智留彦スプーン放浪記 お気に入りの3本
今から30年以上も前 銀座の松屋で2本のスプーンを購入し 以来使いつづけてきましたが
長男 次男がそれぞれ新生活を始めるにあたり1本づつアパートに置いてきました
ところが私自身の食生活がどうもすっきりしません
「もう一度気に入ったスプーンが欲しい」と探し求める日々が始まったのです
no.1
もしかして松屋にあるかもしれない
しかし あったのはヘンケルのものでした
写真ではよくわからないですが 全体に大柄なのです
サジの部分が大きすぎるのです
no.2
ユニー系列のショッピングセンター「アピタ」でみつけました
あまりにも直線的かつ幅の広い柄は非常に使いにくいのです
やはり人間工学を無視してはいけません
no.3
そこで柳宗理 いいデザインじゃありませんか 松本のインテリアショップで購入
ところがサジの凹みが深すぎて 食べ物が残るのです 洗うときも気をつけなきゃいけません
意識してきつくこすらないと汚れが残ることがあります
先端がたいらですと凹みの中心が前方にきて 凹みの角度が強くなるからです
スプーンで「食す」という行為からみると素直なデザインとはいえません
no.4
どうですオシャレなもんでしょう 「自由が丘 私の部屋」伊那店で求めました
意外にこれが使いやすいのです スープには向きませんけどね
ポタージュなら大丈夫 シチューには縦にしてナイフ代わりの使い方で便利
2本をラッピングして ちょっとした手土産に好評です
no.5
アルネ・ヤコブセンのデザインにもありましたね このカタチは
柄の曲がりが大きいこと つかむ部分が幅広くてしっくり来ません
蓮華に似たスタイルだから マーボー豆腐あたりの中華料理にはいいのかもしれません
no.6
無印良品のスープスプーンです 真ん丸いサジのかたち
冬になってポトフにはいいのかも いずれにしてもコンソメ系ですね これは
no.7
これは大きく重いスプーンです 代官山駅前のインテリアショップでみつけました
ドイツのものらしいけど 皆さん口が大きいのでしょうか
いかにもそれらしく質実剛健なスタイル 使うのにも勇気が必要 とは大げさでしょうか
no.8
同じショップで購入したタイ製のスプーン
サジの大きなわりには曲がったキャシャな柄 なんとなく昆虫をイメージしてしまいました
細くて丸い柄は安定感にかけるところがあります 左右にゆれるんです
つまりバランスがとれないんですね
no.9
柳先生 これはないんじゃないですか
ここまで極端に先端をひろげちゃいけません しかも深すぎる
もっと柄を大きく曲げてレードルとしてならば使えるけど
日本人の口には無理じゃないでしょうか
no.10
けっきょく このオーソドックスなかたちがいいのでしょうか
コンランショップでみつけました
それにしては柄の先端部の幅の広さが気になります
これだけ広いと重くなって全体のバランスがよくないように感じます
我ながら文句が多い
no.11
柳宗理の3本目です 前2本にくらべマイルドになりました
サジ先端はより丸くなり 凹みも浅くなりましたでもやっぱりしっくりきませんの
柳先生のデザインはいまでも人気がありますが
先生にはわるいけど そもそもこのスタイルは無理なんじゃないでしょうか
no.12
そうこうしてるうちに見かねた長男が帰省した折 スプーンをかえしてくれました
「うーんやっぱりこれだな モダンデザインは」とためつすがめつ眺めるのです
まあどうでもいいといえばどうでもいいことなんですが
no.13
番外に オリエンタルカレーのスプーンもたまにはいいでしょう
いわゆる「海の家 ライスカレー」にソースをぶっかけて食うのです
2002.7.24
no.14
その後 わりと小ぶりなスプーンをみつけました
長男が返してくれたno.12によく似た形
2003.1.20
no.15
最近松屋で手に入れた 剣持勇先生のデザインスプーン
これは品が宜しい 柄の太さのかわりかたが美しいし
サジにつながるところの細さが艶めかしい
2003.6.28
no.16
名古屋のショップで見つけました
タイのものに似て柄の断面はほぼ正円 ヘアライン仕上げで滑ることはありません
匙部分は小ぶりでなかなかオシャレ
2003.11.23
no.17
先日、所用で上京し池袋西武イルムス館で
アルネ・ヤコブセンの有名なデザインスプーンをみつけました
なんと1本2000円 それはないでしょう 1000円以上はレッドカード
で同じく池袋パルコのフランフランでその1/4の値段の2本を求めました
上のものはデザインがちょっと未消化
サジの後半部がボテっとして美しくありません
それに狭く深すぎます
no.18
ステンレスのミラー仕上げは3本目
華やかでいいけどキチンと磨いてないと逆につらい
家庭での使用には異論があるんじゃ
形はよさそう 欲をいえば柄の折れ曲がる位置が
もう少し前方だとさらにバランスがよい気がします
2003.12.28
no.19
松本のインテリアショップ「スタンダード・スタイル」に
新しいスプーンが入荷していました
直線的なフォルムのミラー仕上げ ちょっと使いにくそう
no.20
もう1本は柄にポストモダン風な四角の凹み
分厚く重いのが第一印象
2004.3.7
no.21
以下4本は「びゅく仙」さんの関西旅行土産
no.22
先端が爬虫類的
no.23
ストレートな柄 ちょっと太いでしょうか
no.24
微妙な違いですが 使いやすそう
2004.8.27
no.25
軽井沢アウトレットのボダムで求めた2本です
メーカー名としてbodumの刻印
上は代官山のショップでみつけたno.7とよく似ていて 大柄
no.26
幼児向けのプラスチック・スプーンにある形
柄は中空らしくて意外と軽いけど これで何を食べたらいいか思い浮かびません
2004.9.21
no.27
匙の部分がちょっと長く 馬面とでも言いいましょうか
no.28
3000円弱の値段 スェーデンのゲンザ ひし形の匙のかたちに特徴
しかし幅があり過ぎて 柳宗理の1本目と同様 使いにくいのです
2004.9.27
no.29
先回の高い買い物を反省しましたが 同時にこの放浪記にも汐時を感じました
そこでまたまた上京を機会に意を決して西武イルムス館を訪ね
アルネ・ヤコブセンのスプーンを求めることにしました
さすがに品は良いですが 柄の幅広さには使うのにちょっと抵抗感
no.30
さらにそこで現代建築の鬼才ジャン・ヌーベルのデザインものを見つけ
迷ったあげく購入したのです
上と同じくGEORG JENSENの製品で木の葉形
たしかに仕上もいいですが値段もよろしいですね(それぞれ税込2730円)
それにしても あの堂々たる体躯に見合った大振りさ
2004.10.17
すでに30本のスプーンが手元に集まりました
そこでお気に入りの3本を選んでみたのですが
はからずも日本の食文化を考えることになってしまいました
カレー系、チャーハン系にも使う日本のものは
口の中に入れるスプーンとして どうしても小ぶりになってしまいます
逆をいえばスープ専門の欧州型は大きくなるし 柳先生のデザインにも納得できます
むしろスープに縁のない日常生活の貧困さをさらけだしてしまったようです
豆・フレーク系の多い新大陸のものはどうなんでしょうか
時系的にも幼少のころはスプーンには小ぶりものはなかった気がします
なんだか美大の卒業論文になりそうなテーマになってしまいました
(完)