下久堅本棟民家ツアー →ｊｕｍｐ　越久保民家見学追補（2010.3.6）

木曽地方の２階建て本棟民家と飯田の養蚕農家との関係について追補 （2009.10.21）

重文竹之内家の石置き屋根写真追補（2009.10.31）　八幡旧街道犬塚家改修 →ｊｕｍｐ

愛宕坂現存町家・加藤酒店 →ｊｕｍｐ　本棟民家/上松家・花と器展 →ｊｕｍｐ

本棟民家/森本家・長屋門 �繧ﾍら →ｊｕｍｐ　本棟民家/宮井家・九如亭 →ｊｕｍｐ

本棟風複合民家/前島家・右馬允 →ｊｕｍｐ　本棟民家/中田家・古民家食堂 くるみや焼失 →ｊｕｍｐ

江戸町家/犬塚家・ゲストハウス＆バーやまいろ →ｊｕｍｐ　武家住宅の面影 →ｊｕｍｐ

三州街道阿智村駒場宿・町家２軒 →ｊｕｍｐ

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知久町３丁目 大正町家・旧竹内青果店

（２０２５・１１・５）

知久町３丁目で ひときわ目立つ重厚な町家 先日建物内を見学する機会をえた

大正２年に建てられたという 大火後には貴重な町家　８畳間が２列で３間つづき という平面

なお飯田大火後の復興区画整理での知久町拡幅に際し 曳き家後退し歩道を設けたという

西側３室が現在使われていて 左写真が道路側の土間

昭和２０年代に始めたという青果店の売り場だったところ　右が 中の間から土間方向

一番奥は現在居間として使用の座敷　拭き漆の格調ある造作　右は増築部のＤＫ

なお１階東側の３室は貸店舗として 時計屋や後年は餅菓子屋となっていた

南側の４尺の廊下には東と西に２ヶ所の階段があり 東側の階段からは３尺の中廊下で

８畳間３室が連なっている　現在は物置状態

西側の3室 手前から道路側に向かって並び　右は道路側から 逆側をみたところ

夏季には京町家で お馴染みの夏障子を使っていたという

東と西の隣家協会には卯建が備えられている　外壁は いわゆる黒大津壁だったようだ

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町家の通り庭は この時代つくっていないようで ３尺の通路で裏庭に出る形式

