水) C

「魔よけ百科・世界編」 岡田保造 丸善

1900円。上記ムック本の発行から3年後

今度は眼を世界に向けての 魔よけ収集。

世界ものは前半のみで 残りは日本もの。


10月13日(火) C

「魔よけ百科」 岡田保造 丸善1900円

1935年生まれの短大名誉教授。もともと

の専攻は日本史らしいが、五芒星や六芒

星あるいは九字など、足で集めた建造物

や道具に残る、魔よけの数々の小型本。


10月12日(月) C

「回想の和紙」 町田誠之 東京書籍

2095円。1913年生まれ、紙の博物館名

誉顧問にして京都工繊大名誉教授の和紙

随想。関連する和歌を参照して格調高し。


10月11日(日) C

「魔球の正体」 手塚一志・姫野竜太郎

ベースボール・マガジン社2000円。2001

初刊以来9刷目は 進行方向に横回転す

ジャイロボールの投げ方指南。全国球児

必需ながら素人には判りにくい文章だ。


10月10日(土) D

「就活格差」 常見陽平 中経出版 1300円

「就活最前線」 といった週刊誌程度の内容

つまり捉えどころがないフニャッとした印象

就職ジャーナリストをうたうならば、もう少し

太な就活哲学を 確立してほしいところ。


10月9日(金) B

「東国の古墳と古代史」 白石太一郎

学生社2400円。1938年生まれの奈良大

教授。関西と関東の 古墳比較から、ヤマト

朝廷成立前後を 大胆に推論して意外に面

白い。飯田周辺の古墳群も登場して有益。


10月8日(木) C

「敬語のお辞典」 坂本 進・西方草志 編著

三省堂1500円。二人のコピーライターによ

敬語の用法例。全344頁、300余りのシ

チュエーションに、約5000の会話例掲載。


10月7日(水) C

「徹底検証 飲んでいい水・悪い水」

江藤カズオ1200円メディアポート。副題に

日本の水の諸問題と水ビジネスのウソを斬

る!それはわかるが 最後には自分の開発

した、逆浸透システムの浄水器の宣伝だ。


10月6日(火) C

「行け行け!わがまち調査隊」 1700円

岡田知弘・品田 茂 自治体研究社。舞鶴市

職員による 地域調査実践の詳細報告。指

導の京大院岡田教授との共著は、市民参

加を前提としての 地域調査の入門編だ。


10月5日(月) C

「2011年 新聞・テレビ消滅」 文春新書

佐々木俊尚750円。米国から遅れること3

ネットに押されて いわゆる大メディアが

くなるだろう、と毎日記者あがりの I T フ

リーャーナリストの キツい予想である。


10月4日(日) C

「世界のサッカー応援スタイル」 カンゼン

1680円。サッカー批評編集部が、同じく

専門出版社から、欧米・南米 アジアの

ラブチームの、サポーター風景の報告。

世界のサッカー文化を、垣間見た感じ。


10月3日(土) C

「贅沢の条件」 山田登世子 岩波新書

700円。近代以降の贅沢者列伝からココ・

シャネルを引き合いにラグジュアリーの本

質を探るが 答まで至らず。というか、口に

出せないものじゃないのだろうか、と思う。


10月2日(金) C

「世界が水を奪い合う日・日本が水を奪われ

る日」 橋本淳司 PHP1600円。書名もいさ

さか恐ろしげな 水問題ライターによる、どち

らかといえば若者向け。これに対し、まった

く別の報告もあって、判断は難しいところ。


10月@日(木) C

「日本の深層文化」 森 浩一 ちくま新書

820円。1928年生まれの 考古学の大御

による粟と禾、野、鹿、猪、鯨をテーマ

しての日本文化の随想 と気軽な読み物。



9月30日(水) C

「宮本常一が撮った昭和の情景 下巻」

毎日新聞社2800円。昭和40年から55年

かけて 民俗学者の全国を歩いての白黒

写真。草葺屋根民家の多さに驚き 巻末

松山巌による、宮本常一写真論 は秀逸。


9月29日(火) C

「必携 茶の湯ハンドブック」 辻 宗龍・編

里文出版1500円。茶の湯歳時記、茶道系

譜、禅語・古筆切・古写経切 道具・茶室・露

