市役所改築全経過

改築計画&旧庁舎グラフィティ →jump 新庁舎建設工事スタート →jump おまけ安曇野市新庁舎 →jump

 

※王竜寺川暗渠補強続報 →jump

 

改築竣工

(2016・11・27)

朝方までの雨があがっての霧の中 竣工の日を迎えた

平成28年11月20日 C棟3階大ホールにて竣工式が行われた

 

外構工事完了

残っていた外構工事が終わり 改築工事はここに全て終了した

大久保町側から市役所に近づく 中庭とA・C棟接続部分の1階を通して かすかに知久町側が見える

右写真 保健センター棟も改修が終わった

議会入り口のポーチを通り

市章のある中庭部分を進む ここが通過できて やっと不便が解消した

逆側からの大久保町方面

大久保町のアイデンティティは 辛うじて守られた印象

風越山を背景に保健センター棟と職員駐輪場

国道側からの歩行者専用アプローチ

 

新築地下空間

(2016・11・10)

外構工事完成間近の夕方 散歩中に思いついて 地下に無断侵入した

C棟脇のランプから入って行く 照明は人感スイッチで自動点灯

通路はC棟とB棟の中庭部分 奥から手前1/3のところに1階への階段とエレベーター室への扉

B棟南側よりA棟 照明がついていない 右のベージュの部分は車路の入り口

A棟奥よりB棟方向 したがって左のベージュ部分が車路になる

同じくA棟の東側部分 壁の奥が階段室で さらにその奥が車路のようだ

*

そもそも当初の計画の段階から 地下の床面積に算入するのか 建物の基礎部分なのか 微妙な扱い

ちょうど豊洲のように あいまいなままに話が進んだような気がする 車路に扉が見当たらないのは

そのあたりを物語っているようだが 非常時には かなり有効な空間になりそうなので とくに異論はない

 

市役所朝顔日除け

(2016・9・1)

新庁舎西側の2・3階にはプランターでの朝顔日除け

こちらは議会棟(B棟)南側は花壇から

ただ陽のあたるのは午後からで そのころには花はしぼんだ状態

午前中の日陰状態では なかなか風情のある姿

午前昼近くが 外から見るにはちょうどいいようだ

しばらく気がつかなかったのだが 旧庁舎東側でもグリーン作戦

構造上1階に限られているが 玄関左がゴーヤによる日除けは黄色の花 右側は小輪の朝顔

とくに右側は環境部が入っているだけに しっかりと管理 厚みのある緑のブレーズソレイユ

 

参議院議員選挙期日前投票所

(2016・8・9)

投票所は市役所C棟の1階 玄関脇には報道各社の出口調査員

 ロビーから左の市民ホールへ

売店の脇から奥が投票所 かなりの有権者がかけつけていた

奥が選挙区投票記入BOX そこから右手が比例代表

 

大久保町新道

(2016・4・14)

真っ直ぐ抜けていた道路が建物で行き止まり 電柱から右折する その替わりの新道が開通

東側の国道方面へ抜ける

国道側から 今までクルマ通行不能だったが右側擁壁を新しくして拡幅

自動車工場などの軽量鉄骨建物を北側に動かした

変則的なT字路とはなったが 国道側・大久保町側ともに右左折の見通しがいいので もうすでに利用度は高い

ただ国道への出口右側方向のカーブミラーがほしい

大久保町カーブミラー設置

(2019・11・26)

新設された市道145号から国道256号への出口

右方向からのクルマ 飯田大橋方面からは上りになっていることもあり 確認が非常に出来にくい状態

大久保町と箕瀬1・2・3丁目で個人的に署名を求めたところ 120人分集まった

それをもとに半年ほど前からカーブミラーの設置を要望していた

国道の歩道のガードパイプが取り外されていて 何やら工事の気配

基礎のコンクリート打設につづいて オレンジ色のポールの設置

さらに あれよあれよ という間に カーブミラーの取り付け

ガードパイプを元に戻して工事完了 運転席から スマホのカメラで望遠側一杯で撮影

やはり少々見難いという人もいる ただ今までのように右に首を向け続けている必要はなく

正面のミラーだけ見ていて 途切れたと思えば 右を確認すればよい 楽になったと思う

 

