オール読書日記2010年上半期
6月30日(水) C
「発電・送電・配電一番わかる」 植田 務
技術評論社1680円。しくみ図解シリーズ
は工業高校教科書の位置づけ。これは先
の光学機器よりは平易、というか昔とそれ
ほど変わっていない、ということのようだ。
6月29日(火) C
いまどきネットだけじゃ、隣と同じ!「調べる
力」 』 関沢英彦 明日香出版社 1500円。
ネット検索から、一歩進んだ調査の方法を
博報堂出身の東京経済大教授が、伝授す
る。1ヶ月で8刷目と売れ行き好調らしい。
6月28日(月) C
「新人諸君、半年黙って仕事せよ」
山田ズーニー筑摩書房1400円。小論文
の専門家が伝授する、組織におけるコミュ
ニケーションの実際。いろいろ書かれては
いるが全てを実践するのはかなり難しい。
6月27日(日) C
「光学機器が一番わかる」 福田京平
技術評論社1680円。しくみ図解シリーズ
工業高校教科書、という位置づけのようだ
最新光学技術には、もうついていけない。
6月26日(土) C
「血液型の科学」 藤田紘一郎 760円
祥伝社新書。血液型性格分析は心理学
では完全否定だが カイチュウ博士の血
液型の発生論からの、免疫性など持論
展開 既読本と内容は同じも説得力大。
6月25日(金) B+
「進化考古学の大冒険」 松木武彦
新潮選書 1200円。認知科学からヒトの
歴史を探る認知考古学者 最初に社会性
を得るために美が存在したのだ、とうれし
くなるような持論展開だ。もうちょいだぜ。
6月24日(木) C
「ロード買うなら世界一の自転車バカに訊
け!」菊池武洋 小学館1300円。自転車
にフェラーリ1台分つぎ込んだ という自転
車ジャーナリストの 独善的自転車選び。
最早、昔の自転車とは 似て非なるもの。
6月23日(水) C
「イマココ」 C・エラード 早川書房1900円
カナダの認知科学教授 渡り鳥からグーグ
ルアースまで と副題のついた人間の空間
認知の特色について 面白そうな内容だが
少々物足りぬ。ただ 用語は豊富で有益。
6月22日(火) C
「かおり風景100選」 1400円
主婦の友ベストBOOKS。見直したい日本
の「美」 と副題のついた 小型ムック本シリ
ーズは、北海道・東北から九州・沖縄まで
全国の香りを連想する風景、やや苦しい。
6月21日(月) C
「シャッター通りの再生計画」 足立基浩
ミネルヴァ書房2000円。和歌山大の若手
教授による全国中心商店街活性化の具体
論。ただし モータリゼーションの中での駐
車場の扱いに触れていないのは不十分。
6月20日(日) C
「知られざる日本 山村の語る歴史世界」
白水 智 NHKブックス1160円。5年前の
刊 貧しさのイメージの山村生活だが実は
豊かで、意外に広い交流を古文書から読
み取る中央学院大助教授 説得力十分。
6月19日(土) C
「サイン・シンボル大図鑑」 4200円
M・B・ミッドフォード 三省堂。英の社会人
類学者による352頁のオールカラー変形
版。人類とは何かを考えさせられる内容。
6月18日(金) C
「予定不調和」 長神風二 1200円
(株)ディスカバー・トゥエンティワン。サイ
エンスがひらく、もうひとつの世界、だそ
うだ。近未来のフィクションからサイエン
ス社会の現在を描く。がテンポが遅い。
6月17日(木) C
「日本近海に大鉱床が眠る」 飯笹幸吉
技術評論社1480円。海洋地質学から否
応なしに、海底鉱床学の創設へ進んだ東
大院教授の半生記と 今後の工業界への
提言。日本政府も 本腰を入れてくれよ。
6月16日(水) C
「食のリスク学」 中西準子 日本評論社
2000円。氾濫する「安全・安心」をよみと
く視点、つまりは冷静なリスク分析こそが
重要というわけ。それはわかるが 口述筆
記のためか、全体の構成にやや難あり。
6月15日(火) C
「鳥脳力」渡辺 茂 (株)科学同人1700円
慶大の心理学教授 人間との比較という意
味で鳥類の感覚脳の研究 とくに視覚の重
要性を指摘も 今ひとつ方向性が不明瞭。
6月14日(月) C
「お菓子の由来物語」 猫井 登 1800円
幻冬社ルネッサンス。銀行員から転進した
異色のパティシェによる 美しい菓子事典。
08年以来 第7刷というから、パティシェ学
校の教科書としてのの位置づけのようだ。
6月13日(日) D
「完全定本 易占大全」 盧 恆立・山道帰一
河出書房新社 2800円。風水大全に次ぐ
シリーズだが、占いというものの内容の無
さを、再確認するほどの実践例多数あり。
6月12日(土) C
「続 私は日本のここが好き!」 加藤恭子
出窓社1500円。1929年生まれの上智
大仏文講師がインタビュー。外国人43人
の語る 半生記と、日本文化・日本人論。
6月11日(金) C
知られざる日本の不思議百景 「県境」の
秘密』PHP1900円。県境&飛び地マニ
ア1941年生の秋山忠右と1947年生の
中原淳による全国訪問記 写真家の秋山
の写真は芸術的過ぎ 景観的には不満。
6月10日(木) C
「自ら学ぶ力をつける 深谷式辞書・図鑑
活用術」 深谷圭助 小学館1400円。当
年45歳の立命館小学校長 実践教育の
提案。知る楽しみを早くから味わい 次に
繋げる想像力の育成が一番の目標か。
6月9日(水) C
「江戸幕府の日本地図 国絵図・城絵図
日本図」 川村博忠 1700円。吉川弘文
館歴史文化ライブラリーは 江戸期の日
本総図作成を中心の日本地図の歴史。
後半には 伊能図も登場。結構面白い。
6月8日(火) C
「能・よみがえる情念 −能を読む−」
馬場あき子 檜書店 2000円。ひのき能
楽ライブラリーで 能楽堂講演や既出文
