新刊読書日記 2003年下半期
12月31日(水) C
「オレ椅子インテリアスタイル」 立風書房 743円
いよいよ2003年も暮れて行く、今年もいろいろあったよなあ。
さて本屋に男性向けインテリア雑誌が目立つ。これも有名デザ
イナー椅子に的を絞ったムック。イームズ、パントン、ベルトイア
ヤコブセン、相場表もついて便利。自分スタイルをつくってちょ。
12月30日(火) C
「教えてゲッチョ先生!雑木林は不思議な世界」 盛口 満
山と渓谷社 950円。1962年千葉県生まれ、飯能市の自由の
森学園で15年間の教師生活から、沖縄への移住をはたした昆
虫屋によるイラスト入りの歳時記。ゲッチョとはカマキリのこと。
12月29日(月) B
「紙とコスト」 (株)宣伝会議 2520円
紙の専門商社「竹尾」が企画するペーパーショウの作品展示と
解説。書名は今回のテーマだが、未消化の様相。しかし相変わ
らず紙を使った各種デザインは素敵。見ているだけでウットリ。
12月28日(日) C
「地図で遊ぼう〜GISでつくる本格地図」 TnT Projekct
九天社 1600円。国土地理院の公開する空間データを利用して
自分用の地図をつくるソフトとその解説。面白そうではあるのだが
いかんせん地図の目的自体がお遊びだから、少々不満である。
12月27日(土) C
「スローハウジングで思い通りの家を建てる」 桑原あきら
草思社 1500円。ネット上で建築家を紹介するシステム主宰の
仏文出身プロデューサー。「ゆっくり家をつくりましょう」の主張に
大賛成。さらに「皆で楽しくつくりましょう」というのが私の考え。
12月26日(金) C
「観光と環境の社会学」古川 彰・松田素二 編 新曜社
2500円。環境社会学四は、農山漁村の活性化の切り札として
期待のグリーン・ツーリズム。相変わらず刺激的な、テーマの選
択。このシリーズ読むのは4冊目、つくづく社会づくりに一般解が
ないのを痛感。しかしなにかしら、モドカシい想いも感ずるのだ。
12月25日(木) C
「まさか!のときの生き残り塾」 進士 徹 家の光協会
1300円。東京生まれが、福島県鮫川村に I ターン。民宿を経
営しつつ「ふるさと留学施設」をも開設、都会のこどものための
自然体験教室を主宰する。イラストで示すサバイバル指南書。
12月24日(水) D
「京都 佳つ乃 歳時記」 撮影・篠山紀信 講談社 1000円
その昔、郷ひろみと浮き名を流した祇園のお姉さんの、京都案
内。撮影は近頃、評判の悪い篠山紀信先生。といってもそれは
各季節のまくらだけ。こういう本のつくり方は、まったくもって嫌。
12月23日(火) C
「タカの渡り 観察ガイドブック」文一総合出版 1800円
信州ワシタカ類渡り調査研究グループ。ホークウォッチングとい
うのだそうだ。渡りを始める「タカ」が集合するポイントで、2ヶ月も
泊まり込む好き者達。構成が独り善がりで、わかりにくい面あり。
12月22日(月) C
「断る!技術」 ブレイトマン&ハッチ 三笠書房 1300円
この「6つのNO」があなたの人生を変える!と来た。しかし読ん
でいる間じゅう、現実感が薄かった。つまりアメリカ社会と日本の
日常社会との違いではないか。いずれアメリカ型に近づくのか。
12月21日(日) D
「サンカ学入門」 礫川全次 批評社 2000円
なぜ今ごろサンカなの?インターネット上で話題になっているか
ららしい。内容は過去にでている文献の紹介が主。だから、半分
以上が引用。私にとって、新しいものがない、という点での評価。
12月20日(土) C
「ニッポンの手仕事」 井上雅義 写真・文 日経BP社 1800円
巻頭は福島県大内宿の茅葺屋根。炭、漆、木ロウ、大谷石さら
にシルク、染、織、和紙、指物、ツヅラ、桶など最後に古民家ま
で。雑誌「日経エコロジー」の連載「ニッポンの循環技術」から。
12月19日(金) A
NHKブックス「木の文化をさぐる」小原二郎 日本放送出版協会
970円。先日の千葉大名誉教授小原先生米寿のお祝いで頂い
た新刊。先生の文は中学や高校の教科書に使われているほど
国語的に定評がある。内容はすでにあちこちに書いておられる
こと。弟子として、いくら不肖とはいえ、低い評価はできません。
12月18日(木) C
「アスペルガー的人生」 リアン・ホリデー・ウィリー 東京書籍
2000円。IQは高いが感覚統合の機能が不全。周囲からは変
わった人といわれるアスペルガー症候群を語る半生記。頁一杯
を埋め尽くす活字。なんとか読めたのは、同病をも自称する訳
者ニキ・リンコの功績が大きい。たしかに思い当たる人がいる。
12月17日(水) C
「禅の庭 桝野俊明の世界」 毎日新聞社 2667円
今や世界的庭園デザイナー、その名も建功寺の住職でもある。
作品の集大成、たしかに斬新なデザイン。しかし、あまり禅とは
関係なさそう。売りはやはり禅僧のデザインした庭ということか。
12月16日(火) C
「経済学的に考える。」 伊藤元重 日本経済新聞社 1400円
わかり易さでは定評のある東大の先生はインフレ・ターゲット論
者だ。元は日経新聞の連載もの。数式やグラフなしで経済の連
鎖構造を説明。こうしてみるとやっぱり経済学は理系の学問だ。
12月15日(月) C
「日本全チンチン電車の一日旅」 遠森 慶 講談社 1300円
全国の路面電車の紹介と周辺観光案内を文とイラストで綴るの
だが、あまり魅力的とはいえず、本人だけノリノリの上滑り状態。
だから行ってみたい、乗ってみたい、という気がそんなにしない。
12月14日(日) C
「日本の木で家を建てよう」 菅野知之 春秋社 1700円
林学科出身、農水省の役人からトヨタ自動車へ、さらに住宅会社
を設立し国産材使用を熱く語る。それは充分わかるし、その問題
点も承知。じゃどうするかだが、方向が違うような気がするのだ。
12月13日(土) C
「県別 全国古街道事典 西日本編」 みわ 明・編 東京堂出版
2200円。東日本編に続く西日本編だが、その約半分がお伊勢
参りと熊野3社への往還、つまりはそれほど重要だったというわ
けか。だから押せ押せで他の道は記述が少なくなってしまった。
12月12日(金) B
「図解 日本地形 用語事典」 日下 哉 東洋書店 3200円
収録した地図は280点という内容。地形用語の解説を、その典
型的な例の地形図を見ながらだから、楽しいことこのうえない。
昨年初版が出て、これは第2版とか、けっこう売れているのか。
12月11日(木) C
「古民家再生の魅力」全国・事例選集 相模書房 2500円
日本民家再生リサイクル協会(JMRA)編。カラー写真で全国の
古民家再生事例を紹介。ところが「なるほど」というのがあれば、
「ちょっとね」というのも。つまりはインテリアのセンスの問題だ。
12月10日(水) B
百の知恵双書005 「参加するまちづくり」 農文協 2800円
伊藤雅春・大久手計画工房。まちづくりの方法論としてのワーク
ショップ。11月1日「会議が絶対うまくいく法」の会議進行と同じ。
徹底的に性善説に基づく「計画論」として良くわかる。問題はかか
わる人を含め、時間経過の中でいかに鮮度を保つか、であろう。
12月9日(火) C
「趣味の焼酎つくり」 高千穂辰太郎 農文協 1000円
世の中には好きなひとがいるものである。ドブロクつくりは良くき
くが、それを蒸留する装置を日曜大工でつくりあげ、自分印の米
イモ、そば、とうもろこし、黒砂糖、ワインの蒸留酒をつくるのだ。
12月8日(月) D
「新選組は京都で何をしていたか」 伊東成郎 中央出版
1800円。一見ノンフィクション。そもそも資料が少なく、それも昔
