オール読書日記 2002年下半期
12月31日(火) C
「『ローコスト住宅』が危ない」 小林一元 (株)エクスナレッジ 1500円
住宅不況の中でローコストをうたった住宅が増えている。設計事務所の所長が
その経験をもとに、基礎から木工事、設備まで、その内容を吟味していく。まあ
大方その通りでしょうよ。さあ今日で今年も終わり、来年もいい年にしたいもの。
12月30日(月) C
トコトンやさしい「錆の本」 松島 巖 日刊工業新聞社 1400円
錆イコール腐食だそうだ。たしかにやさしくは書いてあるが、そもそも錆を防ぐこ
とがこんなにも難しいものとは。したがってやさしくはないのだ。ようするに電気、
電池の問題なのだ。いままでメッキすればOKと考えていたがとんでもない話。
12月29日(日) B
「SENTO」廿世紀銭湯写真集 町田 忍・監修 大沼ショージ・写真
(有)DANぼ 7350円。東京時代は風呂無しアパートだったから、あちこち
の銭湯にお世話になった。いろいろと思い出多いよなあ。全国 2000軒以
上を訪ねたという銭湯研究家の監修による全編カラー写真集。岐阜県関市
は平和湯の、男女隔壁に開けられた石鹸受け渡しの穴に笑ってしまった。
12月28日(土) B
「奥三河自然讃歌」 横山良哲 風媒社 2000円
昭和21年生まれ、高校生物の教職を終え、鳳来寺山自然科学博物館長を兼
ねる住職の、新聞連載。カラー写真は的確で、自然に対する優しさがあふれる
文章。その懐の深さは羨ましくなるほど。スローライフというのは、まさにこれ。
12月27日(金) C
「地名の読み方に強くなる本」 田中つとむ (株)データハウス 1200円
地名、苗字というのは、はまりやすいものなのか。そもそも苗字は地名から生ま
れたものらしいが、難読地名の由来を考える試みである。でも覚えちゃったほう
が早いんじゃないのかね。得意げに説明する著者の様子が眼に見えるようだ。
12月26日(木) C
「タレント文化人150人斬り」 佐高 信 毎日新聞社 1300円
悲しいまでに品性下劣な男である。品位のかけらもない雑誌 (ただし必ず立ち
読みする)「噂の真相」に、現在も連載されているものだというけど、面白いのは
事実である。しかし、あれほど罵倒された日垣隆について、何故書かないのだ。
12月25日(水) B
「ネイチャーゲーム4」 J・B・コーネル M・デランジャ 柏書房 1748円
自然との対話、動植物との対話を教育としてすすめるネイチャーゲームも4巻
目。自分のお気に入りの場所 「SITE」で、独り一晩過ごすことが、その最後の
ゲーム。自然との感動体験、わからんでもない。1997年第2刷発行という本。
12月24日(火) C
「コンピューターは名人を超えられるか」 飯田弘之 岩波書店 1100円
チェスではディープ・ブルーの勝ち。持ち駒の再利用など推論の難しさと、限り
あるパソコンの能力でも、あと10年で名人に勝つと予想の、将棋プロ6段にして
工学博士の静大情報学部の助教授。そのアルゴリズムの進歩を熱心に解説。
12月23日(月) C
「オールド・ノリタケと日本の美」 大賀弓子・編 平凡社 2800円
虎ノ門、大倉集古館の収蔵品とオールド・ノリタケの共演だそうだが、大間違い。
デザイン的に完成された江戸の文物と、むしろ欧州のデザイン以前の写実を求
めた図柄の陶器との対比には違和感。アールヌーボーの時代に江戸文化を知
り、20世紀のデザインが生まれたということが、解っているとは思えないのだ。
12月22日(日) C
「ぶつぞう入門」 柴文ふみ 文藝春秋 1381円
「オール読物」に1年余、連載されたもの。漫画家らしくスケッチと5星採点つき。
奈良、京都、近江、東北、鎌倉の仏像を訪ねる旅。紀行文の常識、適当にフザ
けた文章を会得しているが、内容は、みうらじゅんの方が面白かった気がする。
12月21日(土) C
「東京の仕事場」 木内 昇 ギャップ出版 2000円
「Spotting」という季刊インタビュー誌があるという。その編集長による、いわゆ
るクリエーター達の仕事場訪問記だ。今、売れっ子の若者たち。彼らの行く末
を心配するのは、年寄りのお節介というものだ。幸運が続くことを祈っている。
12月20日(金) B
図解雑学「忠臣蔵」 菊地 明 ナツメ社 1300円
12月14日を過ぎたというのに忠臣蔵づいている。例によって図解の必要性は地
図をのぞいて、まったくない。ただ内容は史実にもとづいて、1頁毎にまとめられ、
きわめてわかりやすい。いままでの忠臣蔵本の中では、一番のような気がする。
12月19日(木) C
「水道水にまつわる怪しい人々」 湯坐博子 三五館 1400円
浄水器の販売にかかわった判事出身の弁護士が、日本の水道水の塩素をはじ
めとする危険性を指摘。ところが本の内容は、浄水器をテストした国民生活セン
ターとの、上告でも負けた裁判記録が長々と続くのだ。なお著者の姓のザは第2
水準にも無い、「坐」の上左の「人」が「口」の漢字だ。日常的に困ると思う、同情。
12月18日(水) C
「よい煙わるい煙を科学する」 矢田貝光克 中経出版 1300円
木材関係が専門の農学部の教授による煙の話。しかし内容は必ずしも煙だけで
はなく、なんだかよくわからない感じ。つまり無理矢理、本にまとめたという印象。
著書はけっこう多いらしいが、これは著者の責任か、あるいは編集者の責任か?
12月17日(火) D
「竹炭」 荒賀 隆 本の泉社 1200円
109頁の薄い本ながら、しっかりした値段をつけている。炭の環境における有効
性については、あちこちで言われている。竹の炭は、木の炭よりも効くらしいが、
もう少し科学的にのべていただきたい。これじゃ、そこらの週刊誌の記事と同じ。
12月16日(月) C
「忠臣蔵夜咄」 池宮彰一郎 角川書店 1400円
1923年生まれ、映画脚本家としての経歴、10年前の「四十七人の刺客」で小
説家でデビューという遅咲き。そこでの資料集めから、独自の解釈を語り出す。
さらに後半は、同様に忠臣蔵本を書いた人たちとの対談収録。おもしろ感なし。
12月15日(日) B
「海底宮殿」 木村政昭 実業の日本社 1700円
世那国島に海底遺跡で発見のニュース。これは琉球大教授によるその後の研
究成果。その遺跡は地殻変動により水没したもので、時代的には1万年前のも
のだという。それが秦の始皇帝が探した蓬莱だという推測や、あるいは沖縄のニ
ライカナイ伝説、水没したムー大陸と、どんどんとエスカレートしていくのである。
12月14日(土) A
「海野和男とクラシックカメラ」 海野和男 人類文化社 3600円
昆虫写真家のクラシックカメラ実写編。一眼レフは接写で、距離計カメラは風景
写真がメイン。ソ連のカメラまで相当なコレクター。若いころ使ったカメラは最早
クラシックカメラなのだ。しかもカメラの姿自体はデジカメで撮影だという現実。
12月13日(金) C
「信州の湖紀行」秘められた湖沼100選 窪田文明 郷土出版社 1600円
長野県内の北から南まで、湖・沼・池を紹介する松商高校の先生。やはり、これ
も北と東にかたよる傾向がある。水辺に語り継がれる歴史ロマンを美しい写真で
みせる。が、むしろ筆者によるものと思われる手描の素朴な地図が良い雰囲気。
12月12日(木) B
「図説 ヴィクトリア朝百科事典」 谷田博幸 河出書房新社 1800円
19世紀前半からの英国ヴィクトリア女王の御世こそ、産業革命が進行した黄金
の世紀。日本でば江戸末期やはり文化の爛熟した時代、共通性があり面白い。
そこで流行した事物の紹介ですべてが写真あるいは図版入りでわかりやすい。
12月11日(水) C
新日本読書株式会社「注文の多い活字相談」 本の雑誌編集部 ・編
本の雑誌社 1500円。WEBB本の雑誌「読書相談室」に掲載されたものが
順不同で並ぶのだ。相談する方も答える方も爪をむきだしての、本の物知
り談義が続くのである。とても、乱読図書館派が出る幕はございません。
12月10日(火) C
「鉄道物語」 佐藤美知男 河出書房新社 1400円
1948年生まれの交通博物館学芸員による鉄道よもやま話。対象は鉄道ファン
というよりも一般中高年で、高度成長時代の鉄道の思い出さがし。今は昔の風
景はたしかに懐かしい。そうだったよなあ、とひとときの感慨にひたるのである。
12月9日(月) C
「商標のすべてがやさしくわかる本」 飯島紳行 すばる舎 1800円
