大門町・加藤歯科医院

 

新敷地既存建物解体

大門町の加藤歯科医院は主治医でもある

11月中旬 フルーツラインに面した土地を取得 既存木造平屋の解体を依頼された

数社の見積もり合わせで業者を選定

12月中旬に完了 続いて設計も依頼されたので 松本の業者による地盤調査を行なった

 

敷地は将来幹線が予定される4車線道路の角地に面している好立地ではある

ただ北側道路であり 朝のうちを除いては つねに逆光状態 建物の見え方としては苦しいものがある

しかも隣接家屋が入り組んでおり 地形(じがた)も宜しいとはいえない

おまけに道路に接する地盤の高低差は60cmある 当初から施主の意向は現医院の脇に入り口を設け

完成後にを既存3階建物を解体し あらたに住宅を新築するという方向で 以後計画を進めることになった

以上の地形・高低差の条件の中で 建物の機能を満足させ 主要道路にふさわしい造形デザインを

追求するという なかなか難しい作業となった

 

計画案模型

施主の要望は日本瓦の和風イメージであり そこから ヒントをえて

年が変わっての1月末 大まかな計画案をつくることができた

それに基づいて 厚さ2mmのスチレンペーパーにより1/100模型を作成した

パーツを切り出して組立て

ほぼ1週間の時間をかけた

後日 同様に住宅についても 模型を作成したが 2mmのスチレンペーパーが入手できなくて

3mmでの模型作品は少々見栄えがよくなかった

 

実施設計

12月開院という当初の予定に 6ヶ月の工事期間を逆算 積算および業者選定時間を考慮して

4月一杯に設計を完了し 6月着工 という タイトなスケジュールを課すこととなった

平面は4台の歯科ユニットを配置 広い待合室を東側に 裏の西側にバックスペースを配置している

立面は日本瓦葺きの大屋根とし そこからカラー鉄板で待合室上を流し 北側は敷地一杯に3角の陸屋根とし 防水の屋上とした

4社に見積もりを依頼したが いずれも予算をオーバー さらに住宅の計画が自分自身納得するものができず

施主に報告した それまでにも工期や細部について次第に施主とのジェネレーションギャップが露呈していて

ついに設計士解任を宣告される という事態になってしまった

ただ設計デザインについては そのまま使用してもいいか といわれ 構いません ということで設計・工事監理の業務から

離れることになった その際 現状では現建物の居住性に勝る住宅の計画は非常に難しい点 今後の周囲の敷地状況も

時間とともに変わる可能性もあり 必ず建築の時がくるはず と現建物を解体せず しばらくはそのままで

利用すべきであることを 強く進言しておいたのであった

*

出来上がった建物の外観は 4ヶ所において 原設計と異なる部分がある もちろん承諾した以上

何も文句は言えないが いずれもデザイン的に気になる部分 ネットの上での弁明だけはしておきたい

1 北側立面 切妻上部が間が抜けそうで 換気用のガラリを配置したが省略               

2 瓦屋根棟部分 中規模地震で棟が壊れるケースが多いので低い棟としたが 適当な棟換気部材が

みつからなかったか 一般的な高い棟としたようだ 瓦ではなく板金でつくる方法がある     

3 瓦屋根東側軒先部分 一文字瓦の軒先は施工上難しいところで 設計より上部で止めてしまった

4 ポーチ柱は鉄骨の丸柱を考えていたが 一般住宅のような製材の角柱となっている         

2018・3・27

 

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