オール読書日記2009年上半期
6月30日(火) C
「ビジネス・インサイト」 石井淳蔵 岩波新書
780円。神戸大教授から流通科学大学長。
新しいビジネスモデル誕生を ケースで学ぶ
経営学講義。内容は それほど納得できず。
結局は、個人の「幸運」のせいじゃないの。
6月29日(月) C
「クラウド化する世界」 N・G・カー 翔泳社
2000円。原題は 「The Big Switch」 こっ
ちの方が雰囲気がある。ネット世界は何処
に向かおうとしているのか、その方向をさぐ
るのだが、恐らく 誰にも分からないのだ。
6月28日(日) C
「正座と日本人」 丁 宗鐵 講談社 1600円
漢方医の教授による正座の文化史。意外に
も歴史は新しく、江戸後期の武士社会に 始
まり、明治以降に普及という。その得失から
短時間のトレーニングとしての正座を提案。
6月27日(土) B
「三澤勝衛著作集 風土の発見と創造 3 風
土産業」農文協 6500円。第3巻目は長野
県各地での講演録 いよいよ三澤地理学冴
えわたり 現在のエネルギー・環境問題・地
産地消の提起。今後大きく再評価の予想。
6月26日(金) C
「秘境添乗員」 金子貴一1500円 文藝春秋
既出文の再構成は少し読みにくい。米・エジ
プトへの留学、イラクでの記者と通訳、豊富
な経験で世界・日本の隅々へ 最後に45歳
での新婚旅行まで、ツアーにという 逞しさ。
6月25日(木) C
『「エコ罪びと」の告白』 F・ピアス1800円
NHK出版。英の環境ジャーナリスト。自分の
買った 食べ物・着る物・日用品・燃料の生産
あるいはゴミ処理など、末端の現場へ、世界
を歩きつつ、フェアトレードの本質 を考える。
6月24日(水) B
「江戸のきものと生活史」 丸山伸彦・編著
小学館 3800円。日本ビジュアル生活史シ
リーズは豊富なカラー図版での、江戸時代
衣生活の詳述は、まさにデザインの歴史。
6月23日(火) D
「赤字個人」 高橋慶次 幻冬社ルネッサンス
1600円。年収600万を 稼げない人間を社
会に対する赤字個人と定義。熊本で、レスト
ランを廃業した 元経営者。従業員の無能力
から出発、日本の個人と社会を 糾弾する。
6月22日(月) B
「三澤勝衛著作集 風土の発見と創造 2 地
域からの教育創造」 農文協 8000円。第2
巻目は地理学教育論。徹底して ミクロな視
点での実例を、多数示しながらの地域風土
学には恐れ入りました、という感想だけだ。
6月21日(日) C
「化粧する脳」 茂木健一郎 集英社新書
680円。カネボウ化粧品との共同研究。化
粧前と後の MRI 画像分析では 他人格に
なり得る、と自己と他者の 重要な認識を示
唆 そこまでは良し 後半急速に密度低下。
6月20日(土) B
「余命半年 満ち足りた人生の終わり方」
大津秀一ソフトバンク新書760円。弱冠33
歳の終末医療医。もはや 「宗教的」とも言う
べき死生論。前半は緩和医療の詳細、後半
はそこから出発して 生と死の新しい展望。
6月19日(金) C
「超図説 鉄道路線・施設を知りつくす」
都市鉄道研究会1900円学研。システムと
しての鉄道を詳述する中級マニアあるいは
工学系教養教科書の、位置付けのようだ。
6月18日(木) B
「崩壊する世界 繁栄する日本」 三橋貴明
扶桑社 1400円。キワ物的書名も中身は説
得力。歯切れのいい文章で グローバル社会
での 日本の生き方提案。自らの文化を深め
ていけば、やがて世界がついてくる、という。
6月17日(水) C
「きちんとわかる 木質バイオマス」 白日社
1500円。産能研ブックス(産業技術総合研
究所)は、バイオマス主体を酵素を使っての
液体燃料化への研究報告 前半1/3は不用
後半 化学反応の詳細説明は難解すぎる。
6月16日(火) D
「熱愛自転車塾」 長尾藤三 五月書房
1500円。もっと深〜く長〜くジテンシャを愛
する法だとさ。バイク歴も 自転車歴も同じく
らい 1941年生まれのオヤジの 入れ込み
自転車談義に 付き合って、どっとお疲れ。
6月15日(月) C
「阿修羅のジュエリー」 鶴岡真弓 理論社
1500円。立命大から武蔵美へ移ったケルト
美術の先生。人気の阿修羅像から 装飾ジュ
エリーを巡る世界の旅は上滑り気味。総ルビ
も中高生の女の子にはいいが、読みづらい。
6月14日(日) C
「焼肉屋は食べ放題なのになぜ儲かるのか
?」五十嵐明彦1400円インデックス・コミュ
ニケーションズ。イメージキャラを 実際に焼
肉店の IC小倉優子。会計学の初歩の初歩
を 「さおだけや…」 に対抗の 若手会計士。
6月13日(土) B
「三澤勝衛著作集 風土の発見と創造 1 地
域個性と地域力の探求」 農文協6500円。
地理景観という言葉で、地域個性の地理学
的分析は詳細を極める。仕方のないことだ
が 純粋な地理学にこだわり過ぎる感じだ。
6月12日(金) C
「こだわりの日本酒と酒肴」 小泉武夫
アズ・ファクトリー1600円。醗酵学の大家、
あいかわらずマメな蔵巡りである。それにし
ても 値段も高過ぎる高級酒ばかりズラリ。
6月11日(木) C
「多読術」 松岡正剛 ちくまプリー新書
800円。編集者の聞き書き、という形で読書
の鉄人の読書思想を語る。今まで読んだ読
書論のなかでもっとも共感を覚えた。ただし
当方の場合は単なるヒマつぶしというだけ。
6月10日(水) C
「21世紀の田舎学」 杉村和彦 世界思想社
2000円。トヨタ財団助成研究を単行本化。
福井・今立での遊作塾−遊んで作る−活動
記録。和紙・古民家からグリーンリズム さら
にタンザニアとの交流にまで至る、田舎学。
6月9日(火) C
「新しいアナキズムの系譜学」 高祖岩三郎
河出書房新社1600円。シリーズ道徳の系
