新刊読書日記 2004年上半期
6月30日(水) C
「川とヨーロッパ」保屋野初子 築地書房2400円
冒頭の米でのダム撤去の話でカチン。否定的に
みれば景観の認識や河川再自然化への環境原
理主義に疑問符。感情を抑え、日本社会の事情
の検討から 今後の新しい方向を期待するもの。
6月29日(火) C
「エリックカールの絵本の世界」ブックグローブ社
1905円。有名な絵本「はらぺこあおむし」の作者
色つけしたティッシュペーパーのコラージュで「い
ろのまほうつかい」とも。派手だけにアキる傾向。
6月28日(月) C
「盆栽時間」 山本順三 山と渓谷社 1300円
はじめての鑑賞入門の副題のまさに初心者向け。
盆栽用語の説明はわかりやすく納得。実際にやる
となると、精神的に余裕がなければとても無理だ。
6月27日(日) C
別冊太陽「日本の別邸・別荘」 平凡社 2400円
日本近代を彩る、有名人の別邸、その多くは和風
で初めて見るものも。別荘は外国人の所有が主。
いずれも感慨少なし。当方の感性の衰えを自覚。
6月26日(土) C
「なぜ日本人は日本語が話せるのか」今井邦彦
大修館書店 1500円。英文学者の語学談義。前
半は表題通り言語に対して、後半は英語に関する
随筆集。少々専門的で素養があれば楽しめそう。
6月25日(金) C
「ミツバチが泣いている」上之二郎1500円
集英社。蜂蜜の国内生産が激減、中国輸入物の
全盛時代とか。しかし人工糖を加えたもの、あるい
は精製と称した加熱ものが、大部分の説明。最後
には天然自然の蜂蜜を、中国奥地に求めるお話。
6月24日(木) C
「さわやかエネルギー風車入門 増補版」牛山 泉
三省堂1600円。風車研究最先端の足利工大教
授。初版1991年。入門書としてわかりやすい。こ
の密度の薄いエネルギーをどう使うか発展途上。
6月23日(水) C
「日露戦争名将伝」 柘植久慶 PHP文庫 552円
すっかり戦史研究家の趣きの、柘植先生だ。有能
無能の将軍を描くのだが、今一つ状況が不明な点
を多々見うける。著者自身がわかってないからだ。
6月22日(火) C
別冊太陽「Japanese Style in Kyoto」 平凡社
角田多佳子1600円。おなじみ京都の、町屋空間
を彩る インテリア・エレメントと道具類、さらにそれ
をあつかう、名店の案内。和空間の粋がどっさり。
6月21日(月) C
「不美人論」 藤野美奈子・西 研 径書房 1500円
漫画家と京都精華大助教授とのブスに関するホン
ネ対談だ。前半、地方出身者の東京論には共感。
ブス論については、ナルホドなあと思う程度の話。
6月20日(日) C
「無印良品ゴージャス!」カーサ ブルータス880円
マガジンハウス。松本パルコの「無印良品」も、よく
のぞくけど意外と買わない。ADだった田中一光の
デザイン性もわかるが、この本も黙って観るだけ。
6月19日(土) C
「ダム撤去」 ハインツセンター 岩波書店
2800円。ダム撤去の際、検討すべき点を多角的
に研究した米の調査報告書の訳。現段階ではあく
までも考え方をしめすだけで、評価法の確立には
いたらず、まだまだ時間が必要な雰囲気である。
6月18日(金) C
「地方テレビ局は生き残れるか」 鈴木健二
日本評論社 1900円。成蹊大教授の論文。今後
地上波デジタル化の過大な投資負担に地方テレ
ビ局は耐え切れず、再編必至という悲観的考察。
6月17日(木) C
「墨と硯と紙の話」為近麿巨登 木耳社 2500円
1923年生まれ、大阪ガスで定年まで務めあげて
書に目覚めた技術屋の、電子顕微鏡を駆使しての
研究。文房四宝の定説を次々覆していくのである。
6月16日(水) C
「SUVが世界を轢きつぶす」K・ブラッドシャー
築地書館 3200円。いま世界中で売れている、車
高の高い4駆スポーツ車の、危険度を糾弾。むしろ
ここに至る米の社会性、政治性を語るためにも、こ
の470頁もの厚さが必要なのだ、と納得はしたい。
6月15日(火) C
「日本縮小」朝日新聞社経済部編 1100円。
高齢化社会と将来の人口減少がどんな未来をも
たらすか。先進世界各国の悲観的状況を描く。新
聞社の企画は、いつものように現状報告のみに。
6月14日(月) B
「山の文化とともに」 齋藤一男 アテネ書房
4200円。中世の山岳信仰から始まるが、やはり
明治から、昭和後半までが面白い。そして現在の
中高年の登山ブーム。山岳界の重鎮が描く 日本
登山の一大叙事詩であり、また鎮魂歌でもある。
6月13日(日) C
「新築を超えるリフォームNO.3」1524円
ワールドフォトプレス。カッコいい建築家が並んで
いる。TVのリフォーム番組は、裏読みして疲れる
が、この男性版住宅ムック本においても同様だ。
6月12日(土) B
「東海道一里塚ウォーキングガイド」 価額不明
月刊日本橋。小学校の古い教科書の体裁。日本
橋から三条大橋まで、2万5千の地図上に、旧東
海道のルートと一里塚や名所旧跡をプロット。歩
いた気分になれる、なかなか楽しい企画だった。
6月11日(金) C
「新・オトナの学校 仕事常識」1200円
日本経済新聞社。最近この手の ハウツーものが
巷に目立つ。今は教えてくれる親切な人がいない
から。後半仕事の達人例はまったく不要の一言。
6月10日(木) D
「頭のいい子は図で育つ」久垣啓一1300円
全日出版。日航から宮城大教授に転身の図解論
だが、、終始違和感あり。それほどの図でもない。
後半の情報論もレベルが低く、拾い読みの始末。
6月9日(水) C
「日本のスイッチ」慶応大学佐藤雅彦研究室
毎日新聞社1000円。週毎に毎日新聞がアンケー
トを発表し 読者がケイタイメールで答える趣向だ。
佐藤氏は新しい社会的装置と自賛。まあ面白いけ
どね、それ以上でも以下でもない単なるお遊び。
6月8日(火) C
「空海の道」 永坂嘉光・静 慈圓 新潮社
1300円。高野山専門写真家が高野山大学教授
の空海研究に、その足跡を辿る旅。入唐の道と国
内の空海聖地を巡り歩き、さらに高野山参詣道。
6月7日(月) C
「スローフードな宿」 門上武司 (株)木楽社
1600円。雑誌「ソノコト」連載ものだ。大阪在住の
料理評論家が訪ね歩く、全国各地の ウマくて安い
宿。それにつけても、そんなに食べて大丈夫かい。
6月6日(日) C
「中央線」ダ・ヴィンチ特別編集 1300円
メディアファクトリー。 カルチャー魔境の歩き方と
大仰。中央線沿線が舞台の作品やら 店の紹介。