の聞き書きが主体。ここにある出来事も憶測中心、だから今まで
の小説とあまり違わなくてフラストレーションが貯まるばかりだ。
12月7日(日) C
百の知恵双書004 「時が刻むかたち」 奥村昭雄 農文協
2800円。OM出版発行。あのパッシブソーラーシステム、OM
ソーラーを考案した芸大名誉教授の自然観察。ファンには聖書
ながら、一般人には偏執狂的にみえるほど子細すぎて閉口。
12月6日(土) C
「Yahoo!オークション ワザあり写真で儲かっちゃった」
蟹江節子 デジタルカメラマガジン 1200円。より高く落札されるた
めの出品写真の撮影テクニックをやさしく解説。コマーシャル写真
の写し方の初歩的レッスンだ。これはなかなか勉強になりました。
12月5日(金〉 C
「住まいの快適リフォーム術」 卜部泰弘 講談社 1500円
お困りケース別−と副題にもあるように、テーマ毎のリフォームの
ケーススタディする。内容は私が短大で受け持っている住生活論
そのもの。このスタイルが一般人にとって有効かどうか、は不明。
12月4日(木) A
「働かないって、ワクワクしない?」A・J・ゼニンスキー VOICE
1800円。これは聖書である。自由時間をアクティブにポジティブ
に楽しもうという発想だ。セルフ・エスティーム(自分を大切にする
気持ち)を持って、一人の時間を楽しむ。自分自身と、世界を好き
になること。そして今この瞬間を生きるのだ。ひさびさのA評価。
12月3日(水) D
「さらに『いい家』を求めて」 久保田紀子 ごま書房 1200円
前半は家造り経験談、試行錯誤のはてにソーラーサーキットの住
宅を建てた話。余勢を駆って、妹の住宅造りのために各メーカーを
研究、その全てを否定。完全にソーラーサーキット広告塔と化す。
12月2日(火) C
「アメリカは北朝鮮を核爆撃する」 日高義樹 徳間書店 1400円
2005年夏ブッシュ再選后に、小型核で北朝鮮を攻撃する、というの
だ。金正日を排除する最も安全な方法というわけ。問題はその金さん
以降、米軍撤退后、朝鮮半島と日本がどうなるか、というタカ派予想。
12月1日(月) B
「下伊那の寺子屋」 下伊那の教育史研究会 南信州新聞社出版局
2500円。昭和63年より15年にわたる同会の研究成果。長野県下
伊那地方における分布から、教本、行事、謝礼など明治の学制発布
で消え去った寺子屋の実態。行間に当時の子供達の姿が窺がえる。
11月30日(日) C
「図解 世界地図と不思議の発見」 ロム・インターナショナル
河出書房新社 1400円。地理に的を絞った雑学本である。気象条件
歴史、政治などからできあがった、世界地図の現在、過去はそれはそ
れで面白いし、図解も親切だ。といってそれ以上のものでもないなあ。
11月29日(土) C
「都市と日本人」 上田 篤 岩波新書 740円
副題「カミサマ」を旅する−からも想像されるように日本人のカミサマ
がどこにいるか、の言いたいことはわかる。しかし今回は話が飛びす
ぎて理解するのが辛いのだ。上田先生もちょっと御歳を召されたか。
11月28日(金) B
「改訂版 砂浜紀行」 江川義則 近代文芸社 1200円
素人の砂浜評論家。私と同じ58歳。全国の有名な砂浜を、訪ね歩き
砂の白さ、粒の大きさや鳴き砂度などのデータを、砂浜の大きさや景
観写真とあわせて列挙。この人のライフワークだ。こういうのはいい。
11月27日(木) C
「建築学の教科書」 彰国社 2286円
建築各分野の先生による顔見せ興行。安藤忠雄、石山修武、木下
直之、水津牧子、鈴木博之、妹島和世、田辺新一、内藤廣、西澤英
和、藤森照信、松村秀一、松山巖、山岸常人、佐々木睦朗。だけど
なんといっても藤森先生の「ウォートルズ探訪」が一番面白かった。
11月26日(水) C
「驛の記憶」 真島満秀・写真 山川啓介・詩 小学館 2200円
アートディレクター鍋倉孝二郎と3人ともに私の同年代。したがって
そうとうにノスタルジックな小型写真集となった。全国161の駅、ある
いはその周辺風景の絵はキレイ。でもやはり感傷的に過ぎないか。
11月25日(火) D
「人生を豊かにする声の変え方」 内田隆幸 ゴマブックス 1000円
1941年生まれ、大学卒業後、声楽を志し音大を出た変わり種。本
当の自分の声を取り戻すというが、サワリは真ん中の12頁だけだ。
正しい姿勢と複式呼吸で喉を開く、というのがそれ。あとは自慢話。
11月24日(月) C
PHP文庫「歴史を動かした『独裁者』」 柘植久慶 PHP研究所
619円。柘植先生の本はなぜか読んでしまう。今回は紀元前から現
代までの歴史上、独裁者とされる人物65人の独裁者ぶりを簡単に披
露するのだ。ただいつもの独善的な感想が少なく、拍子ぬけの感じ。
11月23日(日) C
「県別 全国古街道事典 東日本編」 みわ 明・編 東京堂出版
2200円。30年かけてクルマでなく自分の足で全国の街道を歩いた
と豪語する旅ライター。街道の現況、宿場景観などを詳述、モノクロ
写真だからこそ行ってみたい誘惑にかられる。脇街道にもモレなし。
11月22日(土) B
「続 蝶ウォッチング百選」 師尾 信 晩聲社 1600円
正編から続く図鑑。美しい写真ときれいな文、1928年生まれの大企
業を退職した蝶愛好家である。アゲハ類からジャノメ、マダラ、タテハ
シジミやセセリ類まで、微に入り細に入る。ここまで熱中できる幸せ。
11月21日(金) D
「“隠居”のススメ」 上岡龍太郎・弟子吉次郎 青春出版社 1400円
芸能界を引退して3年、あの小ウルサイしゃべりを弟子が聞き書きとい
うスタイル。したがって口調そのままで読みにくいことこの上なし。内容
もロクなもんでなし、まったく読む必要のない、いつものこの出版社だ。
11月20日(木) C
「神秘主義的鳳来寺山」 春夏秋冬叢書 3000円
豊橋市の地元出版社だが、装丁の凝り様は特筆もの。とくに平仮名の
活字がちょっと珍しいタイプ、気になって非常に読みにくい印象だ。開山
1300年という鳳来寺山、当時の栄華を偲ぶ歴史探索は自己満足的。
11月19日(水) C
ちくま新書「週末起業」 藤井孝一 筑摩書房 680円
サラリーマンが会社以外に別の仕事をもつことだが、とくに個人で会社
をつくることを勧める。自身の中小企業コンサルタントの資格をえて始め
た経験から、そのメリットを説く。たしかに元気を出してやる価値はある。
11月18日(火) B
「姉崎一馬の新自然教室」 姉崎一馬 山と渓谷社 1600円
ブナ林で有名な山形県は朝日連峰山麓での自然体験教室、その前身
の和歌山県でのそれと合わせ、すでに26年だという昭和48年生まれ。
淡々とした、教室風景の語り口は、まことに自然体。羨ましい生き方だ。
11月17日(月) D
「知泉 元祖『ヘェー』716連発」 杉村喜光 二見書房 1100円
新聞には好意的に書いてはあったので借りてはみたが、やはり書評は
書評で、内容はあまり面白くなかった。もともとはウェブ上の同名サイト
の雑学ネタを本にしたものらしいが、あまりにも信用性に乏しすぎるヨ。
11月16日(日) C
「森政弘の仏教入門」 森 政弘 佼成出版社 1600円
昭和49年初版の再版だという。ロボット博士による、仏教用語解説だ
がロボットと関連づけるのは無理。講演で聞くにはいいかも知れない。
困難だったロボットの2足歩行も実現、29年の月日は長いか短いか。
11月15日(土) B
「国境お構いなし」 上野千鶴子 朝日新聞社 1600円
最初たんなる異文化体験記とは珍しい、と思っていたら、中盤ではだ
んだんといつもの調子へ、さらに終盤では北米留学体験者の保守転