譜書き下ろし 世界で起きている反グローバ
リズム行動を哲学としてまとめる試み、と解
釈したい。が、答えがない以上苦しい展開。
6月8日(月) C
「一生モノの勉強法」 鎌田浩毅 1500円
東洋経済新報社。京大火山学教授の勉強
の仕方、ノウハウの開陳。一連の実用書は
売れているようで類似の著書が多数あり。
6月7日(日) C
「崖っぷちの木地屋‐村地忠太郎のしごと」
松本直子 未来社 1700円。木曾福島で曲
げ物中心の92歳の現役職人の日常を、押
しかけ弟子の、1952年生まれが綴る物語
仄々とした印象は 忠太郎じいさんの人柄。
6月6日(土) C
「俺は沢ヤだ!」 成瀬陽一 1429円
東京新聞出版局。沢登り専門の高校講師。
沢というよりも滝というべき断崖を、泳ぎなが
ら登ることに「命」を賭ける1962年生まれ。
6月5日(金) C
「イエメン」 荻野純一 日経BP出版センター
2200円。旅名人ブックス118。以前からシ
バームの塔状住宅群に、興味があって借り
てきたが記述は少なめ。全土を案内してい
て、むしろ山岳都市の多いことに 意外感。
6月4日(木) C
「Globes」 高井ジロル ダイヤモンド社
1800円。複数型だから地球儀である。世界
の地球儀をタイプ別に50 紹介するフリーの
編集ライター なかなか美しくかつ楽しい本。
6月3日(水) C
『今を生きていく力 「六波羅蜜」』 森 政弘
教育評論社1500円。東工大名誉教授通称
ロボコン博士の仏教解説。布施・持戒・忍耐
精進・禅定・智慧の6つの行で仏性を得る。
6月2日(火) C
「エーゲ海 青と白が競う 52島」 萩野矢慶記
旅行写真家によるエーゲ海全島の案内小型
ムック本。海の青さと建物の白さ 風車とギリ
シャ正教会と まるで絵のような風景ばかり。
6月1日(月) C
「三澤勝衛著作集 風土の発見と創造 4 暮
らしと景観」農文協7000円。代用教員から
諏訪中(現諏訪清稜高)で16年、52歳で没
した教員の著作全集の4巻目。2/3が各界
からの寄稿文。前3巻も、読む必要性あり。
5月31日(日) C
「西太后の不老術」 宮原 桂 新潮選書
1100円。1908年74歳で没 清朝の独裁者
のカルテを参照しながら、中国2000年の漢
方の薬効を解説するは 中国留学の漢方医。
5月30日(土) C
「修道女スタイル」 プロジェ・ド・ランディ
双葉社1600円。正体不明の夫婦によるムッ
ク本。初めのうちは 少女趣味丸出しだったが
終盤は、長崎外海の隠れキリシタンの教会。
5月29日(金) C
「幕末・明治の工芸」 村田理如 3400円
京都清水三年坂美術館オーナーの蒐集品
紹介の淡交社ムック本。いわゆる細密工芸
の極地、ともいえる物ばかり。しかし技術に
走りすぎて、デザイン的にみると少し不満。
5月28日(木) C
「ヤンキー文化論序説」 五十嵐太郎・編著
河出書房新社1600円。今話題のヤンキー
への鎮魂歌。それでも 不良文化は不滅、し
かし美意識の相違は、如何ともしがたいワ。
5月27日(水) C
「マタギ」 田中康弘 竢o版社 1500円
消え行くマタギの採集生活随伴記は自然派
写真家。秋田県阿仁町 (現北秋田市)の現
代マタギ連。もちろん専業というわけではな
いが山の暮らしを十分楽しむ男達の生態。
5月26日(火) D
「トヨタ・ショック」 井上久男・伊藤博俊
講談社 1429円。2兆3千億の黒字予想か
ら4千5百億の 赤字予想へ。その経緯を探
るが月並みの結論。わずかに、補章での世
界自動車業界の趨勢予測に見るべきもの。
5月25日(月) C
『集まって住む「終の住処」』 齊藤祐子
農文協百の智恵双書2667円。最後の住ま
いをどうするか?とくに認知症のお年寄りの
ためのグループホームのあり方を追求の住
宅設計家。鍵は 暮らし続けるということか。
5月24日(日) C
「リスクの正体」 山口 浩 バジリコ1500円
ブログ記事を元にしての本 だというが、まさ
に内容はリスク雑感とも言うべきもの。駒大
准教授の随想はあまり理解できずに終了。
5月23日(土) C
「新撰組十番組長 原田左之助」 菊地 明
新人物往来社2500円。歴史読本連載加筆
の幕末専門作家。資料乏しく 推測の連続な
がら、新撰組の盛衰は それなりに面白い。
5月22日(金) D
「住まいに居場所がありますか?」 横田彰人
ちくま新書700円。言わんとすることはわかる
ただ品格がない。昨今の事件の原因が 住宅
の間取りにある、と読者を脅す設計屋である。
経歴に生年なし ゆえに言動を信用できない。
5月21日(木) C
「フェラーリと鉄瓶」 奥山清行 PHP1300円
ピニンファリーナ社でのフェラーリ記念モデル
のデザインで名をあげたデザイナーの自伝。
本は初めてというとおり、構成も上手とはいえ
ない。それにもう少しデザイン論がほしいナ。
5月20日(水) D
「不良中年の風俗漂流」 日名子 暁780円
祥伝社新書。長い前フリと最後を、その道の
大先輩・荷風伝で挟むは、風俗取材の第一
人者と有名な、1942年生まれのライター。
5月19日(火) C
「魚のいない海」 F・キュリー E・ミズレー
NTT出版2400円。世界の海から魚がいな
くなってしまう、書名そのままの悲観的内容
最後に、水産資源管理研究の第一人者 三
重大の勝川教授の漁業行政の無策批判。
5月18日(月) C
「いちどは行ってみたい 日本の聖地」
洋泉社MOOK1260円。全国の聖地33ヶ
所を紹介。そこには大体、神社があるのだ
が、なぜ神社ができたのか を知りたい。か
なり景観的要素が、あったのではないか。
5月17日(日) C
「歴史知識学ことはじめ」 勉誠出版
1700円。公開研究会の再構成。古文書か
