新刊読書日記 2003年上半期
6月30日(月) C
「富士山撮影ガイド」竹内敏信・監修 学習研究社 2300円
1年ほど前から店頭にあって、ときどき補充されていたから、けっこう売れて
いるらしい。季節、時間、雲、植物など微に入り細に入り、富士大好きカメラ
マン向け。昨秋富士山一周をしてみたけれど、また行きたくなってしまった。
6月29日(日) B
「はやわかり単位のしくみ」 星田直彦 広文社 1500円
中学校の数学の先生による単位の話。国際単位系SI基本単位を中心とす
るシステム。あるいはそれにあてはまらない単位や、人体からの人間寸法
の歴史など幅がひろい。けっきょくは世界と文化史を考えることだから当然。
6月28日(土) C
「貯筋通帳」 福永哲夫・豊岡 史 ワニマガジン社 1300円
東大運動科学研究室教授による1日15分の筋肉運動。ともすれば筋肉を退化
させる人間環境で、老化防止、寝たきり防止のための筋力トレーニングを、いか
にしてするか、の提案だがけっこう大変。ダンベル体操の方がとっつきやすい。
6月27日(金) C
「我らゆっくり夢農業」 伊豆光男 川辺書林 1600円
35歳で都会を離れ飯田市から1時間ほどの山間地で14年。養鶏を業に顧
客への、2週間毎の発行「みたぼら通信」を本にまとめたもの。色彩豊かな、
家族の情景と季節の風景。しかし後半の政治的な話題の多さは2人の娘の
教育での迷いのような気がする。教育費用こそ自給自足生活の最難問だ。
6月26日(木) C
「平成の都市伝説」 トーキョウ・ルーマーズ編 クラブハウス 1200円
東京の噂話1600を集めたと豪語する。「2ちゃんねる」をはじめ、ネット掲示
板からも収録し、楽しんでいる様子の正体不明の集団だ。マスコミが絶対載
せない与太話、言ってはならないタブーや本音、それはそれで面白かった。
6月25日(水) C
「知らなきゃ恥ずかしい日本文化」 白幡洋三郎 ワニブックス 1300円
もともとは農学、とくに庭園史を専門とする、国際日本文化センター教授によ
る文化人類学的日本文化論。99の事物を国際比較しながら、日本人の文化
特性をさぐる。その柔軟性には好意的な見方ではあるが、ちょっと大味かな。
6月24日(火) C
「ヨーロッパの壁絵デザイン」 松味利郎 東方出版 2500円
アート紙オールカラーでイタリア・スイス・オーストリア・ドイツの、田舎町の壁
絵紹介は京都精華大デザイン科教授。フレスコ画の技法でイタリアの一部で
は「街おこし」で現代画もあり。だがやはり伝統的な宗教画の方が格調高い。
6月23日(月) C
「温泉に行こう!」 永 六輔 KKベストセラーズ 1300円
一浴厄除。いい湯、いい町、いい話。と副題、松本は浅間温泉の町おこしの六
輔節。いろんな人たちとの対談をメインに、教室に見立てての講演会をテープ
起こし。さすがに全国をまわっているだけに、知る人ぞ知るという話が一杯だ。
6月22日(日) C
「フリーフォント ガイドブック FOR WINDOWS」 工学社 1900円
執筆は加藤雅士とハシバジン。Tシャツやフライヤー、HP等へのロゴマーク
の作り方ほか。後半分以上はフォント・マニア制作のオリジナル・フォントが並
んでいる。またそれを収録したCD−ROMが付録。これはけっこう遊べます。
6月21日(土) C
「『都市再生』を問う」 五十嵐敬喜・小川明雄 岩波新書 740円
建築無制限時代の到来という副題。小泉内閣の規制緩和により乱立する高
層ビル。そのミニバブルがはじける2003年問題などを糾弾。それはわかる。
じゃあ今後都市をどう考えるか、という視点がみられないのは大いに不満だ。
6月20日(金) C
「タップダンス入門」 佐々木隆子 土屋書店 1600円
やってみたいんで借りてきたけど、しょせん実践は無理に決まっている。近くに
教えてくれるところがあれば入門したいところ。父親が学生の時代、1930年代
半ばにはそうとう流行っていたらしく、タップかビリヤードか、なんて話をきいた。
6月19日(木) C
決定版「日本朝鮮戦争」 上・中・下 森 詠 徳間書店 各1900円
トクマノベルズ全15巻を3冊に再編集したものだという。10年前ならばとも
かく、イラク戦争がああいった形で終わった現在、リアリティを感じなかった。
もはや戦争小説自体が、過去の話になってしまったような気さえするのだ。
6月18日(水) C
歴史遺産「日本の洋館 昭和篇U」藤森照信 講談社 3600円
全6巻の最後、昭和の10年前後に建てられた洋館、といってもモダニズムや
ら新和風やらと多彩。なかでも建築家・土浦亀城自邸の、モダン・インテリアは
秀逸だ。このころになると、施主や建物のエピソードにも詳しく、楽しく読める。
6月17日(火) C
生活人新書054 「旧歴はくらしの羅針盤」 小林弦彦 NHK出版 680円
東南アジアで華僑の農歴と出会い、旧暦の重要さを説く元商社マン。いわゆる
太陽太陰暦の仕組みと現代生活の中での楽しみ方など。ここらでの月遅れの
行事というのは、旧暦の季節感にあわせる便法だったことを知った。なるほど。
6月16日(月) C
コロナブックス「紳士靴図鑑ベスト50ブランド」 竹川 圭 平凡社 1600円
なんというスノブな世界だ。機械式腕時計の次はハンドソーン、手縫いの靴な
のか。1%の金持ちのためのブランド品、田舎じゃ縁のない話。ただ手縫い職
人が生きられる世界というのも必要だ。というわけでなんともわからない感想。
6月15日(日) C
「安全な温泉 あぶない温泉」 中澤克之 草思社 1300円
温泉の安全と危険。いうまでもないレジオネラ菌のこと。肺炎を起す、この細菌
は入浴適温で繁殖するというから大変。温泉消毒会社のコンサルタントが明か
す実態。循環式というよりも日頃の掃除の問題という。そのノウハウは有料で。
6月14日(土) E
「原子転換という【21世紀の地球再生革命】ヒント」 久司道夫 三五館
1300円。中世の錬金術のように、元素が別の元素に変るという。それを陰陽
原理で説明するジイさまだが、これができれば科学も必要ないし、地球も安泰
だワ。こういうトンデモ本をも蔵書にするのが飯田市立図書館の度量の広さ。
6月13日(金) C
「青春『昭和アイドル』大図鑑」 岩佐陽一 文藝春秋 1600円
昭和が終わって15年。当時のアイドルをテレビ、映画、CM、特撮編とそれ
ぞれ紹介の昭和42年生まれライター。しかし同44年の「柔道一直線」、43
年「奥様は18歳」を論ずるは苦しい。さらに37年の「キューポラのある街」の
吉永小百合は生まれる前の話でしょうが。見てきたようには言わないでちょ。
6月12日(木) B
「JR全路線 なるほど事典」 南 正時 実業の日本社 1700円
JR全路線の紀行案内である。北から南へ、新幹線までふくめて378路線は
長かった。車窓風景はもちろん、駅弁、駅舎、名物、土産まで昭和21年生ま
れのオヤジにぬかりなし。さらに往時撮影のSL風景をも、散りばめるのだ。
6月11日(水) C
「中古カメラの愉しみ」 赤瀬川原平 光文社 590円
雑誌「日本カメラ」に3年間連載の「金属人類学入門」、1997年の単行本化
の文庫本化。中古カメラ・ウィルス説と日々の症状の解説で、心情はよく理解
できる。私の場合にはニコン Fを3台集めた段階で、幸いにも正気に戻った。
6月10日(火) C
歴史遺産「日本の洋館 昭和篇T」藤森照信 講談社 3600円
このシリーズもいよいよ昭和に。巻頭を飾るのはアールデコの名作、現東京
都庭園美術館、旧朝香宮鳩彦邸。時代が下がるに伴い、施主の人物像が現
実味を帯びてきて面白い。それにしても次代に語り継がれる建物は幸せだ。
6月9日(月) C
「ゆえに高速道路は必要である」 四方 洋 毎日新聞社 1429円
毎日新聞の元記者にしてサンデー毎日の元編集長。全国の高速道路の現状