向問題を論じてまことに面白い。視線の鋭さと読みの深さはさすが。
11月14日(金) C
「豆食生活」 永山久夫・監修 永岡書店 1000円
免疫力を高めて体質改善だそうだ。大豆、インゲン、エンドウ、ソラ豆
金時豆、小豆、白花豆、緑豆、グリーンピース、ピーナッツ、キドニービ
ーンズ、ミックスビーンズ、ヒヨコ豆、レンズ豆を使ったレシピが大半。
11月13日(木) B
「考古学を知る事典」 熊野正也・堀越正行 東京堂出版 2800円
もとはといえば5年前の本。例の旧石器時代遺跡捏造事件で改訂版
を出さざるをえなくなったようだ。先土器時代から縄文、弥生、古墳時
代までの研究史を含んだ読物で、豊富な図版もあって楽しめました。
11月12日(水) C
「家庭内LAN&無線LAN〈超〉活用術入門」 アスキー 950円
パソコン同志を繋ぐLANあるいは高速インターネットなどの解説。
たしかに速くなれば快適ではあるけれど、家庭内でLANを使うとい
うのはどうかな。あまりに凝って複雑化することには賛成しかねる。
11月11日(火) C
「カミの現象学」 梅原賢一郎 角川書店 2800円
原始からの神との交流、そこにおける身体から見た日本文化論、だと
いうのだが。「穴」という概念を交流の装置として考える、という難解さ。
当方の理解の埒外だ。だから、ただただ読んだだけの三日間だった。
11月10日(月) D
「日本の伝統を読み解く 暮らしの謎学」岩井宏實 青春出版社
700円。読売新聞の西部版に連載したものだというが、日本文化の
雑学集である。内容的にはとくべつ深い事柄はなく、ただ無感動に読
み進んだ。この程度の話ならば、どこかで読んだことがあるはずだ。
11月9日(日) B
平凡社ライブラリー「山名の不思議」 谷 有二 平凡社 1200円
おそるべき博識の人である。歴史に強く、言語学にも詳しい、さらに登
山屋さんだから、現実の山自体も知っている。それにアジア各地にお
ける行動力も注目されている。文庫版ながら非常な説得力を感じた。
11月8日(土) C
TJ MOOK「キモノ・ミオ VOL.2」アンティークキモノに夢中
宝島社 1200円。若者のキモノ志向が目立っている昨今、これは
アンティークなキモノを楽しむための入門編。秋冬の柄、コーディ
ネイト研究、小物カタログ、骨董市の歩き方とそれなりに充実だ。
11月7日(金) C
LJブックス 「つつむ」 学習研究社 1400円
女性のための実用書 和のシリーズはつつみ方のレッスン。風呂敷き
から紙包み、それから小物のラッピングの初歩まで。方向としては民
俗学歴史的な包み方のいろいろ指南を期待していたが残念でした。
11月6日(木) C
「なぜYAHOO!は最強のブランドなのか」 C・エンジェル1600円
英治出版。前半はM&Aを繰り返す躍進、後半はネットバブル崩壊
の中でのたうち廻る現実。だから書名とは大違い。それにしても目ま
ぐるしい変化と対応、まさに起業の歴史としての、経営学の教科書。
11月5日(水) C
「ニッポンのサイズ」 石川英輔 淡交社 1500円
昭和8年生の江戸文化人による、茶道誌「なごみ」の連載物。尺貫法
から手拭いの幅、畳に、さらに坪、町歩を眺め、ついに例の時刻、太
陰歴にまで至る。きわめて人間的な江戸の単位を語る面白読物だ。
11月4日(火) C
「川物語」写真集・日本の川を旅する 佐藤秀明 本の雑誌社
2900円。20年以上前の野田知佑との日本の川下りの取材モノクロ
写真帖。ところどころ懐かしい風景は、おさめられているものの、意外
と感動しなかった。カメラマン佐藤秀さんで、期待しすぎたキライあり。
11月3日(月) B
「鎮守の森の物語」 上田 篤 思文閣出版 1700円
1930年生まれの都市計画の先生。前から民俗学方面に強かった
が、しばらくぶりで出会うと「鎮守の森」にくびったけの様子。ついに
社叢学会を創立。この本でも、そんな神と景観との関連を追及する
各地の研究が中核。景観から神が生まれた、と言いたげ。大賛成。
11月2日(日) C
「寿命を縮める家」 直井英雄・坊垣和朗 講談社 800円
ブルーバックス。第1部「ケガをする家」と称して、東京理科大の直井
先生が、住宅における日常災害からの安全を。第2部が「病気になる
家」として、建築研究所技官がシックハウスを述べる、入門書である。
11月1日(土) B
「会議が絶対うまくいく法」 M・ドイル D・ストラウス 日本経済新聞社
1976年初版いらい80万部が売れた、という超ロングセラー。たしか
に面白い会議の仕方。ファシリテーターという司会者役は、スキルが
要りそう。訳もうまいが、登場人物が洋名でちょっぴり現実感をそぐ。
10月31日(金) D
HANKYU MOOK「大人の東京」阪急コミュニケーションズ838円
今月号は銀座特集。旨いもの名店、ブランドショップの紹介。対象
はこれまた団塊世代、小金をもった奥様連中の好きそうな店の案
内。後半は大人の旅宿特集。おいおい東京じゃなかったのかい。
10月30日(木) C
「文房具を買いに」 片岡義男 東京書籍 1600円
いくつになってもキザなお人。文房具といっても消耗品が主、その中
にテディ美学をみつけ、絵になる写真を残す。おそらく何かの雑誌に
連載したものだろうが、その説明すらない。銀座伊東屋好きは同病。
10月29日(水) C
信州のおでかけぶっく 「公園で遊ぶ」 信濃毎日新聞社 1000円
長野県の南から北まで、89の公立の公園をイラストで紹介。今や鵜
の目鷹の眼で、行くところを探す状態だ。だから、マスコミでなにかの
行事が案内されると、ワッと人が押しかける騒ぎになる傾向にある。
10月28日(火) D
「忍びと忍術」 山口正之 雄山閣 2000円
彦根城外は井伊大老の旧居埋木舎の隣りに住む、という研究家
の作だが、初出は40年前にして、江戸時代選書としての再刊行。
そのわりには重複が多く、薄い内容。まったくの駄作といいたい。
10月27日(月) C
「時刻表の謎」 三宅俊彦 新人物往来社 1900円
まあ博識である。JR発行の時刻表の中で読みとれる不思議を現地
で検証。たしかに面白い話ばかりだが、マニアすぎてちょっと敬遠す
るところも。鉄ちゃんにもいろいろ居るが、この人は「時刻表鉄」だ。
10月26日(日) C
「理系白書」 毎日新聞科学環境部 講談社 1500円
同新聞の科学欄に2002年1月1日から03年4月まで連載したと
いう。理系人間、研究環境、教育など、多面的な取材は認める。が
どこかに不満が残る。それが何だかわからず、さらに面白くない。
10月25日(土) B
「男のきもの達人ノート」 塙 ちと ダイヤモンド社 2000円
前作「男のきもの雑学ノート」から4年目、着物読本の中級者向け
だ。今回は着こなし名人から、着物に関係する職人・プロまで登場
さらに上級者向けまで視野。粋もけっこうだが、なかなか面倒だ。
10月24日(金) D
「ポップカルチャー 若者の世紀」切通理作 廣済堂出版 1500円
母校、和光大学表現学部での講義内容からの報告。喫茶店での
会話のようにだらだらと続くレポートには、とても耐えられません。
我慢できる人だけが、若者の思考がわかる人、ということみたい。
10月23日(木) C
「見えない若者市場より見えてる団塊市場を狙え!」 1300円
井徳正吾 はまの出版。博報堂市場開発局の担当が、もっともらし
く団塊世代の思考・消費スタイルを分析。私は正確には団塊よりも
前に位置するのだが、思考は似ている。ずーっと、不愉快な感じ。
10月22日(水) C
「チャット依存症候群」 渋井哲也 教育資料出版会 1300円
本人も依存症だった、というライターによる、同症タイプ別5人への