の再録だが、選びぬかれた字句での頁
そのものの美しさ。が内容はわからず。
6月7日(月) C
「京大・鎌田流 一生モノの人脈術」
鎌田浩毅 東洋経済新聞社1500円。ど
派手火山学者の 人付き合いノウハウの
開陳。若い人には、有効かも知れない。
6月6日(日) D
「衆愚の時代」 楡 周平 新潮新書680円
中年にさしかかった作家のボヤキ節。社
会の不合理に対して鉄槌を下す、とは本
人の弁だが 前向きな提案は最後のプラ
チナタウン構想のみ とお寒い話でした。
6月5日(土) C
「遊郭をみる」下川耿史・林 宏樹1900円
筑摩書房。風俗研究家の二人が、集めた
全国各地の遊郭写真絵葉書。その在りし
日の姿に解説。それにしてもこういう時代
が、たしかに在ったという感想しかない。
6月4日(金) C
「人間らしさとはなにか?」M・S・ガザニカ
インターシフト3600円。UCSBの心理学
教授による 主として人間の脳に関する記
述は、全般的に詳細すぎる気がする。全
605頁ながらいささか期待はずれ気味。
6月3日(木) C
「探偵の技法」 大沢知己 イースト・プレス
1400円。現役探偵による 手の内暴露本
で やはり内容的にもいささかの品位に欠
けるのは致しかたのないところではある。
6月2日(水) C
「三遠南信地域づくり読本」あるむ1500円
愛知大三遠南信地域連携センター編 今ま
での活動の集大成と銘打ってはいるが 哲
学はいいとして その方法論が今いち だか
ら具体的な成果が、見えてこない印象だ。
6月1日(火) C
「究極の田んぼ」 岩澤信夫 1500円
日経新聞出版社。前から注目していたが、
千葉でイネの不耕起湛水栽培を考案で有
名。今度は水を極力使わないSRI農法の
普及を目指す。今後 大いに期待したい。
5月31日(月) C
「プロフェッショナル」 ロバート・B・パーカー
早川書房 1900円。私立探偵スペンサー・
シリーズの36作目。洒落た会話は 今回も
楽しめた。しかし著者はこの1月に亡くなっ
てしまった。もう読めなくなるとは、残念だ。
5月30日(日) C
「京の常識事始」 講談社 1900円
京都観察学研究会編・大人の京都修学旅
行。JTBと同志社大の共同教養講座 楽洛
キャンパス第3回から 前半の学者連にくら
べると、後半の職人連の話の方が面白い。
5月29日(土) C
「日本の水ビジネス」 中村吉明 2200円
東洋経済新報社。通産官僚から、NEDO
の研究部長による 世界の水ビジネス報告
単なるモノづくりではなく、システムを世界
に売り込む時代の日本の進むべき方向。
5月28日(金) C
「婆のいざない」 赤坂憲雄 栢書房
2500円。東北芸工大大学院学長。東北
学から地域学へ、さらに定住から遊動へ
と半生を自伝的に語りつつ、日本の社会
構造を見つめるものだが 感想は少なし。
5月27日(木) C
「事故はなぜ起こる !?」石橋宏典1100円
メディアファクトリー・ナレッジエンタ読本シ
リーズ30は、交通事故鑑定人の手がけた
数々の事故調査例 報告。とくに視覚心理
に起因の事故例に興味をもち また納得。
5月26日(水) C+
「危険不可視社会」 畑村洋太郎 講談社
1500円。失敗学会の立ち上げ以来 さら
に進化、今度は危険学の提唱へ。そこで
の危険というものの本質的な検討は、次
なる段階 安全学への序章という感じだ。
5月25日(火) C
「地図の読み方」 平塚晶人 1600円
小学館。2万5千分の1地形図を、等高線
の上下感覚と、位置同定からの読み方講
座。いかにして先読みし対処するかという
話だが、参考地図が別冊では読み難い。
5月24日(月) C
「井沢式 新 ニッポン風土記」 井沢元彦
旅行読売出版社1600円。月刊旅行読売
連載再編集。旧国名毎の雑学編、全526
頁、ヒマツブシには もってこいの読み物。
5月23日(日) B+
「60歳からの満喫生活」 デビット・ブラウン
三笠書房1300円。ジョーズほかの映画プ
ロデューサー 1916年生まれが後半戦の
極意を伝授。その80%を、実践している自
信はあるゼ。訳は多才な作家・佐藤富雄。
5月22日(土) C
「私たちの世界遺産3 世界遺産登録・最新
事情 長崎・南アルプス」 五十嵐敬喜+西村
幸夫・編著 公人の友社1800円。第3回長
崎教会群シンポジウム 次回南アルプスの
報告。平泉が継続審議、その方向性など。
5月21日(金) C
「歩きたい歴史の町並み」 JTBパブリッシン
グ楽学ブックス 文学歴史13 1700円 米山
淳一。「重要伝統的建造物保存地区」いわゆ
る重伝建の 全国86ヵ所の紹介小型ムック。
うーん、たくさんあるなあ。写真は森田敏隆。
5月20日(木) C+
「鳥羽伏見の戦い」 野口武彦 中公新書
860円。明治維新の行く末を決した4日間の
詳細。大阪城から江戸に逃げ帰った慶喜の
心境を始め、あたかも見てきたような描写は
まるで映画を観ているようで かなり面白い。
5月19日(水) C
「住宅建築なんでも小事典」 大野隆司
講談社ブルーバックス 1140円。347頁と
ボリュームのある解説は中級者向け。東京
写真大学教授。木造からRC までを網羅。
5月18日(火) C+
「文字の組み方 組版/見てわかる新常識」
大熊 肇 誠文堂新光社2200円。組版デザ
インの実践編 つまりはいかに美しく組むか
ということのようだが とくに英文との混在で
の手法は、初めて知ることばかりで有益。
5月17日(日) C
「平成の名水100選」 1400円
主婦の友ベストBOOKS。見直したい日本
の「美」 と副題のついた 小型ムック本シリ
ーズは、北海道・東北から九州・沖縄まで
