ドローン空撮家 ・森の熊さん

 

※趣味としてのドローン空撮の先行き →jump

 

先日の阿南町・御供景観調査に際し 尾崎さんを介して 阿南町在住のドローン空撮家「森の熊さん」の知己を得た

撮影された写真の許諾を巡って 何回かのやりとりの間に 今まで撮影された動画の数々を眼にすることになった

阿南町御供地区の全体像

景観が地形的な要因から生まれるのは言をまたないが その地形的な条件は地図・地形図に頼らざるをえなかった

ところがドローンによる空撮は それらが一瞬で理解できる方法を 一般人でも持つことが可能で その意義は大きい

撮影に用いている機体は 定評のある 中国 d j i 社の業務用最上位機種 inspire1

ドローンによる空撮は今やブームでもあるのだが 早い時期から実践されてきた森の熊さんの作品を

許可を得て紹介していきたい なお動画はユーチューブにもアップされている

*

ここでの空撮写真は4K動画から切り出したものを 800×450 pixel に編集している

 

阿南町新野中心部jump 

 

JR飯田線田本駅

飯田線の成り立ちは 辰野から延伸されてきた伊那電気鉄道と 大きくは豊橋から延伸された三信鉄道が

天竜峡駅において接続したことによる 天竜川の周辺地形により 後者においてはトンネルの連続する線形となった

その測量と設計・施工の困難さは十分想像できるが 有名な川村カ子トの物語とともに

延伸の末端の停車場が後年 秘境駅と呼ばれることになった 飯田市の千代・金野駅

そして阿南町では この田本駅が人気が高い

トンネルから列車が顔をだして田本駅に着く瞬間を 天竜川下流方向から駅に近づいていく

列車到着にあわせたドローン空撮は 事前にテストを重ねた周到なもの

田本駅に停車した列車を

右旋回しつつ さらに近づいていく 田本駅の構造がよくわかる映像

さらに旋回をつづけ 列車は駅を発車する

そして またもとの静かな駅の姿を ホバリングしての映像

実際の動画を大画面で観賞すると まさに自分が空を飛んでいて

列車到着から発車の瞬間を固唾をのんで見入ってしまう感覚だ

 

阿南町新野中心部

新野は阿南町の最南端 新野峠を介して愛知県豊根町と接している 右の山の凹部が新野峠

標高は約800mではあるが 千石平といわれるほどの平地部分が多く 水田耕作の盛んなところである

なお機体位置が逆光状態で オート露出は空の明るさに反応し 映像はアンダー気味となっている

少し右に旋回し 国道151号を斜めに見る 写真は明るさに補正を加えているが その分 解像度は落ちている

ぐっと中心部に近づく 左が国道で その上の瓦葺きの大きな建物が道の駅「新野千石平」

さらに近づくとともに 旧道の上空に達する 有名な盆踊りの会場で 道路上には中心屋台が置かれている

左に道の駅 その上の凹部が新野峠

 

天龍峡大橋工事現場続報

その後順調に工事は進んでいるようで 阿南町のドローン空撮家・もりクマさん(森の熊さん)から続報が届いた

12月始めの現場状況である 手前が川路側 右手が竜江側

仮設の足場が架橋されたようだ ドローンはGPSで自律飛行しており

前回の飛行経路をそのまま辿っての空中での定点撮影が可能だという

 

こちらは竜江側から川路側

もりクマさんは1ヶ月に1回程度は飛ばしてみたい とのこと

現場には近づけないだけに貴重な工事記録になりそうだ

(2017・1・19)

 

三遠南信自動車道・(仮)天龍峡大橋工事現場

附近は一般人は立入禁止で工事状況は まったくわからなかった

ときどき見学会は開かれるようだが 高所からの俯瞰風景は見ることは不可能

 手前が川路側の天龍峡インター 奥が竜江側 JR飯田線の鉄橋との位置関係に注目したい

グルッと旋回して竜江側橋台

さらに旋回するとJR線路は鉄橋から川路のトンネルに入って 天龍峡駅に向かう

左旋回を続け 竜江側上空 左にインター 中央やや右に川路区画整理地区を遠望 その真上に風越山の輪郭

そのまま天竜峡インター方面に近づく

*

これはほかの動画でも同様で まったく新しい視点を手に入れた景観を体感することでもある

もう少し あそこも見たい ここはどうなっているのか などと欲が出てくるのを禁じえない

たとえば小学校・中学校など施設を中心の空撮は卒業記念などDVD化すれば喜ばれるかもしれない

また旧街道など 線的に連続する撮影も 地形との関係などが把握できて その探索に役立ちそうだ

航空法での制限は これに人口集中地区として住宅密集地での飛行が加わる

ただ航空法では飛行ルールが制定され上記の飛行の場合には国交省の許可が必要とされている

現在測量などの業務での許可申請が大変混雑しているらしく 趣味としての空撮を申請するのは難しそうだ

将来的には景観調査という方向で 公的機関の依頼という形をとるか 独自にNPOを設立して活動を行うか

などの方策が考えられよう

*

なお撮影の「森の熊さん」は とてもそのハンドルネームのイメージからは ほど遠いジェントルマン

2016・11・6

 

趣味としてのドローン空撮の先行き

以下の本は 2018年刊の同名本の続編であり この2年の間に 日進月歩をつづける

ドローンについての現況・将来を 各界の専門家38名が執筆・報告を行なっている

そこでは農業・林業・水産業などの1次産業をはじめ 測量分野や設備・インフラ点検分野

建築あるいは災害対応や警備分野とともに物流分野での利用の最前線での実験などが

報告されているが いずれにしても今後 爆発的な台数の増加が予想されるものである

 

そこで問題となってくるのが 事故などの ヒト・モノに対する安全性に関する問題で

とくに大都市上空飛行をはじめとする目視外飛行や 第三者私有地上空飛行をどうするのか

あるいはプライバシーについてもルールづくりが必要とされていて 超小型の機体をのぞき

機体の登録や操縦の免許制などの 法律の整備が俎上にのぼっているようだ

 

そうなった場合 上記のような漠然とした飛行条件では許されなくなり 今までのような

趣味としての空撮については かなり厳しい条件が付いてくるのではないか

つまり現在の航空法での300m以上の飛行条件と ドローンの150mの高度制限で

私有地上空の使用が制限されることが予想されるが 業務用の場合は上記法律で

規定可能となるも 一般人の場合は 不可能になってくる予感さえ 覚えるのである

(2020・9・24)

 

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