五平餅文化圏

 

ストアー牛草 閉店?

(2023・12・3)

飯田下山線の牛草坂の五平餅店 このところカーテンが閉まったまま

ついに メニュー看板がダンボールでふさがれている あの元気のいい お母さんも見られなくなったのか

 

五平餅遠州屋

(2022・9・29)

9月第3日曜は台風接近で延期 丘のうえ朝市は盛況

知久町4丁目の米屋・遠州屋が出店 テントの脇に焼き台を設置

五平餅・おむすび・おはぎ など本店同様の販売

.こちらが本店で とくに おむすびは好評 蛇足ながら その店舗からビルと駐車場を挟んで東側に風月堂

基本的には団子屋だが 遠州屋と商品が一部被っていたためか しばらく混同していた

 

*

1) 五平餅か御幣餅か

  餅米を混ぜて炊いた御飯を半殺しにし 串にさして甘味噌を塗って焼いたものが五平餅で

  南信州から木曽・三河あるいは飛騨方面でのハレの郷土食である

  子供の頃 父の実家(飯田市大瀬木)で伯父と一緒に竹の輪に入れて形をつくって

  クルミの入った甘味噌タレをつけて焼いたのが古い記憶

  飯田で五平餅といえば そんな扁平な銭形の餅を2つづつ串刺しにしたのが主流だが

  そのうち木曽方面で幅広の串に軍配形あるいは草鞋(わらじ)形に練りつけた

  いわゆる板五平の存在を知った 串は杉の薄い へぎ板であり

  その姿は御幣というのに相応しい

左は飯田駅前のスーパーでのパック入り 右は飛騨高山の板五平 串はアイスの串風で風情なし

  文化の伝播から考えれば木曽方面から伝わったように思えるのだが

  当時の木曽には無かった竹の利用を考えた人がいたようだ

  厚さ1cmくらいに輪切りにした直径5cmくらいの竹にメシを詰めて形抜きし

  できた銭形を竹串で2個づつ刺して串をつくる という方法だ(銭五平と呼びたい)

  つまりもともとは御幣餅と呼ばれるものが伊那谷に入って五平餅になった

  と強引に解釈してみた

左はSEIYUの弁当売り場にて 右は農産物直売の「およりてファーム」の五平餅

  さらに銭形の肩にカドが出ているものは竹の輪で型抜きしたもの

  丸みをおびているのは団子状にしてから つぶして扁平にしたもの という見方もあるが

  機械で造っているという情報もある つまり竹の輪・型抜きタイプこそが手造りだという

農産物直売施設 「りんごの里」でみつけた真空パック入り土産の銭五平と板五平

 

2) 五平茶屋の時代

  半世紀ほど前には五平餅を出す茶店が飯田市内のあちこちにあって

  外出時の家族でのちょっとしたご馳走でもあった

  また高校の頃には そんな茶店の座敷でクラスやクラブのコンパをして騒いたこともあった

  高度成長時代とともに外食もより高級化したのか 今ではそんな茶店も姿を消してしまった

たしか昔は「妙琴亭」といった妙琴プール脇の茶屋 今は「のんぴ荘」といって手打ちそばで有名

スーパー銭湯「砂払温泉」の前の駐車場に茶屋座敷があった記憶 五平餅は今もここの名物

右は現在結婚式場の「ビーラクス松川」 この建物あたりにも茶屋座敷があった

 

3) 飯田市内の五平餅店

  ただ山麓の行楽地の店では未だメニューを飾っていて

  花見や もみじ狩りには大きな皿に盛られて出てくることも多い

 

桜の名所 佐倉様の茶屋「見晴」 店頭の左には五平餅地蔵

芝生の斜面に座って 五平餅を頬張る

佐倉様にはもう1軒 「佐倉亭」があったが 少し下に新築移転 こちらは店内からの眺望が抜群

 