インタビュー。どんどんと新しい病気が生まれる過程を、垣間見せ
る。最後に宮台真司の肯定論付。肯定して自由になるんだ、とさ。
10月21日(火) D
「薩摩拵」 調所一郎 里文出版 2800円
薩摩藩家老、調所笑左衛門の末裔の研究書。薩摩藩独特の剣法
示源流あるいは自顕流。刀装もそれにあわせた特徴。「薩摩拵」と
いわれるもの、今ひとつ物足りなさ。本人が剣法に疎い点からか。
10月20日(月) C
「五木寛之の百寺巡礼 第一巻奈良」 講談社 1500円
古寺を五木寛之が案内する、シリーズ。彼がわざわざ案内する必
然性はない。37年前、大学の修学旅行で訪れた春の奈良の穏や
かさは今でも甦る。いずれ自転車で巡ってみたいと思うのである。
10月19日(日) C
「春夏秋冬 山歩きの知恵」 田村宣紀 信濃毎日新聞社 1800円
著者は長野県山岳協会長を務めた山岳界の重鎮らしい。ある登山
グループの活動誌に連載したものをまとめたとかで、それらしい雰
囲気だ。とくに巻末には会員の山行記があって文集の様相である。
10月18日(土) C
「ゲームのルール」ピエルルイジ・コッリーナ 日本放送出版協会
1600円。あの国際A級審判コリーナさんである。サッカーの審判の
内情が判って面白かった。ここまで審判稼業、といっても基本的にア
マチュアなのだが、を一般大衆に知らしめた功績は、大であるぞよ。
10月17日(金) C
「52%調子のいい旅」 宮田珠己 旅行人 1300円
前回「ジェットコースターにもほどがある」で一躍ジェットコースター
評論家の地位を確立した、CMディレクターあがりライター。東海林
さだをの「ショージ君」のような文章は、それはそれでいいじゃない。
10月16日(木) C
「男は笑ってスポーツセダン」 吉田 匠 双葉社 1400円
スポーツセダンなるものが何か、すら知らないし、クルマにも興味が
ない。これは全編が主として高級外車の試乗記だ。悪口はどこにも
ない。つまり書評と一緒で、これも技術だなあ、と感心した次第だ。
10月15日(水) C
「心の先史時代」 スティーヴン・ミズン 青土社 3200円
先史時代の人類の心の進化について考える考古学者。2足歩行、
言語、道具そして芸術と宗教、さらには農業の起源まで及ぶのだ
が、いささか難しく理解の外。この本の存在を記憶に留めるだけ。
10月14日(火) C
「ジョン・ミューア・トレイルを行く」 加藤則芳 平凡社 2200円
バックパッキングの聖地シェラネヴァダ山脈のトレイル、340キロを
歩いた詳細な記録。30kgを背負っての1ヶ月間、八ヶ岳在住1949
年生まれの幸せな自然派ライター。芦沢一洋著、「バックパッキング
入門」から30年、「四国遍路」とともに今でも憧れるライフスタイル。
10月13日(月) C
リビングスフィア11「ツリー・ハウス」 P・ネルソン1524円
ワールドフォトプレス。だれもが欲しかった木の上の家、そう私も欲
しいよ。ツリーハウス・マンと呼ばれる米のビルダー。製作過程から
各地のツリーハウスの蒐集写真。まさにアノニマス建築の極致だ。
10月12日(日) C
「ジンメル・つながりの哲学」 菅野 仁 日本放送協会 970円
没後85年になる独の社会学者ジンメルについての自伝的解説だ。
自己と他者のついての歯切れのいい解釈を期待したが、ついによく
わからず終わる。コミュニケーション論として面白そうな感じだが。
10月11日(土) D
「クルマは男のエクスタシー」 室井佑月 中央公論新社 1300円
全編が男と女とクルマの創作話。ヨミウリウィークリーの連載物だそう
だ。したがって本になると、同じような話が続いて、食傷気味。それにし
てもウチのミニは故障が多い。先日はオーバーヒートで、2度も水を吹
いた。修理に出したその代車の乗り易いこと、こうまでして何故乗る?
10月10日(金) C
「今すぐつくれる!POPの本」 石原純子 フォレスト出版 1000円
POPすなわち、ポイント・オブ・パーチェスつまり売り場広告の描き方
のレクチャー。立場としては、難しいものじゃないから、ともかく始めて
みましょうよ、というところ。そのうちウマくなってくるよ、という考え方。
10月9日(木) C
「大道商人のアジア」 和賀正樹 小学館 1600円
中国、韓国、台湾、モンゴル、フィリピン、ベトナム、タイ、カンボジア、
ビルマ、マレーシア、インドネシアの路傍で逞しく生きる、大道商人へ
の聞き書き。いずれも明るく夢がある。ただ会話の訳が不自然な感。
10月8日(水) C
「腹の据え方」 柘植久慶 PHP研究所 1500円
あいかわらず、強気一辺倒の先生だ。今回は歴史、ビジネス、軍事
スポーツ、旅、と分け、超タカ派的思考を披露。それにしても、これだ
け本を出すからには売れているということ。読む人がいるということ。
10月7日(火) D
「縮小文明の展望」 月尾嘉男 東京大学出版会 2400円
東大大学院教授を辞任し総務審議官に就任、というから期待したのに
延々と続く現状認識、そんなことはもう耳にタコ。早く処方箋を、と思い
ながら最後まで。結局、新しい思考には出会えず、厳しい評価となる。
10月6日(月) C
「科学的に正しい 暮らしのコツ」左巻健男・手嶋 静 編著 1300円
日本実業出版社。執筆者は全国各地の、教員やら自営業、会社員
16人。立場は家政学、衣・食・住の各分野での、意外な商品知識や
暮らしの知恵。なかなか面と向かって教えてくれる人がいないから。
10月5日(日) C
カラー版「日本デザイン史」竹原あき子・森山明子 監修 2500円
美術出版社。おなじみ美術史シリーズ。主として明治以降のモダンデ
ザインの歩みを探る。社会の変化とともに変わりゆくデザインを詳述。
しかし個人的には、もっと感情を込めて書いてほしいとおもうのだが。
10月4日(土) D
「こんなに変わった!日本人の欲求」 毎日新聞社 1800円
リサーチ・アンド・ディベロプメント編。この20年間を4つに分け1983
年から85年までのバブル前夜、86年から90年のバブル形成時代、
91年から95年までのバブル崩壊、そして96年から2002年までの
新しい世紀までCORE調査による分析。結論にあたらしいものなし。
10月3日(金) C
「異文化体験入門」 毛受敏浩 明石書店 1800円
著者は1954年生まれ、日本国際交流センターのチーフ・プログラム
オフィサーだという。さすがに、そつなく多文化論、異文化論をまとめ
ているが、面白味は少ない。なおこの人の苗字は「めんじゅ」と読む。
10月2日(木) B
「中国リスク 高成長の落とし穴」 日本経済新聞社 2500円
鮫島敬治・日本経済研究センター編。書名どおり冷静に中国の抱え
る、将来的リスクをもれなく検証。リスクは日本と同じ、要はそれを克
服できるだけの政府、地方政治があるかどうか。悲観と楽観の差は
そこから来る。どうにかなっていく、というマドルスルーの可能性大。
10月1日(水) C
「誰も教えてくれない[お掃除]商売の始め方・儲け方」 山口義人
ぱる出版 2500円。短大で家政学実習住分野を受け持っているが
掃除は大きなテーマ、なにか参考になればと借りてきた。独立開業
のノウハウだが、たしかに素人でもできる、有利な商売だといえる。
9月30日(火) C
「手づくり石窯BOOK」 中川重年・編 創森社 1500円
1年ほど前、山麓の住宅のオープンハウスで庭先の石窯で焼いた
ピザをごちそうに。なかなか宜しかった。そんな石窯をDIYするノウ
ハウ。でも一時は熱中、そのまま放ったらかし、というパターンか。
9月29日(月) C
「[図解]コレならわかるシックスシグマ」 ダイヤモンド社 1500円