江戸後期・文化年間から7代目という当主の話では ご先祖は家具屋（指物製作）だったそうで

東側の半分は その作業場だったり 使用人のスペースだったかもしれない

一時は疎開の人も受け入れていたといい ひっそりと数家族が暮らしていた往時を想像してみた

知久町３丁目 旧竹内青果店

（２０２５・７・１５）

知久町３丁目の南側に重厚な木造建物

屋根の両側には卯建が上がっている

大正２年の町家で ３軒先のキラヤができる前は青果店だった

おそらく丘の上では 今や最も古い町家ではないか

昭和２２年の飯田大火の際は ここで火が止まったという

こちらは王竜寺川に沿った裏側から

高森町吉田 本棟民家旧宮島家

（２０２３・８・３１）

集落の南側の丘の上は中世の山城 その吉田城址からの俯瞰風景

集落の真ん中に大きな屋根と 白いビニールハウスの広い敷地

その中心の本棟民家　元は造り酒屋で間口１０間の堂々たる姿　煉瓦造の煙突も華を添えている

（その正面写真は戸田屋ホームページから許可をえて転載）

近づくほどに 圧倒される造形美

入口引き戸の真上には唐破風で保護された酒林が 煙突とともに造り酒屋を象徴している

現在 宮島家とは親戚関係だという製菓材料卸で移出商社の戸田屋の農産物加工施設となっている

南側からの屋敷の全体像　見事なものだ　なんとか吉田集落の象徴として 施設の活用を望みたい

高森町吉田の本棟民家

（２０２３・８・１０）

別の件で高森町吉田地区の訪問を計画していて 一昨年の古民家セミナーの資料を探していた

どっかに紛れ込んでいて ようやく見つけたので 遅ればせながら報告しておきたい

セミナーを企画した吉田在住の建築家・木下光さんから 突然の電話　講師のピンチヒッターの依頼

会場は吉田区の区民会館（木下さん設計）　地元はじめ大勢の参加者たち

むしろ地元の人たちの方が詳しそうなので 伊那谷民家全般について報告をした

高森町には４０余の本棟古民家が存在していて 吉田区周辺には１６棟が健在

（上資料は飯田歴史研究所年報 ２０１６年版より）

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あらためて吉田を訪問　急ぎ足ではあったが そのうちの４棟を撮影

屋根は長尺カラー鉄板の瓦棒葺きが多いが 桟瓦葺きもある

特徴は のし瓦による瓦棟と立派な鬼瓦の使用　上の分布図写真でも同様

どうも ある時期に屋根の葺き替えが あちこちで行われ 仕様が一般化した気配だ

大平宿・民家見学ツアー

（２０１２・１１・５）

飯田歴史研究所 金澤雄記客員研究員の主宰する「建築史ワークショップ」

廃村・大平宿の農村舞台調査の傍ら 残された無人の民家を見学する機会を得た

皮革で作ったキーホルダーに「大平宿をのこす会」で管理する民家の鍵

その昔 木曽廻りで帰省したことがあって おんたけ交通のバスで新道を通過している

集団移転したのが昭和４５年だそうだから 当時はまだ使われていたと思われるが記憶はあまりない

旧道を入って左側に「からまつ屋」の屋根の一部　右奥に「マス屋」

旧道下り口左の 「からまつ屋」　これは明治初期の建物だという

内部は 奥行き１間半ほどの前土間に囲炉裏　ほぼこの形式になっている

いずれも掃除が行き届いており 夏のあいだ合宿などで使われたようだ

マス屋（明治末期）　しばらくは満寿屋といっていたような気がする

　奥に増築部分があって養蚕道具も見られた

間をあけて 「おおくら屋」江戸末期だという　古民家としてはこれだけが妻入り

内部はやはり前土間に囲炉裏　この奥に汲み取り便所と 使っているかどうかはわからないが浴室がある

一時 吉田桂二さんの指導で ある程度の復元と水廻りの改修が行われたようだ

同じく囲炉裏の逆側を見たところ　イロリは今なお郷愁を誘う民家の象徴ではあるが　しばらく前 復元された

飯島陣屋のイロリ部屋に充満した生木の煙には閉口した　近世の日本において失明者が多かったというのも

煙たさに不潔な手で眼を拭いた幼児が眼病を患うことに起因するのではないか　また明治１１年に東北を旅した

イザベラ・バードによれば 点眼を求める村人たちが列をつくったという　文化史的に興味のある問題だ

こちらも 「大蔵屋」だが 黒点の上に山形のマーク（ヤマボシとでも呼ぶのか）の家印　明治中期

木地師の里らしく苗字は大蔵姓が多かったようだ　なお小椋姓も木地師の系統といわれている

ここも内部はキチンと掃除されている

藤屋　建物間に空き地がみられるが その昔には民家が並んでいたものと思われる

旧道一番下に位置する 右が八丁屋 左が藤屋　両方とも建造は江戸末期と推定されている

このあたりまで上の辻からは ３５０ｍの距離 約 ２０ｍほどの高低差がある

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最近読んだ本で 柴 桂子著 「近世の女旅日記事典」によれば

