祝竣工・りんご並木エコハウス

昨年7月に行われたコンペで選ばれた最優秀案が施工されこのほど竣工した

環境省の肝いりで全国にモデルとなるエコハウス20棟を建設する施策

飯田市でも建設費5000万を全額国負担で実現したものである

正面のケヤキ?の青葉が建物の印象に大きく貢献している

設計は新井優+設計同人NEWSTさん

今回大きな冒険をすることなく いつも通りの手堅いデザインで 木造住宅のイメージを表現

棟をずらして 太陽光パネルのスペースをつくり 急勾配のOMソーラーの位置の確保は お上手

おりから りんご並木のりんごの花が満開

住宅は玄関を挟んで分けられて 右と左の2世帯住宅を想定している

南棟の正面には蔓草用にワイヤーをタテヨコ 正面の井戸風のものは雨水利用のシンボル

屋根上のOMソーラーの裏側のデザイン処理はもう少しなんとかならないか

たとえば小窓を並べれば もう少し表情は和らぎそうだが

北棟1階LDK インテリアはいつもの木の家スタイル

右の赤いチューブがOMソーラーの床下へのダクト

中間の透明部分にカザグルマがあって 廻っているのは面白い趣向

2階のオープンなプライベートスペース

階段テスリ兼用の本棚の塗装色は1階キッチンの食器棚引戸と同様 濃すぎると思う

右は南棟1階の三和土による土間スペース ストイックな感じでギャラリーにでも使いたい

2階もいい感じのスペース 会議室として使えばいいアイデアが出そう

ただ当初コンペの計画要件 近くの動物園の休憩スペースという話はどこかに行ってしまったようだ

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同じように山梨県都留市でもエコハウスが竣工

以下は4月22日付サンケイ新聞山梨版の記事からのピックアップ

敷地は市役所隣接ということだが わりと周辺も余裕がある感じ

内容的には似通ってはいるが さすが山梨 ブドウ棚で地域性を表している

モデルハウスの敷地は難しい問題で 集客力か一般性か 選定に難しいところ

また ここでも太陽光利用はOMハイブリットを採用しているようだが

いずれにしても これだけでは住宅用としてはとても対応できそうにない

ここらも徹底的に利用を考えるのか 自然体でできるだけでいいんだよ

というメッセージを発信すればいいのか 二通りの考え方があろう

なおウッドマイレージについては 欧州の製材を日本まで船で運ぶのと

地方の山から伐り出すのとでは

エネルギー消費量は むしろ後者の方が大きいという説もある

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green pyramid 計画案

投げられたボールは打ち返さなくてはならない というわけで

コンペには当方も参加してみた 上がA3にまとめたその応募案

敷地を対面のリンゴ庁舎3階から俯瞰したところ

敷地は間口方向が南より約56度東方向に振れている

大屋根を正南面させ太陽光発電パネルを最大限置くことを目標とした

屋根勾配も方位同様 太陽光発電の効率を考え5/10とした

市街地のど真ん中の敷地に相応しい

形状・高さともに都市的スケールのものを目指した

2層分の小屋裏も 3角を6個集めた6角形の木造架構

そこの照明から外に漏れる光が愉しげな窓を意図

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あわせて いつも行っている 3tonの大型便槽と井戸ポンプを使った雨水利用

暖房はヒートポンプ式の給湯器を深夜電力利用帯にフル稼働させ床下配管

その熱を蓄熱・放出させるための300本の床下ペットボトル方式も提案してみた

なお太陽光パネルの発電総量は 試算によれば15.4kw程度となり

床面積120uに換算すると 10.6kwと一般的な数値より2〜2.5倍となった

 

外壁は3面壁面緑化の方向で1/50模型を製作

撮影後 photoshop で加工

計画からプレゼン作成まで けっこう濃密な時間をもつことができた

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さて尾島俊夫委員長・野沢正光さんほか副市長・市民の7名による公開審査の結果は

最低点の落選案となった

レベルの低い「ひとりよがり」だったか と相当凹んだ

まあ木造住宅というイメージからは遠く離れていたからなあ と思ったりしたが

後日 某有名アトリエ設計事務所に勤務するJPさんからは

好意的な評価をもらったので 今回気を取り直して記録に留めておくこととした

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2010・5・3

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