ら近代資料など、歴史資料をデジタルアー
カイブ化するための、歴史知識学の論議。
5月16日(土) C
「下駄本」 榎本準一 平安工房 1000円
京浜急行・新馬場駅の北品川商店街で履
物店「丸屋」の五代目による下駄の買い方
履き方。わずか55頁ながら、ホノボノ本。
5月15日(金) C
「伊勢神宮と出雲大社」 新谷尚紀1700円
講談社新書メチエ。民俗学の立場から、伊
勢・出雲の成立を考える。天照大神のモデ
ルは持統説、高天原も登場しない冷静さは
キワ物的な面白味には、かけるところあり。
5月14日(木) C
「村上水軍全紀行」 森本 繁 3000円
新人物往来社。御歳82の歴史作家による
村上水軍関連遺跡を、瀬戸内や信州に訪
ねる旅。史跡案内は子息が担当の模様。
5月13日(水) C
「ツール・ド・フランスを見に行きたい!」
たなかそのこ 笊カ庫880円。看護師から
写真学校さらに自転車雑誌編集部を退職
しての、3ヶ月間の追っかけ記。自身撮影
の色鮮やか写真 文章も素直な元気娘。
5月12日(火) B
「能の世界」 馬場あき子 淡交社2000円
御歳81の歌人。雑誌「淡交」連載の35年
振りの再刊行。選びぬかれた 言葉と漢字
の美しい文章、能の細部の鑑賞は当方は
全く不調法ながらも、十分に伝わる内容。
5月11日(月) C
「疎水のある風景」 全国水土里ネット
農水省の疎水百選に続き、関連団体主催
の写真コンテスト 体裁は周辺観光案内の
ムック本。地図・図面で説明があれば、用
水路開削の歴史景観に もっと共感可能。
5月10日(日) C
「キュレーターになる!」 フィルムアート社
1700円。17人のキュレーター・プロデュー
サー・作家による、現代アートシーンの主役
キュレーター論 「アートを世に出す表現者」
が副題 わかりやすい高校生向けの印象。
5月9日(土) C
「日本の米、日本のご飯」土井善勝1800円
講談社のお料理BOOKは、基本中の基本、
ご飯の炊き方。さらに おむすび・炊き込みご
飯・丼もの・麦とろ・すし・赤飯・おはぎ・弁当・
点心・粥・茶漬け。全95頁のオールカラー。
5月8日(金) A
「僕が遍路になった理由」 早坂 隆 連合出版
1700円。就活を放棄しての、野宿での52日
間の遍路記録は、文集の作文風ながら随所
に泣けるところあり 2000年初刊の新装版。
5月7日(木) C
「1995年以後」 藤村龍至/TRA・編著
エクスナレッジ2200円。殆ど理解できなかっ
た東・北田の東京郊外化論が顔を出すが 上
記の理由であまり現実感なし。むしろ現場話
に面白さ。今後も多様な人との対談を望む。
5月6日(水) D
「東急ハンズの秘密」和田けんじ 日経BP社
1400円。ウェブマガジン連載加筆は当方も
大好きなストア 元店員の語る品揃えの実際
最後に多店舗化で個性埋没傾向への苦言。
5月5日(火) B
「ボディショッピング」 D・ディッキンソン
河出書房新社2200円。フェミニストの描く
衝撃的世界。卵子・さい帯血・遺伝子・臓器
の売買、美容整形など、グローバル経済社
会で揺れ動く倫理 さらに法廷闘争の詳細。
5月4日(月) C
「観光まちづくり」 西村幸夫・編著3000円
学芸出版社。(財)日本交通公社の協力で、
全国観光まちづくりの 実践例。持続可能な
観光資源を まちづくりに如何に結びつけて
いくか さらにはそのマネジメント手法など。
5月3日(日) B
「私たちのふるさと 座光寺」 同編集委員会
座光寺公民館。飯田市北部の座光寺地区
の全てをまとめた、小学校高学年・中学校
の生徒向け教材の位置付け。全般的に過
不足ない編集。A4判 総アート紙167頁。
5月2日(土) C
「ザ・コピーライティング」 J・ゲイブルズ
ダイヤモンド社 3200円。アメリカの伝説の
コピーライター。副題は「心の琴線にふれる
言葉の法則」。というよりも 主眼はいかにし
て宣伝効果をテストするか、の様 431頁。
5月1日(金) B
「鯨取り絵物語」 中園成生・安永 浩
弦書房3000円。江戸期を通じて行われた
鯨産業についての数々の絵物語が存在す
る。読み解く 捕鯨から解体まで、その詳細
は 実に面白い。地元福岡県の郷土出版。
4月30日(木) C
「安全運転寿命」 北村憲康1500円星雲社
損保会社の研究員による、高齢者・中高年
者の安全運転の問題。老化から 如何に安
全体質を保つか、また認知症ドライバーの
問題など ここからが スタート という感じ。
4月29日(水) C
「パッシブハウスはゼロエネルギー住宅」
野沢正光 農文協百の智恵双書 2667円。
省エネ住宅の総括も、自身開発に加わった
OMソーラーに行き着く。このシリーズの読
者像がいまだ読めず、今回も物足りなさ。
4月28日(火) C
「音さがしの本」M・シェーファー・今田匡彦
春秋社1800円。音楽家による小学生向け
音楽教育の本。サウンドスケープ、として音
の体験の方法の数々。1996年初刊 の増
補版。環境認識論でも使えそうな雰囲気。
4月27日(月) D
「シニアこそ都会に住もう」 山ア武也 PHP
1200円。後期高齢者目前のコンサルタント
の田舎暮らし反対論。全てを、マイナスに見
る自論展開、結いターンを奨める 地方自治
体には、大迷惑かつ不愉快至極の内容だ。
4月26日(日) C
「正しく決める力」 三谷宏治 ダイヤモンド社
1600円。東大物理出て、コンサルティング
業界で約20年 今はKIT(金沢工大)虎ノ門
大学院教授の判断力・決断力のレクチャー
最後の家庭教育では お手伝い至上主義。
4月25日(土) D
「45歳からのクルマ選び」 石川真禧照
小学館1400円。若者のクルマ離れで危機
感 でもって中高年に的を絞ったが、内容は
徳大寺本と変らず。書名の付け方は上手。