と地元の雰囲気をルポ。個別に聞けば皆、必要と言うに決まっている。最後に
道路公団分割民営化反対論を述べるが、公団との繋がりがみえみえの構図。
6月8日(日) C
「聖地巡礼」 田口ランディ メディアファクトリー 1600円
雑誌「ダ・ヴィンチ」に連載。神社をはじめとして気分がよくなる場所、著者に
よればそれが「聖地」で、10回にわけての全国の聖地訪問。「気」が流れ出
てくる場所というのは意識できないが、晴れやかな気分になるところというの
は確かにある。そんな心の起伏を素直に出していて、ところどころで共感。
6月7日(土) C
ワイド版岩波文庫 「手仕事の日本」 柳 宗悦 岩波書店 1200円
戦中から戦後にかけて書かれた民藝案内書の再録。20年かけて歩いた日
本全国の手仕事探訪の集約だ。「かたちが弱い」「俗に走る」、と辛口の評価
が多い。それから60年、日本の手仕事の現状を先生はどう見るのだろうか。
6月6日(金) D
「温泉マニュアル」間違いだらけの温泉選び 森 博之 総和社 1238円
まともな本か、と思えばこれがとんでもないシロモノ。個人的な各地の温泉の
入浴の思い出話が、最後まで続いているだけ。あらためて巻末の、この出版
社の既刊案内を見れば、怪しげな書名がずらりと並んでいるのを確認した。
6月5日(木) C
「持駒使用の謎」日本将棋の起源 木村義徳 日本将棋連盟 2000円
九段にして将棋博物館の館長。古代インドから西欧ではチェスに進化、中国
では象棋となるも、タイのマックルックの影響を指摘。室町時代を、飛車角を
プラスしての持駒使用での独特の日本将棋の完成期と、推測に次ぐ推測。
6月4日(水) C
わかりやすい「軍用機の基礎知識」 坪田敦史 イカロス出版 1619円
飛行機専門の出版社である。「軍用機マニアの基礎知識」「軍用機マニアの
常識」につぐ、軍用機シリーズだ。しかし目新しいところはあまりなく、初級入
門編というところ。でいささか期待はずれの印象。そもそもこんなものかな。
6月3日(火) B
「水の世紀」 村上雅博 日本経済新聞社 2000円
中東おける紛争が実は水を巡る争いだ、という高知工科大教授による水政
治学の解説。水と安全はタダ、という今までの日本の常識では、想像もでき
ない。そんな水の偏在をどうするか、さらに新技術による水資源開発提案。
6月2日(月) C
ブルーバックス「航空管制の科学」 園山耕司 講談社 940円
ニュースではときどき話題にはなるが、航空管制の仕事の内容説明。あの
広い空がすでに過密だという。航空機のスピードこそが空間量を要求する。
さらに航空機の集中する空港での息詰まるほどの状況判断、難しい話だ。
6月1日(日) B
「塗物茶器の研究」 内田篤呉 淡交社 3000円
MOA美術館学芸部長による棗(ナツメ)の研究。ヒマつぶしにと借りてきたが
これが意外と面白い。中世の書院茶から佗び茶の生まれる過程、つまりそこ
で誕生した棗を介しての茶の湯の流れに、しばし想いをはせることができた。
5月31日(土) C
図解決定版「『各付け』その基準はなんだ!」 知的生活追跡班
青春出版社850円。読み終わって出版社の名前を見てやっぱり。つまりは
雑学本にすぎない。知る人ぞ知る様々な分野のランク付けを紹介するのだ
が、図解説明はまったく不要だ。そのぶん対象範囲をもっと広げるべきだ。
5月30日(金) C
「フォールアウト」 フアン・ゴンザレス 岩波書店 1700円
あの世界貿易センタービルの崩壊時のすさまじい粉塵。耐火被覆のアスベス
トをはじめ有害物質が周辺に飛び散った。それへの政府、自治体の対応を糾
弾するヒスパニック系コラムニスト。ビン・ラディンもここまでは予想外の展開。
5月29日(木) C
「日本の苗字おもしろ百科事典」 丹羽基二 芙蓉書房出版社 2500円
前にも同じ著者の「地名苗字読み解き事典」というのを読んだけど、地名、苗
字、家紋の大先生による面白苗字の謎解き談。珍名、奇名であってもその生
まれた歴史から、やはり大切にしてくださいな、というのが基本的なスタンス。
5月28日(水) B
「日本発見」 ステラン・ダニエルソン アミューズブックス 1500円
Wカップ日本大会でのスエーデン人の元サッカー選手のカメラマン。ホーム
ステイと、日本各地での試合取材&旅行日記。56歳ながら、本来の性格か
らか、フレンドリーな日本滞在記。明るい写真と素直な訳で、爽やかな後味。
5月27日(火) D
「いま中国はこうなっている」 宮崎正弘 徳間書店 1500円
最新現地取材[全33省]と銘打つ路地裏道と自慢。最初は威勢がいいが
後になるほど単なる旅行記となるのは、前作「風紀紊乱たる中国」とまったく
同じパターンだ。嫌中国派というか嫌漢民族派の同年代のオジサンである。
5月26日(月) B
「図説アメリカ軍の日本焦土作戦」太平洋戦争研究会 河出書房新社1600円
ふくろうの本。広島、長崎を含め、50万人が亡くなったという、日本本土空襲の
全貌。300〜500機のB−29の編隊は、さぞ恐かっただろう。それにしてもアメ
リカという国は…。今はすでに北朝鮮攻撃のシナリオは、完成しているはずだ。
5月25日(日) D
話し上手はここがちがう 「質問力」 齋藤 孝 筑摩書房 1200円
コミュニケーションにおいて、質問力が重要なのはわかる。頭のいい人同士
のどんどん展開する対談を楽しむのもいいが、それをいつものように実用書
としてまとめるには無理。今までがハイレベルだけにあえて厳しく評価する。
5月24日(土) B
「コーポラティブハウス」 高田 昇 学芸出版社 2200円
参加型自由設計の集合住宅がコーポラティブハウスである。その創成期か
らかかわった建築家であり立命館大教授による集大成。20年以上経過した
CHの報告は重い。建てた途端にどんどん古くなっていく住宅の資産価値を
どうやって高め、住み替えを促進し寿命を長くしていくか、の答になるのか。
5月23日(金) C
「日本の航空母艦パーフェクトガイド」 学習研究社 2000円
巻頭に1/100の空母「瑞鶴」の圧倒的な模型。帝国海軍の全空母の紹介。
4隻を失ったミッドウェー以降の改造空母も網羅し、濫造の慌てぶりにも詳
しいし運用などにも論が及ぶ。が誰がこれを読むのか、想像もつかない。
5月22日(木) C
「年収300万円時代を生き抜く経済学」 森永卓郎 光文社 1400円
1%の金持ち以外は貧乏人という社会が来るというのだ。その新しい階級
社会で普通の人間はどう生きるか、という話。自由な時間を余裕をもって
楽しめる生活、本当に豊かな生活を提唱。と言うことはたやすいのだが。
5月21日(水) D
「R型ライカのすべて」 中村信一 朝日ソノラマ 1800円
クラシックカメラ選書27、あの腐ってもライカの1眼レフ。距離計カメラの
M型は認めるが、いくら仕上げが素晴らしいとしてもR型は存在意義を疑
う。内容はR型讃歌だが、技術面、重量など苦しさが行間ににじみ出る。
5月20日(火) C
「ごみは燃やせ」 立石勝規 光文社 1300円
毎日新聞を退職した元記者が、プラスチック類は再利用よりも燃やして発
電に使え、と主張するのである。論説委員として、ゴミ問題をあつかってき
ただけに説得力があるかと思えば、そうでもない。ちょっと中身が散漫だ。
5月19日(月) B
「世界のかご文化図鑑」 ブライアン・センテンス 東洋書林 15000円
この出版社得意の図鑑もの、かご文化大全。素材、技法、装飾、用途まで
かごに関する、あらゆるものを網羅する。とくに技法、編み方についての解
説は勉強になった。欠点はあまりにも重くて、寝転んで読めない点である。
5月18日(日) C
「アメリカ海兵隊図鑑」 学習研究社 1800円
今度のイラク戦争でも活躍した、泣く子も黙る U.S.MARINES。軍事
オタクのためのムックで、その歴史、部隊編制、装備、運用、作戦まで詳