風越山の山麓際 今宮球場裏の「今宮半平」も古くからの五平茶屋だが今や割烹が主

ゴマ味噌(左)ユズ味噌(右)2本づつのセットが500円

秋葉街道牛草坂を背にした新坂の上り口の「ストアー牛草」

日曜昼時に行ったら大量注文仕出し中のため あっさりと断られ出直しの巻

手造りをうたうだけに肩のはっきりした厚みのある形で串は短め しっかりした味で5本セットが525円

老夫婦が作っていて とくに対応してくれる小柄なオバアちゃんがプライド高く インテリ風

焼き上がりを待つ時間(約15分)も楽しい 聞けば開業は新坂の完成時の平成元年だという

 

  さらには おにぎりや稲荷寿司とともに 街のだんご屋の常備メニューでもあるが

  基本的には事前に電話予約して 焼き上がったところを取りにいく というスタイル

 

4) 団子五平の出現

  ところが2・3年前 馬籠を訪れた際 五平餅として店先で焼いて売っていたのが

  団子状に丸い球形のものを3個づつ串刺しにしたものだった

馬籠でみかけた団子五平 1串150円の観光地値段

  たしかに板五平や銭五平は一口で食べられるものではなく

  したがってクルミやエゴマの甘ダレが口の端をよごしたり

  串からはずれて落としてしまうことがよくある

  3個づつ串にさした団子状の五平ならば一口づつ頬張ることができ

  歩きながら食べるには 始末は非常に良い

  なるほどこれは玉五平と言っていいのかな と感心したのだ

  そのうち木曽路を北上した奈良井でも見かけるようになってきた

  同じ奈良井でも座敷で食べる徳利屋の五平餅は銭形ではあるのだが

  伝統の板五平は もはや団子五平に変わってしまいそうな雰囲気なのだ

  ことによったら同じ観光地の飛騨高山あたりの影響か と思って調べてみると

  むしろ高山では みたらし団子と板五平がセットになっている模様で

  板五平天下がしばらく続きそうな雰囲気だ

飛騨高山の板五平2種

  ネット情報によれば恵那地方では以前から団子状の玉五平がつくられていて

  玉の数も3つから5つまでバリエーションがあるらしい

  そのあたりについては恵那市在住の郷土研究家・安藤利通さんが詳しいが

  どうも木曽の玉五平は中津川あたりから入ってきて北上しているような気配

  だが良く観察すると恵那のものは 団子にしては少し扁平でかつ長玉のようにもみえる

  つまり旧来の玉五平に団子五平が新しく登場したようにも思えるのだ

  それは材料にも影響を与えているのではないだろうか

  団子五平は餅米の割合も多く つぶし方も餅に近いような気がする

恵那の玉五平 こちらは1串90円らしい

  飯田周辺では今のところ見かけないが 歩きながら食べるには適しているだけに

  ワンハンドスナックとして 何かのイベントにフランクフルトなどと同じ露天販売もできる

  同様に地元向けでなく 観光客を対象に 今後出現する可能性もありそうだ

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2010・1・23

5) お練り広場の五平餅 (平成22年お練り祭り報告)