4月24日(金) C
「渡来の民と日本文化」 現代書館2200円
沖浦和光・川上隆志。朝鮮からの渡来民の
歴史を、垂直的に眺める日本文化論。後半
は皮革文化との関連で、差別構造に言及。
4月23日(木) C
「美しい日本のふるさと 九州 沖縄編」
産業編集センター2000円。四国・中国編に
続く 清水安雄による日本原風景写真。やは
りスペースが、少な過ぎる不満。各県に1冊
を割り当てて、じっくり見せてほしいものだ。
4月22日(水) B
「幕末明治の肖像写真」 石黒敬章2800円
角川学芸出版。柔道家・石黒敬七の蒐集品
を子息が紹介。元勲から 文化人まで、当然
ながら 現代とそれほどの違いのない顔付き
その生涯を思い浮かべ 身近に感じられた。
4月21日(火) C
「眼力の鍛え方」石根尚男680円新潮新書
眼力(めじから)とは視力・動体視力・瞬間視
眼球運動・周辺視野の総合力。各種スポー
ツでの、その鍛え方を指南の愛知工大教授
視覚意識の構造を考える上で 使えそうだ。
4月20日(月) C
「知の衰退から いかに脱出するか?」
大前研一 光文社1600円。この金融危機に
もメゲない グローバル経済社会での知性あ
るいは教養論。賛同しかねるが 世界情勢を
知るための、定期読本としての効能はある。
4月19日(日) C
「アマテラスの誕生」 溝口睦子 岩波新書
740円。天孫降臨北方民族説 アマテラスは
地方神にすぎない という見方。当然 今話題
のアマテラス= ヒミコ説のかけらもなく、高天
原への言及もない。と 面白味は今ひとつ。
4月18日(土) C
「新編 第三の眼」 港 千尋 せりか書房
2000円。I B M季刊誌の連載加筆は2001
年刊。さらに加筆しての新編。武蔵美教授の
視覚芸術論はたしかに博識だ。しかしそこか
らの発想の展開には、新味は感じられない。
4月17日(金) C
「涙の理由」 宝島社1143円
脳科学者・茂木健一郎と作家・重松清の2年
にわたり5回の対談。重松に引きづられ文学
的涙に終始。涙が自分のものか他人のもの
かの追求は 脳科学的には少々ナンセンス。
4月16日(木) B
「藤森照信、素材の旅」 新建築社 2400円
戸田建設の広報誌に今も連載中。建築の自
然素材の現場を全国に訪ねる旅。相変わら
ず目線の低い先生。くわえて 読みやすい文
章とあって、建築の素人にも楽しめそうだ。
4月15日(水) C
「農民も土も水も悲惨な中国農業」 780円
高橋五郎 朝日新書。中国農業の抱える問題
専門の中国農業経済学から その救いがたい
政治的・社会的要因の、追求は説得力。最後
に日本の食糧自給率と 農地法に論点移動。
4月14日(火) B
「ハチはなぜ大量死したのか」 文藝春秋
R・ジェイコブセン1905円。北半球から1/4
の蜜蜂が消えた というCCD(蜂群崩壊症候
群)昆虫にしろ植物にしろ、生物の生産性向
上のストレスが免疫力を損なう という物語。
4月13日(月) D
「食ニュースのウソ・ホント」 日経BP社
馬渡 晃・馬渡あかね1400円。企業向け出
版の未来予測レポート、からの書き下ろし。
通り一遍の内容はメディア報道の範囲内。
4月12日(日) C
「日本絵画の楽しみかた 完全ガイド」
池田書店1800円。源氏物語絵巻から平山
郁夫まで日本画の名作と作者解説。鑑賞は
ほぼ既知のものばかりだが 巨匠72人の生
き方は、さすがに重量感。監修・細野正信。
4月11日(土) C
「今、ここからすべての場所へ」 茂木健一郎
筑摩書房1600円。旅行雑誌「風の旅人」へ
の連載加筆 ここでは旅行を通しての感情の
発露を、いささか感傷的すぎる文章で綴る。
4月10日(金) B
「地図から消えた地名」 今尾恵介 1800円
東京堂出版。一貫して地名追求のライター、
今回も合併などで付けられた 理不尽な地名
に怒る。地名の変遷の裏に透ける 当時の社
会の動きを思い浮かべると、頭がクラクラ。
4月9日(木) C
『「多様な意見」はなぜ正しいのか』S・ペイジ
日経BP社2400円。様々な多様性、それぞ
れの 数学的・統計学解析は難解、それに仮
定が多すぎ。ただ社会での多様な思考が重
要 そんな人との付き合いを推奨に説得力。
4月8日(水) D
『カリスマ編集者の「読む技術」 川辺秀美
洋泉社新書740円。ベストセラーを何冊も世
に送り出した敏腕編集者が 読書術を指南だ
とさ。いまさら 教えてもらう必要は全くない。
4月7日(火) C
「シニアよ、I T をもって地域にもどろう」
山田 肇・編著NTT出版。定年退職後の団塊
世代の地域デビュー指南。NEC C&C財団
から、国際社会経済研究所への委託研究。
4月6日(月) D
「3つの原理」 L・トーブ ダイヤモンド社
2400円。謎の在野歴史家のマユツバ物語。
カースト・性・年齢に なぞらえての人類史は、
未来も楽観。ただ随所にユニークな発想、露
と北米の北極圏連合・中近東宗教連合など。
4月5日(日) C
「機械仕掛けの神」 J・R・チャイルズ
早川書房2300円。天から降り立つ神、つま
りヘリコプターの全史を 綴る米のライター。
飛行機にくらべ、あまりにも長い実用化への
道程。現在も残る、機構・飛行の難しさなど。
4月4日(土) C
「見る」 S・イングス 早川書房 2600円
英のサイエンスライターによる「眼」の話。生
物における眼の構造と発達 さらに視覚の科
学史と展開。白目の社会的な存在意義など
面白い話満載。次は「美」に対しての展望。
4月3日(金) C
「雑誌よ、甦れ」 高橋文夫 晶文社1800円
ネットの爆発的な普及の前に、廃刊の続く雑
誌界。日経BP役員の編集者が情報津波の
中で あらためて雑誌の進むべき方向を、し
めすもの。雑誌記者・編集者、ともに必読。
4月2日(木) C