王竜寺川暗渠補強

(2020・6・11)

工事の立看板の横の道路部分は昔から陥没気味 右から3番目の3階建ては前のめりになっている

この道路下には王竜寺川が暗渠で四季の広場方向に流れているが

陥没は 60数年前の ゴミの埋め立て部分の圧密沈下によるものだろう

ただ暗渠自体の経年変化は避けられないようで GW後から補強工事が始まった

工事の内容は よくわからないが トンネル部のコンクリートの補強のようだ

市役所新館への主要アプローチ道路の車線を制限していて一方通行

また駐車場へは箕瀬からの大廻りを余儀なくされている

*

川を堰き止め ビニールパイプにて分流している その後の工事状況の観察では

補強工事は直径2mほどの鉄管を暗渠内部に布設し その周囲を現断面までコンクリートで充填する方法のようだ

その後 道路の市役所側に工事施工説明版が設置され 現場写真とともに公開

やはり直径1.8mのFRP被覆鉄管を送り込む工法だった

(2020・7・7)

その後 仮設の架台を組んで コンクリートプラントの設置

たまたま鋼管を下ろす作業に遭遇したので一部始終を見学した

青い細長い台車が鋼管の中に潜り込み 外に出た前部と後部とで内側から持ち上げ

そのまま暗渠の中を現場まで移動するようだ その後の作業も興味があるが見るのは不可能

 

解体工事終了

(2016・3・24)

最後に左の旧建設棟が解体整地 右は保健棟として再利用予定 奥が旧庁舎の改修部分

これは解体以前の様子

新庁舎と旧庁舎の2階連結部から見た大久保町方向

これは3階の連結ローカから

さらに手スリの上から手を延ばして撮影 右中の白い屋根が我が家になる

旧水道局棟・環境部棟の解体 これは敷地外の南側からの様子

逆の敷地内北側から

 

旧庁舎(C棟)業務開始

(2016・1・26)

いよいよ年が変わって旧庁舎への移転が終わり業務開始

旧庁舎入り口は新庁舎の全く逆の東側

市道からのアプローチ  東に向かっているので朝の陽射しが気持ちいい

風除けから斜めにホールに入っていく 玄関ホールから左側に売店と市民ホ−ル ここもやや殺風景な空間

3階には新しく市民食堂がオープンした 改修前の食堂は地下にあってとても利用する気にならなかったが

食券を購入してカウンターで受け取る 右は日替わり定食コーナーでバイキング形式

なんといっても窓の外の伊那山地の展望が最高 南の金森山から小川路峠 矢筈峠と北には鬼面山まで

少し左に視線を振って市街地を通しての正面に鬼面山 早めに行って窓際に座りたい

3階の新庁舎(A棟)への渡り廊下はスロープでのぼることになる

アルミのタテ格子が視界を邪魔しているのは残念 こちらは知久町側

新庁舎のバルコニーのようにガラスでできなかったのか

とくに職員も眼にすることの少ない中庭側より 来庁者の視線を優先すべきではなかったのか

ここらにも総括プロデューサー不在の影響が出ている

大久保町側も同様 手前の2階建ての建物が解体されたときの見え方が問題

新庁舎の建設と旧庁舎の改修で総工費は外構工事もふくめ 63億円ということだ

おまけでレポートしている安曇野市庁舎の68億円とくらべると

経済性という意味からは所期の目的は達したということになる

 

旧庁舎改造工事足場撤去

(2015・12・4)