弁護士の書いた商標(ブランド)に関する本。初心者向けにやさしく解説と、ある
がやさしくない。とても一般人に向けた本ではなく、会社の管理部門に廻された
人が勉強するための入門書という感じ。で、ただただ無感情に読んだのである。
12月8日(日) C
「東京喫茶店案内」 沼田元気 ギャップ出版 1800円
もうこの男のすべてが嫌いである。ところがけっこうな人気なのだ、とくにインテリ
女性には。Genquiとフランス風に綴るのも気にくわない。なら、読まなきゃいいの
に目をつけるところが良いんで、つい手にとってしまう。東京のレトロ喫茶店案内。
12月7日(土) B
「三鷹の森ジブリ美術館」 (財)徳間記念アニメーション文化財団 価格不詳
井の頭恩賜公園、自然文化園に接する、あの美術館の図録。建物、インテリア
展示を、宮崎駿の自身の言葉で語る。驚くべきは、そのつくられかた、昔の普請
そのものなのだ。時間をかけていい材料を選び、手間をかけて仕上ていく。必然
的に時間の経過に耐えうる出来となってくる。まさに理想的なモノづくりである。
12月6日(金) C
「my made 表装」 赤岩保元 文化出版局 1500円
これは伝統的な表装ではない。あくまでも、自由なインテリアのエレメントとして
の絵や、書のディスプレイ。「和」が人気であるが、置かれ、あるいは掲げられて
いる空間が、またお宜しいの。コンクリート打ち放しやら、昭和初期の住宅など。
12月5日(木) C
「江戸のまかない」 石川英輔 講談社 1800円
大江戸○○シリーズを続けているらしいが、これは大江戸庶民事情の副題だ。
ただ内容は江戸文化の紹介というよりも、江戸庶民礼賛といった雰囲気。著者
紹介がないので、推測するしかないのだが、ちょっと上くらいの頑固オヤジか。
12月4日(水) C
「これからの戦争・兵器・軍隊」下巻 江畑謙介 並木書房 1800円
昨日のつづきで、日本自衛隊の現況と、RMA自体の問題点の指摘から、逆に
RMAへの対抗策とテロについて。ここらからは、なぜアメリカがあれほどイラク
攻撃に固執するかが、理解できるのだ。さらにはミサイル論、市街戦論と落ちの
ない概論だが、さてここで対象とする読者は、誰なんだろうとも思ってしまった。
12月3日(火) C
「これからの戦争・兵器・軍隊」上巻 江畑謙介 並木書房 1800円
「RMAと非対称型の戦い」の副題。I Tの伸展により軍隊の世界で大きな変化
がおこっているらしい。それがRMAと呼ばれるもので、前半はそれができる唯
一の国アメリカにおける現状報告。後半のその他の国の現況説明は退屈だ。
12月2日(月) B
「日本百名道」 須藤英一 大泉書店 1300円
「百名山」があるとおもえば、今度はこれだ。 バイクライダーのカメラマンらしい
が、こういうのは先に言ったもの勝ち。基本的には景観の良さ、パノラマが選択
理由か。アメリカンバイクでのんびり走れば最高だろうナ。マップ付の保存版。
12月1日(日) B
「退屈論」 小谷野 敦 弘文堂 1800円
「小人閑居して不善をなす」というが、そもそも人間は退屈する唯一の動物であ
り退屈をなぐさめるためにはなんでもする、というのだ。なんという博識か、古今
の書物から退屈の種をさがしだす。しかし前半と後半では、話が違うような気が
する。半分賛成で、半分疑問符というところ。しかし、刺激的な読み物ではある。
11月30日(土) C
「裏街道をゆく」 嶋 丈太郎 文芸社 1400円
以前、紀行文の難しさを書いたが、今回は東京ほかの主要な繁華街を、編集者、
カメラマン、スケッチの画家の4人で歩くという企画。はじめのうちは、その脱線に
次ぐ脱線と、蛇足の多さに「なんじゃこれは」と思ったが、読み進むうちに「なるほ
ど、こういうものなのか」と思うようになってきた。週間朝日に、今も連載だという。
11月29日(金) C
あなただけの「巻物・折り本づくり」 藪田夏秋 日貿出版社 2000円
ちかごろ絵手紙づくりが流行っているが、これはそんな作品を巻物にしたり、折り
本にするための教則本だ。けっこうカルチャースクールなんかで習う人も多いら
しい様子。でもこりゃ実際に現物でやってみないと、わからないんじゃないかな。
11月28日(木) D
「『世界で一番あわれな』日本男性」 弘兼憲史 新講社 1300円
なんだこりゃ。今の中年男性と女性をくらべ、元気の無さを延々と語るのだ。同じ
ような本を出しているようだが、書いてて面白いのかいな。はじめてこの人の本を
読んでみたが不愉快で気分がわるくなった。こういう本は断固ボイコットすべき。
11月27日(水) C
ブックス・エソテリカ「古武道の本」 学習研究社 1200円
秘伝の奥義を極めた達人たちの神技。剣術、居合術、薙刀・槍・棒・杖術、弓術
柔術、合気系、空手の古武術の解説だが、期待はずれ。編集者が武道を知らな
いせいか臨場感なし。今に伝わる古流の師範達の、蘊蓄を聞きたいのですよ。
11月26日(火) C
「実録 住宅事件簿」 日経ホームビルダー・編 日経BP社 1800円
住宅建設技術者のための実務情報誌「日経ホームビルダー」。そこで連載され
た住宅建設に関するトラブル25の実例。いずれも、法廷での争いになったもの
である。けっこう技術的にも詳しく説明しているが、常識のレベルであるものも。
11月25日(月) B
「環境と健康」 安井 至 丸善 1700円
誤解・常識・非常識 信じ込んでいませんか?というのが副題。先生と2人の学生
の鼎談というかたちで52の誤解を冷静に検討していく。とくにリサイクルについて
はムードを戒め、その有効性を辛口評価。終わりに近くなりさらに面白く、アメリカ
という国を、エネルギー消費量の多さ、平均寿命の低さから、開発途上国と断定。
11月24日(日) C
「方言の地図帳」 佐藤亮一・監修 小学館 2500円
1991年に刊行した「方言の読本」の改訂版。今回は日本地図の上に方言の分
布を記号であらわしたもの。さらにはCDで「お国ことばで聞く桃太郎」付き。ここ
信州南部の方言も、だいぶ無くなりつつあるが、そういえばと思い出すものあり。
11月23日(土) C
「山田美保子の全お買い物」 山田美保子 小学館 1200円
「日本一のだまされ上手」という副題付で雑誌「DIME」に現在も連載中とか。ブ
ランド品から通販グッズまで、買い物中毒を自慢する放送作家である。そこには
「癒しとしての消費」を、はるかに超えたものがある。これじゃストレスじゃないの。
11月22日(金) C
「赤線跡を歩く2」 木村 聡 写真・文 自由国民社 1700円
でてくるのは関西だけだから、「PART1」が関東の遊郭、赤線なのかいな。先日
わが飯田市の遊郭、二本松地区の「久保田楼」が解体されるとの報道。当時の
記憶はほとんどないが、特長ある建物には独特の風情が。そんな風景が満載。
11月21日(木) A
「小布施ッション」 セーラ・マリ・カニンガム 日経BP出版 2500円
来日11年、小布施堂・桝一市村酒造場の取締役の金髪美人。主催した1年間
12人の講演記録。こういう講演集は好きではないけど、さすが編集工学・松岡
正剛の弟子だけにスキなし。もう全国的な有名人だが、今後の興味は小布施を
離れる時が来るかどうか、普通の講演屋には、なってもらいたくないのだが…。
11月20日(水) D
「アポロってほんとうに月に行ったの?」 エム・ハーガ 朝日新聞社 980円
芳賀正光というのが、この著者。現在アメリカでは話題となっているらしく、今朝
の新聞にも出ていた。当時の映像のおかしな点を指摘しつつ、オレは知らないよ
という態度。オレもどうでもいい。今は亡き同級生の部屋でTV中継を見た記憶。
11月19日(火) C
「聖なる出会い」 代田恵子写真集 南信州新聞社 1000円
わずか61ページの写真集。最初の写真「雲の上の風越山」でオヤッと思い、あと
がきを開けば、飯田の住人の地元新聞社からの、自費出版だった。なにが聖なる
出会いかは不明ながらも、その多くは雲の写真。どうも感動しやすい人のようだ。
11月18日(月) D
「信長の朝ごはん 龍馬のお弁当」 俎倶楽部編 毎日新聞社 1333円
男女5人のライターが俎(まないた)倶楽部を結成し、歴史上の有名人の食べ物
に関するエピソードを拾い集め、101編にまとめたもの。古代から明治、大正ま
での各時代。寝ころんで気楽に読める肩のこらない読み物だが、ただそれだけ。
11月17日(日) B