の全国の水源風景や、各種データ紹介。
5月16日(日) C
「風景は百姓仕事がつくる」 宇根 豊
築地書館1800円。福岡の農業改良普及
員から農業に専念の在野研究家。景観と
いう言葉を嫌い百姓至上主義から田園心
象風景に拘り、独自の風景化論を模索。
5月15日(土) C
「図解 橋の科学」 講談社ブルーバックス
980円。1991年に、「橋のなんでも小事
典」執筆の8人による改訂版とも言えるも
の。橋の構造力学や形から 保全の問題
まで幅広く かつ解りやすい図解入門編。
5月14日(金) C
「わが記者会見のノウハウ」 佐々淳行
文藝春秋 1524円。スキャンダル克服の
秘訣 と副題をつけた口述筆記本のようだ
ライターの 腕がいいのか、よくまとまって
いると思うが、例によって半分は自慢話。
5月13日(木) C
「知の現場」 東洋経済新報社 1600円
NPO知的生産の技術研究会編。21人の
物書きの生産技術をインタビュー。まあ人
夫々 それにもう手遅れだ。中に自分の頭
で考えるだけ という人、それしかないぜ。
5月12日(水) C
「素材加工事典」 誠文堂新光社3600円
アイ・シー・アイ・デザイン研究所。各種素
材毎の加工技術の、デザイナー向け最新
ガイド 美大プロダクトデザイン科教科書。
5月11日(火) C
「食の冒険地図 交じりあう味、生きのびる
ための舌」森枝卓士 技術評論社1480円
食文化に強い フリージャーナリスト。世界
各地食べ物随想。書名は少々オーバー。
5月10日(月) D
「友だち不信社会」 山脇由貴子PHP新書
700円。ネット社会のネガティブさをことさ
ら強調、4月13日とは正反対、まったく救
いがなく、不愉快な読書に終始。マイナス
思考からは、負の結果しか得られない。
5月9日(日) C
「民家と日本人」 津山正幹 3800円
慶友社考古民俗叢書。民俗建築学会理事
民家における風呂・便所・カマドあるいは家
の神・祝い事など民俗文化の研究だが む
しろ先人の研究からの抜粋が多いようだ。
5月8日(土) C
「最新 天気図の読み方がよ〜くわかる本」
岩槻秀明 1900円。秀和システム図解入
門シリーズは 気象予報士の若手フリーラ
イターによる天気図講義 とくに立体的な大
気状態の読み方。難解で理解放棄宣言。
5月7日(金) C
「昔の映像・音楽・写真をデジタル化する方
法」 村上俊一 翔泳社 1800円。問題はむ
しろデータ・メディアの劣化に どう対処する
かだ。その点からはアナログデータの方が
耐久性がある、という皮肉な予想もありか。
5月6日(木) C+
「サはサイエンスのサ」 鹿野 司 早川書房
1500円。サイエンスライターによる「SFマ
ガジン」連載再構成で 意外に語られること
の少ない科学の社会的側面を日々の感想
的に述べる。範囲は全方位でバランス良。
5月5日(水) C
「アラマタ美術誌」 荒俣 宏 2800円
新書館。講義・講演などの再構成。基本的
には美術における悪趣味が、いかにして時
代を創ったか、ではあるが無理やり繋げた
感じで、スンナリとは頭に入ってはこない。
5月4日(火) C-
「開運 和のお守り文様366日」 藤 依里子
PHP1400円。文様というより柄というべき
それを無理やり 月日にあてはめ、さらに性
格判断やら、ご利益やら。おまけに開運数
だ開運色と もうナンノコッチャわけ分らず。
5月3日(月) B
「日本宗教美術史」 島田裕巳 美術新聞社
3300円。今までありそうでなかった、日本
美術を宗教史から概観 まさに日本美術の
創生の過程を示唆する内容で 逆に美術こ
そが社会を創ってきた、ともいえるようだ。
5月2日(日) C
「踏切天国」 小川裕夫 秀和システム
1900円。これは鉄ちゃんの中で踏切に特
化のフリーライターで 全国の珍しい踏切を
紹介だが、やや無理をしているなという感。
5月1日(土) C
「感情」の地政学』 D・モイジ 早川書房
1700円。西欧=「恐れ」 イスラム=「屈辱」
アジア=「希望」と3つに分けての社会分析
それらに没することなく、多文化を認め合
う自信から未来が、と説く仏の政治学者。
4月30日(金) C
「日本の美しいまちなみ事例 vol.1」 (財)
都市づくりパブリックデザインセンターが、
都市景観大賞「美しいまちなみ賞」受賞地
区2001〜05年まで 紹介ムック。ただ古
い町並と較べると、新しいのは今ひとつ。
4月29日(木) C
「茶室手づくりハンドブック」 淡交社
1800円。社会心理学者の岡本浩一の茶
室づくりの記に 茶室建築の飯島照仁がア
ドバイス。とくに一般住宅やマンションでの
各部の誂え方の アイデアのあれこれだ。
4月28日(水) B
「日本は世界第5位の農業大国」 838円
淺川芳裕 講談社+α新書。月刊「農業経
営者」副編集長の若手 カロリーベースで
の自給率の欺瞞性など 猛烈な農水省批
判。希望としての農業の存在に説得力。
4月27日(火) C
「世界遺産サンティアゴ巡礼路の歩き方」
世界文化社1900円。南フランスから峠を
越えスペインへ、さらにその北西の端の聖
地サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの
800km案内ムック、今後人気になるか。
4月26日(月) C
「創るセンス 工作の思考」 森 博嗣700円
集英社新書。この工作少年の言うことは個
別的にはわかるのだが 如何せん まとまり
がなさ過ぎる。だから、読んでいても深く共
感できる部分が、少なくなってしまう傾向。
4月25日(日) C
「シンメトリーの地図帳」 M・D・ソートイ
新潮社2500円。書名に惹かれて借りては