仮囲いも撤去された

旧庁舎の改造工事が一段落して外構工事が最盛期

新庁舎と同じような何の変哲もない建物が姿を現した

大ケヤキもちょうど色づいてきた 右は新・旧接続部 1階左奥の建物が解体されるのが待たれる

何とか大久保町方面が見通せると うれしいのだが

 

 接続部分鉄骨工事

(2015・8・9)

台風11号 高知接近中 旧庁舎は足場を架けて外部改装準備

同時に隣接道路整備

さらに新庁舎と結ぶ渡り廊下の鉄骨が姿を現した

逆の大久保町側からの接続部分

 

耐震補強工事

(2015・6・16)

耐震工事とともに これから道路の拡幅が行われるようだ

当初考えられたダンパー入りの制震装置ではなく鉄骨での補強が ほぼ外周部のスパンに設置された

 

議会棟解体終了

(2015・6・16)

議会棟と接続部が完全に解体 屋上ペントハウスも無くなった

旧大会議室の鉄骨屋根も解体され青空が見える

 

新庁舎植栽工事 (2015・6・4)

新庁舎の周りは植栽が施され 多少は見映えがよくなった

このコーナーツリーは葉書の語源となったタラヨウ

箕瀬通り側の金木犀は旧庁舎から移設したもの さらにわかりにくいが北のコーナーツリーはアオギリ

上のタラヨウとともに敷地を大きく提供した吉和産業さんの屋敷内にあったものだという

保健棟が解体され 伊那山地の小川路峠を見通す場所に4本の電柱

最初から景観を予想して配置してくれよ と言いたい

それからしばらくして新庁舎のすぐ西脇に 旧庁舎前の庭園から黒松を移植して 植栽工事は ほぼ完了

 

旧庁舎改修工事

議会棟解体中

(2015・4・7)

議会棟の解体はさらに進行

 

保健棟解体

(2015・3・20)

旧庁舎北側の保健棟はほぼ解体され 続いて議会棟の解体へ

それにしても建てられた電柱は議会棟が解体されれば 遥か伊那山地を望む景観にマイナスとなりそうだ

右の解体養生シートが議会棟 さらには旧庁舎のペントハウス部分にもシートが張られ解体中

新庁舎竣工にともない旧庁舎の改修工事が続く

まずは議会棟との渡り廊下を解体

続いて保健棟の解体工事

 

新庁舎業務開始 (2015・1・9)

正月休みが終わり新庁舎での業務が始まった

正面玄関を入ると真ん中に通路 やはり広さに対して天井が低すぎ 圧迫感を感じる

さらに全体的にモヤッとした印象 つまりどこにも見せ場がないのだ

外観を見れば想像がつくが 新しい建物のワクワク感はまるでなし

南側の証明コーナー ただ木を使えばいいだろうというだけの貧相かつ殺風景な空間

これを 「シンプル」 と大人の感想をもらした人がいたようだが  下はラウンジ通路を逆から 

最初の基本計画が出た段階で十分予想されただけに 1月4日の竣工式には招待されたが出席は辞退と決めていた

金がない というのは言い訳にならない 考え抜く努力が感じられないのだ つまりは設計・デザインチームに その力が

なかったということで それを許した市長および市役所組織 さらには当方もふくめ市民のデザイン意識が問われよう

これで 「デザイン都市」 を標榜するのは おこがましい と言わざるをえない

 

新庁舎・風越サロン (2015・1・25)

1階入り口ロビー附近 TVの奥右手が風除室 左が案内 手前に階段があり

2階のローカと執務室 自動ドアが開いたところ

3階も同様の配置 旧庁舎のオープンな室内に慣れた身にはいかにも近づきにくい印象

陽気がよくなれば常時開放していてほしい

これが目玉の風越サロン 自然木のテーブルにパイプの折りたたみイスが7〜8脚

入り口は閉じられていて閉鎖的な空間 手前側の壁に飲み物の自販機が設置されている

予想通り飯田市の象徴・風越山の展望だが サッシの枠がなんとも惜しい感じ

 