  7年に一度と言われているが数えでの表現で 実は6年に一度の大宮神社の式年大祭

  諏訪神社なので本家の御柱と同じ年に開催される「お練り」

  今回は平成22年3月25日から28日まで そのうち27・28日には中心市街地に

  郡内各地から様々な演芸団体が出演し 観光客で賑わった

  お年寄りにとっては 「今年は見れたが次はどうかな」 というのが挨拶がわり

  その中心市街地の中央部 50mプール跡の広場に郷土食のテント村が出現した

  五平餅関係も5店舗が出店し それぞれ覇を競ったので その様子を報告したい

隣の高森町に工場をもって 日常用から真空パックの土産用まで幅広く展開する 「野の花亭」

右は白焼きの段階 これからクルミ味噌をつけて さらに一焼き 1串150円

下伊那郡南部 阿南町新野の道の駅で 常設店舗を出店の「蔵」

やや不思議な形の板御幣 1串400円は観光地値段

「ストアー牛草」のインテリばあさんが見れば怒るゼ

これも阿南町「農事組合法人あなん」の板五平 1串350円 これも良い値だ

串は杉のヘギ板の正統派

飯田市の南部天竜峡の「千鳥」 オーソドックスな銭五平 1串120円

移動販売車であちこち出店する駒ヶ根市の「求真」 板五平が200円 銭五平が120円

これには驚かされた  「在来屋」と称する臨時店舗の魚五平

ヤマメの塩焼き風に立てて焼き 味噌はふきのとう と季節感たっぷり

1串300円で左にいるオーナーが考案したという

(2010・4・12)

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追加:在来屋の進化 「いろり五平」

(2010・11・9)

さる11月3日 りんご並木周辺で「丘のまちフェスティバル」が行われ

またも多数の五平餅店舗が出現した 春にお練広場で見かけた「在来屋」も出店

今度は食べやすい3口サイズの「いろり五平」を考案 なんと1000本を完売したという

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追加:恵那駅前「あまから本舗」の玉五平

(2011・1・15 店頭写真追加 2011・3・7)

土岐アウトレットの帰り道 時間があったので恵那駅前の五平餅屋を探索

運良く「あまから本舗」をみつけた 細い道に面した大きな窓に焼き場

ガラス越しのお母さんは 馴れた様子のカメラ目線

店内は懐かしい駅前食堂の雰囲気

なお周辺は駅前の整備からは忘れられた存在で 中には木造3階建ての旅館らしき建築もある

伝統の玉五平はクルミだれの容器にドボンとつけ 注文が入るのを待っている

焼き場周辺には白い上着の3人のお母さんが立ち働き

手際よく包んでお持ち帰り用 1本90円

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阿南町新野「蔵」 飯田駅前店

(2012・2・26)

しばらく前からJR飯田駅前に常設店がオープンしている

幣束御幣餅と名づけられ 奥に休憩所があり そこで食べることが可能

大きさは2種類あって 大五平餅 400円(下240g)は さすがに箸で食べることになる

七福御幣餅200円(上80g白焼き状態) タレはクルミだれ・山椒味噌・ねぎ味噌から選択

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追加:第5回 丘のまちフェスティバル・在来屋の「なみき五平」

(2011・11・3)

たびたび登場する在来屋さん 昨年同様の変り種五平だが あらたに「なみき五平」と命名

白焼き中の「なみき五平」 今年は1500本の完売を目指すという

不揃いなところに手造りの味わいがある

紙コップはあつかいが楽  ほぼ3口で終わる食べやすさ むしろ醤油味が効いているので

ビールにもあいそうな感じ もはや定番の五平餅として 認知されつつある雰囲気

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追加:なみき五平「在来屋」 常設店OPEN

(2012・2・1)

平成24年1月13日 今までウォッチングしてきた「在来屋」が ついに常設店舗を出店の運び

りんご並木東側 もとの紙問屋・中村徳次郎商店のビル

現在商工会館解体工事中のため飯田商工会議所が入居 その駐車場部分

そこに独立建物を嵌め込んだスタイル 店舗兼厨房ではいつもの焼き場風景

4・500本は売りたい と結構強気なコメント さっそく包んでもらって 一部を食べながら動物園方面に移動

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在来屋五平餅・新商品情報

(2012・11・22)

第5回 南信州獅子舞フェスティバル 店頭風景

右は在来屋の五平餅 新商品2種 いずれも竹の割り串を使用して

左がクルミ五平 2本320円 右がワラジ五平 2本250円

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追加/ストアー牛草・店舗近況

(2013・8・11)