東京生活の最後は高円寺で迎えたが、地下鉄新
高円寺のためなのか、それほどの思い入れなし。
6月5日(土) C
「スロービジネスのすすめ」NHK出版1400円
教育TV 「21世紀ビジネス塾」の取材企業。個性
あるリーダーが創りあげた企業ゆえに 一般化に
はいささかの疑問。しりあがり寿の漫画は邪魔。
6月4日(金) B
「霊山と日本人」宮家 準 NHKブックス970円
新書版だが,中味は濃い。山岳信仰の事典ともい
うべき内容である。巻末のエピローグだけ読んで
も日本人の宗教観、信仰の歴史早わかりの感。
6月3日(木) D
「結論、思い出だけを抱いて死ぬのだ」大竹まこと
角川書店 1200円。いつだったか、道端にたむろ
した中学生の集団に「大竹まことが来た」といわれ
たことがあった。「似ている」 と言われれば親近感
もわくけれど、×と言わざるをえない内容である。
6月2日(水) C
「中年の達人」 高橋祥友 講談社 1500円
現在ふえている「中年ウツ」の処方箋。今のところ
関係ないが、何時そうなるやも知れぬ。その時に
は迷わず、専門クリニックの門を叩けということ。
6月1日(火) B
「日本語探検」 樺島忠夫 角川選書 1400円
過去から未来への副題、外来語の氾濫をテーマ
に優れた表記としての日本語の成り立ちを考察。
そしてその難しさに、今後のあり方をも想うのだ。
5月31日(月) D
「おとなの自由研究」 アスペクト社 1000円
サイト「デイリーポータルZ」に毎日掲載の「何でも
やってみよう」報告。しかし、これは中学生向以下
の低レベルだ。オトナが付きあってるヒマはない。
5月30日(日) C
「わかりやすい これが『原価』だ!!」山中伊知郎
(株)インターメディア 1400円。 「これが『原価』
だ!」続編。様々な商品の元値やギョーカイでのお
値段。原価というよりも、業界の「仕組み」 案内。
5月29日(土) C
アクティブ新書「集める ! 私のコレクション自慢」
岩波書店 760円。リカちゃん人形、時刻表、狛犬
フクロウもの、ステッキ、沈香、スノードームなど、
最後は藤田博士の寄生虫。人、それぞれである。
5月28日(金) B
「図説 日本古地図コレクション」河出書房新社
三好唯義・小野田一幸1800円。室町中期から明
治以前までの、日本全図の発達史。世界図との対
比、当時の政治情勢との関連など、楽しめました。
5月27日(木) B
「防犯セキュリティガイド」日経BP社 2000円
建築雑誌「日経アーキテクチュア」を、再編集した
ムック本。防犯の現状を要領よくまとめる。その昔
関わった安全研究の組織が、あちこちに登場して
いて、防犯が「安全」の主要テーマになった趣き。
5月26日(水) C
「スポーツメンタル43の強化法」 高畑好秀
池田書店1300円。集中力や緊張緩和のトレーニ
ングや、イメージトレーニングの実践的方法の提案
だ。絵を使って右脳を鍛えるのだが、ほんとかね。
5月25日(火) C
「母なる大地」 柳澤桂子 新潮社 1300円
時々 中村桂子氏と間違えるのだが、今回はじめ
て読む。まず対象読者は?という感想。環境問題
は突きつめると 鎖国主義や自給自足生活にまで
いたってしまう。今すこし、冷静な視点がほしい。
5月24日(月) C
「和菓子めぐり」千 和加子・監修 JTB 1600円
キャンブックス。全国の有名菓子を北から南まで
カラー写真で紹介する。名店226軒の銘菓320
種。まあ旅行のお土産の参考に、という趣向か。
5月23日(日) C
「わが家の修理と補修」西沢正和・監修 1300円
日東書院。DIYスクール講師による図解住宅保守
管理法。わかり易いメンテナンスの実際だが、けっ
こう面倒なこと。趣味としてあってもいいとは思う。
5月22日(土) C
「『木組の家』に住みたい!」松井郁夫 彰国社
1600円。 木の家の人気は高い。地元の木使用
の重要性もわかる。が使い方が難しい。家造りそ
のものを見直す必要があることを、現在施工中の
住宅で痛感。ここに そのヒントらしきものをみた。
5月21日(金) C
「査定!論。」梅森浩一 PHP研究所 1300円
「クビ!論。」に続く。あちこちの、外資系人事部長
を務たコンサルタントの 「会社あるいは社員」の未
来論。当方には関係ないことだが説得力はある。
5月20日(木) C
「自信回復クリニック」ウィリー・パジーニ1600円
バジリコ(株)。女性雑誌で読者カウンセリング・コ
ラムを持つ伊の心理学者。だから中身は男と女の
話ばかり。処方箋は ポジティブ・シンキングでセル
フ・エスティーム( 自己評価 )を高めるということ。
5月19日(水) C
「京ふろしき」 久保田正高 光村推古書院
1400円。スイコブックス128は「ふろしき」。高そ
うな羽二重の風呂敷きが並ぶ。柄の構図・包み方
まで。例年の年賀状の意匠の参考になりました。
5月18日(火) B
「城郭みどころ事典 西国編」 東京堂出版
西ヶ谷恭弘・光武利郎 編 2200円。総アート紙、
写真・図版も多く、文章も手慣れた感じで、按配も
よし。全国のお城の事典として言うことない様子。
5月17日(月) C
「百選の棚田を歩く」中島峰広 古今書院2200円
棚田百選の選定委員・棚田学会副会長の早大教
授。全国45ヶ所の訪問記。写真・図版の少なさに
不満も感じたが、ルポとして読むには良。それにし
てもオーナー制以外に、保存方法がないものか。
5月16日(日) C
「作って楽しむ 万華鏡の秘密」照木公子1800円
文化出版局。カレイドスコープ好きなkid’sさんの
ために借りてきた。写真もキレイ、説明も適切なる
入門書。金持ち奥様の密かなブームの雰囲気だ。
5月15日(土) C
「『鍵』が危ない!」松本 剛・許斐武夫 1500円
エクスナレッジ。住宅が危ないシリーズ、今回は防
犯。急速な治安の悪化とともに防犯グッズに脚光。
鍵を中心に、その考え方を教える、参考書である。
5月14日(金) B
「なぜ高くても買ってしまうのか」ダイヤモンド社
2000円。ボストン・コンサルティング・グループの
まとめたデフレの中でのニューラグジュアリー〈贅
沢品志向〉を解き明かす試み。つまりは癒しとして
の消費・自己表現としての消費、の結果だという。
5月13日(木) D
「海外ロングステイ 30都市ガイド」柳沢有紀夫
JTB 1500円。オーストラリア移住ライターによる
長期滞在のススメ。対象は年金生活者、それに縁