1999年初版、第9刷のマネジメント本。もちろん、内容はわからず。
どんどんと新しい手法が出現し、絶えずフォローしなくちゃならない。
ただやはり統計的、数学的論理に基づく経営手法が目指すところ。
9月28日(日) D
「20歳でお店を立ち上げる!」たかはた けいこ 繊研新聞社
1524円。55にして46店舗を全国展開というアパレルのオーナー。
内容はファッション関係の店舗を開く、自伝的かつ初歩的なノウハウ
開陳。これをみて起業を決意する若者が現れるかは、多いに疑問。
9月27日(土) C
「異文化を旅する 世界の秘境の歩き方」 船尾 修 羊土社
1900円。アジア・アフリカ・中東・中南米を120%楽しむ、ホットな
国をクールに歩く、と題目はけっこうな写真家。しかし中身は危険な
話のオンパレード。病気、ケガ、犯罪これじゃ意欲をなくしちゃうぜ。
9月26日(金) C
「死に方を忘れた日本人」 碑文谷 創 大東出版社 2800円
小学校の恩師の葬式があったりして、良い折りと借りてきた。葬儀
雑誌の編集長が6年の構想でやっと書き上げたという。たしかに落
ちはないように見えるが、ダラダラとした、メリハリのない印象強し。
9月25日(木) B
「カトウくんのおまけ」 吉田光夫 ダンク出版 1900円
玩具デザイナー加藤裕三。1987年から、6年間のグリコのおまけ
のデザインはまことに秀逸だ。50歳での急逝、友人達の思い出話
は多分に感傷的。しかし彼の仕事の完成度と短すぎる生涯に、人
間の運命あるいは生かされ方ということを、しばし考えさせられた。
9月24日(水) C
「生きるための闘い」 曽野綾子 小学館 1400円
「増殖するお化け第5集」という、訳のわからない副題の「週間ポス
ト」連載物。やや高い目線が気になるものの、人間の本質、世界の
現実をみすえていて説得力十分。タカ派的思考もしかたない感じ。
9月23日(火) D
知恵の森文庫「オトナの快楽勉強術」 中山庸子 光文社
457円。浅学にしてこの著者は知らなかった。けっこういろんな本
を出している人らしい。女子美出でイラストが描ける、というのが売
りのようだが、内容的にはどうこうなし。素人に毛のはえた程度だ。
9月22日(月) B
小学館文庫「土門 拳 強く美しいもの 日本美探訪」土門 拳 838円
書名がすべてをあらわしている。いわゆる土門美学の強さがどこか
ら来るのか?対象をいかに見つめ、自分のなかに再構築するかだ。
「写真とはなにか」を、十分考えさせられる写真と文がつまっている。
9月21日(日) C
「400年の時の旅 江戸東京博物館」 山本博文・監修 695円
小学館文庫。前半は同博物館の展示内容をカラーで紹介。後半は
1603年の開府以来265年の江戸時代を、多方面にわたってそれ
ぞれの研究者が、わかりやすく解説している。開府400年記念本。
9月20日(土) C
「平成ジャングル探検」 鹿島 茂 講談社 1700円
団塊世代の都市社会学者の東京盛り場探検。3年にわたる「週間現
代」の連載。さすがにその成り立ちに詳しく、はじめて知ることも多くて
面白かった。しかし人間の業の深さというか欲望の無限さには感心。
9月19日(金) C
「ふるさとを感じる あそび事典」 山田卓三・編 農文協 1857円
したいさせたい原体験300集として小学校の先生グループがまとめ
たもの。触覚・嗅覚・味覚をとおして自然と触れ合うという体験、我々
の時代では日常的だったが。1990年の新刊以来すでに16刷目。
9月18日(木) B
岩波新書「多文化世界」 青木 保 岩波書店 700円
1938年生まれの文化人類学者で、政策研究大学院大学教授による
文化論。文化の多様性の尊重はもちろん、文化を「ソフトパワー」と位
置づける理想主義ではある。しかしアジアに対する目線には説得力。
9月17日(水) C
「小品盆栽『遊び』の道具」 梶山富蔵 河出書房新社 1800円
川口市で盆栽店を営む昭和5年生まれ。径3寸に足りない小さな鉢
の盆栽。そうなると盆栽それ自体よりも、鉢だ、飾り台だ、添景小物
水石と、趣味はどんどんとエスカレート。それを勧める困ったオヤジ。
9月16日(火) B
地域エネルギーの新展開「森林バイオマス」川辺書林 1600円
伊那市でおこなわれた同名のシンポジウムの記録。NPO法人SDG
伊那谷森林バイオマス利用研究会の主催。ペレットとチップを熱源と
してどう生産し利用していくか、という話。意外と早く一般化しそうだ。
9月15日(月) C
「柳宗理 エッセイ」 柳 宗理 平凡社 2400円
御年88歳になられる柳先生。日本の工業デザイナーの嚆矢としての
活躍、反発した父宗悦の民藝運動の再評価をふくめた、辛口エッセイ
集。日頃デザインとは何か、を考えている身にとっては参考になった。
9月14日(日) C
ジョイ・ノベルズ「ヒマラヤの叛乱」 柘植久慶 実業の日本社 819円
いつものパターン。今回はネパールの毛沢東ゲリラに捕われた人質
救出作戦だ。今ひとつ地理的状況が飲み込めず、上滑り気味。後半
成功報酬を踏み倒した、クライアントへの復讐譚の方が面白かった。
9月13日(土) C
京都モザイク「京の古本屋」 青幻舎 1200円
地元出版社による京都案内 「京都モザイク」シリーズ、「おいしい京
都便」「大衆酒場」「ふだん使いのうつわや」につぐ4巻目。文化の都
だけあって古本屋にも個性的なものも多い。個人的には感想なし。
9月12日(金) C
「SL復活物語」 日本鉄道保存協会編 JTB 1000円
全国各地で走っているSLの動態保存の物語。文化財としての動態保
存はまことに結構なことだと思う。しかしそれが並大抵のことではない
ことを知ることができた。関係各位の努力に敬意を表するものである。
9月11日(木) C
「名作の舞台をゆく」 ロム・インターナショナル編 東京書籍
1700円。思い出のシーンを探す旅50、と副題。映画・小説の舞台の
風景写真の連続で、いずれも知っているものばかりで、懐かしかった。
というよりも「20世紀も遠くに行ってしまったなあ」という感慨を覚えた。
9月10日(水) B
「赤毛のアンの島 キルトの旅」 市川直美 パッチワーク通信社
1360円。カントリースタイルのお手本として、今も人気のカナダ東
岸のプリンス・エドワード島。「赤毛のアン」ゆかりの場所と、キルト
作家を訪ねる旅。ヴィクトリア調のカントリーインテリアはよろしい。
9月9日(火) C
「ブレークスルー思考」 ダイヤモンド社 2200円
ハーバード・ビジネススクールの機関誌としての同レビューの日本語
版。ここではテーマを創造性とイノベーションとして、様々な事例を紹
介。あまり有り難味を感じないのは、当方の知識が低いせいなのか。
9月8日(月) B
「古本カタログ」東京都古書籍商業共同組合・編 晶文社
1800円。組合のビルが完成するので記念に出したらしい。なかな
かリキが入っている。見開きに古書(値段入り)と、同じ傾向の新刊
を対比させるスタイルは新鮮。エッセイはちょっと小ウルサイ感じ。
9月7日(日) C
「彩色玻璃コレクション 日本のステンドグラス」朝日新聞社
18000円。写真・増田彰久、解説・藤森照信の名コンビ。当然だが
全編に建物内部から見た美しいステンドグラスの写真。明治初期の
木枠色ガラス時代からアールヌーボー、アールデコ、和風柄まで。
9月6日(土) C
「赤瀬川原平の日本美術観察隊 其の2」 講談社 2500円
「週間再現日本史」の連載を再録、今回もなかなか読ませてくれる。
とりあげた美術品も、絵画から工芸、仏像、建築までと幅がひろい。
解説も一般人の目線だから、共感したり、どうかなと思ったりする。