地、と茶道すべてにわたる、事典とも言うべ

もの。しばし、日本文化にひたれる時間。


9月28日(月) C

「オノマトペがあるから日本語は楽しい」

小野正弘 平凡社新書720円。考えてみれ

振仮名と同様に、日本語にとって重要な

擬音語・擬態語の世界。ただし構成に問題

もっと格調高い日本文化論ができたはず。


9月27日(日) C

「ブラック・スワン 下」 N・N・タレブ1800円

ダイヤモンド社。下巻でも理解不能。未来が

運命論であり、予測できない以上 過去の確

率論で行くしかないではないか。とまあいろ

いろと考えさせてくれた。そこに 効用あり。


9月26日(土) C

「ブラック・スワン 上」 N・N・タレブ1800円

ダイヤモンド社。黒い白鳥、つま予想もで

きない発明・事柄など、不確実探求は

難解至極。レバノン人MIT教授の頭良さ

にはついていけない。下巻に期待したい。


9月25日(金) C

「害虫の誕生」 瀬戸口明久 ちくま新書

720円。生物学から転向、文学部の博士論

文再構成。科学技術史と環境史から害虫と

社会との関連。あまり、面白い話でもない。


9月24日(木) C

「子どもが道草できるまちづくり」 2000円

学芸出版社。2007年4月こども環境学会の

シンポジウム記録で 通学路の交通問題を

える、が副題。基本的には、通学路に入り込

クルマのスピードを、いかに落とすかだ。


9月23日(水) C

「本の現場」 永江 朗 ポット出版1800円

本はどう生まれ、だれに読まれているか の

副題 専門誌掲載の再構成。洋書店員あが

ライターによる出版業界の問題点報告。


9月22日(火) C

『女はみんな「うつ」になる』 香山リカ

中央法規 1200円。女性の生活のすべて

局面において 「うつ」 になる 要素ばかり

脅すのだ。読んだ方がいいのか、あるい

読まないほうがいいのか、わからない。


9月21日(月) D

「仕組まれたアメリカ解体の真実」1500円

B・フルフォード 青春出版社。時々TVに登

場する、どちらかといえばトンデモジャーナ

リスト。内容は オバマ批判や、陰謀説など

盛り沢山でも、やは週刊誌の域を出ず。


9月20日(日) C

日本が拉致問題を解決できない本当の理由

荒木和博 草思社1800円。特定失踪者問題

調査会代表の拉致問題舞台裏報告 主として

今までの政治的状況を 淡々と描く。ともあれ

主導権をもって、制裁を続けていくしかない。


9月19日(土) C

『「食糧危機」をあおってはいけない』

川島博之 文藝春秋1095円。アフリカを除き

人口停滞・農作物生産性向上から食糧危機

は起きない と東大大学院准教授。水不足も

フードマイレージも全否定、が 未来像なし。


9月18日(金) D

「NASA秘録」 R・ホークランド+M・バラ

Gakken3500円。全629頁のトンデモ本に

最後までお付き合い。月や火星の人工遺物

を隠蔽する、とするNASAの告発本だが

ても真面目には読めぬ代物。時間の無駄。


9月17日(木) C

「ちがいがわかる 類語使い分け辞典」

松井栄一・編 小学館2400円。見出し語とし

501語 その類似語約2400を収録。編者

は1926年生まれの国語学者。全525頁。


9月16日(木) B

「振仮名の歴史」 今野真二 集英社新書

700円。清泉女子大教授 漢文を読み下す

ための振仮名だったが 左振仮名には辞書

的要素もある。もしかしたら 柔軟な日本語

および日本文化の根源に関わる問題か。


9月15日(火) C

「堀内誠一 旅と絵本とデザインと」1600円

平凡社コロナブックス。伝説のイラストレー

ター・アートディレクター・絵本作家の 早熟

かつ驚くべき器用さを余すところなく伝える

小型ムック本。52歳の死は、天才の証し。


9月14日(月) C

「関東周辺 日帰り自転車ガイド」 1600円

自転車生活ブックス編集部 ロコモーション

パブリッシング。レンタサイクルを 前提にし

た小型ムック本。昭文社のノースアップ地