外部足場解体 (2014・10・19)

長らく仮設シートに覆われていた市役所建設工事

足場解体工事は順調に進み 市役所側面も姿をあらわしてきた

今後の接続工事で 正面遠くの電柱あたりまでは3階建ての連絡通路となりそうだ

別項でも しつこく その見え方について言及しているが ここで中間報告をしておきたい

左写真は仮囲いの状態 右写真は工事の始まる前の大久保町の通りである

これは能率手帳を積み重ねた合成写真で 建物が3m西に移動する前の見え方の予想

 

こちらは知久町側からの見え方 現状では下右の建設前の写真とそれほど変わらない

ただやはり正面電柱のトランスあたりまで 連絡通路となりそうだ

 

ようやく外部足場が解体され姿を現してきた 横長のポーチ部分はこれからだが

一昔前の学校建築のような なんの変哲もない建物 植樹に期待したい

 

3階躯体工事 (2014・6・25)

仮設足場とともにシートもかかって 建物ボリュームがわかるようになった

箕瀬側の道路からは地盤は2m以上低くなるので 建物の高さもそれほど感じない

ただその分 間口の広さ感はかなりなもの

左が北側道路から見た建物の見え方 足場をのぞいた実際の建物はシート1枚分ほど少なくなる

同様に南側の大久保町からの建物ボリューム

 

2階躯体工事 (2014・5・15)

最後の土地所有者が移転して 新庁舎が玄関側から見られるようになった

その敷地の遺跡調査が進行中

以上は平成14年4月24日撮影

 

1階躯体工事 (2014・2・25)

地階部分埋め戻し 大久保町から 新庁舎の配置が西に3m移動して 本当によかった

以上は平成14年1月23日撮影

 

地階躯体工事 (2013・10・5)

平成25年10月5日 以下は現庁舎側2階からの同10月3日の工事状況

 

市役所新庁舎建設工事

市役所改築工事起工式会場 (2013・5・8)

そして改築工事は実施設計を終え 入札・施工業者決定と進行し 4月8日起工式を迎えた 

旧庁舎のリフォームや外構含めると完成は平成28年度

そうして大久保町の本道は通行止めとなった

さらに工事用の仮囲いも設置され 大久保町の景観も大きく変わることになった

*

cityhall-moon 2012・7・30 pm7:23

飯田市役所の改築は平成27年度の予定で それによって周辺景観は大きく変りそうだ

その周辺整備は予定敷地内民家の解体もふくめて進行中で 徐々に景観の変化も現われてきた

建物の基本設計は終わり すでに実施設計の段階になってはいるらしいが

ここでは現在の周辺景観も参考にしながら 将来のそれについて想像してみたい

この航空写真は平成4年撮影されたもので 庁舎裏側の駐車場が現在よりも狭い

 

1) 市役所現況

赤墨部分が庁舎関係 ハッチ部分は民地

東側の駐車場から国道256号を挟んで正面 右が議会棟

 

 現庁舎は昭和37年に新築移転したもので それから半世紀 老朽化もさることながら

 当時の構造設計が経済性を強く追求したものであり その耐震性が疑問視されていた

 平成の市町村合併で飯田市は遠山郷の上村・南信濃村を市域に含めることになったが

 その特例債を利用して念願の庁舎改築が計画されたものである

 