みたが、中身は自伝を交えての、現代数学
の全体像。まるでわからないままに それで
も全492頁を気力で読み終え。おつかれ。
4月24日(土) C
「日本の伝統とは何か」 梅原 猛 1800円
ミネルヴァ書房。弟子がまとめた5回の講演
と対談をまとめたもの。したがって相互の関
連を言うのは野暮、梅原ファン向けの書物。
4月23日(金) C
「味憶めぐり 伝えたい本寸法の味」
山本一力 文藝春秋1333円。池波正太郎
の後釜を狙っての名店紹介 直木賞作家と
は始めて知ったが、この人ほんとに味がわ
かるのか 半自伝的な文章からは疑問符。
4月22日(木) C
「偶然」にひそむ数学法則 確率に強くなる』
別冊 Newton 2415円。大事なことはわか
る。だから、と思って借りてはみたが あいか
わらず、まったくもって 丸出だめ夫だった。
4月21日(水) C
「幕末日本と対外戦争の危機」 保谷 徹
1700円。吉川弘文館 歴史文化ライブラ
リー289は下関戦争に至るまで、東大資
料編纂所教授による舞台裏。それより戦
後交渉の、高杉晋作の活躍を知りたい。
4月20日(火) C
「日本衣服史」 増田美子・編 吉川弘文館
4000円。分野ごとに、そこから日本通史を
眺める というシリーズ。執筆は編者を含め
お茶の水女子大被服出身の 4人の先生。
4月19日(月) C
「初心者のための 海図教室 改訂版」
吉野秀男 成山堂出版1800円。マリーン
専門出版社からの 小型船舶操縦士の試
験練習問題集。航海図作成の 考え方は
理解できた。平成18年初刊、の改訂版。
4月18日(日) C-
「友だち不信社会」 山脇由貴子PHP新書
700円。ネット社会のネガティブさをことさ
ら強調、4月13日とは正反対、まったく救
いがなく、不愉快な読書に終始。マイナス
思考からは、負の結果しか 得られない。
4月17日(土) C
「坂本龍馬 海援隊始末記」 平尾道雄
中公新書838円。もともとは1929年刊、
何回かの改訂後1976年新書化 今回龍
馬ブームに乗り改版。著者は1900年生
高知の在野研究家1979年没 内容○。
4月16日(金) C
「14歳からのリアル防衛論」 小川和久
PHP 1400円。少年自衛官出身のお馴
染み軍事ジャーナリストの いつも通りの
冷静な自衛隊論および防衛論議。しかし
ながら、「リアル」の意味は 全く不明だ。
4月15日(木) C
「草食男子0・95の壁」 竹内久美子
文藝春秋 952円。草食系の大量発生の
原因に頭を巡らす 動物行動学者の口述
筆記。結局明快な答えを述べることなく。
4月14日(水) B
「ツイッターノミクス」 タラ・ハント文藝春秋
1571円。グリーバリズムの次を予感させ
る内容。原題THE WHUFFIE FACTAR
(ウッフィーの原理 と訳したい )の方が上
の書名よりも相応しい。希望の未来あり。
4月13日(火) C
「25通の手紙で読む 龍馬の肉声」
木村幸比古 祥伝社新書800円。巷では
龍馬ブームである。関係本が溢れ気味。
これは2000年刊単行本を加筆新書化。
4月12日(月) C+
「世界クジラ戦争」 小松正之 PHP
1700円。エール大留学の、農水官僚で
IWCでの交渉からの、外国交渉のあり方
論は説得力。退職し、政策研究大学院教
授としての、リーダーシップ論も正論だ。
4月11日(日) B
「日本の路地を旅する」上原善弘1600円
文藝春秋。本を開いてみて ここでの路地
が、部落のことだと知った。その大阪更池
出身の若手ライターのルポは さすがに深
い内容。既出文再構成だがズシンとくる。
4月10日(土) C
「大手町では、なぜ金曜に雨が降るのか」
森田正光 梧桐書院1400円。TVでお馴染
みの お天気キャスター。気象庁を退職 天
気関係会社の設立などの半生 感想なし。
4月9日(金) C
「明日をどこまで計算できるか?」早川書房
D・オレル 2400円。科学の歴史が 予測へ
の欲求から生まれた というのはわかる。が
結論として 未来は不確実・予測不能という
最後にきて肩透かしを食らったような感じ。
4月8日(木) B
「自転車ぎこぎこ」 伊藤 礼 平凡社1600円
一般的に思い入れが強くなる 自転車乗りの
文章だが、この御歳77 伊藤整の次男の元
日大教授はあくまでも飄々 あちこちへのサ
イクリングの雑誌掲載再構成は愉快至極。
4月7日(水) C-
「海に沿うて歩く」 森まゆみ 朝日新聞出版
1600円。いつからこんなに偉くなったのか
雑誌の企画で編集者のお伴、宿もアポも人
任せ。そんな紀行文が面白いはずがない。
4月6日(火) C
「自分ごと」だと人は動く』 ダイヤモンド社
1500円。博報堂DYグループ・エンゲージ
メント研究会による、情報過多時代のマー
ケッティング戦略論。自分ごととして共感さ
せる 「エンゲージメント」が大切 という話。
4月5日(月) C
「創造するアジア都市」橋爪紳也NTT出版
1700円。正直期待はずれ、延々と中国の
都市政策の羅列。地域ブランドを どう見つ
け出していくか その方法論が欲しい。それ
に体裁にくらべ高い値段にも納得いかず。
4月4日(日) C
「東三河郷土雑話」 吉田珍比古 3000円
春夏秋冬叢書。豊橋の郷土出版社による
50年前刊 の復刻版。郷土研究者の筆名
吉田は豊橋の旧名、また うずひこ と読む
らしいが ちゃんとルビを振ってほしいゼ。
4月3日(土) D
「オーガニック革命」 高城 剛 680円
集英社新書。まったく変わり身の早い男。
今はバルセロナ在住だというが 有機農法
に目覚め マクロビオテック実践中だとさ。
4月2日(金) C
「進化の存在証明」 R・ドーキンス