図が付いていて、紙上サイクリング可能。


9月13日(日) C

『子どもの将来は「寝室」で決まる』 760円

篠田有子 光文社新書。20年かけての家族

の寝方の調査から。3歳までは母親中心の

川の字で寝て安定した情緒を育み、それ以

降は子供別室で独立性を養う、のが理想。


9月12日(土) C

「金魚」 池田書店 1200円

長く、楽しく飼うための本 と題された〈もっと

わかる動物のことシリーズ〉小型ムック本。

琉金2尾を飼いはじめて3年、できるだけ水

替えをすべし、との教え。今までの本と逆。


9月11日(金) C

「左官礼賛」 小林澄夫 石風社 2800円

月刊「左官教室」の巻頭文再構成 福岡の郷

土出版社から2001年刊、細々と4年第7刷

目。左官仕事と職人をこよなく愛する、いささ

か感傷的な文章。巻末の用語集は有益だ。


9月10日(木) C

「代案を出せ!」 勝谷誠彦1200円扶桑社

ネットでの現在の政治問題への代案募集の

結果をおもしろおかしく書籍化。内容は相変

わらず過激だが 瀕死に近いテレビ・新聞な

どの大メディアに対して、未来性は感じる。


9月9日(水) C

『大学生からの「取材学」 藤井誠二 講談社

1400円。若手ノンフィクション作家の 大学

講義録は取材のABC。副題に 他人とつ

るコミュニケーション力の育て方、とあ

が、自伝的要素の強いノンフィクション論。


9月8日(火) C

「学歴分断社会」ちくま新書 吉川 徹740円

7大学進学を希望しない層の増加、ここに

卒と大卒の分断線を見ての、社会構造の分

析を試みる阪大准教授。大胆かつタブー的

な考えではあるが ある意味明快ではある。


9月7日(月) B

「定本 日本の色事典」 23000円

視覚デザイン研究所。重さ2kgA4判357頁

の豪華本。1318の色名を 使用例の文学と

ともに表示。こうやってみると色というもの

まさに社会文化そのものであることを実感。


9月6日(日) C

「我が家のミカタ」 岩波書店2200円

2009年3月までの3年間の朝日新聞生活

欄連載を再構成。昨今の住宅事情を、多角

かつヤジ馬的に取材。家づくりにまつわ

涙と笑いを 広く浅く紹介のタメになる本。


9月5日(土) C

「歴史の旅 甲州街道を歩く」 山口 徹

吉川弘文館 1900円。1/25000地形図を

日本橋から国道20号線を諏訪まで 歴史と

景観を愛でながらの 案内は神奈川大名誉

授。中央道全通前の20号に、懐かしさ。


9月4日(金) C

「伊勢神宮の成立」 田村圓澄 吉川弘文館

2200円。九大名誉教授1996年刊の復刻

版。天武・持統の両天皇によって作り出され

た天照大神と伊勢神宮を 学者らしく冷静に

論じていて、結構 信ずる気にさせてしまう。


9月3日(木) C

「美しい日本のふるさと 関東甲信越東海編」

産業編集センター2000円。四国中国・沖縄

九州編に続く 清水安雄による日本原風景写

真3冊目。各県に1冊当てじっくり見せ

ほしい、と今回も同じ思いを抱くのである


9月2日(水) C

「ファシリテーション・グラフィック」 2000円

堀 公俊・加藤 彰 日経新聞出版社。会議に

おける、ファシリテーター(進行役)の重要性

に勝るとも劣らない 図解的な記録係りの

術の数々。一朝一夕には、できそうもない。


9月1日(火) C

「夜中にチョコレートを食べる女性たち」

幕内秀夫 講談社1400円。若い女性の婦人

科系疾患が増加は何故か?脂肪の摂り過ぎ

の食生活 さらに定期的な性生活が実現され

いない と指摘の管理栄養士。説得力大。



8月31日(月) C

「デザイン、現場の作法」 伊達千代2300円

エヌディーエヌ コーポレーション デジタル

代のデザイン作法。フォントやデザインソフト

バージョンアップに対応せざるをえない現

代デザイン。ついていく デザイナーも大変。


8月30日(日) B

「僕がワイナリーをつくった理由」 落 希一郎

ダイヤモンド社1500円。新潟県巻町の角田

浜に、日本初の本格的なワイナリーを造りあ