のない身にとっては、やっかみ半分で、感想なし。
5月12日(水) C
「真綿と紬」 嶋崎昭典 (財)日本真綿協会 謹呈
信州大学繊維学部教授による真綿と紬のお話だ。
生糸生産に向かないクズ繭の、農家での実用品と
しての利用の歴史と科学的分析データ。紬製法。
5月11日(火) C
「ネット依存の恐怖」牟田武生 教育出版 1800円
男の子のオンラインゲーム依存、女の子のチャット
依存への答を模索する教育研究家。まあこれも大
変なことだわ。ちょっと答えは見つかりそうにない。
5月10日(月) C
「超微細加工の本」 麻蒔立男 日刊工業新聞社
1400円。今日からモノ知り・トコトンやさしい、B&
Tブックス。分子工学の内容が、進み過ぎていて想
像することすら難しい。大変な世界が動いている。
5月9日(日) D
「これからの地域経営」 海野 進 同友館 3200円
立派な体裁だが 内容は疑問符。富山県の役人ら
しいが総論ばかり。こんな程度のレベルでは困る。
具体策がほしいのだ。顔を洗って出直してほしい。
5月8日(土) C
「エンジニアのための開発生活ガイド」 加藤ただし
講談社 ブルーバックス 800円。エンジニア稼業で
身につけねばならないことなど。創る・作る・造る の
用語の定義は面白いが、あとはどうということなし。
5月7日(金) C
「巨乳バカ一代」 野田義治 日本文芸社 1400円
デカパイタレントで今を時めく、強面のイエローキャブ
社長だ。しかしこの書名なんとかならんか。内容は父
親的人生論でわかりやすい話。がんばってください。
5月6日(木) C
「こうすれば犯罪は防げる」 谷岡一郎 新潮選書
1100円。犯罪環境学という米生まれの学問の入門
書。犯罪は個性ではなく、社会があれば一定の割合
で発生する、という前提が面白い。後半しりつぼみ。
5月5日(水) B
「創作玩具」 春日明夫 日本文教出版 3700円
美術教師として国内留学、その修士論文が下敷。現
東京造形大教授。文体は不満だが内容は濃い。とく
にバウハウスや、千葉大デザイン学科の前身、東京
高等工芸での玩具デザインの話は初めて知ること。
5月4日(火) C
「新日本語の現場」 橋本五郎・監修 中公新書ラクレ
740円。読売新聞の企画連載、現在進行形。第1部
の「気になる若者言葉」は 読者とのやりとりも加え面
白かったが、第2部「氾濫するカタカナ語」では平板。
5月3日(月) B
「階層化日本と教育危機」 刈谷剛彦 3800円
有心堂。1989年新学習指導要項以降を「失われた
10年」と各種調査で実証。さらに現在も階層化社会
の中で増幅と、東大教育学の先生。最後に大胆な改
革案も提示。2001年刊で第6刷。遅きに失した感。
5月2日(日) C
「日航スチュワーデス魅力の礼儀作法」 奥谷禮子
亜紀書房1400円。2000年3月に初版、6刷を重ね
ての最新改訂版というから、けっこうなベストセラー。
売りは書名通りの、人材プロデュース会社の代表。
5月1日(土) C
「いちばん大事なこと」養老孟司 集英社新書660円
口述筆記の環境論。ベストセラーは未読だけれど人
気がわかるような気がする。昨今のメディアの一面的
かつ同方向性に較べて、物の見方が多面的なのだ。
4月30日(金) C
「『ネットの未来』探検ガイド」 歌田明弘 岩波書店
760円。アクティブ新書99はインターネットの未来に
ついて。検索エンジン使用法から、ウェブ自体のデー
タべース化、さらPCを疑似共有の巨大ウェブ社会。
4月29日(木) C
知識ゼロからの「焼酎入門」 日本酒類研究会・編著
幻冬社 1200円。いわゆる図解本の形式で、各地の
銘酒、製法、カクテルまで提案。飯田市内でも全国各
地の焼酎を飲ませる居酒屋が、増えたような雰囲気。
4月28日(水) C
「茶の湯事件簿」 火坂雅志 淡交社 1800円
内容は歴史上人物の茶の湯との関わり、あるいは世
に言う「名物」に係る逸話集。手慣れた文章でさらりと
読めるし、思わず手にしたくなるような上手い書名だ。
4月27日(火) C
「『はかる』と『わかる』」工作舎 1200円
堀場製作所という分析機器のメーカーのHPに掲載さ
れたもの。科学の世界での進歩がまさに分析技術か
ら生まれたエピソードの数々を語る。内容は入門編。
4月26日(月) C
「ウォーター・ビジネス」 中村靖彦 岩波新書 780円
水は一体 誰のものか?前半はボトル・ウォーターの
戦争、後半は世界水資源事情。未来視点も重視して
いる元NHK論説委員。水問題は将来大きくなりそう。
4月25日(日) C
新装合本「漆芸事典」 光芸出版編・刊 3800円
昭和47年の「漆芸入門」と同53年「うるし工芸辞典」
を合本したもので活字、編集も古くさい印象。漆芸の
歴史は日本の歴史。その重要度に改めて感心した。
4月24日(土) C
「サライが選んだ 老舗バー」 サライ編集部 小学館
1200円。ポケット判の有名バー案内。やはり銀座が
多い。これを持って出没する小金をもったジジイが増
えそう。興味はあるが、行ってみたいとは思わない。
4月23日(金) D
「こんなエコ商品が欲しい!」 中野 博 1600円
東洋経済新報社。エコライフ研究所主宰のエコ生活
ジャーナリスト。いくつもの実在商品を誌上PR。おそ
らく金をもらっての紹介だろう。インチキな読み物だ。
4月22日(木) B
「就職がこわい」香山リカ 講談社 1300円
勤務先の大学での 就職委員の立場から、現代若者
の就職恐怖症の解説。フリーターの心理学的分析で
の情けなくなるほどの現状、親世代にも 起因という。
4月21日(水) C
「かまど」 狩野敏次 法政大学出版局 2800円
ものと人間の文化史117。もと理系で栗田勇に師事
したとか。最初はカマドの発達を追っていくが、そのう
ち伝説、民話の世界。カマド神と水神の関係に終始。
4月20日(火) C
「淡水真珠」 山中茉莉 八坂書房 1900円
核を入れての海水養殖真珠にたいし、淡水真珠は核
なしで育てるという。形も色も様々というシードパール
の解説。後半分、欧州、中国の真珠物語は退屈だ。
4月19日(月) C
日本怪奇幻視紀行六之巻「奇っ怪建築見聞」 同朋舎
1700円。怪奇建築集。目黒雅叙園は初めて知った。
2001年3月発行、ここで掲載の廃墟が再開発ブーム
で既に消滅。いわゆる都市の怪談の類はつまらない。
4月18日(日) C
「本と装幀」 田中 薫 沖積舎 2500円
宮崎公立大で、出版文化論を構ずる先生の装丁談義。