2) 検討会議経過私録

 @) 庁舎建設検討市民会議

 各界の代表15名と公募委員4名による庁舎建設検討市民会議が設置された

 50年来住み慣れた大久保町の町内のことでもあり 経緯を見届けておく必要があると思い

 公募に応募して全会議に出席した 第1回の検討会議は平成20年8月に始まり

 その後 議会の建設委員会とほぼ同じ日程で開かれているが

 しばらくは 新庁舎の敷地の選定・規模の検討がなされ 現地改築の意向と概略面積の

 方向が固まり 第4回同21年2月 計画素案として大まかな方向が定まった

西側駐車場より現庁舎裏側

 A) 現庁舎の耐震再利用案

 その後 現庁舎の再利用の方針が突如打ち出された

 現建物の議場など付属屋を 取り去り単純な平面にし 4・5階のペントハウス部分を撤去

 さらに地下階のドライエリアを埋め戻し 耐震に有利な条件をつくりだすこと

 加えてダンパーによる制震構造を付加して 耐震性を確保する方向である

 エコシティを目指す飯田市としては リユースの方針はおおかたの認めるところであり

 上記条件による耐震診断がなされ おおむね良好な結果を得たようだ

左は正面玄関部分 右は議会棟

 

 それらをふまえ同22年6月の第9回の検討会議において基本計画書が承認された

 ただハコモノの建設にたいしての全国的な反省傾向からか 各方面からの意見書も出され

 第11回同9月の修正案により基本計画案の作成段階に移っていくことになった

 

 B) 大久保町道路の扱い

 大久保町住宅地に通ずる市道143号は もともと大久保小学校の主要アプローチでもあり

 現在は知久町から延長400mにもわたる直線ビスタを保っている

左は知久町からの大久保町への入り口 いくらか右に曲がりながらも段丘際まで続くビスタ

右は逆方向からのビスタ このあたりは正確には箕瀬3丁目

 

 検討会議においても市道によって分割された敷地の利用度については当初から意見が多かったが

 地元に配慮する形で動かすことを一種タブー視する雰囲気があった

 ところが市道144号を延長し箕瀬通りと結びつける構想から 現道をそのままにすることの危険性が

 県の方から指摘されたらしく 現143号を横断させることが難しい との考えが出され

 自然消滅的に市道143号の廃道がコンセンサスとなってしまった

 

 C) 基本計画インプレッション

 しばらくの間をおいて同23年1月の第14回の会議において 基本計画案がしめされた

 ほぼ下図にしめすものではあるが その配置計画についての感想を述べておきたい

 前述のように現庁舎と新庁舎をいかに結びつけるかが もっとも大きなテーマである

 ここではごく素直に各階を同じ高さの連絡通路で連結している

 したがって新庁舎の階高と位置関係は 自ずと決まってしまうことになる

 国道側と箕瀬側との4mの高低差を何ら生かすことなく また箕瀬から新庁舎へのアプローチも

 2m近く ただ単に傾斜しているだけであり 立体的な工夫している部分はない

 ただし建物というものは基本的に何もしないのがもっとも経済的であり

 さらに階高はコストに直接的に響いてくるので

 そんな意味からは非常に経済性の高い建築物となりそうではある

 それにしても昨今のOA関係の床下スペース あるいは空調スペース

 さらには市民の玄関としての必要空間としての天井高さの確保など

 かなり厳しいものがありそうだ という印象を持った

 

 D) パブリック・コメントと基本設計

 ここにおいて周辺道路の整備計画 現庁舎と新庁舎との配置計画がおおまかに固まり

 時をおかずパブリックコメントが実施された

 ただ当方としては下にあげるような疑問点があったので

 会議とパブリックコメントの両方において強力にそれらの是正を申し入れたものである

 この計画では現大久保町の通りの市道144号とはズレた位置に

 歩行者専用道路を設けることになっている

大久保町辻からの想像合成写真

 

 つまり大久保町側からみると 通りは視覚的に行き止りとなり

 知久町側とは完全につながりを失うことになる

 さらに建物のボリュームがそのまま立ちはだかることになる

 しかも議会棟は20m以上 大久保町側に近くなるので より条件は厳しい

 つまり住宅地としてのイメージが現在よりも孤立化してしまうのではないか 

 せめて新庁舎を3mほど西に寄せ 連絡通路が通りからみて正面に見えるように

 配置できないか という提案である 

こちらは知久町辻からの想像合成写真

 