早川書房2800円。神が人類を創造した
と 40%の国民が信じている、という米へ
向けて進化論礼賛 636頁。そんな人が
読むはずもなく、ドーキンスファン向け。
4月1日(木) C
「情報病−なぜ若者は欲望を喪失したの
か?」 三浦 展・原田曜平 705円 角川
oneテーマ21。博報堂研究員の原田に
若い男女をくわえての座談記録。安易な
本つくりも、書名が全てを表現 は事実。
3月31日(水) C
「四季のことば辞典」 西谷裕子・編
東京堂出版2400円。歳時記に短歌・詩
歌・さらには童謡・唱歌にまで、枠をひろ
げ季節感覚を 想像させるための辞典。
3月30日(火) D
「すごい読書!」 中島孝志 1300円
マガジンハウス。1年で3000冊を読むと
いうコンサルタント。その自慢話ばかりの
読書術・読書論に、付き合うのは苦痛。
3月29日(月) C
「利休入門」 木村宗慎 1400円
新潮社とんぼの本シリーズ。神戸大卒で
茶道稽古場を主宰する 若手茶道家によ
る独自の解釈を交えての初歩ムック本。
3月28日(日) C
「鉄道模型」の教科書 実業の日本社
1600円。この1冊で Nゲージレイアウト
のコツがわかる の副題。列車本体という
よりも、ジオラマ製作のノウハウのムック
本。建築模型の製作にも 多少の参考。
3月27日(土) C-
「美女と機械」 原 克 河出書房新社
2400円。一貫して20世紀を追求の早大
教授、1930年代までの 女性における美
を健康意識と関連しての考察。だが結論
不明、さらに難しい言葉の頻出に 辟易。
3月26日(金) C+
FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学
J・ナヴァロ+M・カーリンズ 河出書房新社
2000円。大脳辺縁系の反応としての ノン
バーバルメッセージを人間ウソ発見器との
異名の捜査官が詳説。けっこう有用かも。
3月25日(木) C
「河原者ノススメ」 篠田正浩 幻戯書房
3600円。芸能者の内側に居たい、という
元映画監督の、私家版芸能史。たしかに
博識かつ新鮮な視点だが 凄惨な表現の
多さ、未来が見られない点で 後味は?
3月24日(水) C
「インターネット新世代」 村井 純 760円
岩波新書3冊目のインターネット論。さす
がにその渦中で見続けてきた、著者なら
ではの 高度なレベルの現状報告と将来
予測。方向は、究極のグローバル社会。
3月23日(火) C
「完全定本【実践】地理風水大全」
呉 佳リ・山道帰一 河出書房新社。503
頁4000円。内容というより むしろ複雑さ
を増すにいたったその歴史に思いをはせ
る。後半1/3は 易経との共通性を実感。
3月22日(月) C
「連塾 方法日本U侘び・数寄・余白 アー
トにひそむ負の想像力」松岡正剛 春秋社
1800円。各界の著名人を集めての連続
講義の単行本化 第2弾。あいもかわらず
博識と想像力の豊かさを しめす、御大。
3月21日(日) B
「日本の伝統建築の構法」 内田祥哉
市ヶ谷出版社2000円。大先生の講演と
既出文の再構成のテーマは 柔軟性と寿
命。古建築から現代まで、構造と耐久性
への視点の鋭さには、恐れ入りばかり。
3月20日(土) D
「明治 大正 昭和 不良少女伝」1900円
平山亜佐子 河出書房新社。 「莫連女と
少女ギャング団」の加筆改訂版。内容は
当時の新聞記事の羅列に多少の解説、
とても河上肇賞奨励賞、とは思えない。
3月19日(金) C
「スマートグリッド入門」 福井エドワード
アスキー新書743円。巷を賑わす新語の
行方を探るコンサルタント。内容は週刊誌
程度だけど、SGの方向性は理解できた。
3月18日(木) D
「海を渡る国際人 桓武天皇の謎」 祥伝社
小林恵子 1500円。古代日本の大胆な推
測も これで15冊目、縦横に朝鮮と往復す
る桓武説に、素人はとてもついていけず。
3月17日(水) B
「まるごと三味線の本」 青弓社 2400円
軽装本ながら、内容は もう三味線大全とい
うべきもの。読めば 一度その世界にひたっ
てみたい と思うはず。田中悠美子・野川美
穂子・配川美加 編著 早速FMスタンバイ。
3月16日(火) C
「第3のビールは、なぜビールの味がするの
か?」夏目幸明 技術評論社1580円。ビー
ルから発泡酒へ、さらに第3のビール、つい
には完全ノンアルコールビールまで、4社の
開発の歴史と技術とを、わかりやすく解説。
3月15日(月) C
「信州レトロ紀行」 川崎史郎 一草舎出版
1600円。ライター・写真家ともに長野出身
の地元出版の変形本。北信濃を除き 街道
と宿場の町並 したがって和風レトロ中心。
3月14日(日) C
「定食学入門」 今 柊二 ちくま新書
720円。定食屋をこよなく愛するライター
の庶民外食探求の記。ジャンルも幅広く
取材は 全国的。無理にまとめようとする
より食べ歩きに徹した方がいいのでは。
3月13日(土) C
「実録 戦国時代の民衆たち」 笹本正治
一草舎出版2190円。産経新聞地方版に
連載。信州大教授による信濃・甲斐・越後
の古文書ほかの資料からの執筆だが な
ぜか今ひとつ、すっきりしない内容だナ。
3月12日(金) C
「サウンドチューニング大学」 2000円
別冊ステレオサウンド。金のかかる趣味だ
どこまでやるか、自己満足の極み。金余り
の方々 デフレ脱却に貢献してチョウダイ。
3月11日(木) C
「グリーン資本主義」 佐和隆光 岩波新書
700円。グローバル危機後の政策にかね
てからの持論展開の立命大教授。素人に
はやや難解。グローバル・ケインズ主義。
3月10日(水) C
「ウイスキーの科学」 古河邦正 900円