しいが、ちょっとついていけない感じ。普通の飛行機少年には荷が重い。
5月17日(土) C
「生と死の美術館」 立川昭二 岩波書店 3400円
医療史を専門とする北里大学名誉教授が、古今の美術作品から、「生」と
「死」 あるいは、「医」というものを考える。前半は西洋編で、硬さがめだち閉
口。後半の日本編では著者本来の柔らかさを発揮、素直に共感を覚えた。
5月16日(金) C
「世界のおもちゃ100選」 トライプラス編著 中央公論新社 1550円
おもちゃの専門家、女性3人が執筆する。世界の有名な知育玩具の紹介
だ。さすがに、デザイン的にもすぐれている。レプリカもふくめてkid’sさん
の持っているのは、9点ほど。ますますファイトをかきたてられたご様子。
5月15日(木) D
「雑誌の目次大百科」 ピエ・ブックス 5600円
同じ出版社の「映画・音楽・書籍のタイトル大百科」でも感じたのだが存在
意義を問いたいのだ。誰のための本なのか。雑誌編集者が次の企画を考え
るための資料なのか。内容も東京人対象で、不健康な印象をずっと感じた。
5月14日(水) B
「知って得する和のおけいこ」 森 荷葉 筑摩書房 1300円
お茶、お花、お香から唄、三弦、笛などの邦楽、日本舞踊から仕舞。着付
け、書道、日本画、料理さらには観劇、旅行、お茶屋遊びまで伝授。おそ
ろしいほど和に造詣の深い趣味人女性。しかしここまでやると嫌味だぜ。
5月13日(火) C
エイムック「乗りくらべスポーツ自転車の本」 エイ出版社 980円
最新バイクの気になる乗り味が全部わかる!と銘打ちMTB 31台、ロード
14台、クロス&ミニ17台を乗りくらべる。メインはダウンヒル用か、全体的
に車重がありすぎの傾向。坂の多い我が町では10kgにおさえたいところ。
5月12日(月) C
決定版「名薬探訪」 加藤三千尋 同時代社 2000円
確かな効能で時代を超えて愛され続ける日本の薬、だそうだ。書いているの
はフジTV「カルトQ」メディカルドラッグの部で優勝したという1969年生まれ
の薬剤師。大衆と共に歩み愛されてきた市販薬57品と巻末に146品補足。
5月11日(日) C
別冊宝島Real 043 「まれに見るバカ女」 宝島社 1200円
まずは社民系議員、田嶋・辻元・福島・原陽・中川。つづいて柳をはじめ
とする作家、竹内久美子ほかの評論家。さらに菊川、RIKACOなど芸能
人まで、悪口雑言のかぎり。まあそのとおりで面白いけど、品はよくない。
5月10日(土) C
「自然再生事業」 鷲谷いずみ・草刈秀紀 編 築地書館 2800円
生物多様性の回復をめざす、自然再生事業の実践論だ。霞ケ浦、渡良瀬
丹沢でのNPO、行政の取組みなどを紹介。自然が相手だけに、その都度
モニタリングをしつつ、軌道修正を行う「順応的管理」という考え方が骨子。
5月9日(金) C
歴史遺産「日本の洋館 大正篇U」藤森照信 講談社 3600円
日本の洋館シリーズ第4巻は大正後期の洋館住宅だ。ころはモダンデザイン
発生の前後、アールデコの初期あるいはドイツのユーゲント・シュティルが多
い。いずれにしても随所に職人の魂みたいなものが宿っていて脱帽の時間。
5月8日(木) C
ヤマケイ レイル ブックス15「全国最新 行楽列車」 山と渓谷社 1200円
昨日と同じく、写真は井上廣和、解説は坂正博。今度はSL、トロッコなど行
楽のための専用列車の紹介。これもなかなかカラフル。ただ今回は自然の
中での列車風景、むしろ鉄道写真ファン向けか。このシリーズは全16巻。
5月7日(水) C
ヤマケイ レイル ブックス16「路面電車カタログ」 山と渓谷社 1200円
全国21都市で今も活躍する路面電車の写真。いずれも都市風景の中での
鮮やかなカラーは、特別な鉄道ファンでなくても楽しめた。ほとんどの都市は
その昔、訪ねたことがあり、当時の各都市の印象を、多少思い出したりした。
5月6日(火) C
「頭のいい大学四年間の生き方」 和田秀樹 中経出版 1200円
あちこちに顔をだすカン高い声の精神科医だが、今回は大学生全入時代の
勉強の仕方を説く。内容的にはとりたてて、どうということなし。ただ自らの経
験を話すことの困難な昨今、若者にとっては別の評価があるかもしれない。
5月5日(月) B
「明治維新」 田中 彰 講談社 1450円
1976年刊の文庫化全492頁。慶応3年の大政奉還前夜から、明治10年
西南戦争后までの日本の夜明けを一揆と中央政界での確執の二面より検
証。教室で習ったこと以外に、こんなにも混乱があったとは初めて知った。
5月4日(日) C
「選挙立候補マニュアル」 三浦博史 ビジネス社 1300円
選挙プランナーを自称する、元公設秘書。素人が立候補するという傾向に答
え、そのノウハウを開陳。ただ重要なところは選挙プランニング会社へどうぞ
という仕組み。やはり相当金がかかるということ。国政から町村議員選まで。
5月3日(土) C
「骨董遊学」 伊藤順一 展望社 2000円
1935年生まれの趣味人が骨董についての随想を、収集した文物の写真と
ともに語る。副題に独断と感傷の落穂拾い、とあるがそのとおり。焼き物を主
体にはしているが、幅はかなり広い。自己満足の極致、幸せなお人である。
5月2日(金) A
ちくま新書 「グレートジャーニー」 関野吉晴 筑摩書房 950円
TVは必ず見た、あの関野さんは武蔵美の教授。北海道新聞日曜版の連
載だという。南米からアラスカまで出会った人とのエピソードを、文明の果
てで生きる子供達の姿を、淡々と綴るだけに胸がしめつけられる想い。後
編を期待すると同時に、もっと厚い本にして読ませてほしいと願うものだ。
5月1日(木) C
「古布に魅せられた暮らし 其の四」私のアンティーク特別編集 学習研究社
2100円。古布が密かなブームである。古布と遊ぶ実例集としてすでに4巻
目。江戸末期から昭和までの古布をインテリアとしてどう愛でるか?ただ使
い過ぎると、空間が散漫になる傾向だ。どこまで抑えるかがポイントだろう。
4月30日(水) C
「おもしろ図書館であそぶ」 毎日ムック・アミューズ編 毎日新聞社
1429円。専門図書館142館完全ガイドブックと豪語する毎日ムック。博物
館・美術館併設図書館、ジャンル別専門図書館の全国情報。公立やら私設
あるいは企業のものなど案内も充実だが、あえて行ってみたいとは思わず。
4月29日(火) B
「ペーパーコレクション入門」 野島寿三郎 日外アソシエーツ 2800円
紙くず収集百科を標榜する、テレビ「何でも鑑定団」の鑑定人。その幅の広
さにはおどろき、ただただあきれるのみ。それらの紙くずを、それぞれジャン
ルに分類し、収集方法、保管方法を指南してくれるのだ。恐れ入りました。
4月28日(月) C
健康ライブラリー「睡眠障害を治す本」 佐々木三男 講談社 1300円
最近新幹線の居眠り運転で話題になった睡眠時無呼吸症候群。長男にそ
の疑いがあるだけに興味をもって読んだ。それにしても昔はこんなこと、ま
るっきり話にもならなかったが…。社会自体が神経質になっているせいだ。
4月27日(日) D
日経ムック NIKKEIプラス1「温泉大賞」 日本経済新聞社 950円
まったくの期待はずれ。読者投票による温泉大賞は冒頭部分のみ。あとは
全国の温泉地の紹介だけ。昨今のテレビの旅番組の隆盛で、温泉への知
識は皆が豊富のはず。総花的でなく、もっと雰囲気を出してほしいものだ。
4月26日(土) B
「建築の歴史」 ジョナサン・グランシー BL出版 5000円
英の建築評論家が書いた「世界の名建築の壮大な美とドラマ」だが、いわゆ
る建築史の教科書と違って、個人的な感想が色濃い。だから書名も、原題の
「THE STORY OF ARCHITECTURE」を直訳し「建築物語」とすべきだ。
4月25日(金) C
「一日3回アクセスしたくなる掲示板運営術」 中本千晶 かんき出版