「貧乏物語」 河上 肇 新日本出版社
1200円。1916年に大阪朝日新聞に連載
された、という古典。解説は弟子の林直道。
こういう時代があったんだ という感想のみ。
4月1日(水) C
「カーナビの謎を解く」 青砥浩史 1400円
C&R研究所。カーナビの現在・過去・未来。
あまり有用とは思えないが 自己位置確認の
ために、ノースアップ(北上表示)かヘッディ
ングアップ(進行表示) かは、興味の対象。
3月31日(火) C
「カーナビの謎を解く」 青砥浩史 1400円
C&R研究所。カーナビの現在・過去・未来。
あまり有用とは思えないが 自己位置確認の
ために、ノースアップ(北上表示)かヘッディ
ングアップ(進行表示) かは、興味の対象。
3月30日(月) C
「クオリア立国論」 茂木健一郎 ウェッジ
1470円。クオリアと称するものが、感性ある
いは感動だとは理解。問題はその共有、もう
そろそろその答えがほしい。最後には少し触
れるが、今回は単なる日本文化論に終始。
3月29日(日) C
「近世宗教美術の世界」 矢島 新 2800円
国書刊行会。白隠・円空・木喰を通して江戸
期庶民宗教美術の考察。さらに 絵馬・石仏
などの研究は もしかすると クールジャパン
の源流のひとつに、迫る可能性もありそう。
3月28日(土) B
「ベーシック・インカム」 G・W・ヴェルナー
現代書館2000円。独の企業家の提唱 全て
ての補助金・生活保障・年金の替わりに個人
に一定額を配給。50%を近い消費税で 賄う
方式は面白いが 大メディアは無視の様子。
3月27日(金) C
「駅弁掛け紙ものがたり」 上杉剛嗣
けやき出版1600円。中学1年から始めたと
いう蒐集は あくまでもメインは「掛け紙」 した
がって戦前など古いものが、御自慢らしい。
3月26日(木) C
「連塾 方法日本1 神仏たちの秘密」 春秋社
1800円。2003年超有名人ばかりで、松岡
正剛の話を聞く会の記録 3分冊の1。次から
次へと連なる知識に酔いしれる という読書の
楽しみ、それを聞いて味わうという雰囲気だ。
3月25日(水) C
「鉱物コレクション入門」 築地書館 2600円
伊藤 剛・高橋秀介。若手コレクター二人によ
る中級者向け。水晶から始まり、金属鉱物ま
で、コレクター心理も 吐露しながらの解説。
3月24日(火) C
「許永中 日本の闇を背負い続けた男」
森 功 講談社1600円。政財界さらに法曹か
ら暴力団まで、実名でのイトマン事件他の闇
の構図 。小説以上の面白さの ノンフィクショ
ンは、よくぞここまで という感じ、迫力十分。
3月23日(月) B
「漢字の文明 仮名の文化」 石川九楊
農文協 3048円。書の大御所による 漢字・
仮名文明論から、自論のスケールの大きな
東アジア共同体構想への展開は 諸手を挙
げて賛成とはいかないが、説得力は十分。
3月22日(日) C
「鹿肉食のすすめ」 C・W・ニコル1500円
東京環境工科学園出版部。増えすぎた鹿の
食害から 間引きのすすめ、さらに各部位の
利用提案。後半は鹿肉料理レシピ。92頁。
3月21日(土) C
「美しい日本のふるさと 中国 四国編」
産業編集センター2000円。清水安雄による
日本の原風景写真。街並・集落・田園・港の
光景には、泪が出そう。並べ方はイマイチ。
3月20日(金) C
「オープン システム サイエンス」 NTT出版
2600円。ソニーCSL(コンピューターサイエ
ンス研究所)の9人の開放系の報告。いずれ
も難解、が茂木のクオリア、暦本のサイバネ
ティックアース、高安の経済物理学に興味。
3月19日(木) C
「私は若者が嫌いだ!」 香山リカ 686円
ベスト新書。いつも ツメの甘いリカさんだが
今回は最後までしっかりの若者論。著者の
年のセイじゃなく、若者の親達の問題。とい
うことは その親の問題であり さらには…。
3月18日(水) D
「チャイナフリー」 S・ボンジョルニ 1800円
東洋経済新報社。読みながら、ここまで強い
ストレスの中での ボイコットの必要性に疑問
最後は ごく真っ当な結論で、けっこう話題に
なった本だが 当方には全くワクワク感なし。
3月17日(火) C
「クジラは誰のものか」 秋道智彌 740円
ちくま新書。文化人類学から人とクジラの関
わりを論述。ただ極めて 政治的な問題だけ
に慎重な物言い。それ故説得力が今いち。
3月16日(月) C
「アイデアパーソン入門」加藤昌治 講談社
1500円。大手広告代理店での情報戦略・
企画を担当のアイデア発想法。近頃このよ
うな本が目立つが当方には時すでに遅し。
3月15日(日) C
「スーパーカブ大百科」 1900円
スタジオ・タック・クリエイティブ。誕生から半
世紀、今なお手軽な足としての ホンダ・スー
パーカブ。変遷と歴史を徹底網羅ムック本。
3月14日(土) C
「思い出 牛乳箱」 横溝健志 1500円
ピー・エヌ・エヌ新社。武蔵美の先生による全
国牛乳箱の写真集。巻末の解説は本文中に
入れるべき 受け箱製作工場の訪問記は○。
3月13日(金) C
カラー版徹底図解「戦闘機のしくみ」1500円
黒沢哲哉・飛田 翔 新星出版社。世の飛行機
小僧の中級者向けておくる戦闘機のすべて。
根っから飛行機好きの当方も知識の再確認。
3月12日(木) C
「編集デザインの教科書〈第3版〉」日経BP社
2900円。1999年の初刊以来の大幅改訂、
ハンディな業界人向けの初心者実用書。フラ
イヤーから雑誌、それに本づくりの 実際編。
3月11日(水) C
図解入門「よくわかる最新印刷の基本と仕組
み」 松縄正彦 秀和システム1500円。ナノか
ら3次元あるいは有機EL関係など、もはや今
までの概念をはるかに越える、印刷技術の現