げるまでの、自伝。運もあっただろうが 感動

的な物語。ぜひ 一度訪れてみたいものだ。


8月29日(土) D

「家づくりで成功する7つの秘訣」 大井康史

エル書房1300円。一応家づくりの本には眼

を通すことにしているが これはひどい。佐久

で工務店を経営する 信大卒。不動産に関す

税金を全く無視、都合のいい試算ばかり。


8月28日(金) C

「グリーン革命 下」 T・フリードマン1900円

日経新聞出版社。書かれたのは 1年前。危

またビジネスチャンスでもあると アメリ

カ自身への応援歌。オバマ大統領のグリー

ン・ニューディールの タネ本との解釈も可。


8月27日(木) C

「グリーン革命 上」 T・フリードマン1900円

日経新聞出版社。 「フラット化する世界」 の

前作に加え、温暖化・人口過密化からの 地

球の現状の深刻さを、これでもかと訴える。

が一方では かなりの前向き思考でもある。


8月26日(水) D

「インテリアコーディネーターになる」

三島俊介 1000円。秀和システム仕事がわ

かるシリーズ。ズブの素人が I Cになるため

指針。水を指すようで悪いが I C資格を取

得して10年近く、得をしたのは数えるほど。


8月25日(火) C

「灰色の嵐」 ロバート・B・パーカー

早川書房 1900円。宿敵の謎の灰色男との

対決のミステリー仕立て。最後まで謎を引き

ずりつつ、終わっての余韻も十分な最新作。


8月24日(月) C

「最強国家ニッポンの設計図」 大前研一

小学館 1500円。ずっと読み続けてきたが

最もバランスが良い印象。とくに外交・防衛

に関しては出色、他に年金・税金・産業・

・雇用・憲法改正・道州制と全てに答え。


8月23日(日) C

「からだのメソッド」 矢田部英正 バジリコ

1400円。在野の身体研究所主宰 大学非

常勤講師の、立ち居振舞いの 実践技術。

格の自然な配置を意識し 身体感覚を養

い、自然体の美しさを目指す、というのだ。


8月22日(土) C

「タバコ狩り」 室井 尚 平凡社新書680円

魔女狩りにも似た嫌煙原理主義に異を唱え

る、横国大の哲学の先生。受動喫煙被害の

データ捏造などから 文化の先行きに危うさ

を論ずるのだが まあ3分の理というところ。


8月21日(金) C

「人口流動の地方再生学」 松谷明彦

日経新聞出版社 1800円。 集落崩壊の危

機への対処、研究グループ報告は 理念ば

かり。地域の経済構造が確立すれば 若者

は戻ってくる。その問題の周囲をぐるぐる。


8月20日(木) C

「今日も、北京てなもんや暮らし」 谷崎 光

飛鳥新社1429円。北京在住が9年のライ

ターによる てなもんやシリーズは 「プレジ

デント」 連載。恐るべき人民達の民度を茶

しての報告は、おおむね好評のようだ。


8月19日(水) C

「線の冒険」 松田行正 角川学芸出版

2800円。凝りに凝ったグラフィックはデザイ

関係誌既出の再構成。だがデザイナー

ありながら暗い話・残虐な話が随所 悪趣

は本人の趣向か だから後味は宜しくない。


8月18日(火) C

「石井直方の筋肉まるわかり大事典」

ベースボールマガジン社2500円。筋肉マン

の東大教授による Q&A 201問、全431頁

ながら、どうでもいいイラスト付で水増し気味

まあ 個人の趣味には、文句は言えません。


8月17日(月) C

『「鉄」の科学がよ〜くわかる本』 高遠達也

秀和システム1100円。鉄づくりの歴史から、

その科学的性質、防錆と被覆、あるいは特

鋼と各種製品までの ポケット図解シリーズ。


8月16日(日) C

「視覚と建築」 松岡 聡・田村裕希 2900円

グラフィック社。建築家による発想シリーズ。

使えるのは、最後のプレゼン技術。前半の5

の視点、パノラマ・瞬間視・周辺視・アンチ

ース・透視については検討課題としたい。


8月15日(土) C

「賎民の異神と芸能」 谷川健一 2800円

河出書房新社。既出文を まとめたものだが