中山道の妻籠手前で厳しい福島関所を避けて 大平街道から飯田に出て

伊那街道（三州街道）で塩尻に向かう という記述が頻繁に見られる

予想以上に大平宿が使われていたのかもしれない

（２０２３・８・１６ 追補）

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飯田附近の民家といえば本棟造（ほんむねつくり）である

大鹿村大河原の重要文化財 松下家住宅

右は同じく重要文化財 高森町吉田の竹之内家住宅

建物長手方向に妻側を見せる本棟造りは 松本・安曇野地域でも良く見られる形式

もともとは板葺きの石置き屋根のようだ

竹之内家は現在屋根修理中　足場から見た石置き屋根の様子

こちらは上久堅北田遺跡の竪穴式の復元住宅　左が縄文時代 右が古墳時代だという

屋根がそのまま持ち上がり 壁ができるのが民家の最初の姿といわれる

北田遺跡縄文復元住居 屋根葺替え

上久堅の北田遺跡に復元された縄文住居　このほど屋根の茅葺を葺替え

茅野の業者に７００万円で依頼したという　この奥に古墳時代だされるう同様の竪穴式住居があったが

そちらは 今回 解体したという

扉を開けて中に入ってみると タルキ部分から架け直したようだ

（２０２２・１１・２）

左は駒ヶ根市の重文 竹村家住宅のように一般的に茅葺の例が多い

右は東御市西宮の農村舞台 萱葺き屋根にそのまま鉄板を被せた姿

しかし何故か飯田下伊那地方には茅葺の現存例があまりない

屋根材としてのススキや萱類の生育状況 周辺部からの屋根板の供給状況によるものか

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越久保民家見学

（２０１０・３・６補足）

飯田市上久堅（かみひさかた）越久保（こいくぼ）地区は

旧秋葉街道の小川路峠への入り口の集落で標高８００ｍ

したがって天竜川を挟んで中央アルプスの南部を眺める位置

古い民家に京都から Ｉ ターンの若者家族が移住　今後手を入れて行きたい ということで見学会

本棟造り民家へ ２階蚕室の増築をしたものらしい　玄関の左の一角を当面の住居部分として利用

内部奥は立派な大黒柱 その左とさらに奥右側に二つの囲炉裏

２階の蚕室（さんしつ）は当時の蚕棚（かいこだな）がそのままの姿

父親の実家の風景を思い出して懐かしかった

ただ建物は全体的に右にやや傾いており 修復は大変そうだ

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養蚕農家

本棟造りと並んで多いのが２階に蚕室を設けた いわゆる養蚕農家　いずれも屋根・壁ともに改修されているが

時代的には本棟造りよりも下って 養蚕経済の進展にともない造られたようだ

本棟の場合２階部分はあまり取れないので その脇に長屋と称して養蚕用の建物がつくられたケースがほとんどだが

養蚕農家では２階がすべて養蚕用 さらに長屋がある場合もある 残された養蚕農家の多さをみていると

明治から大正にかけての日本経済における生糸輸出のしめる大きさを実感する

別に述べる農村舞台の建設費用もそんなところにあるかも知れない

先日の研究会で知ったのだが木曽方面の養蚕農家は むしろ本棟２階建て という形式が多いようだ

屋根は板葺き石置きで ちょうどこの古民家再生の漬物土産店のような形式

早くから瓦を使用した飯田周辺の養蚕農家とは明らかに異なっている

当時の蚕種は上田地方から買い入れていたようだが 上田地方にも農村舞台も数多く存在する

群馬方面で開発された養蚕と農村舞台が結びつき 上田地方を経て下伊那に伝わり

舞台とともに民家（養蚕農家）にまで影響をあたえた可能性がありそうだ

農村舞台についてはこちら

一方町屋はどうか 箕瀬に残るそれらしきものを訪ねると

２階の建ちの高さからそれほど古いものとは思われない

左も箕瀬 右は知久町の重厚な造りで うだつも見られるが

左は江戸町の蔵造り風 　右は殿町の福島家住宅 武家住宅

上市田の上街道に面した町屋の方が飛騨地方の町屋の雰囲気と似ている（解体）

喬木村阿島にも似たような町屋があるのだが

むしろ八幡の旧道の方が時代は古そう

つまり前面の道路との関係で 木曾の宿場町でも見られるのだが

主要な道路があるほど 拡幅されて古い町屋が少なくなるという傾向

大火以前の飯田の町屋風景はこんな印象なのか

参考までに左は奈良井宿 右は妻籠宿の風景

さらに左は木曽福島宿 上の段の町屋　右は海野宿 共にそんなに古くはなさそう

武家住宅の面影

飯田は城下町であり 古民家としての武家住宅の存在も無視することはできない

農家や町家との大きな違いは土間玄関を備えていることで 庄屋など地域の重役の農家では

侍用の客用玄関 いわゆる式台が見られるが 一般的であるとはいえない

上級武士は城内に屋敷を構え 中級下級武士は城下町を囲んで住居が与えられていた

大横町から 少し西に入った殿町の福島家住宅は 飯田市文化財として指定されている

このような土間玄関を備えた住宅形式が 明治以降の一般住宅の原形になった といわれている

意外に奥に長い住宅だが 敷地の間口は それほど広くはない

こちらは仲ノ町の安東家　屋根の形から当時の住宅とは考えられないが

中級武士としての屋敷の様子が伺える

安東家は第６代・台湾総督を務めた 安東貞美・陸軍大将の生家で

飯田藩の槍術指南の家柄

左は隣接する黒須家の外構　表門と塀が改修されており 当時の雰囲気を伝えている

右は仲ノ町を下って江戸町の柳田家に残された表門　あの柳田國男（旧姓松岡）が養子となった藩士旧宅

現在 その前が駐車場になっている 古い住宅地図では屋敷があった模様で 周囲の状況から

残された門は表裏が逆だったような気がする ことによると文化財指定のとき 変えられた可能性

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旧柳田家については１９９８年の飯田美術博物館研究紀要に調査結果が報告されている