学芸大から桑沢デザインに学んだ毎日新聞出身で、出
版から装丁全般を俯瞰する。が鋭さがなく不満足の念。
4月17日(土) C
「さがしてみよう 日本のかたち 七」〈庭園 〉 中村良夫
山と渓谷社 1600円。前半が修学院、桂、浜の離宮庭
園の意匠。後半は、全国有名庭園の同じく意匠紹介。し
かし意図がよくわからない。写真志向の中高年向けか。
4月16日(金) A
「オトナ語の謎。」 糸井重里・監修 1365円
笑えた。読みながら涙が出た。インターネット、「ほぼ日
刊イトイ新聞」 サイトで盛り上がった内容。業界用語ほ
か日常的にけっこう使うが、よく考えるとオカシイのだ。
4月15日(木) C
「売れるお店の色彩学」 葛西紀巳子 同文堂出版
1400円。色彩の基本原理から、商品の包装から、陳
列方法、また店づくりあるいは、街づくりまで幅広く提案
する。内容は、ごく常識的なもの、驚くべきものはない。
4月14日(水) A
「仕事に使えるゲーム理論」ジェームス・ミラー2600円
阪急コミュニケーションズ。人間の行動原理を、「利得の
最大化」と見る、ゲーム理論の経済学教科書。それはま
た、政治学の教科書でもある。社会主義の崩壊は当然。
信頼というものが如何に脆いか、をも教えてくれるのだ。
4月13日(火) C
「小型風車活用ガイド」 松本文雄 パワー社 2000円
太陽光と並ぶ風力の利用、なかでも個人的に設置する
小型風車の実践編。現状は厳しい。新聞で垂直軸の新
型に人気の報、その内容を期待したけれど、記述なし。
4月12日(月) B
「民話の地理学」 佐々木高弘 古今書院 3200円
地味な本だが内容は刺激的。神話、伝承、昔話の成立
を人間の感覚から想像する試み。景観は当然だが聴覚
触覚も重要視。将来の学問的な拡がりをも予感させる。
4月11日(日) C
「Route88」小林キユウ 河出書房新社 1700円
饒舌な写真家はキライ。藤原審也しかり、この著者も同
様だ。ただこの人、眼の付け所がいいんだな。その点に
ついてはいつも感心する。四国遍路青春巡礼との副題。
4月10日(土) C
「日本人形玩具辞典」齋藤良輔・編 東京堂出版
3000円。昭和43年初版の新装普及版。今思えばたわ
いもないものだが、当時の子供の熱中度は伝わる。そん
な時代の悪ガキの姿を、想像したりして、結構楽しめた。
4月9日(金) C
「東海道寄道道草」 宮本真理子 春夏秋冬叢書
3000円。三河の郷土出版社 「はるなつあきふゆ叢書」
三河の東海道、磐田市見付宿から、知立市池鯉鮒宿ま
で、名所旧跡目当ての祖母との二人旅。ただそれだけ。
4月8日(木) B
「フリーターという生き方」小杉礼子 勁草書房 2000円
労働政策研究・研修機構のフリーター研究 第一人者に
よる報告。様々な調査とその分析はなるほど、と思わせ
る。現在の社会階層の固定化こそが、その大きな背景。
4月7日(水) C
「地政学★アメリカの世界戦略地図」 奥山真司
五月書房 1800円。実際は米の近代タカ派政治の歴史
というべきもの。知りたい日本の進路は、最後から3頁に
わずか数行だ。いたって常識的な結論で、期待はずれ。
4月6日(火) C
「めしのタネ発見地図」 島田晴雄 かんき出版 1400円
これから注目される市場紹介。と言いながら、現実は規
制緩和に伴う新事業。つまりは如何に規制が多かったか
の裏返しにすぎず。協力は伊藤滋・小宮山宏の両先生。
4月5日(月) B
「不耕起でよみがえる」 岩澤信夫 創森社 2200円
福岡正信先生以来の米づくりのエポックかも知れない。
田を耕さず、できるだけ湛水し多様な生物環境から稲の
生育条件を確保という逆転の発想。あくまでも強い苗が
前提。いろんな意味で、今の日本を考える哲学がある。
4月4日(日) C
「それでもブランド品を買いますか?」 櫻木邦裕 彩流社
1500円。ブランドショップを8年経営の1971年生まれ。
その狂想曲の裏側を暴露。結局は日本人が 金を持って
いるということ。本人にとって生きがいならば、仕方ない。
4月3日(土) C
「北朝鮮自壊」 重村智計・長谷川慶太郎 1500円
東洋経済新報社。重村氏をもっと知りたくて、借りてきた。
新聞記者の前は元シェル勤務で石油に詳しいのも当然。
米韓中の立場は予想通り。問題は11月の大統領選だ。
4月2日(金) B
「注釈 東国古道記」 飯田柳田國男研究会 1905円
柳田國男記念伊那民族学研究所の、輪講成果。故後藤
壮一郎明大教授解説で、街道成立以前の古道への想い
充満。針の木峠など江戸から加賀への隠し道は面白い。
そんな間道をサンカなどが歩く姿を想像しワクワクした。
4月1日(木) C
「稼ぐチームのレシピ」 キャメル・ヤマモト 1400円
日本経済新聞社。外交官出身、人材コンサルタントの組
織論。チームを4つのタイプに分析。独りでやってるせい
か当方には現実感なし。企業の人達に感想を聞きたい。
3月31日(水) C
「働く家」 OMソーラー協会編 農文協 1524円
今までに、沢山のOMソーラーに関する本を読んできた。
疑問は「そんなに良い物がなぜ普及しないのか」 である。
やはり会員制が問題なのだ。オープンにすべきだと思う。
3月30日(火) B
「杜氏という仕事」 藤田千恵子 新潮選書 1100円
滋賀県八日市市の喜多酒造での、能登杜氏を主人公に
酒造りにかける男達の姿を画き切る感動的な物語。説明
写真はそれほど多くなくても、映像的な文章に好感する。
3月29日(月) B
「元気な商店街 7つの秘訣」 鶴野礼子 ダイヤモンド社
1600円。デフレで苦しむ大規模店に対抗する商店街。
全国100ヶ所を訪れたという ライター。久しく空洞化が叫
ばれてきたが、これからは商店街の時代かも知れない。
3月28日(日) C
新・ウッディライフ選書「薪ストーブ入門」 山と渓谷社
1500円。ますます人気の薪ストーブの選び方から使い
方、薪の割り方指南。今回は輸入品もそこそこに、むしろ
国内の作家達の クラフト・ストーブの紹介が主の様子。
3月27日(土) C
「江戸に学ぶ『おとな』の粋」 神崎宣武 講談社 1600円
1944年生まれ、最初は共感を覚えていたが、進みが遅
くてそのうち退屈だ。要するに神崎さんも歳をくった、とい
うことだろうか。もうちょっと、遠くをみる視線を望むたい。
3月26日(金) C
「居合道」夢想神伝流 京 一輔 愛隆堂 1800円
本郷三丁目の檀崎道場に通った時期もあった。結局モノ