「銭の考古学」 鈴木公雄 吉川弘文館 1700円
バブルの真最中、ビル建設のための発掘調査の依頼から、六道銭の研究を、さ
らには中世、古代の銭の流通に関して研究の道を開いた慶応大の先生。その時
代の雰囲気がけっこう伝わってくるのは、経済という性格ゆえか。意外と面白い。
11月16日(土) C
「おじさん自転車革命」 長尾藤三 五月書房 1400円
1941年生まれの自転車小僧の元CMプランナーだとか。大型バイクから自転車
へ、という経歴は同じだ。しかし60を過ぎたというのにモノへの執着は相当なもの。
デ・ローザのフレームを自慢するあたり、まだ現役の匂いがプンプンの趣味人だ。
11月15日(金) B
「美食進化論」 辻 芳樹・木村結子 晶文社 1600円
辻料理学校の校長と美食を訪ねる旅。ハンガリー、フランス、スペイン、アメリカ
とフランス料理の太い線から、一歩前に出ての「あたかも芸術を楽しむが如き」
感性を楽しむ、美食の将来像を予言するのだ。辻はそのアドバイスという立場。
11月14日(木) D
「SMアンダーグランド」 入江吉正 バジリコ(株) 1600円
話題となった「ルーシー・ブラックマン失踪事件」、それを想起させるSMの世界
の話。ノンフィクションというのだが、どうもフィクションくささが拭いきれない印象
を受けた。個人の趣味を、どうこう言うつもりは全くないが、後味はよろしくない。
11月13日(水) C
「辞書の図書館」 清久尚美 駿河台出版社 3800円
所蔵9811冊と豪語する、辞書の事典だ。もちろん書名を読むだけだが、それ
でも3日かかった。ところどころで読んだ事典に出くわすが、むしろ興味は世界
の全ジャンルを、どう整理するかにある。まあこんなもんかなあ、というところ。
11月12日(火) B
「なぜ、メールは人を感情的にするのか」 小林正幸 ダイヤモンド社 1400円
書名よりも「Eメールの心理学」の副題どおりの内容。教育心理学者が分析す
る、現代社会とそこにおけるメールの意味付け。さらに携帯メールの身体性を
語るが、局面的な人間関係を、いかに全人的に拡大するか、の答えがほしい。
11月11日(月) D
「世界で一番おもしろい世界地図」 おもしろ地理学会・編 青春出版社
514円。地図帳ではない。127の大疑問と称して、地理の雑学をコラム化だ。
あいもかわらず、この出版社らしく大げさなことをおっしゃる。そりゃまあ多少賢
くはなるけど、とても「世界で一番おもしろい」はないでしょうが。30分で終了。
11月10日(日) C
「ピーターラビットの謎」 益田朋幸 東京書籍 1600円
ビザンチン美術を専門とする女子美短大助教授が、キリスト教図像学の立場
から、ピーターラビットの物語を読み解く。ビザンチンからルネッサンスの勉強
にはなるが、ピーラビと結び付けるのは、あまりにもこじつけが多すぎる印象。
11月9日(土) D
たちばなファンタジアシリーズ「花の伝説」 深見東州 たちばな出版 1165円
FMのパーソナリティらしいが、あやしげな経歴。幸運を呼ぶ花100選ですと。
同じような企画で、「宝石」「犬猫」「インテリア・グリーン」「フラワー・ヒーリング」
「星座」があるらしい。これらを愛でて運がむいてくれば、そりゃけっこうなこと。
11月8日(金) C
「おとなの工作読本no.1」 誠文堂新光社 1300円
特集ラジオ少年の時代。昔懐かしい真空管ラジオの作り方ほか。電話級のハム
資格を中1でとったものの、ついに開局しなかった。そんなラジオ少年にとっては
不満の残る内容。編集者が、その時代を知らないせいか、突っ込みが足りない。
11月7日(木) C
「ヤマケイJOY Autumn」 山と渓谷社 943円
つい手にとってしまう「ヤマケイJOY」季刊の秋号は紅葉特集だ。きれいな写真と
BE−PAL風な明るい誌面構成は、中高年あるいはオバさん登山者には、たぶん
魅力的なんだろう。昔の「山と渓谷」を見知ったものとしては、多少の感慨がある。
11月6日(水) C
「一炊の夢」 田中康夫 扶桑社 1429円
「週間SPA!」の連載もの、なんとも形容不可能な文章。「食」の話題とともに
半生の想い出をを語るのだが、非常に読みにくい。舌の感覚はDNAというより
も、幼児からの体験ではないか、その点、上流階級は断然有利だ、といつも思
う。ともあれ、この人のもっている幅広い経験は、知事には有用なことも事実。
11月5日(火) C
ラクラク スラスラ「べんり計算術」 宮 俊一郎 日本実業出版社 1300円
どんな計算もすぐでき、仕事も勉強もグングンはかどる本、なのだそうだ。四則
演算をいかに素早くできるようになるか、を教えてくれるのだ。そりゃけっこうだけ
れど、いまさら勉強するのは勘弁。というわけで流し読みになってしまっていた。
11月4日(月) C
岩波アクティブ新書「信州 花めぐりの旅」 増村征夫 岩波書店 940円
安曇野に憧れ、20年前に移住したというヒゲ面のカメラマンだが、顔に似合わず
叙情的な文章。とっておきのスポット23を紹介する。やはり北の方ににかたより、
上田、佐久あるいは木曽、伊那谷方面が少ないのは残念。ソバ畑の風景もない。
11月3日(日) B
新書Y「ビールの力」青井博幸 洋泉社 720円
プラント会社の社員が海外勤務で自ビール造りに目覚め、ついには脱サラし個
人で地ビール会社をつくる。世界のビールの飲み比べや、日本の大手ビールあ
るいは地ビールへの辛口論議。12年前には自ビール30本つくった経験はある。
11月2日(土) C
「わたしのもみじ」 岩間史朗 ポプラ社 1300円
写真絵本というのだそうである。信州の海抜1000Mの山中、草原に1本のもみじ
の大木。その四季と自然の営みをみつめ、対話するフリーカメラマンだ。そして今
度は海辺に住居を移して、新しいテーマを追求中という、しあわせな、お人である。
11月1日(金) C
「『タンポポの国』の中の私」 フローラン・ダバディ 祥伝社 1600円
トルシエの脇にいつもいた、チョンマゲ姿のフランス人通訳が、半生というか4半
生を語る。川端の文題と、伊丹の映画「タンポポ」をもってきて、副題は「新・国際
人をめざして」だ。映画人の父とアルメニア貴族の母、という上流階級の知性は
わかるが、それにしても自伝を書くには若すぎる。10年早い、と言っておきたい。
10月31日(木) C
伝統の美と技「和ろうそくの世界」 文葉社 2300円
読みにくい本だった。つまり編集がなってないのだ。こんな魅力的な題材を、どう
料理したらいいのか、まるっきり判ってないのだ。この和物に横書きというのが気
に入らない。3人が執筆しているのだが、それぞれバラバラ。なんとかしてくれよ。
10月30日(水) C
実用百科「ビーズワークス」 実業の日本社 714円
最近、密かなブームのハンドメード・アクセサリーとしてのビーズワークス、この
ムックはネックレス、リング、ピアス、ストラップ、ヘアピン、コーム、ブレスレット、
アンクレットと作り方の実例集。いい趣味じゃないですか、モノを作るというのは。
10月29日(火) B
平凡社新書「江戸庶民の旅」 金森敦子 平凡社 740円
江戸を専門とする同年代のライターの綴る、庶民の旅の実状。中期以降の経済
の発達からなる、旅への欲求高まりを。また幕府の人質としての大名家族の出
女取締をよそに、関所を抜ける女性達の出現など、あくことのない「旅−物見遊
山」への好奇心を描き、後味爽やか。大平街道がそんな抜け道の一つとはね。
10月28日(月) C
ショトル・トラベル「日本の棚田百選」 青柳健一 小学館 1500円
日本の原風景「棚田」全国134ヶ所を紹介。そのうち26ヶ所は見開きカラー写
真。わが飯田市千代「よこね田んぼ」も、チラリと出てくる。その多くがオーナー
制で維持しているらしい。年間3万円が相場だ。高いとみるか、安いとみるか。
10月27日(日) A
「YOSAKOIソーラン祭り」 坪井善昭・長谷川 岳 岩波書店 760円
今や札幌の名物「YOSAKOIソーラン祭り」北大2年で第1回祭りを開催し、以来
10年、世界の祭りに仕上た長谷川と、当時の大学教授との共著。その成長の軌
跡は読むだけで興奮。さてこの有能な人材が今後どうするのか注目していたい。
10月26日(土) C
「えらい人はみな変ってはる」 谷沢永一 新潮社 1400円
もともとの専門は書誌学という著者の念願の本だという。明治以来の文士、学