伊那市・信濃建築史研究室の吉澤政己氏（工学博士）によれば 住宅は大正年間 吉川医院となり

上の調査時の写真に見ると 表門は江戸町の道筋に面したらしく 表門の左に２階建ての診察室

右に洋館風の応接室が主屋の前面の道路際に増築されていたようだ　茶室を備えた主屋は

ほぼそのまま残っていた模様だが 同時に解体され 表門は その時に現在地に移されたらしい

（２０２０・１２・　補足）

同じく仲ノ町の横通りの古い住宅の入り口　表門とそれに続く路地は それなりの雰囲気がある

こちらは二本松の町筋に平行する竪筋の民家　右手が陶芸の展示室となっている

この周辺には 必ずしも当時の武家住宅とはいえないが このような古い住宅が多い

仲ノ町から江戸町に抜ける小路の右側に長屋がある

これも当時のものとはいえないが 敷地割は昔の足軽長屋のまま と推測される

同じような例は ここ箕瀬２丁目にも見られる　やはり箕瀬の本通りから小路を抜けると

柏心寺に向かっての小道に長屋が存在している　これも上記と同じ例と考えたい

（２０２０・１０・１１）

古民家の再生

この２軒の古民家再生は大御所 降旗先生の設計らしい

かなり大胆に平面を削って居住性を高めているようだ

同様に一番の課題は寒さへの対策 断熱性をいかに高めるか

これは地元みすず設計さんの再生例

左の本棟は思い切った現代デザイン　右は養蚕農家の再生

左は２４年ほど前に設計した和食店「東京庵別館」

諸般の事情から屋根勾配が急過ぎるのが今でも残念

当初から本棟が施主の希望で 同様に和食店にも本棟形式は多い

右は座光寺の同じく和食処 大きな雀踊りは安曇野風 屋根勾配はちょうど良い

同じ和食処でも駒ヶ根では萱葺き

つまりは地元に残る民家のイメージはこちらというわけ

右は下市田の新築住宅 一般住宅でも本棟志向には根強いものがあって

あちこちに見られるのだが

日本瓦の使用と２階の居住性から どうしても屋根勾配が板葺きほど緩くとれなくて

プロポーションが今ひとつの感じがする

左は最近改修された養蚕農家例だが飯田養蚕農家と見るか むしろ木曽地方の本棟２階風と見るか 思案するところ

いずれにしても改修あるいは再生は床面積が大きいだけにそれにかかる費用が大変

瓦の葺き変えだけで８ケタに近い出費 さらにその大きな住宅でどのように住まうのか

古民家再生はしたけれど お年寄り夫婦が使うのは最早最小居住空間のみ

残りはそのまま という例を眼にする 理想的には快適な大家族の住まい方が提案できればいいのだが

社会的にも難しい問題ではある

２００８・１１・２５

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下久堅本棟民家ツアー

（２０１１・３・１３）

建築士会の主催で民家見学会　参加者４０名ほどが秋葉街道の旧道を下っていく

案内は上記飯田歴史研究所の金澤研究員

１棟目は屋根を養蚕スペース確保のため急勾配に直した様子の民家

直接存知あげてはいないが飯田長姫高校建築科の教員を勤め上げた宮内先生のご自宅

きちんと手が入れられていてロケーションもよく風格が漂う　１８６２年（文久２年）の棟札あり