にならずに終わったが、今でも居合には興味。その初伝、
中伝、奥居合の形写真。でもやはり試し斬りをすべきだ。
3月25日(木) C
「間取り百年」 吉田桂二 彰国社 1800円
1930年生まれ、辛口の住宅建築の重鎮が回顧する住
宅社会史。面白読物で、1時間で終了。まえがきの最後
で21世紀へ託す、遺書のような思いだと。さもありなん。
3月24日(水) C
「アジア民族建築見てある記」 石野博信 小学館
1600円。「住」をテーマにする考古学者。世界の民族の
建築物を日本の古代建築と対比。文化の伝播という意味
で面白いが、紀行文スタイルのスピードに追いつけない。
3月23日(火) C
「トンネルの話」 原田一男 はらだ企画 1680円
現在、じん肺訴訟で係争中の元トンネル職人。昔を思い
出しながらの現場風景。本人自筆の稚拙な図に、当時の
切羽の雰囲気が生々しい。昼夜を分たぬ大変な作業だ。
3月22日(月) B
「川づくりをまちづくりに」 学芸出版社 1800円
樋口明彦+川からのまちづくり研究会 協力=(財)福岡
県建設技術情報センター。住民参加型の河川整備の方
法の全国例。「まちづくり」の決定論を追い求める試み。
3月21日(日) C
「『食べてはいけない』加工食品の常識」 石堂徹生
主婦の友社 1300円。前書「『同』基礎知識」に次ぐ肩
の凝らない食品添加物談義。まったく「食」の安全性の
問題はもうどうしようもないところまで来ているようだ。
3月20日(土) C
「伊勢の神宮」 南里空海 世界文化社 2800円
月刊「家庭画報」の連載加筆。著者はクミと読むそうだ。
いかにもそれらしく写真と取材で祭の毎日を追っていく。
まあなんというか「大したものであることよのう」が感想。
3月19日(金) C
「マイクロガスタービンの本」佐藤幸徳 日刊工業新聞社
1400円。トコトンやさしいシリーズながら、よくわからな
い。著者は、石川島播磨重工の元エンジニア。技術屋の
本は総じて理解が難しい。構成が素人向けでない様だ。
3月18日(木) C
「信州つれづれ紀行」 武田 徹 郷土出版社 1600円
同い年の信越放送からフリーの、ラジオ番組から。土地
の人とともに故郷の風景、信州北から南まで。失われ行
く景観への挽歌とはいえ、感傷的すぎるのではないか。
3月17日(水) C
「『床下』があぶない!」 神谷忠弘 エクスナレッジ
1500円。雑誌「建築知識」連載の住宅のシロアリ対策。
完全予防は不可能、対策を講じた上での駆除しかない、
と力説。前半シロアリ生態学は退屈、後半には説得力。
3月16日(火) C
「コミュニティ ビジネスの時代」 岩波書店 2200円
本間正明・金子郁容・山内直人・大沢真知子・玄田有史
冒頭のNPO活躍の事例の面白さに期待したが、後半の
発展途上を示す制度・税制解説などは辛かった。まあだ
んだんと改善されて行くのであろう。今後を見守りたい。
3月15日(月) C
「ふるさとの富士200名山」 吉野晴朗 東方出版
2500円。全国北から南、それぞれの地方で、○○富士
と呼ばれている山々。似ているものから、そうでないもの
まで。先人達の生活を、多少思ったりした。1996年刊。
3月14日(日) D
「大人塾。」藤巻健史・藤巻幸夫 朝日新聞社 1600円
父親違いで元ディーラーの兄と伊勢丹を経て福助社長の
弟。マネーとファッションをそれぞれ語るがあまりにも薄い
内容。朝日土曜版の連載とて、まともに読むにたえない。
3月13日(土) C
日本の原点シリーズ 「檜」 新建新聞社出版部1900円
木の文化2は杉に続く第2弾。桧のムック本。我が小原先
生も 日本の仏像の材質がほとんど桧である、と書いてい
る。直後に最近の研究ではカヤだという説が。おやおや。
3月12日(金) D
「京町家づくり千年の知恵」 山本 茂 祥伝社 1600円
同い年の町家大工。古い町家が若者に人気ではあるらし
い。が、とくに新しいものに出会えなかった点、ところどこ
ろ疑問を感じた点、全編京都弁の読みにくさで低い評価。
3月11日(木) B
貴道裕子の「ぽちぶくろ」 (有)スーパー・エディション
3714円。骨董店お内儀の蒐集五百余点。どれもデザイ
ン性高く粋。永六輔が三亀松師匠宅で、知らないうちにポ
チ袋が手の中に、と述懐。思えば亡き祖母が市立病院の
ナースに、握手しつつチップを渡そうとした有名な事件。
3月10日(水) D
「平成の巫女」 佐野 裕 原書房 1400円
インタビュー記事を書くライターとか、ここでも都内有名神
社の六人の巫女への聞き書きが主。会話をそのまま載せ
るだけ。それだけで一冊の本にしようという魂胆に怒った。
3月9日(火) C
「図説 国旗の世界史」 辻原康夫 河出書房新社
1800円。しかし博学な人。この前は服飾史だったが今度
は国旗。ここでは紋章学あるいは旗章学からの、世界の
国旗の歴史を語るのだ。なるほどという部分も多かった。
3月8日(月) D
「大復活のデフレ先進国日本」長谷川慶太郎 徳間書店
1600円。相変わらず能天気なジイサンだ。と、いいつつ手
に取ってしまう。内容は特別なことなし、いつもの通り30分
で終了。まあ週刊誌を寝転んで読むと思えばいいわけだ。
3月7日(日) A
「シルクロード 路上の900日」 大村一朗 (株)めこん
2500円。「深夜特急」以来の超弩級。西安から徒歩で羅
馬まで、しかも中国から中央アジア、イランへの越境は驚
異。泣き出しそうな惨めな一人旅こそ若者の特権。出会い
と、政治、民族、宗教への素直な感性。執筆7年622頁。
3月6日(土) C
「コンクールでお会いしましょう」 中村紘子 中央公論新社
1300円。NHK人間講座 「国際コンクールの光と影」の加
筆版。ピアノコンクールの社会学は、そのエピソードも色鮮
やか、そしてクラシック音楽そのものの地平線を遠く望む。
3月5日(金) C
「みうらじゅん大図鑑!」 宣伝会議 2400円
完全保存版と銘打つ。MJの本はけっこう読んでいるが、今
回は拾い読みとさせていただく。この368頁すべてにお付き
合いは勘弁ね。キチンと、ものを保管している能力はエライ。
3月4日(木) C
「差別の民俗学」 赤松啓介 明石書店 1600円
1909年生まれ91歳で死去、同和運動・水平社に加わっ
た市井の民俗学者。固い話から、中盤は性風俗の話で柳
田国男を浅いと批判。元から、そっちが好きな人のようだ。
3月3日(水) B
「ひび割れしないコンクリートのつくり方」岩瀬文男