者の評判を古書から読み取る、というコラム集。読むほうは、旧い文体の引用
が多く難渋。ようやく読み終えたら、図書館の貸出し期限を大きく超えていた。
10月25日(金) C
「ヘルマン・ヘッセを旅する」 南川三治郎 世界文化社 1600円
ノーベル文学賞をえた有名な作家の生涯を辿る、写真家にしてライター。この
巨匠がこんなにも絵がうまいとは知りませんでした。しかし、意外と読みにくい
文章は、その教科書体の活字にもあるようだ。ただし、写真は雰囲気十分だ。
10月24日(木) B
「どうする山のトイレ・ゴミ」 日本勤労者山岳連盟・編 大月書店 1800円
近年の中高年の登山ブームと環境意識の高まり、とくにし尿処理をどうするか
という問題。基本的には、携帯トイレ使用での持ち帰り運動に賛成したい。そも
そも人間は生きているだけで、環境に負荷を与えているわけで、それを常に意
識しておくためにも、山に入れば「すべてをテイクアウト」を常識としたいのだ。
10月23日(水) C
日本で見られる「軍用機ガイドブック」 坪田敦史 イカロス出版 1600円
自衛隊機と米軍機120種のシリアルナンバー掲載。つまり飛行機マニアが
全機撮影して自慢するための本なのだ。だから親切にも、チェックのために
ナンバーの前にチェックボックスがついている。こんなオタクの世界もあり。
10月22日(火) C
「声に出して読みたい日本語2」 斎藤 孝 草思社 1300円
あの身体論の斎藤先生が急旋回。暗誦、朗誦の大切さを、身体論の立場か
ら主張の、ミリオンセラー第2弾。たしかに名文句、名セリフの連続は「かっぱ
エビセン」の如く、止められない止まらない。でもまだ声に出すのはテレるな。
10月21日(月) C
「スポーツ進学するならコノ高校!」 手束 仁・杉本 徹 駿台曜曜社
1300円。「甲子園出場を目指すならコノ高校!」の続編。サッカー、ラグビー
バレーボール、バスケットボールその他の関東における強豪高の紹介だが、
親切にも入学の目安の偏差値まで御教授だ。それぞれの健闘を祈りたい。
10月20日(日) C
「すべての執筆活動をパソコンで」 吉目木晴彦 パーソナルメディア
1600円。文筆家が使う電能書斎という「B−TRON」というOSを使った「超
漢字」というソフトのマニュアル本。漢字にゃ滅法強いというが、そもそもその
OSのインストールの仕方から始めてほしい。でなきゃなんとも言えません。
10月19日(土) C
「ミネラルウォーターパーフェクトガイド」 日高良実 東京書籍 1200円
麻布のイタリア料理レストラン「アクアパッツァ」の料理長による、ハンディ判
のガイドブック。市販されている全国と世界の名水ボトルの、含有ミネラルの
データ紹介。さらには名水スプレーまで。超硬水ってのを一度味わいたい。
10月18日(金) C
「気持ちのよい暮らし」 有元葉子 筑摩書房 1400円
オシャレな暮らし、オシャレな生活。女性誌の大きなテーマであり、外国暮ら
しを経験した、センスのいい女性の、道具論、家事論、インテリア論。とうぜん
キレイな写真が必要となる。自分でも写真が趣味らしく、ところどころに掲載。
10月17日(木) D
「あなたが変る『口ぐせ』の魔術」 佐藤富雄 かんき出版 1500円
昼食後、15分の拾い読みで終了した。つまり願いつづけ、口ぐせにすれば、
人生は思うようになっていく、という楽観主義である。1932年生まれの著者
はあちこちで講演の様子。その通りだと思うけど、わざわざ読むことはない。
10月16日(水) B
「ホーローの旅」 泉 麻人・町田 忍 幻冬社 1400円
トレンド評論家・泉麻人と銭湯評論家・町田忍の共著だけあって強力。やは
りホーロー看板は収集するというよりも、その張られている状況、風景がな
ければいかん。そんな意味での貴重な写真が多いが、カラーで見たいね。
10月15日(火) C
「おもちゃで遊ぼう2001−2002」 日本グッド・トイ委員会 1300円
新認定グッド・トイの公式ガイドブック。おもちゃ収集のKID’Sさんのため
に借りてきた。さっそく2、3ピックアップし注文する気配。すでに6帖一間
をおもちゃと絵本が占領しているのだ。どこまで集めれば気がすむのか。
10月14日(月) C
ナンシー関の「すっとこ人名辞典」 飛鳥新社 1143円
NTTドコモの有料サイトに連載されたらしい。訃報をきいて、誰もが「あの体
型じゃあ」と思った著者の、消しゴム版画コレクション全182人。そのうちの
前1/5は単色、残りは4色刷。好みからすれば前者だが、どうでもいいか。
10月13日(日) B
「音楽で逢いましょう」 山本益博 音楽の友社 1500円
あの料理評論家がクラシック評論家になってしまったかのよう。月刊誌「音
楽の友」の連載で、今も続いているという。さすがにウマい文章、絵画的で
イメージ豊か。ただところどころに見える女性的な表現は好きではないぞ。
10月12日(土) C
別冊 暮らしの手帳「旅を創る」 1000円
世界20都市の案内書であるが、なぜ「暮らしの手帳」が企画したのかが、
そもそもよくわからない。暮らしの手帳のイメージが希薄なのだ。中年以
降の女性のために、パック旅行ではなく個人での旅行を勧めているよう。
10月11日(金) C
「ヴェトナム・マフィア」 柘植久慶 角川春樹事務所 800円
ハルキ・ノベルズ楯岡シリーズも第15弾!続くもんだね。1時間ちょいで終
了した。肩がこらなくてヒマつぶしによろしい。その昔、出張のたびに読んだ
「マルコ・リンゲ」シリーズを思い出す。こういうシリーズ物が持てれば安泰。
10月10日(木) B
「ひきこもり救出マニュアル」 斎藤 環 PHP研究所 2100円
今、全国に「ひきこもり」は120万人という。505頁にわたり、それにたいす
る Q&Aが続くのだ。大変なことである、それはわかるが、あまりにも救出
例が多すぎて迷うことがありそう。それに前の本でも感じたのだが、この人
の書く文章は、難しくしすぎるような気がする。もう少し易しく書いてくれよ。
10月9日(水) C
「道の駅ハンドブック 西日本」 国土交通省道路局国道課
編集:(財)道路保全技術センター。全国646の駅のうち、西日本の384を
紹介。平成14年6月の発行であるが、この8月にオープンした「飯島 花の
駅」は未掲載。予定くらい分かっているんだから、載せるべきではないか。
10月8日(火) C
「神様カレー guide150」 みずの じんすけ 文藝春秋 1333円
「東京カレー番長」を名乗る料理グループの代表による、全国のカレー専
門店紹介。面白そうで退屈。30年前通った、湯島の「デリー」、九段下の
「アジャンタ」、本郷の「ルオー」が健在で驚き。けっこう長持ちする商売。
10月7日(月) B
「[モノ]の世界史」 宮崎正勝 原書房 2800円
著者は世界史教育、社会教育学を専門とする、北海道教育大教授。モノ
を通しての、世界史を概観する。それは人類の発展とモノの発明、そして
また発展という、螺旋状の世界史の必然性を、解き明かすことでもある。
10月6日(日) C
「住宅ローンで困っている人の究極脱出マニュアル」 湯浅真弥
とりい書房 1800円。破産なんか考えないで夢のような方法があったん
です。といいながら、結局は早いうちに住宅を手放して、精神的に楽にな
ることを提案。実際、他人に対して独りで交渉というのは、難しいし、あま
り有効なマニュアルとは思えない。こんな方法もあると、覚えておくだけ。
10月5日(土) C
ショトル・トラベル「個人美術館を行く」 塙 ちと 小学館 1600円
行く先々で出会う、子育てを終わった夫婦二人連れ。ヒマはあるのだから
行くところに困ってしまうのよ。そんな方々のための案内。芸術家の生地
に建てられた、あるいは旧住居を改造した美術館。食いどころまで紹介。
10月4日(金) C
「電車に乗れない人たち」 松本桂樹 WAVE出版 1400円
突然の「死ぬか」という恐怖、また何時その発作が起こるか、の恐れから
乗り物に乗れない、というパニック障害。真面目な人ほどなり易いらしい。
薬物と心理療法で、できるだけ早目に対処しなくちゃいかん、ということ。
10月3日(木) C
「50歳からの人生を考えた家づくり」 竹岡美智子 講談社 880円
住宅関係の本は必ず読むことにしているが、これは27の実例に建替えと
リフォームのあり方を提案する、主婦建築家。しかし建築家の説明は都合