1500円。1日に3回もアクセスされちゃあ大変だ、と思うほどウチにはまる
で関係ない話だ。有名なサイトの掲示板の運営を参考にその快適なあり方
をさぐる。当方には全然現実感のないことなので、ついつい拾い読み状態。
4月24日(木) B
「伊那谷の文化財」−飯田下伊那の特質を探る− 飯田美術博物館
昨年開催された同名の特別展のまとめである。彫刻・工芸・絵画、考古資料
歴史・民俗資料、建築物、無形文化財、名勝・史跡、天然記念物の図版と解
説だ。地元の歴史を文化財から眺めるという企画にのって素直に楽しめた。
4月23日(水) C
「知っておきたい国旗・旗の基礎知識」 竹中敬明 岐阜新聞社 1429円
なぜ岐阜新聞社なの、著者は元岐阜消防学校長。たしかに国旗にたいする
知識を学ぶことに。国旗フリークだね、この人。初めて知ることも多かったが
最後にはちょっと息切れ状態。だから、つくづく本を書くのは難しいと思った。
4月22日(火) D
別冊太陽121「陰陽の世界」 西川照子・構成 平凡社 2600円
美しい写真で日本の年中行事と卜占を追っていく。しかし文章が詩的すぎて
内容が良くわからないのだ。書いている本人は十分乗っている様子なのにし
らけるばかり。ただなんとなくムードを楽しめば良い、というのでは困るのだ。
4月21日(月) C
「天竜川と秋葉街道」 神谷昌志 明文出版社 1500円
静岡の地元出版社「川と街道」という企画から。天竜川に掛けた橋の建設と
洪水での流出の歴史、火伏せで有名な秋葉神社の盛衰。天竜川も秋葉街
道も長野県と縁がないわけではないが、残念ながら静岡県内だけに終始。
4月20日(日) D
「28歳からのリアル」 人生戦略会議 WAVE出版 1400円
人生は35歳までに決まる、残された時間に必ずやっておくべきこと全部。と
称して、仕事、結婚、お金、住まい、健康、親、モノ、マナーそれぞれに指南。
期待したけど意外と常識的な答。そりゃそうなんだろうけど、ツマンなかった。
4月19日(土) C
イカロスムック「旅客機アルバム2003」 イカロス出版 2381円
日本発着の国際線全57社のフォトアルバムだ。さらに各社の歴史、使用機
客席の種類と配置から全使用機の登録番号まで詳しく図解。いわゆる旅客
機マニアのためのバイブル、ともいうべき内容。JALの新カラーはいい感じ。
4月18日(金) B
エリアガイド「地図で歩く東京U 東京区部西」古今書院 2200円
東京都地理教育研究会・東京私立中学高等学校地理教育研究会 編
中学と高校の地理の教師が、地図を片手の地理授業散歩のコース紹介。
すでに東京を離れて30年近く、その昔を思い出しながら、あるいは時折訪
ねる子供達のアパート周辺を思い浮かべながら、地理の勉強を楽しんだ。
4月17日(木) C
「フリー クライミング」 木村伸介・理恵 編 山と渓谷社 1900円
スーパースター、平山ユージの出現で若者に人気のフリークライミングの入
門書。世界のビッグウォールの紹介もあるが、日本で有名なところに小川山
というのがあるらしい。須玉 ICから90分の川上村だ。こんど行ってみるか。
4月16日(水) C
「基本はかんたんホームページ」 早坂優子 視覚デザイン研究所 1600円
HTML言語を使ってのホームページの作り方教則本。いまどきこんなことす
る人がいるのかね。当方すべてドリームウィーバーにおまかせだけれど、マ
ニュアルが難解で、今もってカウンターのつけかたが不明。参考にならず。
4月15日(火) C
「イザベラ・バードの『日本奥地紀行』を読む」 宮本常一 平凡社 1200円
明治11年東北から北海道を旅行したバードの「日本奥地紀行」宮本常一の
講読会の記録。貧しくとも秩序あった当時の日本の地方社会の、これまた日
本全国を歩いた著者の解説だから、生き生きとした状況が再現されている。
4月14日(月) C
「焚き火大全」 吉長成恭・関根秀樹・中川重年 編 創森社 2800円
焚き火の技術、材料、調理など大全にふさわしい内容。現在、薪ストーブと
囲炉裏のある住宅を設計中で、とくに薪については勉強になった。ただ後半
の環境教育との関係、や文芸・絵画などの記述はちょっとね、という感じだ。
4月13日(日) C
「東京アンティーク マップ」西洋アンティーク オクルス特別編集 里文出版
1200円。オールカラーのショップ案内、東京23区と東京都下数軒。やはり
人気は19世紀のクラシックのものから、20世紀はじめのアールヌーボー、
アールデコだ。いわゆる日本やアジアの東洋物はない。まあこんなものか。
4月12日(土) C
「建築材料がわかる事典」 杉本賢司 日本実業出版社 1700円
用事で東京へ向かう高速バスの中で。著者は大成建設の開発室長、さす
がに経験に裏打ちされた、建築材料学の講義の雰囲気ではある。しかし終
わりに近づくにつれ、内容が素人向けになって、軽くなった印象を受けた。
4月11日(金) C
ラッコブックス「名門女子大大研究」 高山佳枝 新潮社 780円
お茶の水から東洋英和まで11校。学科案内、周辺環境、就職状況など。学
生の横顔として、その生活ぶりを紹介しているが、いずれも家賃が安すぎるよ
うに思える。それにくらべバイト収入が多すぎるのだ。これを見て楽観は禁物。
4月10日(木) A
「都市の空間史」 伊藤 毅 吉川弘文館 9000円
建築史の東大教授による分厚い学術書。中世つまり室町時代の、寺院を中
心とした都市の成立がメインテーマだが、町屋の形成あるいは都市景観論、
さらには都市防災と、非常に幅のひろい視点。それぞれをどう発展させるか
タネが一杯の印象。大学院でゼミの輪講を受けている気分だ。楽しかった。
4月9日(水) C
ワールドムック402「CIGAR&LIQUOR」ワールドフォトプレス 2286円
酒とシガーのマリアージュ・最新シガーコレクション。葉巻の種類・銘柄をこれ
でもかと紹介、酒はほんのつけたし。煙をくゆらす、ゆったりとした時間。魅力
的だ。19世紀からのスモーキングルームの成立が社会史的に面白かった。
4月8日(火) B
「機械部品の幕の内弁当」 森 政弘 オーム社 1600円
ロボコンの創始者の東工大名誉教授による創造性論だ。いかにして創造力
を高めていくかのヒントが満載。よくあるビジネス書とちがい、なかなか奥が
深い。ただ雑誌「ロボコン」の連載なので、あまりまとまりが宜しくない印象。
4月7日(月) C
「酒と家庭は読書の敵だ。」 目黒考二 角川文庫 552円
椎名誠と「本の雑誌」を始めた文芸評論家だが今回は失望。途中に文藝時
評が延々とつづき、さらにその後には「週間現代」に連載した競馬本の書評
が連続。せっかく前作「だからどうしたというわけではないが」を誉めたのに。
4月6日(日) C
「大塚亮治 面(おもて)の世界」 大塚亮治 文芸社 4000円
伎楽面から創作面まで、という副題のように伝統能面というより、新作狂言
のための創作面に主眼をおいた構成だ。彫刻から、独学で面打師になった
という著者自慢の人物面や動物面などがならぶが、あまり感想はないな。
4月5日(土) B
「鰤のきた道」 松本市立博物館・編 オフィスエム 1524円
同博物館の同名の企画展の単行本化。「飛騨鰤」と言われる「年取り魚」を
富山での捕獲から、高山をへて松本・伊那・飯田にいたる街道、あるいは年
取り習慣。日本近代の地方の生活・社会状況をじっくり見せてくれました。
4月4日(金) D
「できる人は地図思考」 吉田たかよし 日経BP社 1400円
灘高から東大、同大学院からNHKアナウンサー、今度は国家公務員1種
合格つづいて医師免許取得さらに加藤紘一の政策秘書にと、すべてが地
図思考の自慢話。要は頭の良さ、普通人はそれができないから苦労する
のだ。しかし、その華麗な経歴の結果がこんな本では、あまりにも悲しい。
4月3日(木) C