日経BP社 2200円。ひび割れするもの、と思っていたコ
ンクリートを、ピカピカに打つ方法を明かす、打設コンサル
タント。それには、水分の少ない固いコンクリートを丁寧に
打つしかないのだ。週間「日経アーキテクチュア」連載物。
3月2日(火) D
「働く男の制服図鑑」 桜 遼+制服を愛でる会 1200円
フィールドワイ発行。なんともよくわからない企画。制服好
きな女性マンガ家が、制服職業の服および階級その他の
識別方法などのイラスト付。だからどうしたと、言いたい。
3月1日(月) B
「東京遺産」保存から再生・利用へ 森まゆみ 岩波新書
780円。地域誌「谷中・根津・千駄木」の編集から、地元を
始め、都内の建物の保存運動へ。その20年にわたる活動
記録。あくまでも自然体での保存の実現は、まさに凄腕。
2月29日(日) C
「ついていったら、こうなった」 多田文明 彩図社 1200円
キャッチセールス評論家を自称するエキストラ俳優兼ライ
ター。街頭での勧誘に潜入した報告。結果は想像通りなが
ら断るのは勇気が要りそうだ。早目に逃げ出すにかぎる。
2月28日(土) C
「できる わかる中級パソコン入門」 長谷川裕行 アスキー
1600円。月刊誌「アスキードットPC」の連載物。ひととおり
読んではみたが、あまり参考になることはなかった。これが
中級かい。日常的にもっとわからない点や困ったことあり。
2月27日(金) C
「どうしても『あれ』がやめられないあなたへ 文藝春秋
J・グランド&S・キム 1600円。ギャンブル、窃盗、買い物
性行動、どうしてもやめられないのは、衝動性障害という病
気であり、薬で症状をおさえられる、という。知っておいて良
い。日本では上記症状は「プロセス依存症」と診断される。
2月26日(木) C
「棚田の謎」 田村善次郎・TEM研究所 農文協 2800円
百の知恵双書001。棚田研究で有名な 武蔵美の先生。石
垣主体の熊野の丸山千枚田、土主体の輪島の白米千枚田
のフィールドワーク集大成。水をどうして分けるかの謎解き。
2月25日(水) C
「設計図を変えた戦士たち」北村主税・釣 秀一 1200円
ダイヤモンド社。1983年に発売された、CADソフトの制作
元CPUの発展話。私がCADを始めたのが1991年、DOS
からWINへ、目まぐるしく変化した時代を多少思い出した。
2月24日(火) C
「地球温暖化と森林ビジネス」小林紀之 日本林業調査会
あえてビジネスという言葉を使った、とのまえがき。やはり
抵抗がある。京都議定書での森林の二酸化炭素吸収力を
どう考え実現するか、の会計問題と言うべきではないか。
2月23日(月) B
「横書き登場」 屋名池 誠 岩波新書 740円
右横書きの日本語書式の歴史をたどる旅。200年ほどだ
が、なかなか刺激的な物語。問題は電子メディアの普及の
中で縦書きがどうなるか、である。私の読書スタイル(室内
自転車をこぎながら)からは、横書きは読みにくいのだが。
2月22日(日) B
「箱の本」 E・デニソン R・コースレイ 9800円
デザインエクスチェンジ(株)。A4判総アート紙のパッケー
ジデザインの本。無地の紙の展開図と美しい写真。ため息
が出る。ただ90度横向きの説明文は非常に見にくく不満。
2月21日(土) C
「インターネットは民主主義の敵か」キャス・サンティーン
毎日新聞社1905円。インターネットの時代と民主主義の
あり方を探る試み。あまり現実感がなく、また難しい話で表
面だけを撫ぜた感じ。理解できる日はいったい来るのか。
2月20日(金) C
「中国子ども考」 小出湧三 論創社 2000円
国語教師を退職後、西安交通大学で日本語講師を1999
年から3年間。ひとりっこ政策の最初の大学生との交流と
現代中国の学生生活の報告は、メディア以上に赤裸々。
2月19日(木) D
「裏血液型占い」 美掘真利 主婦と生活社 1200円
本人の血液型に加え、両親のソレから、さらに深層心理と
運勢を占うというのである。もうやめてくれ。つぎなるものは
さらに両親の両親まで行きつくのではないのか。無視だ。
2月18日(水) B
「ひきこもり文化論」 齋藤 環 紀伊国屋書店 1600円
この人の文章を難しくしすぎる傾向も、今回、書き下ろしより
既発表の加筆が多いだけに、理解しやすいのか。息子達の
周辺でもよく聞くことだが、これでなんとなく分かった感じだ。
父親の無関心の中での母子密着と去勢否認が主因という。
2月17日(火) C
「暖房の文化史」 ローレンス・ライト 八坂書房 2800円
前作「ベッドの文化史」と同じパターンで、暖房の歴史を語る
が、資料的に英国に偏り過ぎ、また時代も近世以降が中心
となる。ただ暖房の歴史が、煙との葛藤だったことを理解。
2月16日(月) C
「希望のマッキントッシュ」 山川健一 太田出版 1480円
臆面もないマック讃歌に辟易状態。底抜けのバーチャル
肯定にも疑問符。現在、動かない LCUが当時30万。そ
の昔 指をくわえていた高値の花、SE/30が今欲しい。
2月15日(日) D
「天変地異のメカニズム」大宮信光 かんき出版 1400円
パラパラと頁をめくって、科学本だと思ったら、全編週刊誌
の記事のような脅しばかりの単なる雑学本。表紙を飾る寄
藤文平のイラストに惹かれ借りてしまったが、損した気分。
2月14日(土) B
「行政マンの体験的情報術」 青山やすし・編 学陽書房
1800円。 青山さんは前東京都副知事、名前は第2水準に
もないため平カナで。残り2人も都庁職員。最初は極めて日
本的な役人の処世術と馬鹿にしていたが、なかなかどうして
行政だけでなく、組織の中の人間としての有益な知識満載。
2月13日(金) C
「少子高齢化社会の未来学」朝日新聞社 2500円
朝日新聞社人口問題調査会・編 定例研究会の発表要旨。
5人の人口問題学者の論文集、まるで面白くない。データと
グラフは詳細だが、予測と同時に未来への提案がほしい。
2月12日(木) C
「隈取り」歌舞伎の化粧 伊藤信夫 岩崎書店 2700円
1920年生まれ、国立劇場芸能部制作室長だったという著
者の隈取りに関する研究。歌舞伎の歴史を語る上でもかか
せない。よくわからないもののデザインとして興味をもった。
2月11日(水) B
「多文化世界」G・ホフステード 有斐閣 2884円
オランダの社会心理学者による世界の国民文化の分析。4
つの指標でその差違を探る。それによれば欧州の隣国です