飯田下山線の坂を上る右側 手造り五平餅をうたう「ストアー牛草」

オジイちゃんが亡くなって 通るたびに あの気の強いお母さん元気かなあ と思っていたが

このたび日除けテントの新調を確認して 久しぶりに寄ってみた

店に入ったら 先客は50本のお持ち帰り お母さんは相変わらずで

手伝いの娘さんと店を再開したと言っていた 無理やり調理場を覗いて

銭形を造る樹脂製の型まで見せてもらった

短い串は開店当初からで 宅配便でコンパクトに納まるように特注しているそうだ

焼き上がりの熱いのをフーフーいいながら これまた熱いお茶をすすって30分ほど話をきくことができた

 

在来屋新店舗と新開発・リニア飯田駅弁

(2014・10・9)

本町側の新店舗に移設 新しく考案の日本一早く発売のリニア新幹線用駅弁を

松尾社長に無理やり1個のみ作ってもらって試食の時間

3本の五平餅と信州牛のスキヤキ風 塩イカときゅうりの和え物 小梅と高菜 郷土色満点

さてこれをどこで食べようか と思案して 上郷のJR線上の田園神社へ

リニア飯田駅の予定地附近を見下ろしながら 境内の石垣に座って食したのであった

 

中津川・喜楽の玉五平 出張販売

(2016・10・9)

たまたま大型店ジャスコで中津川物産販売

その一角 喜楽の五平餅は恵那・あまからと同じ 3玉刺しの東濃スタイル

とりあえずオヤツに2本求め帰って試食 1本140円とやや高め

 

五平餅在来屋新商品

(2017・5・25)

飽くことなく進化を続ける在来屋さんが またまた新商品を販売

前日予約を入れたが 先客が2人いて店内の観光パンフレットを見ながら待機

左から肉巻き 豚と牛が3本づつ さらに右がコロッケ3本

五平餅というには無理があるが食感はなかなかで 歩いて食べるには良さそうだ

 

蔵の珈琲屋・御幣餅

(2019・7・14)

川路の旧かぶちゃん食堂にオープンしたボンマンジェ天龍峡

そば処・小木曽製粉所の一角に飯田駅前の蔵の御幣餅が移転

というか蔵の珈琲屋がフランチャイジーとして そば処を運営しているようだ

御幣餅のメニューは変わっていない そばを食べつつ御幣餅も という人を多く見かけた

飯田駅前の旧店舗は「たこやきハウス デコちゃん」と名前を変えて営業

メニューには そば粉入りそば五平だんごが2種類ある

 

およりてファームの土産五平餅

(2019・9・1)

農産物直売施設およりてファームでの五平餅売り場 右は喬木村・竹や製

高森町の野の花亭 普段使いで日常的にも購入されている様子だ

在来屋のくるみ五平は お茶菓子の方向性が強い

同じく在来屋の真空パック入り 左が1本入り 右は2本入り

 

本日休業ストアー牛草

(2019・9・29)

アップルロードへの下山線は頻繁につかう道路 その坂に入る手前の五平餅屋・ストアー牛草

手土産に よく使わせてもらったが

通るたびに気にしてみるのだが このところ休業の札ばかり

グルッと店の周りも見たのだが どうもひっそりとした感じだ

高齢のお母さんが切り盛りしていただけに いささか心配ではある

 

復活!ストアー牛草

(2020・4・19)

いつの間にか営業再開の様子 注文の電話を入れたら 前のように元気な声が響いた

聞けば近くで交通事故に遭って骨折 リハビリ含め 3ヶ月ほど休業したという

それにしても不死身の お母さんだ ただ五平餅は以前とくらべると 2回りほど小さくなった印象

 

五平餅在来屋移転

(2022・6・2)

長らく本町の いこいこ横丁入口で営業を続けてきた五平餅の在来屋が移転

馬場町の社長自宅に店舗を併設したようで

5月20日より営業を開始 もはや卸がメインだというが 一応店頭販売もつづけると 松尾社長

 

 

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