9月5日(金) C
「危ない電磁波から身を守る本」 植田武智 コモンズ 1400円
食品添加物、シックハウスの次は電磁波。送電線、家電製品、携帯
電話の電磁波から身を守るノウハウ。しかしキリがない。そんなもの
にビクビクするより、免疫力を高める方策を考えるべきではないか。
9月4日(木) C
「メジャー・リーグおもしろ雑学事典」 メジャー・リーグ研究会 編著
ヤマハミュージックメディア 1300円。5人のメジャーリーグ大好き
人間が集まってつくった研究会だという。1人脱落、残る4人で執筆
したらしい。日本のプロ野球とは一味ちがう大リーグ情報を満載。
9月3日(水) C
新潮選書「知的DIYの技術」 中野不二男 新潮社 1000円
もとはと言えば科学技術系のライター。電動工具に目覚め、ついには
山荘の手作りまでにいたる。「Do it yourself」のノウハウを開陳しなが
らも、日本のモノづくり技術の衰退から、日本の将来を愁うのである。
9月2日(火) C
普及新版「日本刀事典」 得能一男 光芸出版 2800円
その昔、剣道や居合をかじった関係で日本刀には今も興味あり。この
本は鑑賞というより鑑定研究会のための事典のようだ。初版発行から
30年、著者も故人だ。後半には1000にもおよぶ、刀工の価格銘鑑。
9月1日(月) B
「教育を経済学で考える」 小塩隆士 日本評論社 1800円
経済学的にみて教育は投資か消費か、という命題ではじまる。教育
には基本的に能力識別機能があるとして、そこから所得格差の拡大
や社会階層の固定化など、現在の社会傾向を必然と分析。だからこ
そ「ゆとり教育」が、公平化に逆行と糾弾する。すでに第5刷発行だ。
8月31日(日) C
小学館文庫「電話のかけ方 頭の下げ方」浦野啓子 小学館
476円。社会人マナー入門の副題の文庫本。コミュニケーション・イン
ストラクターのマナー研修だ。たしかに応対する社員のマナーは、会社
の社員教育の出来不出来を想像させるものだ。しかしなかなか難しい。
8月30日(土) C
知らない日本語「教養が試される341語」 谷沢永一 幻冬社
1400円。関西大学名誉教授の日本語解説である。古くからの言葉も
社会の変遷に、使われ方も変わっていく。そんな言葉の本来の意味で
の使われ方、その微妙なニュアンスを博識で説明してくれるのである。
8月29日(金) C
「TVドラマ&映画のロケ地 徹底ガイド」ドラまっぷプロジェクト編
サンブックス 1600円。やっぱり都内ばかり。ドラマを見ていないとあ
まり有り難味は感じない。そういえば、去年の夏「私立探偵 濱マイク」
シリーズを1作だけ見て、そのロケ地の野辺山YMCAを見に行った。
8月28日(木) C
「金正日の料理人」 藤本健二 扶桑社 1429円
「美女軍団」みんな同じ表情の気持ち悪さにうんざり。それはそうとして
すでに第4刷。さすがに面白く、昼休みにソファの上に寝転んで1時間
ほどで読んでしまった。謎の将軍様も、個人的には意外と気さくな一面
をみせる。13年におよぶ付き合いと、その人間性がここまで明らかに。
8月27日(水) C
「反論!化学物質は本当に恐いものか」 宮本純之 化学同人
2000円。化学物質といえば悪い物という最近の風潮に、その本質を
説く化学者だが、4月に肝ガンで死去されたらしい。Q&Aというスタイ
ルで書かれてはいるが、化学物質のリスク論入門編という位置づけ。
8月26日(火) C
「女海賊大全」 ジョー・スタンリー編著 東洋書林 4200円
書名は同じ出版社で、前に読んだ「図説 海賊大全」にならったものら
しい。が内容は全く異なり、むしろジェンダーのテクストの位置づけだ。
資料が少なく、大全とはとても言えない。それにしてもこの出版社、面
白い企画の本をたくさん出しているが、いずれも訳が悪くて困りもの。
8月25日(月) C
「楽しいナショナリズム」 島田雅彦 毎日新聞社 1400円
徹底した反米の人。ただし愛国心は誰にも負けないと自慢、多角的な
ナショナリズムの分析だ。「 サンデー毎日」連載文は、いよいよイラク
戦開始后の4月8日付けで終わる。内容はわかるが、賛成はしない。
8月24日(日) C
ビジュアルワイド「京都の大路小路」森谷尅久・監修 小学館
3800円。さすがに歴史の町である、149の通りの歴史、謂れ、建物
その他を列記する。由緒ある名が並ぶが、これだけ多いとさすがに食
傷気味となる。巻末には古寺の境内地図も納める。京都ファン向け。
8月23日(土) C
「合併浄化槽入門」本間 都・坪井直子 北斗出版 1800円
1955年初版の増補版。市民運動から水問題専門家になったらしい。
下水道よりも合併浄化槽のメリットを説く。しかし維持管理が大変そう。
理想的にはキレイな処理水が出るのを、楽しむ余裕が必要ということ。
8月22日(金) C
「信州ラーメン無茶修行」 矢嶋健一 オフィス エム 1429円
発行は1999年12月。長野在住のギタリストが32歳の若さにまかせ
て、県内のラーメンを北から南まで100軒を食いまくる。好みは別とし
てスピード感のある文章で、最後まで飽きさせないところは天晴れだ。
8月21日(木) D
「センスのいい雑貨ディスプレイブック」 主婦の友社 1200円
同社の雑貨雑誌、インテリア雑誌からの再編集だというのだが、何を
いいたいのか、良く分からず中途半端な編集。素人インテリア雑誌の
女性版と解釈したらいいのか。ところどころの風水コラムも意味なし。
8月20日(水) C
「裸の王様」 ビートたけし 新潮社 680円
書き下ろしかどうかわからないが、ネタが新しいことばかりでけっこう共
感を覚えた。大マスコミの偽善を、声高に言うことを許されている人は数
少なく貴重だ。また石破防衛長官の、あの顔を評価するのにも賛成だ。
8月19日(火) C
「野仏の見方」 外山晴彦「サライ」編集部 編 小学館 1200円
「歴史がわかる、腑に落ちる」シリーズ、前作「神社の見方」よりもずっ
と良し。様々な路傍の神仏の謂れがわかって良かった。最後にはサラ
イお得意、旅案内 「野仏を巡る旅」 群馬倉渕村、安曇野、柳生街道。
8月18日(月) D
「ビスクドールの世界」高橋涼子 ART BOXインターナショナル
2000円。ときどき「何でも鑑定団」に登場するビスクドールの写真集。
著者はその作家だというが、そもそもビスクドールとは何かを知りたい
のだ。作家としてどうかかわるのかの記述もなく、まるで不明のまま。
8月17日(日) C
「世界音声記号辞典」J・K・プラム W・A・ラデュサー 三省堂
2100円。誰にも借りられずに新刊コーナーにあったので読んでみた。
3人の日本の言語学者の訳だが、もちろん内容はわからず。ただ記号
の表現方法が面白い。飯田市民の誰がこれを必要とするのか?疑問。
8月16日(土) C
「お作法 不作法」 朝日新聞学芸部 朝日新聞社 660円
朝日新聞家庭欄に2年間連載されたものだという。時代の変化にとも
なう社会行動の多様化。そして常識もまた変りつつある、というところ。
困ったことは、いいという人いれば、そうじゃないという人もいる2面性。
8月15日(金) B
「看板力」 ワールドフォトプレス 6476円
全633頁A4版厚さ4cm重さ2.5kgの看板大全。豪華な執筆陣によ
り多面的に考察する。ハイライトはアメリカの片田舎のロードサイドの
ビルボードと、日本のレトロ看板。写真はいいが活字が小さくて辛い。
8月14日(木) C
アクティブ新書「江戸売り声百景」 宮田章司 岩波書店 940円
1933年下町は千住生まれ。もとはといえば漫才コンビの片割れで
古くからの物売り声を、色物の寄席芸として高座で披露しているらし