「歴史の道百選」 森田敏隆写真集 3000円
文化庁選定だというが、古い街道や歴史上の有名人の通ったらしい間道な
ど。それぞれが空気を感じさせるほどの、美しい写真の集合だ。一本桜やら
棚田やらの、写真集も出してるらしい。でもやっぱり道には眺望がほしいね。
4月2日(水) D
「ローコスト住宅のつくり方」 海野健三 彰国社 1600円
半分はイラストである。書かれている内容についても、いくら素人さん向けと
いえ突っ込みが足りないし、どう考えてもおかしいという個所をいくつも見受
けるのだ。建築専門の出版社だが、こんな本を出す見識を疑うものである。
4月1日(火) B
「東京情報」 鈴木伸子 新潮文庫 590円
都市誌「東京人」の副編集長が、2年にわたって読売新聞に連載したとい
う「街角観察記」をまとめたものだという。「東京人」というのは、知らないが
なかなかの文章、ちょっと斜にかまえたところが東京人たる所以なのか。
3月31日(月) D
「アメリカの警告」 長谷川慶太郎 東洋経済新報社 1400円
それにしても米英軍、イラクで予想外の苦戦だ。この本は「軍事・経済
一極支配と100年デフレ」という副題だけで十分、あえて読む必要なし。
先生、今度は完全にデフレ礼賛の雰囲気だ。字が大きくて30分で読め
ることだけが、この人のいいところかな。昼休みのヒマつぶし本である。
3月30日(日) D
「電脳広辞園」 泉 麻人 アスキー 1600円
「週間アスキー」の連載という例によって安直なつくられ方。サーチエンジン
に言葉をいれ検索し、結果としてのHPの迷い道を楽しむという趣向。いろい
ろ考える人だ。とんでもないところへ行ってしまうほど面白いのは実感する。
3月29日(土) C
頭にやさしい「雑学読本」 竹内 均・編 三笠書房 1300円
視界が広がる353の「驚き」とは大袈裟じゃないの。あの「ニュートン」編
集長の竹内先生が、多少関係したといっても、よくある雑学本のひとつに
過ぎない。まあ肩はこらずに気楽に読めるけれど、ただそれだけの本だ。
3月28日(金) C
「世界の一流工具購入ガイド」 (株)ニューズ出版 2500円
たしかに高級工具は東急ハンズあたりでも、見ていてあきない。揃えようと
は思わないが、クルマやバイクいじりをする人達にとってはステイタスのよ
うだ。26ブランドの397アイテムの徹底比較、さらに全国ショップガイド付。
3月27日(木) B
「シンデレラの時計」 角山 榮 平凡社 900円
1992年の単行本の平凡社ライブラリーの文庫化。中学生向けにまとめた
エピソードから読み解く、時計の歴史と文化史。読みやすいので2時間ほど
で終了したが、中身はけっこう濃い感じがする 。川勝平太の解説は不要。
3月26日(水) C
「江戸の職人 その技と粋な暮らし」 鈴木章生・監修
青春出版社667円。ここでも江戸開府400年記念の企画。江戸の職人の
実像を解説だ。江戸後期の、経済の発展の中でさえも、けっこう辛い暮らし
ぶり。そりゃあ現在のわれわれの生活と、比べちゃ無理というものでしょう。
3月25日(火) C
「ベッドの文化史」 ローレンス・ライト 八坂書房 3200円
長かった。523頁にわたりベッドおよび睡眠に関する考察が、先史から現
代まで、延々と続く。著者がインテリアの専門じゃないだけに、ベッドそのも
のも文学的な見方で期待はずれの印象。訳も悪くて、辛い五日間だった。
3月24日(月) C
ニュートンムック「次世代テクノロジー」 (株)ニュートンプレス
1600円。昨年の「ニュートン」の記事の中から構成しなおしたもの。3部
にわかれて、ナノテク、クリーンエネルギー、その他交通、教育、建設な
どの、次世代技術を紹介。年をとったせいか興奮できないのは残念だ。
3月23日(日) C
「季節を楽しむ 暮らし」 松岡のぶ代 ぱるす出版 1300円
松山在住1943年生まれのインテリア作家が季節を愛でるのだ。ところど
ころに布、紙の染め作品。スタイルはあくまでも和であるものの、趣味が
ちがうという感じだった。名前のノブは「糸へんに予」で第2水準にもない。
3月22日(土) B
「襖(ふすま)」 むしゃこうじ・みのる 法政大学出版局 2700円
ものと人間の文化史シリーズ108。81歳になる国文学者が、襖の起源
をさぐるが、意外と文献的には不明で絵巻などの片隅からの推測。寝殿
造りの後期から書院造りの初期への、畳の誕生と時を同じくするらしい。
最後には建築を志した2人の孫娘に贈りたい、と微笑ましく結んでいる。
3月21日(金) C
ヤエスメディアムック74「グリコのおまけ型録」 八重洲出版
3000円。「おまけ」の80年史5000点収録と豪語する。たしかにすごい
コレクション。しかし個人的には、それほどの愛着は感じない。小学生の
頃は実家がオモチャ屋をやっていて、わりと気軽に手にしていたためか。
3月20日(木) C
歴史遺産「日本の洋館 大正篇T」藤森照信 講談社 3600円
日本の洋館シリーズ第3巻。藤森照信と写真は増田彰久だ。西暦では
20世紀の初め、モダンデザインの夜明け前というところ。随所にそんな
雰囲気の洋館が連なっている。明治、大正、昭和それぞれ2巻全6巻。
3月19日(水) C
「カー・セキュリティ完全マニュアル」 フォーバイフォーマガジン社
別冊OFF ROAD EXPRESS 724円。高級車が盗まれ海外へ密輸さ
れるという話、これはそれを防ぐためのマニュアル。セキュリティの方法
から機器のカタログ、取付けのショップの紹介など。世の中は大変だ。
3月18日(火) C
「ボタン×ボタン」 TOMAコレクション・編 アートダイジェスト
2000円。モダンデザインの以降、20世紀プラスチック・ボタンを得意とす
る収集家・当間易子。それぞれに、華やかな時代の息吹を想像させてくれ
る。巻頭には先日の和光大・竹原あき子のプラスチック論が付いている。
3月17日(月) C
「古代の都を復原する」 岡田茂弘・監修 学研 1800円
東北歴史博物館長だというが、復原それも模型でのそれに、意欲を燃やし
ているようだ。1000分の1の平城京や平安京から、100分の1の建物模
型や、さらには実物大の復原建物まで。しっかり金をかけている様子だ。
3月16日(日) C
「文化経済学入門」 デイヴィッド・スロスビー 日本経済新聞社 2800円
またまた難しい本である。文化をなんとか計量化したい、という試み。経済学
の本質が、社会つまり経済活動の数量化にあるとするならば、当然の成り行
き。しかし未だそこまでは到達せず、前段階の基本的な思考の様相である。
3月15日(土) D
「さわの文具店」 沢野ひとし 小学館 1600円
「本の窓」という雑誌に連載されたものだというが、綿々とどうでもいいこと
を綴るのにはあきれた。文房具好きは同病で、銀座の伊東屋で興奮する
のはわかるが。だいたいこの人、椎名誠の友人というだけではないのか。
3月14日(金) C
「麻雀(超)能力」 日本プロ麻雀連盟・編 徳間文庫 533円
基礎、初級、中級、上級それぞれの問題集。これが難しい、半分できれば
上々。しばらく打っていないが、実力はこんなもんか。つまりツモる牌の読
みが浅いんだヨ。それを瞬時に判断しなきゃ、勝てないというわけだわサ。
3月13日(木) C
「トリセツ」 おとなのデート取扱説明書 ぴあ 1300円
この田舎ではやってないが、深夜のテレビ番組を単行本化したもの。表題
どおりデートする場所、あるいは飲食などの、スノッブな説明。お遊びなれ
ど、今の世の中だから、このとおりやる人間が、いるんじゃないのかねえ。
3月12日(水) C
シリーズ環境社会学[五] 「食・農・からだの社会学」 桝潟俊子ほか・編
新曜社 2400円。シリーズ5は農業社会学だ。食・からだと銘打つだけに有
機農業の記述が多いが、目新しいところはあまりない印象。なかでも日本型