講談社ブルーバックス。サントリーから東
海大教授に転進した農学博士。その半分
は 「熟成」の神秘に迫る科学を熱く語る。
3月9日(火) C
「地球温暖化で日本農業はどう変わる」
森 陽正 家の光協会1600円。筑波大教
授による温暖化の影響検討。わからない
ことは多いものの、基本的には トータル
としては、悪い方向を予測する 姿勢だ。
3月8日(月) C
「地球の歩き方」の歩き方』 新潮社
山口さやか・誠1600円。創刊30周年の
同書の来た道を聞き書き。その少し前に
欧州を ユーレイルパスで1ヶ月ふらつい
た身には 懐かしさを感じながらの読了。
3月7日(日) C
「亡国農政」の終焉』 山下一仁 752円
ベスト新書。農協・族議員・農水省のいわ
ゆる農政トライアングルが民主党政権下
での崩壊を 期待の元農水官僚。戦後農
政史を辿りながらの、半自伝的読み物。
3月6日(土) C
「鉄と銅の生産の歴史」 佐々木稔・編著
雄山閣4000円。2002年新刊の増補改訂
版。金属生産の歴史を、生産現場の発掘か
ら類推しよう、という学術報告は やや退屈。
3月5日(金) C
「平成海防論」 富坂 聰 新潮社1400円
中国留学経験のライター。軍拡とくに海軍
力の 増強に邁進する中国をはじめ、日本
の海防に関する世界の今を報告する。月
刊誌「諸君」連載加筆プラス書き下ろし。
3月4日(木) C
「成功するコミュニティバス」 学芸出版社
1900円。東海地方の大学教員の中部地域
公共交通研究会の編著 地方公共団体の担
当職員向けの一般教科書と いう位置づけ。
3月3日(水) C
「人づきあいのレッスン」 和田裕美1200円
ダイヤモンド社。コンサルタント会社創業の
営業のプロによる、体験的コミュニケーショ
ン論。要は自分を好きになり 相手を好きに
なる、ことらしく なるほどと思うことばかり。
3月2日(火) C
「稲荷大神」 戎光堂出版 2200円
イチから知りたい日本の神様シリーズ2は
京都伏見稲荷を中心に稲荷信仰の成り立
ちと現在を、ムック形式での解説だ 了解。
3月1日(月) B
「死ぬまでに見たい世界の建築1001」
エクスナレッジ7600円。古代・中近世より
も、近代以降現代建築の紹介に主力の全
959頁。写真のない記述への不満も かき
消す、厚さ6.2cm 重さ2kgの迫力十分。
2月28日(日) D
「映画館の入場料金は、なぜ1800円なの
か?」斉藤守彦 ダイヤモンド社 1600円。
映画業界記者を経てジャーナリストの業界
現状報告。本というには遠く、薄い内容だ。
2月27日(土) C
「図解雑学 日本庭園」 重森千 ナツメ社
1500円。いつもは、図解の必要性を疑問
のシリーズだが、今回は 納得の庭園鑑賞
入門書。とくに巻末の名庭園 55選は○。
2月26日(金) C
「世界を動かすパワー半導体」 電気学会
1900円 オーム社。今やモーターを動か
すのに欠かせない IGBTの開発物語とパ
ワーエレクトロニクスの現況は 電気学会
の工業高校向け入門書シリーズの1冊。
2月25日(木) B
「チンドン 聞き書きちんどん屋物語」
大場ひろみ・矢田 等 バジリコ2400円。
ロックから、チンドン屋の世界に入った著
者による業界史。豊富な写真と 聞き書き
は、昭和を記憶する貴重な資料である。
2月24日(水) C
「写真的思考」 飯沢耕太郎 1200円
河出ブックス。写真評論の第一人者によ
る、写真の哲学。最終的には「死」に至っ
てしまう。と言うのには不満。単なる記憶
の再現装置と、わりきって 考えたいが。
2月23日(火) B
「強い者は生き残れない」 吉村 仁
新潮選書1200円。環境の不確定性から
生き残るための生物の進化論を 政治・経
済にあてはめる静岡大教授。民主主義の
成立も 社会の進化の必然、と納得した。
2月22日(月) C
私たち、主婦だけで、理想の「終の住処」を
つくりました!』 網中裕之 PHP1300円。
藤沢で、介護・保育・精神障害宿舎の複合
福祉マンションをつくりあげたNPOのルポ
やはり理事長の個人能力が第一の勝因。
2月21日(日) B
「遊遊さかな事典」 小西英人 1700円
エンターブレイン。「週間釣りサンデー」元
代表による釣り物語66+魚類学用語集。
その教養溢れる釣り談義には、素人も脱
帽770頁。名人とは何か の答えがある。
2月20日(土) C
「経済危機は世界に何をもたらしたか」
伊藤元重 東洋経済新報社1600円。もと
もと判り易さでは定評のある伊藤先生。今
回も 世界経済の現況を、2010年代政策
転換の行方と題して 一般向け冷静解説。
2月19日(金) C
「楽しい和ー」 山口智子 小学館1500円
趣味雑誌「和楽」からの再編集 女優の案
内でチョッピリ ディープな和の美しさの再
発見。NHK教育TV 「美の壺」に通ずる。
2月18日(木) C
「石ひとすじ」 左野勝司 学生社
1900円。奈良の たたき上げ石工。古墳
の復元、アンコールワットの修復、あるい
はモアイ像の現地復元、さらには高松塚
の解体など、恐るべき行動力の半生記。
2月17日(水) C
「日本観光ガイド」 酒井順子 光文社
1500円。さすが観光学科出身、ガイジン
向けと称しながらの気楽な読み物は日本
人論として、まことに的確。思わず ニヤリ
としてしまう 「小説宝石」の連載加筆版。
2月16日(火) C
「世界一の写真集」 ピエ・ブックス
1800円。世界一の名景・絶景60との
副題。卓上世界名景紀行だが、期待し
たわりには、意外とつまらない感じだ。
2月15日(月) B
「世界のピストル図鑑」 高橋 昇 光人社
2800円。自衛隊あがりの軍装研究家に