大御所の本は、編集担当者も指摘できない

のか、独りよがりの傾向。興味もったのは

最終章のみという、期待はずれの438頁。


8月14日(金) C

「大人のための新オーディオ鑑賞術」 780

円 たくき よ しみつ講談社BLUE BACKS

デジタル音楽時代におけるオーディオ哲学

ABC。音楽ファイルの諸問題から、アンプ

やスピーカーなどアナログ機器の考え方。


8月13日(木) C

「弔う建築 終の空間としての火葬場」

鹿島出版会 3400円。日本建築学会火葬

場施設小委員会の研究成果。世界各地の

葬送事情から始まり 日本での火葬場の歴

史・設計実例 さらに火葬炉の仕組みまで。


8月12日(水) C

「自殺予防学」 川西千秋 新潮選書

1100円。年間3万人をこえ、G8の中でロシ

アに次ぐという自殺者。その予防に奔走する

横浜市大精神科准教授の 書き下ろしそこ

いたる心理メカニズムの分析は 重量感。


6月11日(火) C

「夏はなぜ暑いのか」 佐藤文隆 岩波書店

2300円。京大名誉教授の既出文再構成の

学随想はレベル高過ぎ ほとんど理解でき

なかった。自分のことは棚に上げて 読者は

一体誰なのか、出版社の姿勢に 疑問あり。


8月10日(月) C

『「渋滞」の先頭は何をしているのか?』

西成活裕 宝島社新書720円。渋滞を防ぐに

車間距離をとること、と痛烈な逆説。さらに

生体・社会・経済ほか あらゆる分野で、そ

渋滞学の適用を画策する東大大学院教授。


8月9日(日) C

「みんなの進化論」 D・S・ウィルソン

NHK出版2300円。米の学者の専門はシ

ムシの生態。人間の社会行動のすべて

化論にあてはめようとする思考。内容は理解

できず。そもそも社会は進化したのか疑問。


8月8日(土) C

「沖縄染織王国へ」 與那嶺一子 1400円

新潮社とんぼの本。沖縄県立博物館学芸員

案内する、紅型のほか 花織・絣・芭蕉布・

上布の名品と 次代を担う各地の作家たち。


8月7日(金) B

「ワーキングプア時代」 山田昌弘 文藝春秋

1333円。年金をはじめとする社会保障制度

が、いかに現代社会とズレているか、の検討

ら。さらに抜本的なミニマム・インカムをは

じめ 年金マイレージ制ほかの大胆な提案。


8月6日(木) C

「差別感情の哲学」 中島義道 講談社

1500円。電通大教授から在野の哲学塾主

宰、あらゆる面からの 差別感情の分析。自

己と他者の 根源的なところで生ずる感情を

常に自省する心構えが、最も必要、と説く。


8月5日(水) D

「2011年まで待ちなさい!」 菅下清廣

フォレスト出版1500円。投資コンサルタント

景気循環論に基づいての 経済予想。3年

後から新技術などで、環境が変わるという。

多分に我田引水的な、株式投資のお勧め。


8月4日(火) B

「新エディターシップ」 外山滋比古 2600円

みすず書房。35年前の前著の新版という意

味らしい。人間に最も必要な技術が、編集力

というのだ。つまりそこにおける想像力こそが

切だという。まことに説得力のあるお話だ。


8月3日(月) D

「僕が2ちゃんねるを捨てた理由」 ひろゆき

扶桑社新書740円。前作同様の口述筆記ら

しく 文章の体裁は整ってはいるが 内容は

い 後半の対談2編にいたっては救い難い。


8月2日(日) C

「富士山コスモロジー」 藤原成一 青弓社

2400円。後半の文学・絵画での、富士山イ

メージの変遷に面白さも、政治学としての富

山の扱いでは、少しく教条主義的な匂い。


8月1日(土) C

「ダンディズムの系譜」 中野香織 新潮選書

1200円。既出文の加筆再構成。主に英国

傑出した、ジェントルマンの人となり が中

心。「渋いオシャレのカッコいいオジさん」 と

いう当方の解釈は、かなりの隔たりあり。


7月31日(金) C

「ゲームと犯罪と子どもたち」 3500円

インプレスジャパンR・カトナーS・K・オルソン

ゲームの暴力性と子どもの犯罪には 直接的

な関係はない というハーバード大の調査。家