デカップリングと、埼玉県小川町のエネルギー自給を目指す動きに注目だ。
3月11日(火) B
決定版「図説・戦国甲冑集」 伊澤昭二 文・監修 学研 2100円
「歴史群像」シリーズ特別編集。戦国時代以降の甲冑、その他の意匠には
思わず笑っちゃうほどのユニークさ。これはそれらを集めたムック本でその
全貌を見事におさめている。まさに日本のデザインがここにはあるとおもう。
3月10日(月) B
「A TWENTY YEAR RETROSPECTIVE」 マイケル・ケンナ 5800円
(株)エディシオン・トレヴィル。今話題、英の風景写真家の復刻版。朝夕の
曇天の微妙な光をとらえた、詩情豊かなモノクロ写真。これ見りゃ誰だって
もう一度「銀塩写真」に戻ってみたいと思う。20mmの広角が欲しいわぁ。
3月9日(日) D
「タバコ副流煙の恐怖」 宮本順伯 中央公論事業出版 952円
「禁煙席ネット」とやらを主宰。延々とタバコの副流煙の害を説き、都内の
1100の飲食店の禁煙ランキング。さらには交通機関、大学、政党とアン
ケートの結果をしめす、いささか病的な医学博士。年齢くらい公表しろよ。
3月8日(土) B
「ニューヨーク 摩天楼都市の建築を辿る」 小林克弘 丸善(株) 2700円
香山壽夫監修・建築巡礼シリーズ、都立大教授・建築家が案内。その創成
期も詳しいが、圧巻は社会現象としての20世紀初めの高層建築。スカイス
クレーパーという響きと摩天楼という名訳。さらにアールデコ、モダン、その
後のポストモダンとデザイン史の教科書だ。発行は3年前でWTCは健在。
3月7日(金) C
「日本の塩100選」 玉井 惠 旭屋出版 1600円
平成9年の自由化により、各地で自然塩の製造がはじまったが、これはそ
のカタログ。揚浜式、入浜式、流下式、藻塩焼きなど、伝統製法を紹介する
が、もっと詳しい記述がほしい。やっぱり釜より天日の方が、うまそうだな。
3月6日(木) C
ブルーガイド旅読本「信州センチメンタルジャーニー」 金子万平
実業の日本社1700円。千曲川、長野、小布施、上田、小諸、佐久の旅案
内。しかしどこがセンチメンタルジャーニーなの。長野市の有名人らしいが
額面どおり、感傷旅行ができるように、もっと叙情的に書いてほしいもの。
3月5日(水) C
「アスペルガー症候群と高機能自閉症の理解とサポート」
杉山登志郎・編著 学研1800円。学研ヒューマンケア・ブックス・シリーズ
自閉症の中でも言語発達の遅れが少ない人達、あるいはその中でも知能
の高い自閉症のグループの教育実践書。全国で50万人以上いるという。
3月4日(火) C
「何はさておき」 ナンシー関 世界文化社 1000円
今は亡きナンシーさんも、本は健在でこの「何…」シリーズはすでに8冊も
出ているのだ。読書日記のネタのないときには、いい埋め草にはなってくれ
るが。この印税はどこへ行くのか?一緒に住んでいたという妹のところか。
3月3日(月) C
私が答えます2 「小顔・小アゴ・プルプル唇」竹内久美子 文藝春秋
1286円。「週間文春」の好評連載の単行本化パート2。動物行動学からの
SEX関連話が延々とつづく。週刊誌ならば、1週間に一度だからいいけど連
続はきつい。基本的に、遺伝子は繁栄のためなら何でもする、との立場だ。
3月2日(日) C
「世界史モノ事典」 平凡社・編 平凡社 2500円
2001年10月10日の「日本史モノ事典」の続編。平凡社の世界大百科事
典を中心に、平凡社発行の出版物の中から、3000点にのぼる挿絵ほか
を集めたもの。期待したが、日本史モノ事典ほど面白くなかった。何故か。
3月1日(土) C
「美人」 フランセット・パクトー 研究社 3800円
フランス生まれの女性による美人論。フェミニズム的視点は少なく、フロイ
トの精神分析的アプローチ。しかし性欲からの美人論には少々違和感が。
むしろデザイン論との共通性から考える法がありはしないか、と思うのだ。
2月28日(金) C
「図解 レンズがわかる本」 永田信一 日本実業出版社 1600円
サラリーマンを退職し、「レンズ屋」という会社を設立した、根っからのレンズ
好き人間のようだ。光学の初歩から、最新技術まで解説していくが、後半に
なると、難しい数式が出てきたりして、飛ばし読みの状況となってしまった。
2月27日(木) C
「職人気質をひとつ」 小山 織 NHK出版 1500円
インテリアスタイリストとの著者紹介、「NHKおしゃれ工房」の連載の由。和
の雑貨と暮らすのだそうだ。さすがに、初めて眼にするものが多い。本の体
裁もそれらしく、目の肥えた奥様方御用達というところ。とくに欲しい物なし。
2月26日(水) C
まんぼうシリーズ 「柳家花録と 落語に行こう」 旬報社 1600円
亡き小さんの孫だというが落語はきいたことなし。の落語入門編。寄席風
景、自己紹介、作品ガイド、噺家紹介と初心者向けに網羅する。最後に分
裂4派の巨匠との対談。なんとか結集しての高座実現を図る、が道遠し。
2月25日(火) C
「路上の神々」 赤瀬川原平 佼成出版社 1500円
南伸坊、藤森照信、林丈二らとの路上観察学会もすでに30年。そこでの
収集物を披露するのだが、いまやその達観は名人の心境か。写真の中の
情景に神の存在すら見いだすのである。しかしそれがどうしたという声も。
2月24日(月) B
「老犬とどう暮らすか」 林 良博 光文社 1200円
人間も年をとるがペットも老いるのだ。そんな老犬との幸せな関係と介護の
知恵だとか。老犬の食生活や環境、病気、痴呆、そして最後には安楽死の
問題にまで。しかし老齢の犬とゆったり暮らすのは素敵、と説く東大教授。
2月23日(日) B
「脳の方程式 ぷらす・アルファ+α」 中田 力 紀伊国屋書店 1800円
東大医学部出身の国際的脳神経学者による脳進化論である。なんとなく
わかる気はするものの、相手が脳だから難しすぎる。21世紀に期待され
る日本人だというが、ちょっと危ない感じもする。しばらく注目しておこう。
2月22日(土) C
別冊太陽 骨董を楽しむ−46 「古民家再生術U」 平凡社 2400円
セルフビルドの発想という副題のとおり、基本的には自分の手でおこなう古
民家の再生例。やはりアート関係の職業が多く、いずれもしっかりデザイン
されていて好感がもてる。こんな民家の再生を、一度やってみたいものだ。
2月21日(金) C
「全国七福神めぐり」 工藤寛正・みわ 明 東京堂出版 1400円
七難をさけて七福を得る、のだそうだ。2/3が首都圏の歴史の古いのから
新しいものまで。地域でかたまる傾向は、隣がやってるからウチも、という
商魂からなのか。ヒマな年寄りが、運動がてら歩くにはいいかもしれない。
2月20日(木) D
「ビジネス・ウェポン」 大前研一 小学館 1500円
10年ぶりくらいに読んでみたが失望。あちこちに書き散らかした文章を繋
ぎあわせたのか、まとまりもなく、大言壮語の自慢話の印象。ところどころ
鋭い見方もあるが、あえて読む必要なし。顔まで竹村健一に似てきたぜ。
2月19日(水) C
「評伝イサム・ノグチ」 ドーレ・アシュトン 白水社 5300円
5年前の刊行、原題「Noguchi East and West」日米混血としての自己
捜しから、芸術家との交流あるいは古典芸術の探求をとおして西洋と東洋
の融合を語る、本人とも親交のあった女性芸術評論家だが、今ひとつ霧の
中の様な感じ。やはり日本での助手あたりからの証言が必要な気がする。
2月18日(火) C
「土蔵のこて絵」 金子信也 長野日報社
八十二銀行を退職し、悠々自適の生活。諏訪市内の土蔵の棟に描かれた
漆喰のこて絵を収集、自家出版のためか本の値段は記載なし。全78頁な
がら総アート紙の体裁だ。でもねえ、ちょっと突っ込み不足の印象だなあ。
2月17日(月) C
「新しい歴史狂科書」 マッド★アマノwith新しい狂科書をつくるかい?