の良いことだけに傾きがち、それがいいのかどうか、未だ迷い道クネクネ。
10月2日(水) C
「小事典 暮らしの水」 建築設備技術者協会・編 講談社 880円
ブルーバックス。おいしい水、健康と水、水を配る、浴びる水・流す水、排
水の行方、遊ぶ水・親しむ水、働く水、地球の水。要領よく、まとめられた
水に関する基礎知識である。またそれ故、ちょっと物足りない点も感じた。
10月1日(火) C
サンワムック「宝の地図 磯遊び編」 (株)メディアボーイ 1333円
三浦、房総、伊豆の3つの半島の磯遊びマップ。それになぜか新潟の海
も。ビーチ・コーミングを期待したのだが、むしろ磯の小さな生き物の採集
や観察が主。あちこちになつかしい場所もあって、少し当時を思い出した。
台風21号東京湾縦断中、磯も大変だ。こんな日は家に閉じこもって読書。
9月30日(月) D
「神社の見方」 外山晴彦・「サライ」編集部 小学館 1200円
ジジイ向け月刊誌「サライ」の連載がもととか。神社の鳥居、狛犬、燈篭
ほか構成要素の解説が主体。しかし内容的には、初心者向けかな。とこ
ろが、神社のことなら全てわかる空前の稀書と自賛。とんでもない話だ。
9月29日(日) C
「昔からある日本のすてき」 クニエダ ヤスエ 文化出版局 1500円
和布と和紙にこだわる元帽子デザイナーのテーブル・コーディネーター
1932年生まれ。和物の人気を反映してのインテリア小物でひとときを
遊ぶ。それにしても「母の」あるいは「母が」の記述が多すぎるのでは。
9月28日(土) C
「作家デビュー完全必勝講座」 若桜木 虔 文芸社 1300円
若桜木流奥義書と銘打ち、文壇にデビューし作家として生きていくため
の実践的方法論。著者は小説講座の講師でもあり、微に入り細に入り、
作品を例にあげ検討。いかにスピードのある作品を書けるかということ。
9月27日(金) C
POPEYEムック「赤松珠沙子のゴー!ゴー!インテリア」 マガジンハウス
838円。「POPEYE」オレ部屋、TBS「ジャスト」でのローコスト部屋改造の
教祖ミサコ・アカマツ、日比野芸大助教授の女性版風。冗談もほどほどに
というインテリアだが、それはそれで楽しい。まあ行けるとこまで、とことん
ゴーゴーすすむだけ。あとは母校、武蔵美の先生のイスが待っているぞ。
9月26日(木) C
「海洋深層水の利用」 中島敏光 緑書房 6400円
体裁はごく普通なのに、なんと高い本。1976年から始めたという、21
世紀の循環型資源としての研究のまとめ。一時のブームもあり期待し
たがそれほどでも。こういう低密度資源の利用が今後の課題なのか。
9月25日(水) B
「世界の七不思議」 J・ローマー E・ローマー 河出書房新社 3800円
5年前の発行で新刊ではないが、面白かったので書いておきたい。子供
の頃の絵本の記憶から、ずっと気になっていたが、これを読んでようやく
すっきり。七不思議についての解説としてより、古代のイメージがルネッ
サンスを経て現代までの投影過程を検証する、社会学の論文でもある。
9月24日(火) C
「高木ブーの楽しくウクレレ」 高木ブー 岩波書店 740円
岩波アクティブ新書。ウクレレ人気、NHK教育テレビでも、高木ブーの
指導でやっていた。簡単な、コードの弾き方からの入門書で、これなら
やってみようかな、とも思う。彼の声はあまりしないが、人柄は伝わる。
9月23日(月) A
「ボタン博物館」 大隈 浩・監修 東方出版 6000円
アイリスという日本一のボタン・メーカー、その本社内のボタン博物館の
コレクションと解説。古代から中世、近代さらに現代までの、精緻な工芸
品の美しさ、と同時にその背景の生活文化に想いを馳せる旅でもある。
9月22日(日) C
「スポーツガンガイドブック2003」 フォーバイフォーマガジン社
3000円。鉄砲に関するガイドブックである。日本で買えるガンから実包
用品、アクセサリーのカタログがメイン。やあこりゃ大変だわ。これをそろ
えるとなりゃ、えらいこっちゃ。パラパラみるだけなら問題はありません。
9月21日(土) B
誰にも聞けなかった「値段のひみつ」 小川孔輔 日本経済新聞社
1200円。法政大経営学部長の「誰にも聞けなかった」シリーズ。半分く
らいはわかっている「値段」についての話。素人との対談形式で進む、入
門編ながら、ところどころにマーケッティング理論を。なかなか有用だよ。
9月20日(金) C
「建築家と建てた素敵な家」 成美堂出版 1400円
一方でハウスメーカーの乱立。それにたいし、わが家にぴったりの建築
家を探そう!である。なにかしらイビツな構造。もっと自然体で住まい造
りができないものか。巻末の全国人気建築家101人に同級生を発見。
9月19日(木) B
「日本の太鼓、アジアの太鼓」 山本宏子 青弓社 1600円
音楽関係を専門とする出版社。著者は音大から、民俗音楽学、文化人
類学で文学博士。世界を祭り、太鼓を求めて歩く。もっとも素朴な楽器
だけに、太鼓にまつわる話は面白い。しかし後半はやや息切れ気味。
9月18日(水) C
「訪ねてみたい 日本・かおり風景100選」 日本放送文化協会 680円
環境省「かおり…選定委員会」事務局・監修。日本全国○○選だらけ。
同じ場所が複数の選定に入ったりして、いいかげんにしてほしい。ただ
今回は現地の役場職員などの紹介文、それぞれが美しい文章で救い。
9月17日(火) C
「趣味の日本刀」 柴田光男 雄山閣 5985円
昭和38年の初版以来、平成5年に新装版、その後6版目というロングセ
ラー。著者は「何でも鑑定団」刀剣担当の品の良い紳士。剣道をやって
いた関係で、昔の本も目にはしていたが、今回あらためて読んでみた。
9月16日(月) C
文藝別冊「白州次郎」 河出書房新社 1143円
白州正子のダンナとして、また吉田茂の側近として有名な「日本一カッコ
いい男 白州次郎」の特集はKAWADE夢ムック。ケンブリッジ留学から
終戦、GHQとの交渉、そして後年のウルサオヤジとしての人物像再現。
9月15日(日) B
「しらべる戦争遺跡の事典」 十菱駿武 菊池 実・編 柏書房
3800円。明治から終戦までの戦争に関する遺跡の事典。サンケイ新聞
の対局に位置する人達が、各種遺跡の現状を日本全国およびアジアに
探る。ときとして敬虔な気持ちに。だから「負の遺産」保存も必要なのだ。
9月14日(土) C
「海上自衛隊パーフェクトガイド2002」 学習研究社 2100円
海上自衛隊発足50周年を迎え、今年も出ました2002年版。対象読者は
中級マニアだろうか、それなりの知識がないと、読みにくいのではないか。
パーフェクトガイドと銘打つだけあって、すべての艦艇のデータなど満載。
9月13日(金) C
「大反転する世界」 ミシェル・ボー 藤原書店 3800円
地球・人類・資本主義、2000年紀を迎えて、ひとつの世界が終わる予兆。
歴史を振り返りながら、ながながと論ずるのだ。そんなことは、皆わかって
る。問題はどうするかだ。結局は、個人が生き方を変えるしかない、という
ことが、結論らしきもの。ずーっとフラストレーションを感じながら読んだ。
9月12日(木) B
「老いの流儀」 吉本隆明 NHK出版 1400円
この人なんとなく今まで避けていたが、初めて読んだ。口述筆記らしく軽い
印象ながら共感を覚えた部分多し。内容自体は重いことがらで、自分のこ
とに当てはめると、暗くなるぜ。もうすでに考えなきゃならない時期なのだ。
9月11日(水) C
「もっと知りたい!ドイツビールの愉しみ」 相原恭子 岩波書店 940円
そういえば、もう1年にもなるのか。テレビニュースも、そればかりです。さて
岩波アクティブ新書24。ドイツ政府観光局勤務後、ライターにという経歴だ
から、ドイツ好きは筋金入り。それにしても、醸造所1200ヵ所、銘柄6000
種というドイツビールを求め、各地を訪ね味わうという、そうとうな飲兵衛だ。
9月10日(火) B
AERA MooK「観光学がわかる。」 朝日新聞社 1200円
アエラの「わかる」シリーズ。執筆陣が各方面にわたっていて学際としての
観光学の面目躍如という感じ。もし若返ることが許されるならば進んでみた
い分野だ。感動体験を求めての労働長期滞在観光というのがあるのでは。
9月9日(月) C
「新しい単位」 世界単位認定協会・編 扶桑社 952円
感情を単位化し、定量的にとらえよう、とするお遊び。もとはといえば、BS