ら相当異なった社会文化が存在するという。ちょっと難解で
もうすこし,一般化した解説が欲しいところ。1995年発行。
2月10日(火) D
「ファイア 火の自然史」 S・J・パイン 青土社 2600円
火を擬人化した文学的な物語のようだ。が、訳語の選択が
不適切の上、杓子定規の訳が日本語になっていないのだ。
そのまま本にしてしまう編集者の無責任さに怒りを覚えた。
2月9日(月) C
「アメリカが知らないアメリカ」 近藤康太郎 講談社
1600円。朝日新聞の特派員として、ホントのアメリカを求め
さまよった、3年の記録である。帰国して間もないだけに多分
にセンチメンタル。それに偽悪的なこの文体は好みじゃない。
2月8日(日) B
「天外 第三 風は踊り 星は燃え」沢木耕太郎 3200円
スイッチ・パブリッシング。「全ての旅は感傷旅行」という著者
の390頁の写真集というか、心象風景アルバムだ。日曜の
朝ページをめくりながら「旅こそ幻想」ではないかと思った。
2月7日(土) C
「アメリカの世界戦略を知らない日本人」 日高義樹 PHP
1300円。「イラク戦」後、世界はこう動く、が副題。書かれた
のは2002年11月、イラク国民の戦後の反発を除いては予
想通り。タカ派志向が心地よく、ついこの著者の本を手にして
しまう。今回は嫌中国派も満足する超強硬論の内容である。
2月6日(金) C
「かわいいクルマで遊びたい」 近田 茂 二見書房 1000円
古今東西のコンパクトカー90台を紹介。もちろんミニも載って
います。なかにはモーターショーのコンセプトカーもあったりし
てオヤオヤ。昔も今も「かわいい」印象は大切な要素である。
2月5日(木) C
「おもちゃの王様」 相沢康夫 PHP研究所 1300円
おもちゃ好きのkid’sさんのために借りてきた。世界中で愛さ
れ続ける定番ベストガイドと紹介は、おもちゃ店のオーナーで
デザイナー。やはりネフの製品が多いが、あまりにも高すぎ。
2月4日(水) C
「利権クラッシュ」 石渡正佳 WAVE出版 1500円
不法産廃を劇的に減少させたという千葉県職員。少々乱暴な
がらも日本経済の二重構造を明快に説明。結論は道州制へ
の期待だが、なぜそうなるのか、イマイチわからない点あり。
2月3日(火) C
「オークション大魔王」 金井 寛 文藝春秋 1500円
ヤフーのオークションにのめり込み1千万近くつぎ込んだとい
う男の物語。浮気性の多趣味という、同じ傾向に最初のうちは
共感していたが、そのうちマニア振りが意識の埒外に消滅す。
2月2日(月) C
「戦争映画100!バトル&ウェポン」大久保義信 光人社
2000円。月刊「軍事研究」編集者のため武器オタク的な解
説が主となる。それはそれとして、読むところは沢山ある、と
感ずるのは、こちらにもその要素が多い故ということになる。
2月1日(日) C
「情念戦争」 鹿島 茂 集英社 2800円
ライオンにたとえたナポレオンを軸に、狼としてのタレーラン
狐のフーシュのフランス近代史を彩る3人。人間の度し難い
情念をテーマに生き生きと描いた、全472頁の歴史ドラマ。
1月31日(土) C
「世界の銘石」 インデックス・編 鎌倉新書 3000円
なんと墓石用石材カタログである。日本、中国、インド、南ア
フリカをはじめ欧州、中南米、韓国の主として花崗岩の実物
大の石目と墓石制作例の総アート紙。あまり必要ないなあ。
1月30日(金) C
「身体から発達を問う」根ヶ山光一・川野健治 編 新曜社
2400円。衣食住のなかのからだとこころ、という副題にもあ
るように、身体の発達を家政学的にまとめたいのか。執筆陣
は心理学関係が多く、テーマ自体も魅力的だが、すっきり決
められず。なにやら発達学会の発足を意図しているようだ。
1月29日(木) D
「ブック革命」 横山三四郎 日経BP社 1500円
空前の出版不況の中、電子書籍が紙の本を超える日を想像
する。とくに地球資源としての、紙パルプの消費の点からペー
パーレスを歓迎するのだが、内容は上っ面のみの印象多し。
1月28日(水) C
「口のきき方」 梶原しげる 新潮新書 680円
ときどきテレビで見かける現役のフリーアナウンサー。辛口
の会話論だが、社会人の心理学修士としての立場から、若
者言葉の中の深い意味を語る。好評らしく第6刷目である。
1月27日(火) C
「お江戸の地名の意外な由来」 中江克己 PHP文庫
571円。江戸の地名総覧なり。地形ゆかりの地名から説話
武家、商人あるいは職人のゆかり地名。農・漁また動植物さ
らには故郷からの地名など。現在の地名と対比させ面白い。
1月26日(月) C
「グローバル・プリズム」岩渕功一・編 平凡社 2600円
2001年11月にICUで行われた国際学会。日本のいわゆる
トレンディドラマの海賊版が香港、台湾、中国、シンガポール
韓国でどう観られているか、の社会学的考察。それだけに用
語が難解。単に「等身大の夢」としての位置づけと考えたい。
1月25日(日) C
「成功した1000万円台の家」 ニューハウス 1900円
ホームメイク・シリーズはローコストがテーマ、箱型の住宅が
並ぶ。コストを下げることは、一般的には無理をすること。イン
テリアはまだしも外部が弱そうだ。スラム化しないことを願う。
1月24日(土) C
「目からウロコの日常物観察」 野外活動研究会 農文協
2667円。OM出版の「百の知恵双書003」。名古屋を中心と
する考現学的手法によるフィールドワーク成果。まるで役にた
たない行為だが、スローに生活をみつめるという意義はある。
1月23日(金) D
図解推理「世界史 謎の収集」歴史の謎研究会・編
青春出版社 1000円。思わず借りてから出版社の名をみて、
しまったと感じた。内容は予想通りどうということのない、いわ
ゆる「謎本」の図解版。たいした時間つぶしにもならなかった。
1月22日(木) C
「スパーサイエンススクール」井上徳之 毛利 衛 数研出版
1300円。 理系離れをくい止める新しい学校教育への挑戦。
日本未来科学館と連携しての文科省の試み。一般向けの解
説はどこにもなく、内容も行事の報告だけ。理系離れは、むし
ろ数学嫌いの問題では。それらを結び付ける工夫がほしい。
1月21日(水) C
「 ぼくがバス釣りをやめた理由」 植村 誠 大月書店 1500円
外来魚ブラックバスによる在来種の絶滅から、バス釣りをした
いなら本場アメリカで、と説く。なにやらフィッシングそのものへ