 これは逆に建物側から見れば 連絡通路からのビスタは現在の通りを見通すことになり

 大久保小学校の通学路として あるいは愛宕神社への参詣路としての大久保町の歴史を

 後世に伝えるためには必要条件である と力説したのだが

 担当部局は 民有地の買い上げ時期の問題から

 なんとか現在の敷地内に新庁舎を納めておきたい という強い意志のもと

 配置計画の変更はできない という姿勢に終始した

 

 その後決定した基本設計は 連絡通路が スロープとして許容できる範囲で

 新庁舎の階高を増やした模様だ

 なおこの間 担当部局の総務部長は4人目を迎えている

 

4) 周辺の景観変化

 大久保町側あるいは知久町側からの周辺景観は上のようなものになりそうだが

 もっとも大きく変りそうなのは市道144号の延長に伴っての道路景観である

 市道の延長もだが むしろ現議会棟・オフトーク棟と保健センターの解体撤去による

 視界の水平的な広がりが特筆されよう

 とくに扇町方面からは 風越山を正面に仰ぎ見るわけではないが

 イメージ上の山容は強調されることになtりそうだ

 さらには逆の箕瀬方面からも 今まで見られなかった伊那山地 金森山と小川路峠が

 動物園の施設越しにに見えることになる

 市役所敷地内からも 今まで箕瀬の民家群に隠れていた風越山が

 正面に見えて 飯田市の象徴としての存在感がさらに増すことになりそうだ

 ただ箕瀬1丁目の北側民家はそのまま残ることになり

 市役所敷地とは異質の存在になりそうでもある

 ここらは緑による修景が必要とされるかもしれない

 箕瀬2丁目方面からの街並み景観は 逆に大横町方面からの景観とともに

 大きなオープンスペースの出現で 街中にしては少し異質な空間となりそうだ

大横町からの箕瀬入り口 左の建物部分からオープンスペース

箕瀬側は右の部分がオープン化される

 

 さらに北側に王竜寺川 南側に源長川と市街地河川に面することになる

左は王竜寺川方面 右は源長川方面 いずれも現庁舎側からの景観

 

 とくに王竜寺川は知久町民家に南面することになり プライバシーの問題が出るかもしれない

 ここらは箕瀬側とともに ある程度時間を経ながら リニューアルされていきそうだ

 

5) 普請は施主の総合力

 今まで幾多の建物の設計に関わってきた その上棟式に「ひとこと」を求められる際 述べるのは

 「普請は施主の総合力である」ということ つまり設計者の選定・施工者の選定さらには懐具合

 施主の教養やら家庭の事情やら すべてが普請に表れてくる ということであり

 世間から賞賛されるような建物ができたとすれば それは施主がエラかったのだ

 「だから きっと良い建物ができますよ」 と誉めることにしている

 

 たしかに普請上手といわれる人がいる 時々現場に現れて 煙草を吸いながら

 二言・三言 なんだか知らないが若い職人まで いつの間にか全力を出し切って仕上げ

 気持ち良く工事を終了 次の職方も前の工程の出来をみて さらにやる気を出す

 その繰り返しから 結果的には評価されるものができたりする

 それとは逆のケースにも立ち会ってきた 竣工の場に招かれても 今ひとつ乗りきれず

 皆白々と飲むだけ それが過ぎて そのまま全員が悪酔いという事態すら

 

 この市役所改築についても同様で もし素晴らしいものができたなら 市民として誇りに思って良い

 そうじゃなければ 残念ながら それが飯田市の市民のレベルだと 納得しなければならない

 もちろん…前者を望むものである

 

なお改築予定敷地内民家解体にともなう黒松騒動については 別項「景観デモクラシー」を参考に こちら

2012・4・7

*

実施設計完了説明会

(2012・9・24)

