景観探偵:天空ビルの正体

先日の建築史ワークショップの段丘景観ツアーにおいて 参加者の浜田さんが

鼎中平から鼎橋へ向かう時 正面のビルが空中に浮いて見えることがある

との体験談 天空ビルは大げさだが ちょっと不思議に感じたことは確かにある

ただそれはクルマを運転中の一瞬のことで 今回それを確認すべく歩いてみた

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その前に段丘へ向かう 6本の道路景観を並べてみた

道路のロングビスタとCFO(Central Facing Object 正面景観対象物)の存在に注目する

左は国道256号 切石に入る部分で大きく曲がりを繰り返し ロングビスタは望めない

中は知久町中村線のJR陸橋附近 この先新久米路橋までに やはり右左と曲がる

右は久米路橋にいたる青木線 ロングビスタは続くが段丘上の CFO が目立たない

左が鼎中平から 中はJR鼎駅脇を通って松川へ向かう道路

右は水の手橋へ向かう道路 いずれも CFO が見受けられない

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そこで鼎中平の道路をたどってみた (2013・1・27pm3:32) なお写真はいずれも70mm程度の中望遠

鼎中学校前からスタート ビル群までの距離は約 970m 標高差は 約27m

この先で下りがきつくなり

50mほど進み 1mほど下る

さらに50mほど進むと交差点 ここで約31mの標高差

交差点からやや右折して法蔵寺入り口の坂 さらに2m下がって JR飯田線踏切へ

鼎小学校グランド前 ビル群との距離は670m 標高差は35m

交差点を過ぎて さらに下り 距離520m 標高差は37m この先で道路はやや右折

周囲の建て込みとその影が額縁効果として利いてくる

この先の道路の右へのわずかな曲がりと 傾斜の増加に とくに留意したい

下りはややキツくなって いくらかの俯瞰効果もある 交差点までほぼ真っ直ぐ

このあたりが ビル群の印象が強まるところか

信号に向かってさらに下る いつもは邪魔な電線も ここではパースペクティブを強調していて

ビルとの高低差感が増しているような気がする

この先の信号がもっとも低いところ 道路はここから上り坂 鼎橋を渡って愛宕坂を上っていく

道路左側は建物がなくなり 額縁効果はやや薄くなる

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以上にくわえクルマの場合は上下方向がフロントガラスの額縁効果でより強調されそうだ

また季節や時間に応じたビル群への太陽光線の当り方 あるいは道路上の建物影の占め方などが

かなり影響しているのではないか 今後注目して観察していきたい

2013・3・5

 

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