庭での与え方が重要。あたりまえの結論だ。


7月30日(木) C

「危機突破の経済学」 P・クルーグマン

PHP 952円。ノーベル経済学賞2008年の

経済学者への聞き書き。基本的にはインフレ

ターゲット論で、それへの技術は いいけれど

その後には、またバブルと その崩壊でしょ。


7月29日(水) C

「堕落する高級ブランド」 D・トーマス講談社

1600円。いわゆる高級ブランドの利益追求

のための、品質を軽視しての世界戦略は、

まさにグローバル化そのもの。さてもう一度

真のラグジュアリーに回帰できるかどうか。


7月28日(火) C

「海の道 山の道」 遠藤ケイ 筑摩書房

2000円。故郷新潟に帰ったらしいが、相変

わらずの感情移入の多い文章。webマガジ

ン連載加筆は 山奥に、島々に、南洋に、

んどんと のめり込んでいく、遠藤民俗学。


7月27日(月) C

「絵が語る 知らなかった江戸の暮らし 農村

漁民の巻」 本田 豊 遊子館 1800円。集め

た古い絵について解説し、江戸の暮らしぶり

を紹介する シリーズ。専攻が部落問題だけ

随所にそんな記述ありの一般大衆向け。


7月26日(日) C

「麻薬とは何か」 新潮選書 1200円

佐藤哲彦・清野栄一・吉永嘉明。5000年に

もおよぶ、禁断の社会史であるが、これから

永遠に続く、人類の宿命でもある、という。


7月25日(土) C

「左利きの子」 L・ミルソム 東京書籍

1900円。右手社会で暮しやすくするために

と副題のムック本。家庭で、保育園で、学校

で配慮すべき点。その能力を活かす方法。


7月24日(金) C

「伊勢神宮」 井上章一 講談社 2800円

20年毎に造り替えされてきた神宮の、創建

当時の姿を求めての、学会内部の論争など

を詳述の全556頁 本人は熱くなっている

読むほうは、ややシラケ気味という感じか。


7月23日(木) C

「ハワイブック」 竢o版社 1800円

赤澤かおり・内野 亮 写真・市橋織江。若い

女性向け、スイートな気分満点の ハワイ案

内小型ムック、なにも言うことありません。


7月22日(水) C

「動的平衡」 福岡伸一 木楽舎 1524円

分子生物学者。既出文の再構成らしく 面白

いが各章の内容は少々拡がり気味、著者は

動的平衡という言葉でまとめたいらしいのだ

が。2ヶ月で早くも、5刷目と相当な人気だ。


7月21日(火) C

「アドレスvsメルアド、教えたくなるのはどっ

ち?」主婦の友パワフルBOOKS1300円

発音の 語感だけでの言葉対決、監修は黒

川伊保子 意図はわかるが品格ナシ。字面

も含めての 格調の高い新刊を望みたい。


7月20日(月) C

「ハーバードビジネススクール」 日経BP社

F・D・ブロートン。バングラ系英国人の報道

記者が一年発起HBSでの2年間の思い出

副題の通り 不幸な人間の製造工場か、

功を約束の養成機関なのか は読者次第。


7月19日(日) C

「水彩画で綴る 大工道具物語」 朝倉書店

1600円。神戸の竹中大工道具館収蔵品を

同在住の安田泰幸が描く。細部のわからな

水彩、くわえて手描き文字は 雰囲気はあ

るが 読みにくい。と、まったくの趣味の本。


7月18日(土) C

「つながる脳」 藤井直俊 NTT出版2200円

社会性を脳科学からの追求。サルの実験が

専門、他にも様々な実験構想を述べるも 解

答はこれから、の隔靴掻痒感。むしろ 人間

の社会性についての、随想といったところ。


7月17日(金) D

「古代天皇」 久保田幸里 太陽堂出版会

2500円。群馬太田在住の自費出版?歴史

の空白3〜6世紀は百済王との同定 それ以

降も大胆な天皇の人物推定で、480頁には

名ばかり、さらに資料の系図が 25頁付。


7月16日(木) C

「農業が日本を救う」 財部誠一 PHP研究所

1500円。食糧自給率の向上をはじめ 農業

再生・地域再生 のための方策を考える。元

凶は農地法と農協の存在、それはわかるが

最後に道州制に結びつけるのは少々疑問。