新潮社1300円。今はなき写真週刊誌「FOCUS」の連載「狂告の時代」か
ら選んだもの。ひさびさのパロディ作家、天野さんだ。ときおり、クスッという
ていどの笑いがいいのかも。それ以上でも、それ以下でもない世界である。
2月16日(日) C
「沖縄ソウル」 石川真生 太田出版 2000円
沖縄在住49歳のオバチャン。東松照明に師事したという社会派カメラマン。
とうぜんモノクロ写真専門で、その中に波乱に富んだ半生記を、散りばめて
いる。直腸ガンでもまだまだ頑張っている様子、だけど写真には感想なし。
2月15日(土) C
毎日ムック「神田神保町古書店街ガイド」 アミューズ・編 毎日新聞社
1429円。神保町の古書店156軒の全ファイルに加え、中央線古書店探
訪、京都の古書店の3本立て。さらに食事、喫茶の名店まで紹介と切口も
多彩。それにしても、続々と新規開業する神保町の様子には唖然とする。
2月14日(金) B
「日本美術のことば案内」 日高 薫 小学館 1800円
国立歴史民俗博物館の若手女性助教授による、日本美術の技法解説。図
版も美しく、わかりやすい。想うことは美術だけでなく、文学その他との相互
作用と、今も西洋美術に影響を与え続ける日本文化の底の深さ。それも島
国としての政治の安定性による幸運さ故なのか、といつもの思いを新たに。
2月13日(木) C
「田崎真也と探す、いい店おいしい店」 田崎真也 新潮文庫 400円
書き下ろしの辛口飲食店論だ。旅先でのいい店探し、ジャンル別のいい店
の条件やら、あるいはデートや接待での、ホストとしての振る舞い方まで。
いやー難儀なことであるよ。こう思う人は、旨いものを食べる資格はない。
2月12日(水) C
「画面の誕生」 鈴木一誌 みすず書房 3200円
やっと終わった。美術雑誌「みすず」に不定期連載したという映画芸術論。
画面を長々と説明するのだが、映画そのものをあまり見ない身にとっては
苦痛。美大の教室で、面白くもない映画論講義を聞いている心境だった。
2月11日(火) B
「だから どうしたと いうわけではないが。」 目黒考二 本の雑誌社
1600円。WEB版本の雑誌「今週の1冊」の単行本化。椎名誠と一緒に本
の雑誌社を始めたという編集者。テーマ毎にあたかも地図をつくるかの如く
関連づけての本の紹介。ここまで本を楽しめる姿には羨望の念を抱いた。
2月10日(月) C
「イスファハン オアシスの夢」 NHKアジア古都物語プロジェクト・編
NHK出版1400円。NHKスペシャルで放映された番組の単行本化。ブルー
に輝くタイルのモスク、イランの古都「イスファハン」だが、写真家・石元泰博を
もってしても、美しさが伝わってこない。もしかしたら政治的問題があったの?
2月9日(日) B
「身近な危険・ハチ刺し症」 小川原辰雄 クリエイティブ・センター 1900円
2度刺されると抗体反応で命まで危ないこともあるということは聞いていた。
昨年、靴の中に潜んでいた正体不明のハチに足指を刺され恐ろしくなった。
長野県青木村診療所の医博のこの本によれば、3年はアレルギーが続くと
いう、気を付けなくては。なお私を刺した不埒なハチはマルハナバチらしい。
2月8日(土) C
「Let’s Play ダーツ」 坂本一郎・監修 池田書店 950円
田舎じゃ知らないがダーツパブってのがあるそうだ。ビリヤードにあきたら
ダーツ遊びだ。撞球ほど場所をとらないから店にとってはいいか。さまざま
なゲームの方法を解説。巻末、公認競技場リスト付き。長野県にはない。
2月7日(金) C
アフガン従軍記 下 「儂は舞い上がった」 宮嶋茂樹 祥伝社 1400円
最前線での取材というより世界中から集まった戦争記者達の生態観察とい
う内容。ヘリでジャボルサラジを脱出後のカブールの陥落に歯軋りし、新体
制のアフガン訪問を付け足す。だが巻末の勝谷誠彦の解説は全くの蛇足。
2月6日(木) C
アフガン従軍記 上 「儂は舞い降りた」 宮嶋茂樹 祥伝社 1400円
もはや名物記事となった週間文春の「不肖・宮嶋」シリーズ。今回は空爆下
のアフガンに潜入。しかも上下2巻という超弩級。そんなわけないでしょ。キ
ルギスタンからアンジュマン峠を越え、ジャボルサラジ直前までの苦労話。
2月5日(水) B
「現代日本のアニメ」 スーザン・J・ネイピア 中公叢書 2600円
世界のインテリが日本文化の先進性を評価しているらしい。建築における
安藤忠雄も然りで、このアニメが代表選手。ポストモダンのテクストとして
の解説をする、テキサス大学の女性教授。ただ個人的には今までも、これ
からも見ないであろうアニメ。少々買いかぶりすぎてはいないかとも思う。
2月4日(火) C
「文庫、新書の海を泳ぐ」 小田光雄 編書房 1600円
ペーパーバック・クロールというサブタイトル。博識の著者が消えた本や作
家に捧げる鎮魂歌だ。45の章からなり、それぞれの視点の多様性には舌
を巻かざるをえない。文体も明快で、あっというまに読み終えてしまった。
2月3日(月) C
「『外断熱』が危ない!」 西方里見 (株)エクスナレッジ 1500円
室蘭工大卒業の秋田の建築家、断熱に関する有名人らしい。断熱、結露
については、いろんな人が書いてはいるがストンと納得できるものはない。
皆ほんとに解っているのか疑問。この本についても質問したいことだらけ。
2月2日(日) C
角川選書 「首都江戸の誕生」 大石 学 角川書店 1500円
来年は徳川家康が江戸に入城して400年目。ここへきて江戸本の発行ラッ
シュだという。大江戸はいかにして造られたか、というのが副題で、著者は東
京学芸大教授。中心は専門とする八代将軍吉宗と大岡越前の享保の改革。
2月1日(土) A
「会議革命」 齋藤 孝 PHP研究所 1200円
身体論、コミュニケーション論に続いて会議論。それにしても全てが超一級
品レベル。スタンスと方向性がしっかりしている所以か。今すぐにでも、この
スタイルで会議をしてみたいと思う。次は、いったい何を出してくれるのか。
1月31日(金) C
「日本の原像」 上田正昭 創元ライブラリー 900円
1970年の新刊、74年に文庫化、そして2001年別の文庫での発行。それ
ほどまでに古典なのか。「国つ神のいのち」という副題に、興味を感じて借り
てきたものだが、それは前半のみ、それなりに。後半は歴史に関するノート
とも言うべきもので、興味がある人にはいいが素人にとっては難しかった。
1月30日(木) C
KAZIムック 「マイボートは車に積んで」 舵社 762円
また金のかかる趣味。アルミ製、FRP製、ラバーコーティング布製、ついに
はトレーラーで曳く本格タイプ。さらに居住性と釣りの効率を求め、エスカレ
ート。ついて行けない世界。でもそれが自分のアイデンティティのためなら。
1月29日(水) C
「イギリスの風景庭園」 田路貴浩 丸善(株) 3000円
香山壽夫・監修 建築巡礼シリーズは水と緑と空の造形と称し、イギリス郊
外に点在する、18世紀につくられた庭園を紹介する。たしかに見事ではあ
るが、ロココの時代になぜ、このようなものが造られたのか説明がほしい。
1月28日(火) C
「古書彷徨」出久根達郎 新泉社 1800円
古本店主にして物書きの著者の、専門誌への連載や書き下ろしを集めたも
ので、フィクションやらノンフィクションやら入り交じり、雑多な印象。前に読ん
だ「本のお口よごしですが」のような、出久根ワールドを味わうことはできず。
1月27日(月) B
「本当の学力をつける本」 蔭山英男 文藝春秋 1238円
兵庫の田舎で教え子の2割が国立大に合格、という話題。小学校での算
数計算、国語音読、漢字学習という反復学習が大事だという。まったく賛
成だ。進学がどうこうというより、社会全体の民度を問う上で、あるいは逆
に個人の自己認識の問題についても関連性があるのではないかと思う。
1月26日(日) C
PLUS 1 LIVING 「キリムのある素敵な暮らし」 主婦の友社 1600円
中近東の遊牧民の平織りの布がキリム。とうぜんイスラムの香りのテキス
タイル。カントリー調から1歩進んで和の世界へ、それにあきたらない人が
エスニックへと向かうのだ。しかし、これも使いすぎるとイモになるのよね。
1月25日(土) C
パソコンでできた「おうちdeおしごと大図鑑」 肥後紀子 主婦の友社
1500円。インターネットで超主婦宣言、SOHO(スモール・オフィス・ホーム
・オフィス)主婦の成功談、とその解説。うちもSOHOみたいなもんだけどね。
なかでも建築パース制作が多いが、この住宅不況でも大丈夫なんだろうか。
1月24日(金) D
「復活の Z」 山川健一 小川義文・写真 二玄社 1800円
半分が新フェアレディ Zの写真、60分で終了。この作家、似たような企画の
クルマ本も2冊。内容は限りない Z讃歌、カリフォルニアでの感傷的試乗記