たまたま市長の改選時期を迎え もとから市政に不満をもつ人たちが地元紙に意見を述べる機会が増えてきた

といって市長選まで1ヶ月をきっても 対抗馬が現れる気配がない 結果はどうなるかわからないが

市庁舎改築が現市長2期目の目玉だけに 争点にはなりそうだ ちょうど実施設計の完了時期が重なり

当初その説明会を数ヶ所予定していたらしいが 反市長派の突き上げで 各地区きめ細かく20数ヶ所での

説明会が実施・予定されている 自然解散と思われていた検討市民会議も急遽おこなわれることになった

内容的には 下に述べる新庁舎の配置は当方の要望通り 3m北側に移動し 大久保町のビスタ阻害は

やむを得ない部分にまで納まってきた さらに意見を求められたので 新庁舎からの風越山の景観

現・実施設計では その方向はすべて執務スペースとなっていて 一般市民は見ることはできない

今までの景観インタビューでも風越山は飯田市の象徴として全市民に意識されていることがわかった

展望台を設けろ とはいわないが市民が見られることのできるスペースがほしい と要望した

以上の写真は現庁舎5階から見た新庁舎敷地と風越山である

視点はこれより6mほど下がり 50mほど風越山に近づくことになる

したがって この写真より箕瀬側の建物が強調され

遠くの飯田病院の姿は見えるか見えないか微妙なところ

 

 

 

おまけ・安曇野市新庁舎

たまたま同時期に竣工した安曇野市の新庁舎を訪れる機会を得た

南安曇郡の豊科町・穂高町・三郷村・堀金村・東筑摩郡の明科町が2005年に合併 県下6位の10万都市となったもので

念願の統合市庁舎は旧豊科町の中心部に位置しており 地上4階・地下1階の延べ21103uの規模となっている

設計は実質的に隣の松川村の「ちひろ美術館」で有名な東大名誉教授の内藤廣先生

総工費はパンフレットによれば68億円となっている 内外ともに木材のパネルを多用

ゆとりある広さと天井高のロビー周辺

トイレで隣り合った課長クラスとおぼしき職員に「いいですよね」と話しかけたら

「いやーいろいろありましてねえ」と答えが返ってきた

両側の執務室の中心が一部4層吹き抜けの市民スペース

4階には北アルプスを望むパノラマラウンジがあり さらに屋上の展望デッキが用意され

休日も1階ホールからエレベーターで昇れるように開放されているようだ

こちらは西側の裏玄関 周囲を廻るバルコニーの見上げ 外壁は木材のパネル

コンクリート打ち放しは やや甘い印象 もう少しカチッと仕上げてほしいものだ

西面のエレベーションは東面とほぼ同様

4階の左部分(北側」)がパノラマラウンジ さらにその左が展望デッキのようだ

 

建設事業に関しては ご多分にもれず 金の掛け過ぎと批判する猛烈な市民運動もあったようだ

それを押し切って実現させたのは 市長の政治的立場が強固だったということに違いない

結果的には「安曇野」という なんとなく明るいイメージに対応し その中心として機能する施設となっている

この建物ができたことによって 市民のデザイン意識が向上し 続くあちこちの建築物の造形に影響をあたえ

さらに未来をささえる青少年のデザイン感覚の伸長まで期待できるとすれば 大成功といえそうだ

(2015・6・21)

おまけ補足・安曇野市庁舎展望デッキ

別の機会に4階展望デッキに上がることができたのでレポートを

日曜日のため階段は封鎖 エレベーターで4階まで上り

カラ松パネルの通路兼ギャラリーを西方向へ

突き当りがパノラマラウンジ 飯田市役所とくらべてみたい

さらに屋外の展望デッキへ

こちらは北側の美術館方面(赤い屋根)

この日はやや霞んでいて北アルプスも薄っすらという感じ 中央やや左が常念岳

望遠で鹿島槍や爺ヶ岳 右手奥が白馬三山

(2016・5・1)

back