フジの「宝島の地図」という番組の1コーナーの、単行本化だという。内容
はときとして「ハハハ」というところはある、という程度、ましてや番組など。
9月8日(日) C
「NOBUNAGA」信長欧州遠征記 柘植久慶 中央公論社 2000円
5年前の発行、柘植先生に免じて許して。本能寺を脱出した信長が、かね
てより招かれていたスペインのフェリペ2世のもとイギリス、オランダと暴れ
まわる話。どう終わるのか、だけの興味で読んだが、やっぱり苦しかった。
9月7日(土) D
「水からの伝言」 江本 勝 波動教育社 2667円
船井幸雄、波動、ずっと避けていたが、パラパラめくっての水の結晶写真
に興味をもって借りてきた。やっぱり途中から急旋回、音楽を聴かせた水
言葉を見せ続けた水など、お得意の分野へと引きこむ目論見。なんとも。
9月6日(金) C
料理好きのための「キッチン実例200」 別冊家庭画報 世界文化社
2000円。一方で、包丁さえ無い家庭が増えているというのに、これはまた
料理に命をかける方々のキッチンだ。それぞれキッチンデザイナーや建築
家が、腕によりをかけてデザインした様子。せいぜい、夢を見てくださいね。
9月5日(木) C
「中古パソコ購入ガイド」 大槻有一郎 九天社 1280円
ときどき新聞に折り込みの中古パソコン店のチラシを見かける。一度出かけ
てはみたが意外と高かった印象。今もって、CADは10年以上も前の機種、
この間はFDが動かなくなって慌てたが、残ったFDで現在も動かしている。
9月4日(水) C
「痛快 父子血風録」 武田 徹×武田無我 オフィスエム 1524円
信越放送のパーソナリティと息子との対談録。父子ともに同年代、しかしテ
レずによくやるよ。息子は中学浪人し、さらに2浪して父と同じ早稲田に入っ
て、未だ学生だという。映画監督志望だというが、甘やかせちゃいかんぞ。
9月3日(火) C
「縁日お散歩図鑑」 オオカワ ヨウコ 廣済堂出版 1600円
イラストレーターによる、縁日の屋台案内。最後の都内の主要神社の縁日、
祭りのカレンダーは便利そう。屋台風景は得意のイラストでそれなりの雰囲
気は感じさせる。「縁日の歩き方」というコラム風のマンガは読みにくくて×。
9月2日(月) C
「うける!ノベルティ」 ギフトデザイン研究所・編 雷鳥社 2400円
これからのデザインは「法則」から決まる、とすごい鼻息。イメージ調査によ
るデザイン評価からの、ノベルティ・グッズのデザインの方法論を展開する。
が、それほど新機軸でもないし、有効なデザイン発想論とも思えないなあ。
9月1日(日) D
「孤独」 北野 武 ロッキング・オン 1500円
昼食の前後マンガ本を見るごとく終了。どっかの雑誌の連載を中心にし
た談話もの、感想なし。新宿のジャズ喫茶にいりびたっていたとか、もし
かしたら貧乏学生同士、薄暗い階段ですれ違っていたのかも知れない。
8月31日(土) C
「屋久島 自然観察ガイド」 日下田紀三 山と渓谷社 857円
41歳でNHKを退社、屋久島に移住21年という写真家の紹介する、自然観
察の新書判の手引。こうやって見れば、魅力的な島じゃないのよ。一周100
キロというから、自転車で1泊2日だな。そのうち、行ってみたいものだよね。
8月30日(金) C
「昔遊び図鑑」 坂本卓男 東京書籍 1500円
1952年生まれ、山陰の片田舎で育ったデザイナーの、イラスト入り子供遊
び図鑑。ところどころの著者の古い写真が、30年代の雰囲気を出していて、
そういえばそうだったなあ、とけっこう笑える。しかしそれ以上の感想はなし。
8月29日(木) C
「東京アウトサイダーズ」 ロバート・ホワイティング 角川書店 1800円
前作「東京アンダーワールド」で集めた資料をもとに、戦後から、現在までの
東京の地下社会を、全世界に発信する。その日本語訳本。ドキュメタリーとし
ての努力は認めるが、今回軸になる主人公がいない分、散漫の印象だった。
8月28日(水) C
「悠久のとき」 野村哲也 中日新聞社 1600円
中日新聞に連載したという、写真と文。星野道夫を師と崇める、この幸運な写
真家は1974年生まれで、世界中を旅して10年という。だいたい、文章を書く
写真家は嫌いだし、この甘い文体もお呼びでないぞ。どこが悠久の時なのさ。
8月27日(火) C
「笑う未亡人」 ロバート・B・パーカー 早川書房 1900円
スペンサーシリーズ第29作目。今回はホークも戻って、ヴィニイやベルソン、
クワーク、リタ・フィオーレなど、今までの面々が勢揃いして、洒落た会話がは
ずむ。それにしても、映画化の話はないのだろうか。スペンサーとスーザンを、
誰にするかは思いつかないが、ホークにはマイケル・ジョーダンでどうですか。
8月26日(月) C
別冊歴史読本「図説 富士山百科」 新人物往来社 1800円
何と言っても「歴史読本」の別冊だから、同じ富士山の本でも見方が違う。
とうぜん歴史が主体となり、神話、伝承、文芸、絵伝、絵巻物などの記述。
さらに富士信仰の成り立ちなど詳しいが、興味の対象のズレが大きい感。
8月25日(日) C
「これでいいのか日本の食料」 ジェームス・R・シンプソン 家の光協会
1500円。誰も自給率40%でいいとは思っていない。だったら、国民全
員が声を大にして叫べ、というアメリカ人の龍谷大学教授だ。さもないと
ますます世界から市場開放を要求され、自給率はゼロに近づくと警告。
8月24日(土) B
「骨董の目利きがえらぶ ふだんづかいの器」 青柳恵介・芸術新潮編集部
新潮社 1200円。とんぼの本。芸術新潮の連載を本にしたもので、器をいか
にして使うか、という話。4人の骨董商による、うつわ談義を中心にする。それ
ぞれ一家言があって面白いが、「好きにやってくださいまし」というところかな。
8月23日(金) C
「『七つの海』を知ってますか?」 伊宮 怜・編 新典社 1200円
数字のつく言葉、「一の宮」から二、三、四と来て、四国八十八箇所、最後に
百観音、百名山、百人一首までを列挙する。編するのは高校の元国語教師
仏教用語や中国の古典からがけっこう多いが、まあなんというか、感想なし。
8月22日(木) C
「図解 知恵の輪のすべて」 山本 徹・監修 文葉社 1900円
そういえば本屋のレジの近くにキャストパズルとしてみかける。流行っている
の?基礎編、実践編、応用編と知恵の輪の歴史、分類、解き方の具体例ま
で。監修者は日本知恵の輪協会の会長だとか。編集のダサイ感じで残念。
8月21日(水) A
「消えた飯田藩と江戸幕府」 鈴川 博 南信州新聞社 4000円
郷土新聞に10年間連載。たしかに見た記憶はあるがとても読む気にはな
らなかった。国内留学した先生の、修士論文を元にした747頁の大著。旧
飯田藩主堀氏の系図を縦糸に、古文書を読み解き、当時の街の様子、出
来事、江戸幕府の政策まで丹念に活写。とくに幕末の状況は面白かった。
8月20日(火) D
「フィンドホーンへのいざない」 寺山心一翁 サンマーク出版 1800円
アイルランドの北の果てに「フィンドホーン」というコミュニティがある。そこに
行けば誰でも癒されるという。複雑化した社会を離れて、自然の中での労働
により、感動体験に敏感な自分をつくる、というのはわかる。ただ、この出版
社は全体的に、神秘主義に流れる傾向がありあり、あまり賛同はできない。
8月19日(月) B
新書Y「韓国美人事情」 川島淳子 洋泉社 700円
転勤の夫にさきがけ、韓国の語学学校に入学した40代のライターだ。美人
をめぐる日韓の意識の相違をはじめとして、庶民社会の日常の報告。この
目線の低さは韓国本として初めてで新鮮。それに自然体の文章にも好感。
8月18日(日) B
朝日選書「日本酒を味わう」 田崎真也 朝日新聞社 1000円
あの世界のソムリエが酒米、精米比率、酒母、酵母の違いなど10のステー
ジで、日本酒の味くらべを試みる。もちろん説得力はあるが、1997年のテイ
スティングを何故いまごろ、という疑問。それとワインのテイスティングをその
まま日本酒にもちこむことが、いいのかどうか。ちょっとひっかかるところだ。
8月17日(土) B
「富士登山ハンドブック」 (社)富士自然動物園協会・編 自由国民社
1500円。大きく富士登山にかんするもの、コース他、楽しみ方などと、富士
山の自然にかんするもの、地質、気象、動植物などの、2つから構成された、