よるもの。お馴染みのコルト・S&Wから
南北朝鮮・台湾にいたるまでの、拳銃百
科事典。好きだからこそ読めた406頁。
2月14日(日) C
「中国なし」で生活できるか』 丸川知雄
PHP1400円。チャイナフリーの東大若
手教授版。といっても統計資料を駆使し
ての一般向け。結論は同じ、相互依存。
2月13日(土) D
「循環水のプチ科学」 野原秀雄
1400円戎洋堂出版。水泳プール浄化
会社のオーナーによる水談義。自費出
版のようだが編集意図はまるで不明。
2月12日(金) C
「ファブリーズはいらない」 渡辺雄二
緑風出版1500円。危ない除菌・殺虫・く
ん煙剤の副題。それに加え芳香剤・入浴
剤。不要なことはわかるが 少し感情的。
2月11日(木) C
「エコカー 世界大戦争の勝者は誰だ?」
桃田健史 ダイヤモンド社1600円。飛行
乗機時間が最も長い、と自慢するジャー
ナリストのルポ。ハイブリット・電気・燃料
電池と未来予想。が最終は不明だとさ。
2月10日(水) B
「自然界の秘められたデザイン 雪の結晶
はなぜ六角形なのか?」 I ・スチュアート
河出書房新社2600円。書名から宇宙に
まで展開、訳の上手さに拘わらず 理解は
半分。生物から哲学までも 数学の支配。
2月9日(火) C
「天孫降臨の謎 藤原不比等夢のプロジェ
クト」 大山誠一NHKブックス1160円。前
半、持論の聖徳太子不在説、後半は副題
通り、日本書紀の天孫降臨の不比等創作
説から天皇制の大胆論考は中部大教授。
2月8日(月) B
「村野藤吾 建築案内」 2000円
TOTO出版の建築MAPシリーズに無理
やり持ち込んだのは 村野藤吾研究会。
1984年93歳で逝去した建築の巨匠の
幅の広さを、十分に堪能させる内容だ。
2月7日(日) C
「江戸の読書熱」 鈴木俊幸 平凡社選書
2600円。18世紀末寛永頃から文化・文
政にかけての、維新につながる勉学の気
風を、庶民の自習用書物の、全国的な普
及から探る研究。2007年刊 中大教授。
2月6日(土) C
日本の「分水嶺」をゆく』細川舜司 新樹社
2800円。40年にわたる本州分水嶺全踏
破2797kmの記録は自費出版か ご苦労
さんでした。経済出身ながら、高木マニア
で擬人化した樹木対談は、いただけない。
2月5日(金) C
「風と土のソムリエ」 高野 豊 オフィスエム
2300円。長野市在住の高野ソムリエ本人
にプラスして、厳選の葡萄農家と醸造所に
レストラン紹介の郷土出版。最後の、好み
のワインによる性格占いは、面白い趣向。
2月4日(木) C
「雪山の基本」 中山建生 竢o版社
1600円。冬山のベテランによるイラスト主
体の雪崩読本。地形・雪質・装備から レス
キュー・事故後の対処・保険まで と完璧。
2月3日(水) C
「戦国武将100家紋・旗・馬印 FILE」
大野信長 学研571円。在野の若手研究家
合戦図や、文献・遺物からのイラスト解説。
デザイン的には 甲冑ほどの面白さはなし。
2月2日(火) C
「神楽と出会う」 三上敏視 2200円
アルテスパブリッシング。中間に神楽入門
編を挟んで、全国25地区の神楽訪問記。
著者は音楽家でリズム的な面での感想多
し。神懸り・トランス状態に入るための舞。
2月1日(月) C
「シンボルの謎バイブル」 M・ゴーディング
ガイアブックス 2400円。変形総アート紙
391頁。古代文明や宗教、権力・紋章や
秘伝・魔術、動植物、鉱物・宝石 さらに魔
除け・お守り 文字 時間・形・数・色まで。
1月31日(日) C
「一人で海外!」 吉田友和 1400円
情報センター出版局。編集を業とする会社
員の 週末海外一人旅のノウハウの開陳。
夫婦共に旅行好きで、著書も数冊らしい。
1月30日(土) B
「戊辰戦争」 保谷 徹 吉川弘文館2500円
戦争の日本史シリーズ 08年刊2刷。東大
教授による鳥羽・伏見から函館までの軍事
史。ライフル銃装備が、なしくずし的に維新
を成し遂げた経緯を活写。映画的 面白さ。
1月29日(金) C
「職業"振り込め詐欺”」 NHKスペシャル取
材班 1000円 ディスカバー・トゥエンティワ
ン。各種ドキュメンタリー賞を受賞の番組か
ら、振り込め詐欺グループの若者の実態。
まさに高度資本主義社会の 暗部の報告。
1月28日(木) C
「貧困を救うのは、社会保障か、ベーシック・
インカムか」 人文書院 2000円。経済学者
の橘木俊詔と社会政策学の新進でリベラル
派の山森亮の表題の対談。B I が潮流とな
る日がはたして来るのだろうか、期待半分。
1月27日(水) B
「車掌のお仕事」 田中和夫 北海道新聞社
1500円。国鉄を退職の大ベテランの同新
聞連載の再構成。小説・脚本が趣味らしく
過去から現在のJR北海道まで 全体構成
も的確で鉄ちゃんも納得、素人も満足だ。
1月26日(火) C
「絵が語る 知らなかった江戸の暮らし 諸国
街道の巻」 本田 豊 遊子館 1800円。集め
た古い絵を解説 江戸の暮らしぶりを紹介の
シリーズ。専攻は部落問題だけに 随所にそ
んな記述の一般大衆向けも、少々雑然感。
1月25日(月) B
「音で観る歌舞伎」 八坂賢二郎 2800円
新評論。1944年生まれ、長らく国立劇場
で伝統芸能全般の音響を担当。舞台裏か
らの 歌舞伎の世界の紹介は目線も低く、
わかりやすい。また初めて知ること多し。
1月24日(日) C
「居住の貧困」 本間義人 岩波新書760円
毎日記者から九大教授 さらに法大名誉教
授の住宅政策論は総じて自民党政権での
失政を追求する姿勢だが、そのバランスを
欠く一面的な社会党思考にずっと違和感。
1月23日(土) C