状と将来には、ただ驚くばかりで読み終えた。
3月10日(火) C
「世界潮流の読み方」 B・エモット PHP新書
780円。世界政治情勢雑感といった内容。昨
年末の刊行でその後の経済状況の悪化は予
測外、また将来展望の楽観性には 疑問府。
3月9日(月) C
「語り継ぐ 鉄橋の技術」 鹿島出版会
3800円。国鉄の時代からの鉄橋の設計・施
工の苦心談の記録。専門用語が 多く素人に
は理解しにくいところもある。最終章の、鉄橋
余話と題した23のコラムは、わかりやすい。
3月8日(日) C
「一生に一度だけの旅 心に響く世界 BEST
500」日経ナショナルジオグラフィック社。A4
判399頁厚さ3.5cm重さ2.5kg7428円の
大型企画本。世界の 聖なる遺跡・風景・建物
など。いつもの美しい写真をもっと望みたい。
3月7日(土) C
「iPhoneの本質 Androidの真価」日経BP社
1900円。2008年9月末、開催のセミナーの
再録。オープンモバイルの将来への見通しは
まったく理解できないものの、潮流は感じた。
3月6日(金) C
「学力と階層」 刈谷剛彦 朝日新聞出版
1800円。一貫して社会階層と学力の関係を
追及の 東大院教授。既出の論文の再構成。
文化的家庭環境が現代社会で最も必要な学
力スキルを発達させる、との指摘に説得力。
3月5日(木) C
「海の五目釣りがわかる本」 地球丸1400円
五目とは、何でも釣ってしまおう という釣り哲
学 そのための場所取り・釣り方・仕掛けの入
門書。釣りの趣味はないが金がかかりそう。
3月4日(水) C
「世界のスローハウス探検隊」 中村繁信
エクスナレッジ2000円。月刊誌「建築知識」
連載加筆。日本の民家と世界各地の原始的
な住まいを、交互に図解する。楽しい企画。
3月3日(火) C
「照明の科学」 日刊工業新聞社1500円
B&Tブックスおもしろサイエンスシリーズ。前
半の照明に関するの知識は有益だが 後半の
照明デザイン については、少し物足りない。
3月2日(月) C
「ジオパーク」 平野 勇 オーム社 2500円
ジオパーク整備を手がけてきた元国交省役人
大上段にその意義を語るが、地質屋さん特有
の尖った思いが、一般化するとは 思えない。
3月1日(日) C
「文豪が愛し、名作が生まれた温泉宿」
福田国士 祥伝社新書800円。山男然とした
旅行ライター。丹念な取材で 29人の文豪と
温泉宿との交流の、詳細なエピソード満載。
2月28日(土) C
「アスペルガー症候群の天才たち」3300円
M・フィッジェラルド星和書房。人類の進歩は
ニュートン・アインシュタインなど有名人や無
名のASPの天才によってなされた と574頁
の大著。その大部分が天才達の症例研究。
2月27日(金) C
「日本にノーベル賞が来る理由」 伊東 乾
朝日新書700円。作曲家・指揮者でもある、
東大院物理の准教授。極めて政治的なノー
ベル賞の選定理由深読み 日本の科学教育
科学行政、および科学立国への重い提言。
2月26日(木) C
「建築士が語る 家づくりの真髄」 峰政克義
岩波書店2200円。素人には難しすぎる、そ
うなると読者は建築士しかいないのでは。元
大手ゼネコン取締役による 設計実務談義。
2月25日(水) C
「科学写真を撮る」 伊地知国夫 岩波書店
1900円。「Focus in the dark」と題された
元高校教諭の写真集は、たしかに撮影方法
には詳しいが科学写真というにはどうかな。
2月24日(火) C
「はるか昔の鉄を追って」 鈴木瑞穂
電気書院2400円。自筆イラストで説明す
る鉄の考古学の女性研究者。対象は小学
校高学年向けの感、知識欲は十分満足。
2月23日(月) C
「逆さまの地球儀」 和田昌親 1900円
日経新聞出版局。日経サンパウロ特派員の
経験を通して、南米からの 世界への 視点。
あるいは文化論から、日本の経済・社会・文
化など、とくに国際化への、耳の痛い提言。
2月22日(日) C
「男の焚き火事典」 太田 潤 成美堂出版
1200円。趣味人の写真家によるムック本は
焚き火の達人養成講座。小さい焚き火、にこ
そ真髄がある という焚き火哲学には説得力。
2月21日(土) C
「サラリーマン合気道」 箭内道彦 幻冬社
1500円。芸大を3浪したという広告クリエー
ターの人生論は天邪鬼そのもの。逆転の発
想とも 言えないことはないが、したり顔で文
章の末尾、道徳訓のように書くのはどうか。
2月20日(金) D
「読書進化論」 勝間和代 小学館101新書
740円。この人の本は半分自慢話、残りの半
分が まあ良いこと言ってるナ、というパターン
だが今回はそれすらも感じられない書物論。
2月19日(木) C
「振動力発電のすべて」 速水浩平 1400円
日本実業出版社。慶大博士課程の学生起業
は、圧電素子を使っての 振動力利用の発電
システム。夢のような話も 技術的なものより
起業苦労話し主。今後どう進むかには注目。
2月18日(水) D
「〈貧乏道〉を往く」 川上卓也 春秋社
1600円。筑波山の近くで、月7万の生活を
続けるという、1974年生まれの貧乏論。現
世否定ばかりでは 希望は見えないと思う。
2月17日(火) D
「万里の長城」 長城小站 恒文社2000円
中国の長城サイトメンバーの執筆は、興味
の対象に著しいズレ。総アート紙に活字ば
かりではもったいない。もっと写真を望む。
2月16日(月) C
「図解 日本の装束」 池上良太 新紀元社
1300円。面白そうで、ツマらない。出版社
の性格から考えると、漫画・アニメのネタ本
あるいは資料考証が目的のようにみえる。
2月15日(日) C
「七つの自転車の旅」 白鳥和也 平凡社
1600円。1960年生まれ、静岡在住の自