携帯に便利な新書判だ。あれだけの存在だから、内容的にも豊富で楽しい。
8月16日(金) C
別冊宝島Real030「生き残る大学」 宝島社 952円
いわゆる「遠山プラン」で大学リストラが俎上に。文科省、各国立大、双方が
わからないまま、ジャブを出しつつ、方向性が次第に見えてくる構図。これは
河合塾の協力でトップ30をランク付け。派手なことしなきゃダメという感じだ。
8月15日(木) C
「アジアンインテリアが新鮮」 婦人生活社 1200円
婦人生活家庭シリーズ。インテリアも、和からアジアへ、さらにアフリカへ。ど
んどん先鋭化していくが、基本はモダンにあることを、指摘しておきたい。エス
ニックも一歩間違うとキタナくなっちゃうから、適度な抑制で品位を保つ必要。
8月14日(水) C
「銅像めぐり旅 蘊蓄紀行」 清水義範 祥伝社 1500円
もとはといえば、月刊「小説NON」に連載したものだというのだが。知っている
のは10数年前に読んだ、ユーモア小説の著者としてだ。しかし今回、その片
鱗はどこにもない。ただただ無感情に読んだ。紀行文は難しいものだと思う。
8月13日(火) C
ぴあMAP文庫全国版「遊園地&テーマパーク’02−03」 1000円
全国主要施設207完全ガイドと銘打つ。バブル崩壊とはいいながら、まだま
だあるじゃないのよ。ヒマは増えるばかりなんだから、行くところがなくちゃね。
飯田市近辺のテーマパーク「伊那谷道中」は記載なし。そんなもんだろうな。
8月12日(月) C
「廃墟の歩き方 探索編」 栗原 亨・監修 イースト・プレス 1500円
インターネットでの廃虚サイトの運営から、そこで紹介される全国の有名廃墟
の写真。建築家は皆、廃墟好きというけれど、どうかな。考えてみればウチの
前の青果問屋の空き家は、立派な廃墟だわサ。地上2階地下3階の崖造り。
8月11日(日) C
とんぼの本「台所道具の楽しみ」 平松洋子 新潮社 1600円
この「とんぼの本」シリーズは、いろんな意味で余裕のある女性向けの企画。
東急ハンズや河童橋をうろつく道具好きのオヤジの目線とは違いが大きい。
女性誌特有の文体も気になって、ちょっと趣味があわないな、という感じか。
8月10日(土) C
NHKスペシャル ドキュメント「データマップ日本」 NHK出版 950円
日本経済再生への処方箋として、放送した4番組からまとめたもの。読むの
に時間がかかるかと思ったが、ナナメ読みで終了。どこかで番組を見た記憶
が甦り、次へ次へと進んでしまうのだ。いいかわるいか知れないが、ちょっと
不思議な気分。都市デザインセンター・竹内佐和子氏のシステム論に注目。
8月9日(金) D
「中心感覚」 内海康満 サンマーク出版 1600円
出版社も怪しいし、どうかなと思ったけど、うまい書名に読んでみた。進むに
つれ正体をあらわし、自慢話と怪しげな施術の民間療法の宣伝を、それとは
なしに散りばめる。困っている人はワラをも掴みたいんだから乗ってしまうぜ。
8月8日(木) B
「現代ビョーキ図鑑」 関谷 透・監修 (株)ワニブックス 1200円
病気ではなく、○○症候群といわれる「ビョーキ」である。テレビにも登場する
神経科クリニックの先生の監修、その事例をわかりやすく紹介。チェックリス
ト付。そのすべてが自分という存在の問題。さあ、いかに自己を解放するか。
8月7日(水) C
中公新書ラクレ「潰れる大学、潰れない大学」 読売新聞大阪本社・編
中央公論新社 720円。超有名大学を蹴って米留学が増えている、という期
待させる書き出しの新聞連載の新書化。前半は足で取材した各種の報告で
まあまあ。後半のシンポ、アンケートの収録はいらない。しりつぼみの印象。
8月6日(火) C
「ぐるり御岳とっておきの自然」 近藤紀巳 中日新聞社 1800円
御岳周辺の長野県4町村、岐阜県7町村を題材に、季節を追いながら草花、
蝶、野鳥、自然と紹介。そこそこまとまっていて、わかりやすく写真も的確で
はある。しかし欲をいえば、御岳を中心にした全体の地図がほしいところだ。
8月5日(月) B
「地名苗字読み解き事典」 丹羽基二 柏書房 2800円
御ん歳83才、日本家系図学会長をつとめる、地名、姓氏、家紋の大家の一
般向けの本である。そもそも地名から生じた苗字が、いろんな状況で読みを
替え、字を替えていく過程がうかがえて、時間はかかったけど楽しめました。
8月4日(日) C
「新版 山の高さ」 鈴木弘道 古今書院 2600円
1993年から8年目の改訂版。国土地理院に長く勤めた地理学者による、山
の高さのお話。高さの基準はどこにあるか、そしてどう計るか、GPSを使った
最新の計測法まで、地球物理学的な難しい事柄の連続。いささか参りました。
8月3日(土) C
「古寺をゆく 境内地図」 京都・奈良編 小学館 952円
有名寺院30の周辺地図から境内まで、これがあれば古都の散策は大丈夫
という新書サイズの案内本。京都はともかく、奈良は大学の修学旅行で行っ
たきり。3月の大和路をけっこう歩いた記憶。いつか自転車で廻ってみたい。
8月2日(金) C
「美似の世界」 今清水英一 銀河出版 3300円
江戸趣味のミニチュアの蒐集家は元映画の斬られ役俳優。全国から集めた
ミニチュアとともに、半生記を語ってくれる。生まれが1924年だから説教的
になるのはしかたないし、全体的にも好みが違うかなって感じ。困ったもの。
8月1日(木) C
「すべての日本人は出身県で終わる」 矢野新一 角川書店 1100円
県民性に造詣の深いコンサルタント。さすがに全国を廻っての情報通だけに、
昔からの「いいつたえ」をちりばめ、オモシロおかしく最新の社会調査をもとに
県民性と結び付け、笑わせる。しかし、あまりにも強引すぎるんじゃないかな。
7月31日(水) C
「暦の風景」 野呂希一・荒井和生 青菁社 2800円
「風の名前」「水のことのは」そしてこれだ。なんでこう似た企画のものが出て
くるのか?需要があるということなのかいな。季節に関する言葉を並べ、写真
と組み合わせる、そのスタイルはまったく同じだ。もうそろそろ、飽きてきたぞ。
7月30日(火) C
「まるごとピアノの本」 足立 博 青弓社 1600円
本業は高気密、高断熱住宅のアドバイザーらしく、全国の講演の傍ら、地方
のピアノ店を訪ねるらしい。あくまでもハイ・アマチュアのピアノの修理、調律
についての話。日本、世界各メーカーの特色、音色、タッチやら弾きくらべ。
7月29日(月) C
「区画整理・再開発の破綻」 NPO区画整理・再開発対策全国連絡会議 編
自治体研究社 1429円。バブル崩壊以降の地価の下落。その上昇を前提と
して計画される区画整理や再開発事業の全国での破綻の報告。しかしながら
問題は、いずれもが「まちづくり」の基本手法であり、それに替わるものが何も
ない、というところにあるのではないか。それについての見解を問いたいのだ。
7月28日(日) C
「『正義』を叫ぶ者こそ疑え」 宮崎 学 ダイヤモンド社 1500円
徹底したアウトサイダー(懐かしいなあ)の視点で世界、政治、組織を斬り捨
てる。「正義」というもののウサン臭さ、「熱狂」というものの危うさを糾弾する。
ウラの話が出てきて、興味は続くものの、未来につながることは見出せず。
7月27日(土) C
「日本一のチラシはこう作れ!」 佐藤勝人 文芸社 1400円
ものの売れない時代、中小の商店はどうやって売っていくのか。宇都宮でカ
メラ店を経営し、驚異的な売り上げを達成。ついに販売促進のコンサルタント
として全国を講演する。その泥臭いまでのチラシ作成のノウハウ。元気だぜ。
7月26日(金) B
「パンツが見える。」 井上章一 朝日新聞社 1400円
建築史から風俗史へ、完全に社会学者に転向か。パンツの羞恥心に関する
現代史を当時の文献から証明していく。前に書いた様なフェミニズムの視点
と違って、時代の雰囲気の再現には賛成。ただし、その長い記述には退屈。
7月25日(木) C
「アパート・マンション経営の基礎知識」 山本公喜 ぱる出版 2000円
アパート経営に関する実用書。 ペイオフ解禁で資産をどう管理するかが話題
となっているが、アパート経営が有利と言われている。大都市圏を想定してい
て、試算では採算ベースにのるのが早いが、この田舎じゃこうはいかないぜ。
7月24日(水) B
「スズメバチを食べる」 松浦 誠 北海道大学図書刊行会 2600円