い。本人の演ずる売り声の入った8cmのCDが付録。聞くのも面倒。
8月13日(水) D
「街角のデザイン文字」 伊藤 紘 東京堂出版 2000円
同年代の文字デザイナーで、版画家というのだが、街角の様々な日
本文字を収集、モノクロ写真で並べたてる。その数、1030余と豪語
するのだ。しかし何のためなのかよくわからない。意図不明の印象。
8月12日(火) C
「捨てるな、うまいタネ」 藤田雅矢 WAVE出版 1300円
某研究所につとめる農学博士だという。その一方でSF作家として活
動しているらしいが、野菜や果物を食べたら種を捨てず、育ててみま
しょうよ、とのたまうのだ。それもなかなか余裕のある生活ではある。
8月11日(月) C
「ルーマニア・マンホール生活者たちの記録」 早坂 隆 現代書館
1800円。衝撃的な話である。「週間金曜日」のルポルタージュ大賞
優秀賞だという。たしかに大マスコミでは取り上げないチャウチェスク
以降の姿ではある、が取材年月が不明なのだ。現在がどうなのかは
どこにも書いてない。最後の最後でちょっとシラけた感じを味わった。
8月10日(日) C
「nakata net ITALY WALK」サニーサイドアップ 角川書店
1600円。中田英寿の現地付き人マーサによるイタリア案内。もちろ
んサッカー観戦を中心にパルマ、ローマ、ミラノの都市案内、ホテル、
食事、交通、言葉とぬけめない。これ見て行きたくなる人もいるよね。
8月9日(土) A
「日本語使い方考え方辞典」 北原保雄・監修 岩波書店 3000円
日本語すべてにわたっての正しい使い方を、その歴史から教えてく
れて、なるほどと肯くばかり。ちょっとおかしいよ、と思うことを鮮やか
に説明。ただ7人の学者による順繰りの執筆で重複するところあり。
8月8日(金) C
「図説 日本武道辞典」普及版 笹間良彦 柏書房 3800円
全765頁の日本の戦、武道に関する辞典。もとよりすべて読めるはず
もなく項目をみるのと、興味のある部分だけの拾い読み。しかしこの著
者1917年生まれ、あちこちで歴史物の本を見かける、博識に脱帽。
8月7日(木) C
「重文民家と生きる」 全国重文民家の集い・編著 学芸出版社
1800円。中山道古い町家の建ち並ぶ小野宿を通るとき、今後どうな
るんだろう、といつも思う。我々の世代はまだいいとして、次の世代に
その維持管理の苦労を押し付けることができるかどうか。そんな民家
の持ち主の集いだが決定的な答はまだないようだ。皆で考える必要。
8月6日(水) C
「東京 古本とコーヒー巡り」 交通新聞社 1429円
散歩の達人ブックス「大人の自由時間」と副題。143頁の本だが凝り
に凝った編集と装丁。スノブな読書家達と個性溢れる古書店。植草甚
一が目標?ジャズの流れるサテン(古いネ)で、今買った本を開く時。
8月5日(火) B
「差別と環境問題の社会学」桜井 厚・好井裕明 編 新曜社 2200円
シリーズ環境社会学[六]は、重いテーマである。部落、在日、障害者、
フェミニズム、途上国での環境破壊など。今はまだ個々の例を報告す
るだけだが将来どんな形で環境社会学として収斂していくのか注目。
8月4日(月) C
「サンカ生活体験記」 八切止夫 作品社 2800円
1987年73歳で死去した小説家である。三角寛のサンカ(山窩)研究
は大昔、飯田図書館で眼にしたことがあるが、それを下敷きにしたフィ
クションか。30年ほど前流行した八切史観をあらためて思い出した。
8月3日(日) C
「服飾の歴史をたどる世界地図」 辻原康夫 河出書房新社 667円
意味不明の書名だが、1948年生まれの地誌研究家による服飾談義
である。けっこうな博識で、背広、ネクタイ、スカートから下着、寝間着
など、さらには化粧、アクセサリー、香水にまで。肩の凝らない読物。
8月2日(土) C
齋藤スタイル「自分を活かす極意」齋藤 孝 マガジンハウス1200円
いよいよ「齋藤孝本」が出た。しかも自分で出したのだ。つまり教祖に
なられたわけだ。内容的にはほとんど読んでいるので、その通りと思
うだけ。コラムと、とくに対談は上手を自負するだけに結構楽しめた。
8月1日(金) C
「クビ!論。」 梅森浩一 朝日新聞社 1200円
1000人のクビを切った、外資系企業の元人事部長があかすクビキリ
の極意。ただ論旨に一貫性がない部分あり。地元の優良企業でもリス
トラの噂。会社人生だけでなく、職人として細く長く生きる道もあるが。
7月31日(木) C
「言わせていただきます」 辛 淑玉 KKベストセラーズ 1180円
東京新聞連載の「言いたい放題」の単行本化。が5年前の発行がなぜ
図書館の新刊なのか?それにしても辛口の論議が最後まで続くのだ。
新聞なら1週間に一度だからいいが、連続して怒られてはたまらない。
7月30日(水) C
オフサイド・ブックス「決定版『一発屋』大全」 宝泉 薫 彩流社
1200円。歌謡界「一発屋」伝説、芸能界「一発屋」外伝につぐ3部作
の今回は「1億総一発屋化」として登場人物500人を豪語する。それ
にしても情報通なこの人。ネットでも一発屋専門サイトがあるらしい。
7月29日(火) C
「世界遺産 屋久島」多様性の回廊 水越 武 講談社 3800円
山岳写真家、田淵行男の弟子だという。うっそうとした照葉樹林と雨を
含んだ重苦しい写真が続く。巻末に京大の山田勇の解説、ガイドの小
原比呂志の楽しみ方案内、53年前の梅棹忠夫の「岳人」からの再録。
7月28日(月) C
三訂版「世界地名語源辞典」 蟻川明男 古今書院 4500円
ひゃー長かったわ。全504ページに、ただ地名のいわれが並んでい
るだけ、もう意地で最後まで。著者は定年退職した高校教諭。誰が使
うのか、クイズマニアか物書きか。まあこういうのも、無いと困るわな。
7月27日(日) C
「爆笑問題の今を生きる!」 爆笑問題 集英社 1000円
週間「プレイボーイ」の連載ほかからのコントを抜粋、例によってリズム
のいい掛け合いがつづく。しかしこの太田光の、豊富な語彙と知識はど
こから来ているのか?やっぱり常日ごろの読書からのような気がする。
7月26日(土) C
「富士山風光200景」 白旗史朗・山岳写真の会「白い峰」 日本カメラ社
2800円。白旗氏が会長を務める、「白い峰」の会員による富士山特集。
でもツマんないんだよな。たしかに素晴らしい山だとは思うけど、絵葉書
写真ばかり、大きさを実感させるものは少ない。パラパラ10分で終了。
7月25日(金) C
「軽井沢120年」 軽井沢文化協会 (株)櫟
軽井沢文化協会創立50年の記念文集。浅間山麓の米軍の習場建設反
対運動と、その成功が創立要因とか。上流階級の年寄りの思い出話につ
きあってしまった。友人の奥さんの実家が旅館、家族で訪問した思い出。
7月24日(木) C
「安全風土の探求」 原子力安全システム研究所 プレジデント社
1000円。関西電力が設立した上記研究所には、さらに技術システム
研と、この本の編者の社会システム研究所がある。安全ということで期
待したが、今ひとつ新鮮な考えに出会えず。執筆者は工学系ではない
様子。温暖化防止エネルギーの原子力、という前提での考えが不満。
7月23日(水) C
「失踪[2003]」 失踪[2000]制作舎 ミリオン出版 1200円
尋ね人捜索白書と銘打つ。4月初めに図書館に入ったわりには沢山の人
に読まれた形跡。なぜだ!しかし中身は突っ込み不足の印象、とりたてて
面白い話題にはぶち当たらなかった。企画段階での検討が不十分では。
7月22日(火) C
「県議ふしぎ発見」 長野県議会チェックフォーラム・編 川辺書林