7月15日(水) C

「地域メディアが地域を変える」 2200円

日本経済評論社。NTTドコモ・モバイル社会

研究所の共同研究から。グローバル社会に

おける地域メディアのあり方。とくに第2章地

域アーカイブは 当方の景観論と共通視点。


7月14日(火) C

「鷹と将軍」 岡崎寛徳 講談社選書メチエ

1500円。徳川社会の贈答システムとの副

題。家康が好んだ鷹狩、そこで 鷹を巡って

の江戸期の政治の変遷。卒論からの研究

テーマというポスドク。特に興味は覚えず。


7月13日(月) C

「事典 世界の言葉141」 大修館書店

4200円。全584頁、世界に誇る言語学研

究の総力を結集しての、言の葉世界一周。

ただ 読み通しただけだが、消え行く少数言

語と 文化の問題などは、なんとなく実感。


7月12日(日) C

「問題解決のレシピ」 川瀬 誠 1600円

日本能率協会マネジメントセンター。理系出

コンサルタントによる、問題解決方法論初

歩編。イシューツリーでの課題発見と、仮設

検証による解決策の作成。とくに感想なし。


7月11日(土) C

「恐慌脱出」 安達誠司 東洋経済新聞社

1800円。銀行調査部勤務の ペンネームか

過去の恐慌とその脱出事例の検討から、今

回のサブプライム騒動後の予想も 悲観的。

つまりは バブルと恐慌の繰り返し、と達観。


7月10日(金) B

「無差別殺人の精神分析」 片田珠美

新潮選書1100円。精神科医の女子大教授

「肥大化した自己愛」と 「成熟拒否」、そ

格形成過程での、家庭のあり方。さらに大量

に至る 6つの条件を冷静に 事例分析。


7月9日(木) C

「燻製大事典」 太田 潤 成美堂出版

1400円。あの焚き火オヤジの燻製レシピは

60種。冷燻・温燻・熱燻と 何でもかんでも

の肴にしてしまう、初心者向け小型ムック本。


7月8日(水) C

「経済を動かす単純な論理」 櫻川昌哉

光文社 1400円。リスクの本質からバブル

現象を説明。本人はシンプルな論理と自慢

の慶大教授。今後の内需型経済の目標は

集中居住社会だという、そりゃ 違うでしょ。


7月7日(火) C

「ボールのひみつ」 新星出版社1400円

楽しい小型ムック本で、大はバスケットから

小はゴルフ・卓球まで各種スポーツのボー

ルの図鑑。最後にはドッジボール さらには

番外として お手玉・剣玉と抜かりがない。


7月6日(月) C

「地侍の魂」 柏 文彦 草思社 1800円

同年生まれ、少年時代の西部劇の開拓者

中世の地侍をなぞらえ その末裔たちの

活躍を発掘する。いずれも 歴史の表には

出てこないミクロな話ながら面白い視点。


7月5日(日) D

「不思議の国・ニッポン」 神尾登美子

翰林書房1600円。神と仏の風景、と副題

維新前後の日本の姿を語るのだが 独りよ

がりな 構成・文体、ともに馴染めず終了。


7月4日(土) C

「何を買ったの?文房具」 片岡義男

東京書籍1600円。前作の 「文房具を買い

に」 から6年、相変わらず 自分だけの美学

を追及するテディさんだが、写真は美しい。


7月3日(金) D

『「見た目」で選ばれる人」 竹内一郎

講談社1200円。前作「人は見た目が9割

一躍有名も、今回は×。何をきたいか

はっきりせず、しかも引用が 多ぎる。チ

ラっとでてくる、「表情」をテーマにすべき。


7月2日(木) C

「自己組織化とは何か 第2版」 880円

講談社ブルーバックス。日進月歩の科学の

世界。5人の教授による 9年前の同書の

版自己組織化するものといえば生物体。つ

まりは、生体パーツの応用技術の最先端。


7月1日(水) C

「風水と家相の歴史」 宮内貴久 1700円

吉川弘文館。歴史文化ライブラリー・シリー

ズ。御茶の水大准教授の研究から、これも

江戸・文化文政期の流行以降と浅い歴史。

言外に、その根拠のなさをしめす民俗学。


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