の鎮魂歌。構成がいまいちクドい、もっとすっきり書けないか。
1月20日(火) B
「ホームビオトープ入門」 養父志乃夫 農文協 1619円
水辺ビオトープだけに限らず、バタフライガーデン、ミニ林や草
地、さらには家庭菜園から、草屋根、壁面や屋上緑化にまで。
生き物を我が家に招く方法は勉強になる。しかし管理は大変。
1月19日(月) C
産地別「すぐわかる 和紙の見わけ方」 久米康生 東京美術
2000円。南から北まで和紙を産地別に紹介する。総アート紙
で色も鮮やか。しかしここまでくると欲がでて、紙見本を入れて
くれればと望むもの。そうなるとこの値段では無理だろうなあ。
1月18日(日) C
新世界事情「脅威のアメリカ 希望のアメリカ」 寺島実郎
岩波書店 1700円。美しくそして悩ましい国−アメリカと、どう
つきあうか、がテーマ。けっこう期待して読んだのだが、結論と
しては国連主義・平和主義で日本は独自の道を歩め、という。
1月17日(土) B
「食料品完売マニュアル」 松田 明 文芸社 1400円
スーパーの食料品売場の試食コーナー、売り子のノウハウを
昭和50年生まれ美人が開陳。迫力が、もろに伝わる。腹式呼
吸の発声とパフォーマンス能力、つまり役者そのもの。これは
日常生活でも必要な要件。実行すれば、運も向いてくるはず。
1月16日(金) C
「21世紀の健康エコハウス良い家・ダメな家」 足立 博
エール出版社 1500円。辛口採点と銘打つ、メーカーハウスの
通知表で驚くなかれ8刷目。「FPの家」が高得点。高気密・高断
熱主体の性能診断だ。こういうのがあっても良いとは思うけど。
1月15日(木) C
「ごみから考えよう都市環境」 川口和美 技報堂出版
2400円。三菱総研出身の鎌倉女子大助教授。政府関係のプ
ロジェクトにも係っているだけに政策的な面にも強い、環境学入
門教科書。だから総花的で落ちもない分、面白くないパターン。
1月14日(水) D
「段取り力」 齋藤 孝 筑摩書房 1200円
よほど人が良くて出版社の誘いを断れないのか。この頃駄作が
目立つ。借りる時ふとそんな危惧を感じたのだが、やはりその通
り。他人のエピソードに解説をつけるだけの内容。もう読まない。
1月13日(火) C
図説「最新世界の特殊部隊」 学習研究社 1900円
イラク戦争をはじめ、最近の紛争で注目されている特殊部隊の
図説。各国のその編成状況が前半、後半はその装備や作戦マ
ニュアルの解説で、これが面白い。技術の発展は日進月歩だ。
1月12日(月) C
「住宅は骨と皮とマシンからできている」 野沢正光 農文協
2667円。OM出版の「百の知恵双書002」。芸大の吉村順三
直系建築家の前半は自邸の解説。後半は建築志望の中学生
向けの「環境と住宅」論である。ちょっとカッコ良すぎるきらい。
1月11日(日) B
「田口 護の 珈琲大全」 NHK出版 2800円
100店のグループを主宰する、「カフェ・バッハ」のオーナー。
豆の焙煎が味の全てと、4つの生豆のタイプ別に焙煎度を設
定するシステム珈琲学を確立。そのノウハウの全てを披露す
るのだ。そこまでいうならバッハで一度味わってみたいもの。
1月10日(土) C
INAXギャラリー「漂着物考」 INAX 1500円
あいかわらずスマートな編集の、INAXブックレット・シリーズだ。
今回テーマはビーチ・コーミング。海辺で、様々なモノを集める人
達の「漂着物学会」。それぞれの得意ジャンルがあって面白い。
1月9日(金) B
「20世紀の空間デザイン」矢代眞己・田所辰之助・濱嵜良実
彰国社 2500円。日大理工の建築出身の3名。20世紀の建築
を思想、手法、技術、生活と年代を、マトリクス的に配置する。た
しかに分かったような気がする。それなりの意義はありそうだ。
1月8日(木) C
データブック「NHK現代日本人のストレス」 NHK出版
日本人のストレス実態調査委員会・編1800円。特別番組制作
のための調査らしい。番組は見ていないけど、こういう調査は結
局予想通りの結果が出るだけだから、読物としては面白味なし。
1月7日(水) C
「こだわりの服飾術」 落合正勝 世界文化社 1800円
イタリア崇拝の洒落男が雑誌「Men’s Ex」に載せた服飾論だ。
それにしても、どうでもいいことを仰々しく書ける文章力と豊富な
語彙には、感心せざるをえない。評論家のもっとも必要な能力。
1月6日(火) C
「日本の道教遺跡を歩く」福永光司・千田 稔・高橋 徹
朝日新聞社 1300円。最初は何がなんだか分からず。朝日新
聞大阪の文化欄への連載。記者の高橋の執筆のようだ。だから
道教について、本人の知識が深まるにつれ、読者の理解も進む
のだ。仏教や神道との関係をあれこれ想像し面白くなってくる。
1月5日(月) B
「いつからファーストフードを食べてきたか」佐藤 昂 日経BP社
1500円。マクドナルドで7年、ケンターッキーFCで25年の外食
人生の回顧話と思いきや、中盤以降はその厳しい現状とスロー
フード礼賛の中で、外食産業がどこへ行くかの展望論に好感。
1月4日(日) D
「マイホーム この買い方なら万全だ」 鬼定佳世 かんき出版
1400円。住宅に関するフィナンシャル・プラン、これがなかなか
難しい。とくにローン減税をはじめとする税金関係は、理解しにく
い。この本も同じ、それほど親切でもないし通り一遍の解説だ。
1月3日(土) B
「水素エコノミー」ジェレミー・リフキン NHK出版 2100円
15年ほど前の「エントロピーの法則」から、地政的とくにイスラ
ム社会との対立を加え、悲観的ながらも説得力十分。最終2章
でインターネットと同様の「水素エネルギー・ウェブ」と称した燃
料電池による、グローバルかつローカルな夢を熱く語るのだ。
1月2日(金) C
「新修 日本の神話を考える」 上田正昭 小学館 1900円
12年前発行の同名書の修補版。古事記、日本書紀を読み解き
日本の創成期を探る。が素人にはなかなか難解。で結論を急ぐ
悪い癖がでる。ルーツが朝鮮にあり、と想像するは早とちりか。
平成16年1月1日(木) C
「失敗に学ぶものづくり」 畑村洋太郎 講談社 1800円
2004年 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願
いします。そこで今年第1弾、失敗知識を共有して各分野の仕
事に役立てようというNPO失敗学会の初代会長。材料、機械、
システム、建築土木の各執筆陣を総合的に解説する趣向だ。