と日産側へのインタビュー。クルマには、まったく思い入れがなく、感想なし。
1月23日(木) C
赤瀬川原平の名画探検「広重ベスト百景」 講談社 2400円
名画探検シリーズ4作目は安藤広重である。空気を描くことにおいて、フラン
ス印象派のお手本とされる風景浮世絵を、原平が的確に解説。しかしながら
ケレン味たっぷりの大胆な構図には、ちょっと疲れるものがあるのも事実だ。
1月22日(水) B
「切ない…。」 香山リカ 青春出版社 1100円
書き下ろしの誌上カウンセリング・ルーム。5人の若い女性の悩みを聞くと
いうスタイル。まるで週刊誌を読むような気易さは、この出版社の得意技。
いずれもハッピーな結末。みんな自分がわからない不安を抱えて、生きて
いるんだよな。と、あとがきを読んでいたら、なぜか目がしらが熱くなった。
1月21日(火) B
「図解 居住バリア・フリー百科」 日比野正巳・夢設計 編著 TBSブリタニカ
2850円。雑然とした印象も仕方ないと、認める内容。長崎純心大学教授の
日比野は70年代から、バリア・フリー・デザインを実践、ついに福祉デザイン
という概念にいたる。ボランティア特有の情緒的文体が気になるところもあり。
1月20日(月) C
「図解 香道の作法と組香」 香道文化研究会・編 雄山閣 5800円
昭和53年に発行の増補改訂版だ。香道人口は全国でも1000人というだけ
あって高い本だ。手前作法の説明と後半は組香の解説。宮廷文化の香りの
高さはわかるが、あまりにも無縁でパラパラと眺めるだけになってしまった。
1月19日(日) C
「近くの山の木で家をつくる運動 宣言」 緑の列島ネットワーク 農文教
952円。もっともな話である。しかし実際の設計・施工では、不明な点が多す
ぎる。ここ50年の家づくりの急激な変貌は、生産性と居住性を追求した結果
だが、とくに後者についての否定はできない。これから新しいシステムを構築
するにしても、それをふまえての、凝り固まらない柔軟な思考が必要だろう。
1月18日(土) C
「剣の達人101人データファイル」 新人物往来社・編 1600円
戦国時代の剣豪の発生から明治までの101人。別冊歴史読本の書籍化で
書いているのは作家が多く、どちらかといえば剣豪小説を読む雰囲気。その
中で剣術家の甲野善紀や水鴎流・勝瀬、田宮流・妻木らの文章には好感。
1月17日(金) C
「脱『中央集権』国家論」 江口克彦 PHP研究所 1400円
書いているのはPHP研究所の副社長だという。地域主権をいかに創造する
かがテーマ。効率的な行政を目標として全国を12の州と257の府に再編す
る提案。脱中央集権はわかるが、そのための行政単位の拡大はわからん。
1月16日(木) C
「未来事典」 松村 潔 角川書店 2600円
3年後の私がわかるサビアン占星術だ。12の星座をさらに30に分け、つま
り1度づつに性格を。その右頁が生まれた年の運命で、それから25頁目が
25歳の運命だと。残念ながら1948年以前生まれには、指針がなかった。
1月15日(水) A
「中国 現代化の落とし穴」 何清漣 草思社 1900円
中国社会の現状から、政府批判のため国を追われた経済学者。書かれて
いることは、日本でも見聞きする人間の本性。ただあまりにも急な経済社会
の変貌から、過激に現れているだけ。しかしその極端な富の偏在が、救い
ようのない国家としての未熟さと、更なる独裁を加速させる、と憂える女史。
1月14日(火) C
「『平成三十年』への警告」 堺屋太一 朝日新聞社 1400円
「平成三十年」という小説が同じ著者から6月に出ていたとは知らなかった。
これは週間朝日の1999年からの連載をまとめたもので、上記小説とは無
関係。姑息なことをやるもんだ。内容は官僚政治からの脱却が、結果的に
大きなテーマとなっていて、その点は賛成。小泉総理には悲観的論調だ。
1月13日(月) B
歴史遺産「日本の洋館 明治篇T」藤森照信 講談社 3600円
写真は洋館写真の第一人者、増田彰久だから申し分ないか。6巻シリーズ
の第1巻目。未知の洋館も多く、期待させてくれる。ところが文章はいつもの
藤森流の軽いノリ。個人的にはもう少し格調高くあってほしいとも思うのだ。
1月12日(日) C
台所でつくる「シャンパン風ドブロク」 山田陽一 農文協 1330円
酒づくりに情熱を燃やす人だ。30分で仕込んで3日で飲めるという。いつも
の白米を電気釜で炊いて、米麹とイースト菌を加えて寝かせばできあがり。
発泡するドブロクをシャンパン風という。うまいんだそうだが面倒くさい感じ。
1月11日(土) C
理科年表読本「空からみる日本の火山」 荒巻重雄・白尾元理・長岡正利 編
丸善(株) 8652円。平成5年発行。地形図、地質図が充実した学術書でありな
がら、両眼でみる実体視の写真付きという、よくわからない編集。ただし日本の
有名な山に、火山が多いことを理解。今まで山を神聖視することは、高さによる
ものと思っていたが、火を噴くところから来たものと、自説を改めたのであった。
1月10日(金) D
「誰もハッキリ答えられない社会のカラクリの本」 野末陳平 880円
講談社+α文庫。暖かい日、新年はじめていつものコースを自転車で走っ
てみた。日影はまだ雪が凍ってツルツル状態、しかしいい汗かくことが出来
た。あっそうそう、これは知っていても、知らなくてもどうでもいい、雑学本。
1月9日(木) C
「プロが教える『建築費のヒミツ』」 秋山英樹 PHP研究所 1300円
なぜ建築コストの本がふえているのか?未曾有の建築不況の中での混乱ゆえ
か。書かれていることが大体そのとおりなのは、最近読んだ本と同様。この程度
の話なら私にもできる。むしろ信頼のおける設計業者をどう選ぶかの方が大事。
1月8日(水) C
「竹資源」 清岡高敏 マネジメント社 1600円
竹資源総合利用研究所長の竹細工屋が語る、新素材−竹の産業化である。
大きくエコロジカルな建材としての利用と、抗菌作用のある化学製品としての
利用。ただ肝心なところは「独自の製法により」というのみで、ようわからんワ。
1月7日(火) D
「ビジネスは戦争と心得よ」 柘植久慶 中央公論新社 1400円
兵法としての三十六計にビジネスでの心得を説くが、例によって、ほとんどが
自慢話、今回はとくにひどい。これをまともに読む人はいないだろうけど、タカ
派的言動は心地よい。3人の娘がいるという、その選んだ伴侶に興味がある。
1月6日(月) B
「スウェーデンはなぜ少子国家にならなかったのか」 竹崎 孜 あけび書房
1800円。高齢化、少子化が当然の先進国でのスウェーデン・モデルを淡々と
述べるのは留学し、さらに客員教授まで務める先生。英国が、高福祉化から後
退した今、この北欧システムは憧れ。日本の目標とするアメリカ・モデルとは正
反対で学ぶこと多し。が、このレベルに達するに何十年かかるやら、とため息。
1月5日(日) C
「天才アラーキーの 眼を磨け」 荒木経惟 平凡社 1500円
友人が電通にいた関係で荒木の存在はデビュー前から知っていた。千葉
大の学科は違うが同年女子学生のインタービューが主だ、和光大職員か。
けっこう真面目な性格が覗える。写真については好きでも嫌いでもないな。
1月4日(土) C
「中国人とは何者か」 小笠原 茂 PHP研究所 1500円
これはまた強烈な嫌中国論。1945年生まれとだけある著者の紹介だが何
者なのか。どうも中国史を専攻した人のようだ。産経新聞を読んでいれば驚
かないが、普通の人では、手に取らないだろう。朝日の読者なら、なおさら。
1月3日(金) D
「大笑点」「北か朝鮮、待ってた ホイ」の巻 立川談志 竹書房 952円
「特冊新鮮組」というエロ雑誌のコーナーだという。この田舎じゃ、そんな本知
らないぜ。ダジャレというかジョークというか、立川談志の座布団評価だ。キツ
いほど点数高く、放送禁止用語がいっぱい。ところどころ笑えるところはある。
1月2日(木) D
神秘の現世動物「ツチノコの正体」 手嶋蜻蛉 三一書房 1700円
冗談なのか、やっぱり本気なんだろうな、未確認生物研究会の会長。自分
自身を含め、目撃談が全編長々と続くのである。そんなら写真、ビデオを出
せっつうの。ところが必ずカメラが故障する。したがって写真は巣穴ばかり。
2003年1月1日(水) B
「増補新刊 人間国宝事典 工芸技術編」 芸艸堂 3000円
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしく。読書日記も4年目に
元旦は重要無形文化財認定者総覧。陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形
その他の工芸、手漉和紙までの作品写真入り。残念ながら、モノクロ写真だが
その素晴らしさは想像できる。物故者が多いのは当然として、すごい世界だ。