転車旅行作家。やはり記憶を頼りの 古い
旅行記よりも、最近のものが秀逸。なぜか
飯田贔屓らしくて前作同様、今回も登場。
2月14日(土) C
「DIY工具50の極意」 西野弘章 山海堂
1600円。2004年刊と少し古いが読んで
みた。電動などパワーツールと、昔ながら
の ハンドツールの選び方・使い方指南。
2月13日(金) B
「すべての経済はバブルに通じる」 小幡 績
光文社新書760円。サブプライム問題をこ
れまでになく明快に分析の慶大准教授。金
融資本と実体経済の間で浮き上る、バブル
という資本主義の宿命を 冷静に見つめる。
2月12日(木) D
「怒りのソウル」 雨宮処凛 金曜日1200円
二人に一人が 非正規労働者という韓国、さ
らに兵役という事情へも切り込む、左に寄っ
たトリンちゃん。もう少し深い想像力を期待。
2月11日(水) C
「日本で買えない日本車カタログ」 1714円
別冊ベストカー。海外で売られるニッポンの
クルマ 全112台。日本でも乗りたい人がい
るということだが 今の不景気でどうなるか。
2月10日(火) B
「自爆する若者たち」 G・ハインゾーン
新潮選書1400円。独の人口学者。人口急
増 その際の若者人口の増加が そのポスト
を求め戦争・革命・テロを生む、との歴史的
検証。中盤以降 訳が不出来で理解不能。
2月9日(月) C
「プロフェッショナル原論」 波頭 亮 680円
ちくま新書 医者・弁護士・建築家・コンサルタ
ントなどプロフェッショナルの哲学あるいは美
学の再確認。野心に燃える 中高生に適当。
2月8日(日) C
「〈世界〉はそもそもデタラメである」宮台真司
メディアファクトリー1800円。月刊誌連載加
筆映画評論を中心として 作った本人以上の
深読み579頁。旺盛な知識の社会システム
論もアッシには関りのないことでござんす。
2月7日(土) C
「図解 田中ウルヴェ京流 コーピングの教科
書」インデックス・コミュニケーションズ1400
円。いかに 強い自分をつくるか、ソウル五輪
シンクロ・デュエット銅の著者による実用書。
2月6日(金) C
「乾物事典」 橋本道子・山田裕司 文園社
1000円。日本食生活指導センター 野々村
瑞穂・監修。いざというときのオタスケマン!
の副題のついた レシピ付きで101ページ。
2月5日(木) C
「お金が変われば世界が変わる」 コモンズ
田中 優・編著1800円。環境や平和のため
に使って未来を変えたい!という NPOバン
クの現状。当方は、グラミンバンクの方に興
味 自治体サイドで力を入れるべき時期だ。
2月4日(水) C
「高いわけ、安いわけ」 大月書店1500円
NACS東日本支部食部会。食品表示で読み
解く価格差との副題。つまりは心配な人は高
いものを食べておけば、安全という小冊子。
2月3日(火) C
「窓を開けなくなった日本人」 渡辺光雄
農文協2667円。百の智恵双書18号は岐阜
大名誉教授退官記念講義加筆。住居学から
の住まい雑感と、新しい住まいの提案。起居
形式を再確認してからの、住まいの本質論。
2月2日(月) C
「分ける・詰め込む・塗り分ける」 早川書房
I・スチュアート 2000円。仏の科学雑誌に連
載、英の数学者による 「読んで身につく数学
的思考法」 だとか 世の出来事を数学であら
わすことは 面白いけれど理解は放棄の巻。
2月1日(日) C
「ローン以前の住宅購入の常識」 竹下さくら
講談社1300円。ファイナンシャルプランナー
の 住宅購入基礎知識153講義。これから住
宅を建てる人、買う人には 適当な教科書だ。
1月31日(土) C
「オーディオの作法」 麻倉怜士 760円
ソフトバンク新書。よりリアルな音を求めての
スピーカー・アンプ・プレーヤーの選び方、か
ら最後にはガラスCDまで、尽きることのない
音への探求には ちょっと付き合いきれない。
1月30日(金) C
「BALI BEACH BOOK 海のバリへ」
塩澤幸登1800円 茉莉花社。1947年生まれ
の編集者による少し異色のバリ案内。著者曰く
「よき旅のための寡黙なガイドブック」だそうだ。
1月29日(木) D
「われ、ただ足るを知る」 佼成出版社1400円
セロトニン研究第一人者・有田秀穂と、曹洞宗
元官長・板橋典宗の対談。禅と脳内物質セロト
ニン、さらには欝との関係。後半は社会時評。
1月28日(水) D
「建築バカボンド」 岡村泰之 理論社1400円
住宅建築専門の建築家。「…バカボン」にあや
かっての、自作マンガ半分の素人向けの住宅
論は、当方にとっては、なんら得るところなし。
1月27日(火) C
「建築史に何ができるか」 西 和夫 彰国社
2200円。神奈川大教授の建築史からの街づ
くり論。既出の文をそのまま集めたもので、文
体に一貫性はない。今後どう発展していくか。
1月26日(月) C
「ルポ生活再建」 横幕智裕 東洋経済新報社
1600円。多重債務からの脱却を手助けする
盛岡市担当課の、仕事ぶりを追跡。ルポは初
めてという脚本家 その深刻さは理解できるが
個人的な感情を、書き過ぎのような気もする。
1月25日(日) C
「建築家安藤忠雄」 新潮社 1900円
カッコ悪さを気取りながら、カッコいい自伝。
若い所員のアイデアを自分の手柄の巨匠シ
ステム。しかし「実現する」というところにこそ
存在意義がある。建築目指す高校生向け。
1月24日(土) C
「賭博・偶然の哲学」 檜垣立哉 1500円
河出書房新社。競馬好きの阪大院准教授の
書き下ろしは 近代哲学の専門領域に入って
しまい もはや素人には理解不能の事態へ。
1月23日(金) D
「文字の美・文字の力」 杉浦康平 平凡社
2800円。グラフィック・デザイン界の大御所
の収集した アジアの文字意匠文物。大上段