さすが三重大生物資源学部教授、食用の昆虫いろいろ、世界のハチの子食
ニュージランドからのハチの子の輸入、さらに江戸の大名のウグイス飼育の
あるいはカスミ網の囮のツグミの餌としてまで、話は広い。ここ信州南部では
とくにハチの子好きな人が多い。子どもの頃は、とても食べられなかったが。
7月23日(火) C
「桜よ」 佐藤藤右衛門 小川豊二・聞き書き 集英社 2100円
「花見の作法から、木のこころまで」の副題。それにしてもよくしゃべる京都の
植木屋のオヤジだ。桜の大家らしいが、染井吉野を目の敵にする。日本聞き
書き学会ってのがあり、書いてるのはその会員だという。こういうのは嫌いだ。
7月22日(月) C
「信濃流人考 付・信濃騒動記」 白石喜一 銀河書房 1000円
長野県の郷土出版社、著者は高校の元教師。信濃毎日新聞の連載物で、昭
和54年の発行。配流の地として知られ、けっこう有名人が流されてきた歴史。
さらに後半は一揆などの騒動の記録だ。薄い本だが、初めて知ることも多い。
7月21日(日) C
「シックハウスよ、さようなら」 中野 博 TBSブリタニカ 1500円
食の安全に、こちらは住の安全「シックハウス」の報告。住宅のプレハブ化で
建材の製品化も高度に。そのほとんどに化学物質が使われ、シックハウスの
原因になっているのは周知だが、その対策は食の安全と同じく難しい問題だ。
7月20日(土) C
「極楽ロングステイ ガイド」 ロングステイ財団・編 講談社 1600円
あまり素直には読めない。年金生活を海外で、という優雅な立場の人達の経
験談だ。温暖な気候とおいしい食べ物、治安の良さと物価の安さ、生き方はそ
れぞれだから文句は言わないが、貧乏ヒマなしとしては、まったく現実感なし。
7月19日(金) C
「水のことのは」 ネイチャー・プロ編集室 幻冬社 2500円
どっちが先か「風の名前」と似たような企画。こちらは人っ子ひとりいない美し
い風景写真を散りばめる。絵手紙の資料には良いかもしれないが、好みから
して写真家・佐藤氏の感性を買いたい。ほかに「自然」「花とみどり」の2つも。
7月18日(木) C
「ONとOFF」 出井伸之 新潮社 1400円
ご存知、SONYの会長兼CEOが、社内 HPに掲載した文章をまとめたもの。
前半は「世界」出張日記だが、これがグローバルということ?「私の流儀」と題
する後半はゴルフとワインとクルマの話。刺激的な事柄には出会えず、終了。
7月17日(水) C
「ここが変だよ日本のホテル」 土井久太郎 オータパブリケイションズ
1200円。業界出身の山梨学院大商学部の教授。だいたい、これからのホテ
ル業界の展望を語るのに、書名からして格調がなさすぎる。慶大卒、コーネル
大修士にしては、本の構成が乱雑な印象。内容はなかなか新鮮なのに残念。
7月16日(火) B
「ワクワク系で10倍幸せに仕事をする」 小阪裕司 VOICE 950円
昨日の続き。「ワクワク教」の伝道師を自称するが、1年の間に教祖さまになっ
てしまわれた。「癒し系」をやめ、感動体験を求め「ワクワク」する。これこそが
ポジティブな生き方。そうやって皆たのしく生きるのだ。全面的に賛成したい。
7月15日(月) C
「『惚れるしくみ』がお店を変える」 小阪裕司 フォレスト出版 1500円
2000年の12月初版、10日ほどで10刷だ。いかに不況で物が売れないか
の裏返し。この美学出のコンサルタントは、ともかく自分が「ワクワク」し、ひ
とを「ワクワク」させることだ、と宣ふ。みんな、芸人を目指せというのである。
7月14日(日) B
新書Y 「まれに見るバカ」 勢古浩爾 洋泉社 720円
この新書シリーズ、挑発的な書名のオンパレード。文中を「バカ」という言葉
でうめつくす、最強のバカ本だ。古今の「バカ論」批判、現代バカ著名人列伝
ほか。最後まで、その姿勢、呼吸乱れず、武道の達人の様とは誉めすぎ?
7月13日(土) C
「アメリカの戦争の仕方」 ハリー・G・サマーズJr 講談社 1700円
著者は米・陸軍戦略大学校の元教授、訳者は防衛大学校前教授ほか。唯
一無二の軍事力をもつ米の戦争論、ここでもクラウゼヴィッツだ。北朝鮮と
イラクを目標に、その先には中国を意識する。書かれたのは9・11以前だ。
7月12日(金) B
「風の名前」 高橋順子 佐藤秀明・写真 小学館 2500円
詩人が「雨の名前」に続き、日本の季節、風土を「風」に任せて想うのだ。考
えてみればキザな本である。しかし、本文とはあまり関係のない、どうってこ
とのない情景の、小さな写真が泣かせてくれるのだ。写真はこうでなくちゃ。
7月11日(木) C
「こうすりゃよくなる、日本のスポーツ」 大橋巨泉 朝日新聞社 1000円
朝日夕刊のコラム集、アメリカ他、海外でのスポーツ事情。ゴルフ、野球
アメフトがメイン、成績予想が大部分を占める。スピード感もあるし、立場
も明快だから、それなりに面白いが、議員辞職劇はみっともなかったぜ。
7月10日(水) C
「ニッポン酔(よ)い酒・飲(や)れる酒」 江口まゆみ 小学館 1500円
よっぱライターと自称し、全国+カリフォルニアの46蔵を訪ねる。日本酒
ブーム、地酒ブームで蔵元は強気。それぞれ自慢する酒造りだが、正反
対の主張があったりして、いったい、どっちなんだい、と言いたくなるのだ。
7月9日(火) C
「カシミール3D入門」 杉本智彦 実業の日本社 1900円
図書館の新刊棚で背表紙をみて一瞬、印パの争いの3Dか、と思ったが。
著者による山岳風景フリーソフト付解説本。「可視見る」のネーミングは大
阪的。5年前のPCではインストール容量不足、メモリー不足で体験不能。
7月8日(月) C
「上京」 小林キユウ 廣済堂出版 1300円
もともとが長野県出身のカメラマンによる、若者100人の東京生活ルポ。
時々、教育テレビに出てくる。社会派っぽくて好きではないが、今も続く毎
週月曜、信濃毎日新聞の連載には、いつも眼を通す。感想はあまりなし。
7月7日(日) C
「美術家になるには」 村田 真 ぺりかん社 1270円
ちょっと絵が上手いとほめられれば画家になりたいと思ったりする。その
生活の大変さを述べてはいるが、紹介される美術家達は、みな成功者な
んだから、美術志望の若者は憧れるに違いない。まったく罪作りな本だ。
7月6日(土) B
「マヨネーズ大全」 カベルナリア吉田 (株)データハウス 1600円
いつのまにか市民権を得たマヨラーなる人達。1/3をしめる料理へのマ
ヨネーズ試食例は、カラー写真がほしいところだ。フリーになって最初の
本だから、そこまで金をかけられなかったのだろう。今後に期待したい。
7月5日(金) C
ショトル・ライブラリー「飽きない散歩術」 サライ編集部 小学館1500円
月刊誌「サライ」の連載をまとめたものとか。登場するのは、60才、70才
代の有名人。大病を患い、その後始めたというケースが多いようだ。年を
とるとこうなるのかね。だいたいが「ジジイ趣味」手にとることはない雑誌。
7月4日(木) C
エイムック477「折りたたみ自転車&小径スポーツの本vol.2」 980円
エイ(木偏に世)出版社。この分野の自転車は売れてるらしく、第1巻とく
らべると百花繚乱の趣き。折りたたむという機構は、まさにデザインする
ためにあるようだ。100万するけど、やっぱり「モールトン」は素敵。それ
にしても、第2水準にもないような漢字をつかうなよ、この出版社の名前。
7月3日(水) A
「世界のサインとマーク」 村越愛策・監修 世界文化社 2400円
ていうかサインとピクトグラムの事典である。歴史的な経緯はもちろん、
世界各国の事情にまで広く、かつ深いのだ。しかも編集も、エディトリア
ル・デザインもカチッと決まった感。さすがにデザインの大御所の監修。
7月2日(火) C
こんなにあるぞ!!「不況に強いお仕事ガイド」 鳥山隆一 1500円
ソフトバンク パブリッシング。なにかと思えば、すべてが I T 関連の
仕事ではないか。しかも出版社もその業界だ。なにか裏切られた気
分は勝手かいナ。むしろ、巻末の関連HPが有用なのかもしれない。
7月1日(月) C
「山姥たちの物語」 水田宗子・北田幸恵 編 學藝書林 2800円
民俗学あるいは社会学的な考察を期待したのに、ここにあるのはまさに
フェミニズムの記号としてのロマンチックな存在。12人の女性研究者が
現代の家族観、社会観で山姥の物語を読み解く。ちょっと違うんだよね。