「Color of Life」 税務経理協会1900円
もっと生活に色を取り入れたい、と田岡道子
の監修 肌の色合いからパーソナル・カラー
を 四季で表現したところが新機軸。企業や
世界都市の色傾向分析も ややモヤモヤ。
1月22日(金) D
「35歳を救え」 阪急コミュニケーションズ
1500円。NHK「あすの日本」取材班+三
菱総研。もっとも厳しいといわれる35歳の
現状取材はいいが 明快な方向性はなし。
後半2/5はアンケート結果、で辛い採点。
1月21日(木) C
「世界の彫刻 1000の偉業」 二玄社
6500円。J・マンカ+S・コステロ+P・ベード
総アート紙で 厚さ5cm 重さ2kg 543頁。
古今東西の彫刻作品1000点。解説の字
が細かすぎて苦労 読み終えてヤレヤレ。
1月20日(水) C
「家族を守る斜面の知識」丸善900円
土木学会地盤工学委員会がまとめた一般
向けの啓蒙書。技術的なことよりも過去の
地盤災害例を中心とし、斜面工学を提唱。
1月19日(火) D
「巨匠の言葉」 三笠書房 1500円
NHK「迷宮美術館」から、芸術の巨匠達の
言葉を軸に、その半生を探るのだが、今ひ
とつ、文きり的かつ表層的で得るところ無。
1月18日(月) C
「パソコン・ケータイ 安全の鉄則」 780円
須藤慎一 朝日新書。もはやそれなしでは
生活できないネット。そこにおける 常識や
ら安全対策の数々を 要領よくとりまとめ。
1月17日(日) C
「木造軸組構法の近代化」 源 愛日児
中央公論美術出版3200円。武蔵野美大
教授による、明治以降の木造建築の構造
を詳細に追った学術書。後半の主題は度
重なる地震被害から壁の筋違の入れ方。
1月16日(土) C
「海外パッケージツアー発展史」 彩流社
澤渡貞男2300円。永くJALPAKに勤務
し定年退職。その自伝でもあり、あちこち
の大学での 観光学再入門と副題の教科
書のようだ。観光の未来像にも言及あり。
1月15日(金) C
「世界の教会」 ピエ・ブックス 1800円
ハンディタイプの正方形写真集は美しい
写真ばかりズラリ。とくにメキシコの色鮮
やかな教会は、見ていて楽しい気分に。
1月14日(木) C
「とりあえず、生!」が儲かる理由』 講談社
江間正和1500円。新宿でダイニングバー
経営の元銀行員コンサルタントのメルマガ
再構成は、飲食店経営のQ&A。長く続け
ることの大変さが、一杯に詰まっている。
1月13日(水) C
「歴史まちづくり法ハンドブック」ぎょうせい
3238円。歴史的風致の維持・向上をテー
マに、国交省・農水省・文科省と 横断的に
まちづくりを目指す、同法の解説と実務内
容の詳細は、地方自治体のお役人向け。
1月12日(火) C
「照明ガイド」日経BP社 NA選書3400円
月刊建築誌「日経アーキテクチュア」再編
集で 前半は照明設計事務所のコラボ例、
後半はLED照明の設計例。いずれも最先
端照明設計 うーんそうとう進んでいるな。
1月11日(月) C
「大名行列を解剖する」 根岸茂夫1700円
吉川弘文館。歴史文化ライブラリーは国学
院大教授の江戸の人材派遣の実態研究。
中間・奴などの社会構造と生き様を活写。
1月10日(日) C
「紫(むらさき)」 竹内淳子 3000円
法政大学出版局ものと人間の文化シリーズ
被服関係を主分野の民俗学者による、紫草
染色取材行書き下ろし。後半は文学など紫
文化随想から、貝紫へと 幅広く展開する。
1月9日(土) C
「貼る技術」 あらかわ菜美 祥伝社
1300円。時間デザイナーと自称する女性
の生活全ての局面での ポスト・イットの使
い方。なんでもかんでも、メモしてペタッ。
1月8日(金) C
邱永漢の「予見力」』 玉村豊男 720円
集英社新書。台湾から帰化の経済コンサル
タントか経済の神様か。中国本土での その
鋭い嗅覚と フットワークの良さを活写する。
1月7日(木) C
「静岡の山城 ベスト50を歩く」 1800円
サンライズ出版 加藤理文・中井 均編。17
人の郷土史家・城郭専門家による、山城案
内は地図と遺構図で懇切丁寧 読み応え。
1月6日(水) C
「世界の建築様式」 E・コール 4800円
ガイアブックス。歴史的古代建造物750の
建築ディテール、との副題で 厚さ4.5cm
352頁の重量級で世界建築史のお勉強。
重さは1.8kg、持つ手がぐったりお疲れ。
1月5日(火) C
「平成 温泉旅館番付」 松田忠徳 開発社
1500円。札幌国際大の通称 温泉教授に
よる東西横綱から前頭40枚まで、96軒の
格付け小型ムック本、全て源泉掛け流し。
1月4日(月) A
「インパラの朝」 中村安希 集英社1500円
小田実・沢木耕太郎に匹敵とは誉め過ぎか
ユーラシア・アフリカ紀行684日。美人の女
の子には、評価が甘くなる傾向はある。第7
回開高健ノンフィクション賞の加筆だという。
1月3日(日) C
「ヒューマンエラーは裁けるか」 S・デッカー
東京大学出版会2800円。専門的な分野で
の過失の個人責任の追求は 結果小さな過
失が隠され、社会の安全にマイナスとなる。
ではどうしたらいいのか、考え方への提案。
1月2日(土) B
「パリ 地下都市の歴史」東洋書林3800円
G・リアー+O・ファイ。パリの地下深く 巨大
な空洞があるというのだ。下水道のことかと
思ったら 建築用の石材を掘り出した跡だと
いう。その物語を丹念に掘り起こしたもの。
平成22年1月1日(金) C
「日本茶のすべてがわかる本」 NPO法人
日本茶インストラクター協会2190円。同法
人の企画編集による 日本茶検定公式テキ
ストでもあり、初心者向けの優しい内容だ。
本年も 読書日記を、よろしくお願いします。