に構えているわりに 個人的な趣味の様相か
ら抜け出ていない印象。読者は誰 なのか。
1月22日(木) C
「豚と福音」 南嶌 宏 七賢出版 3090円
次男の小学校時代の校長の御子息は独立
キュレーターとしての実績あり、既出文加筆
の文章はあくまでも美しく、399頁の詩を読
んだ。内容は雰囲気のみで、1997年刊。
1月21日(水) C
「色弱の子を持つすべての人へ」 栗田正樹
北海道新聞社 1429円。男性の5%が色弱
女性の10%が保因者とか 自身の経験から
カラーユニバーサルデザインを提唱する 建
築出身デザイナー。その具体例の展開だ。
1月20日(火) B
「最後の冒険家」 石川直樹1600円集英社
太平洋熱気球横断で行方不明 神田道夫へ
の鎮魂歌。それ以前一緒に乗り込んだ若者
の冒険家論は的確、さらに後日譚も キラリ
写真家特有の感傷的なところもなくて、◎。
1月19日(月) C
「移民還流」 杉山 春 新潮社1500円
日系人のデカセギ社会を追った週刊誌連載
加筆。家族・文化・教育・アイデンティティ な
どの深刻さに迫る 重厚なルポ。今後の雇用
不安で事態はさらに悪化 社会問題に発展。
1月18日(日) C
『「愛」と「性」の文化史』 佐伯順子1500円
角川選書。既出文加筆のためか論理今ひ
とつ それにフェミニズム的に崇高化する傾
向顕著。低俗やあるいは猥褻に、正面から
立ち入れない 女性としての限界を感じた。
1月17日(土) C
「男の掃除」 佐光紀子 日経BP社
1400円。体裁は実用書の感じではなく 掃
除論 といった雰囲気。重曹とクエン酸を多
用する自然派で、多少の参考にはなった。
1月16日(金) C
「サンカと犯罪」筒井 功 2200円現代書館
三角寛によって創られたサンカの虚像を 追
求の元時事通信記者。古い新聞記事と現地
調査の付き合わせは 小説以上。昭和30年
ころまでも目撃例、思い当たるフシもある。
1月15日(木) C
「チームのルール」小倉 広 明日香出版
1400円。あたりまえだけどなかなかできな
いシリーズ。リクルート出身のチームのリー
ダー論。二言目にリクルートでは、に閉口。
1月14日(水) B
「資本主義は嫌いですか」竹森俊平1800円
日経新聞出版局。サブプライム問題の 顛末
に最新の様々な経済理論から、資本主義の
本質に迫る 慶大教授。規制の強化と緩和の
繰り返し、と達観だが、未だ事態は進行中。
1月13日(火) C
「繁盛商店街の仕掛け人」 鶴野礼子
ダイヤモンド社1600円。街に人を呼び込ん
だ全国成功事例20「街づくりは人」と言われ
るが、20人の仕掛け人を再訪しての報告。
1月12日(月) C
「世界で一番やさしい木構造」 山辺豊彦
エクスナレッジムック03 2800円。初心者
向けの木構造読本は易しく かつ懇切丁寧
残念ながら、当方には全く参考にならず。
1月11日(日) C
「格差はつくられた」 P・クルーグマン
早川書房 1900円。プリンストン大教授の
米の政治状況。民主党の政策、とくに国民
皆保険から格差問題。読みようによっては
大恐慌の再来を予言の2007年の執筆。
1月10日(土) C
「継体天皇の謎」 関 裕二 ポプラ社
1300円。(新)古代史謎解き紀行シリーズ
ヤマト朝廷創生期の空想に浸る 研究家は
今回 信越東海編と題し、第十五代継体天
皇に注目し、その謎にみちた出自を追う。
1月9日(金) C
「自然な建築」 隈 研吾 岩波新書 700円
もはや巨匠の感すら漂う 建築家の自作奮
闘記。素人の読者向けながら 前半は無理
な論理も 後半はわかり易い自然建築論。
1月8日(木) C
「自転車の安全鉄則」 疋田 智 740円
朝日新書。元祖自転車ツーキニストの示す
自転車社会の理想像。あまりにも貧困な自
転車行政への、糾弾の書でもある。どんな
場合でも、左側通行厳守には説得力あり。
1月7日(水) C
「聖地感覚」 鎌田東二 角川学芸出版
1905円。京大こころの未来研究センター
教授による聖地巡礼。山の中をライトなし
で歩き廻り 土地のエネルギーを肌で感じ
る試み。最終章とあとがきに未来を見た。
1月6日(火) C
「クルマは家電量販店で買え!」吉本佳生
ダイヤモンド社 1600円。価格とは限りなく
合理的に決まるもの、とゲーム理論などか
ら説明。とくにクルマ、教育費さらに二酸化
炭素排出権などに言及 明快なるご宣託。
1月5日(月) C
「手すり大全」 日経BP社 3400円
建築雑誌「日経アーキテクチュア」の特集を
ムック本化。巨匠の造った美しい手すりはた
め息モノ。階段周辺は最も立体的な想像力
が必要とされる場所で、考えるのは楽しい。
1月4日(日) B
「日本の国宝、最初はこんな色だった」
小林泰三 光文社新書1000円。デジタル技
術で 実物大レプリカをつくる技術。面白い点
は絵巻・襖絵・屏風などの鑑賞方法。ガラス
越しでなく 作品に入り込む視点の自由さ。
1月3日(土) C
「東京発信州行き 鈍"考"列車30年」
扇田孝之 現代書館 1800円。東京生まれ
信州でペンション経営30年の 都市田舎論
前半は半生記、後半・地元紙連載エッセイ
経歴欄に、生年がない著者は信用しない。
1月2日(金) C
「東京から考える」 NHKブックス 1160円
気鋭の論客二人、東コ浩紀と北田暁大の対
談集。渋谷・青葉台・足立・池袋と、テーマに
応じた都市論の展開は まだしも、最後の政
治社会学的発言の応酬は、もう理解不能。
2009年1月1日(木) C
「空海をめぐる人物日本密教史」 正木 晃
春秋社2200円。密教マンダラ研究の第一
人者による密教の歴史の概略。空海を中心
として、その前後まで 見てきたような記述。
今年もどんな本にぶちあたるのか 楽しみ。