1500円。田中県政と県議会との確執報道に、疑問を感じての上記団体
結成だというから、田中贔屓は当然。今までの馴れ合いの中での県議会
の実態を明らかに。ただ残念ながら3月発行で、4月の県議選報告なし。
7月21日(月) C
「方向オンチの謎がわかる本」 村越 真 集英社 1500円
オリエンテーリングの全日本で、20歳から15連覇した静岡大の先生。専
門の空間認知やナヴィゲーション能力の優しい解説。期待したのだが、前
作「道迷い遭難を防ぐ最新地図術」ほど面白くなかった。構成がイマイチ。
7月20日(日) B
「駒ケ根市の民家」 駒ヶ根市教育委員会 平成4年刊行
25軒の民家を収録。茅葺き寄棟造りと本棟造りに加え切妻の平屋6棟に
2階の入り母屋と擬洋風が1軒づつ。しばし駒ケ根市の地図を見ながらの
民家巡りを楽しんだ。いい企画。飯田市も早く、調査を開始すべきである。
7月19日(土) C
「F・L・ライトを訪ねて」 日本・建築ミュージアム 編
「建築の旅、こころの旅」と称してライトの建築ツアーをすでに10年の上記
団体。その旅行の思い出をまとめた文集。それぞれがライトへの想いの丈
を述べていて、それはそれでいいんじゃない、というのが正直な感想かな。
7月18日(金) C
サライが選んだ「日本楽名山」 サライ編集部・編 小学館 1800円
深田久弥の日本百名山のうち、中高年の夫婦でも登山可能な24の山を
紹介。コースガイドのほか、季節の花の様子に加え、立ち寄り情報として
近くの温泉にも詳しい。写真もきれいで言うことないが、サライはキライ。
7月17日(木) C
「家族を容れるハコ 家族を超えるハコ」 上野千鶴子 平凡社 2200円
変りゆく家族像と変らぬ nDKプラン、社会学からの住宅論。既出の対談
や講演を集めただけに重複多し。山本理顕との対談が4本あるが、隈研吾
との対談の方が面白かった。今後の住宅の方向を考える意味で刺激的。
7月16日(水) C
「バイオマス・ニッポン」 小宮山 宏・迫田章義・松村幸彦 1500円
日本工業新聞社。「日本再生に向けて」という副題。1府15省がまとめた
プロジェクトの内容要約。たしかにバイオマス・エネルギーの利用技術が
いっぱい。よくわかるのだが、逆に総花的で面白味がすくない印象あり。
7月15日(火) C
「ぼくの昔の東京生活」 赤瀬川原平 筑摩書房 1600円
めずらしく原平さんの回顧談だ。8つ年上だから、田舎での生活ぶりには
思い当たるところもあった。いずれも別の雑誌に連載したもので自伝的な
部分は読めたものの、「街の手ざわり」と称する第3章はツマンなかった。
7月14日(月) C
「ピラミッド文明・ナイルの旅」 吉村作治 NHKライブラリー 830円
「NHK人間大学」のテキストを単行本化、ナイルを遡る旅である。副題に
よくわかる「古代エジプト」とありながら、良くわからない。巻末の年表をみ
ていくらか理解できた感じ。紀元までの5000年の歴史が長すぎるのだ。
7月13日(日) C
文春新書「色彩の世界地図」 21世紀研究会・編 文藝春秋 720円
色彩についての文化論ではあるが、ちょっと期待はずれ。色別にそれに関
連する歴史上の出来事をのべるのだが、なぜか退屈。巻末の色に関する、
熟語あるいは俗語、スラングを集めた英語小辞典はなかなか面白かった。
7月12日(土) B
「有元葉子の道具選び」 有元葉子 幻冬社 1600円
年齢不詳の料理研究家といっていいのかナ。これまでの経験からの日常
使いの台所用品談義。すべてがなるほど、と思わせられるし、ブックデザ
インがこれまた秀逸。むしろ手元に、この本を置いていたいと思うものだ。
7月11日(金) C
集英社新書「パリと七つの美術館」 星野知子 集英社 950円
パリ大好き人間のパリ案内。市内の小さな美術館−ドラクロワ・ピカソ・ダリ
ブールデル・中世絵画のクリニュー・モネのマルモッタン・モローの7美術館
紹介。それぞれの作品についての感想は、かなり個人的で好感がもてた。
7月10日(木) C
「信州 雪形ウォッチング」 近田信敬 信濃毎日新聞社 1600円
春から初夏にかけての北アルプス、中央アルプスの残雪のつくる風景−
雪形。愛知県に生まれて白馬でペンション経営のカメラマン。有名なもの
から、ちょっと苦しいものまで収録。でももう季節は終わり。来年に期待。
7月9日(水) D
オスプレイ戦史シリーズ「馬上槍試合の騎士」C・グラヴェット新紀元社
1800円。訳も構成も最低、中盤までなにがなんだかわからず、ようやくお
ぼろげにトーナメントの様子を理解。最後の日本版解説を頭にもってくるべ
き。この出版社は和洋の戦い資料に強い。ゲーム製作者御用達なのか。
7月8日(火) C
「トリシア・ギルドの世界 住まいのカラー」 産調出版 3300円
英のインテリア・デザイナーの実践的カラーコーディネイト。白、青、緑、黄
ナチュラル、テラコッタ、赤と7つの色彩系に分類。築数十年以上という古ぼ
けた室内空間を、大胆なファブリックの色彩配置で新鮮に見せるマジック。
7月7日(月) B
「日本の伝統的都市空間」[解説篇] 宮脇 檀 中央公論美術出版
当時宮脇研の院生だった中山繁信工学院大教授の序文に、7年で終了し
た、このデザインサーベイの全てが語られている。もっと空間分析がなされ
てよいし、集落の比較という方法もあったはず。あえて肯定的にみれば歴史
的な変化を調査する、建築社会学とでもいうべき方向があるかもしれない。
7月6日(日) B
「日本の伝統的都市空間」[図面篇] 宮脇 檀 中央公論美術出版
1966年から7年間の法政大宮脇ゼミのデザインサーベイ記録。[解説篇]
と2冊でA3版45000円。当時雑誌に発表された図面の迫力はそのまま。
しかし今みると種々の感慨。だんだんと図面密度が落ちてくるのは何故だ
ろうか。ダンディ宮脇さんの、一時のお遊びの様な気がしてならないのだ。
7月5日(土) C
最新版「有名講師・講演料700人情報」 日本実業出版社 2300円
マスコミで有名な人の講演料は高く、そうでない場合はそれなりというわけ。
なかには年間で200回なんてこなす人もいる。ただただ羅列された700人
の情報を眺め、講演屋として生きる人生というのを、しばし考えてしまった。
7月4日(金) C
「一分間謝罪法」 K・ブランチャード&M・マクブライト 扶桑社 933円
「チーズはどこへ消えた?」の著者コンビ。売れたのでこれまでの著書を探
し出してきた様子。要はつねに自分をみつめ、悪かった時には即、謝れ!し
かも誠実に、という話だ。そうすれば、物事は良い方向に回転する、らしい。
7月3日(木) B
「『現場』学者中国を行く」 関 満博 日本経済新聞社 1600円
中国通い18年という一橋大教授。嫌中国論者と違い、優しい眼差し。西欧
の感覚で中国を見ちゃイカンらしい。なかなか冷静な目線での、現状把握。
だが将来の姿は、さすがに予測困難か。しかし日本の失った「希望」がある
という。それにしても、もう少しセンスのいい書名をつけてほしいものである。
7月2日(水) C
「祭りを旅するB東海・北陸編 日之出出版 1800円
祭りと名物、味どころ、ゆとりの宿の紹介ムック。高山祭、尾張津島天王祭
名古屋まつり、浜松まつり、百万石まつり、郡上おどり、お旅まつり、おわら
風の盆など。興味があるのは越中八尾の風の盆。ぜひ行ってみたいもの。
7月1日(火) C
「ほんとうの信州」 角 憲和 岳風書房 2000円
地元新聞に書評を頼まれ、同じ著者の「田中康夫の真相」と、「揺れる脱ダム
宣言」も読む羽目に。その後の県政の混乱に嫌気がさしたか、信州の風土そ
のものの研究に軸足を移した模様。信州教育史に重点。今後の展開に期待。