ここらは宮内姓が多くここも宮内家　後ろに２階建てを増築した例

さらに下って以上の民家の棟梁 善兵衛さんの出所だったという

おなじく善兵衛さんの建てたものらしいが 新建材での改装が残念

天竜川に程近い場所の屋敷を遠望　善兵衛さんの嫁さんの実家だという山下家

１８世紀中頃と推定

明治前期という２階建て本棟住宅

下久堅小学校グランド下の小道から風越山と八幡段丘風景

おだやかな春の午後 ほころび始めた梅の花を愛でながらの１時間半 約１ｋｍの行程

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都市調査研究グランプリ 「本棟造と養蚕建築」

（２０１１・３・３１）

飯田歴史研究所の金澤雄記研究員による調査研究 「本棟造と養蚕建築」 Ａ４判 ４９６頁 ３５００円　

このほど都市調査研究グランプリに輝いた 右写真は同研究員の主宰する建築史研究会の懇親会の様子　

ささやかな祝賀会となった なお彼の姿は左の女性の奥に右手のみ

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八幡旧街道町家・犬塚家改修

（２０１２・５・１０）

八幡旧遠州街道に面する築２００年といわれる町家　

大正年間に新道が開通し ほどよいスケール感の昔ながらの旧道風景

長らく空き家となっていたが 写真の飯田市歴史研究所市民研究員・岸部大輔さんが立ち上がった

地元グループや歴史研究所建築史ワークショップの面々の協力で掃除と改修を自力で行い

公開できるところまで持ち込んだ　このほど ちょっとした市民アート展を開催

もともとは古道具屋だったという

通り庭に面した壁には その改修経過のパネル　また地元建築科高校生による模型展示など

飯田市の中心部の町家が昭和２２年の大火で殆ど失われただけに

その時代を伝える貴重な遺産　しかも行政に頼らずここまでもってきたのは立派のひとこと

今後の積極的な活用を期待したい

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その後 リノベーションがなされ 現在はゲストハウス＆バーとして営業中 →ｊｕｍｐ

愛宕坂現存町家・加藤酒店

（２０１８・７・８）

前から気になっていた古民家 造り酒屋だった愛宕町の加藤酒店

手前と奥の土蔵は増築　真ん中が町家部分で古いものと思われる

いわゆる厨子（つし）２階という丈の低い２階屋　低いほど古いかたち といわれているが

松尾八幡の町家や上街道の解体された町家は これより相当高い

表は瓦葺きだが 横からみると奥の屋根はカラー鉄板

右写真は増築建物の間から鉄板部分を見たところ

さらに橋南公民館の３階から そのあたりを確かめてみた　手前の２棟が酒蔵

つまり もともとは板葺きの石置き屋根だった と思われる

大火以前の町家で残っているのはここだけではないか 貴重な古民家である

なお隣接する酒蔵については こちら

本棟民家/下瀬 上松（あげまつ）家・花と器展

（２０１８・７・２６）

コミュニティ誌の予告を見て これは高校の剣道の先輩の実家に違いないと思った

旧遠州街道を下条側から下瀬に上った位置　長屋門を入ると

間口８間 丈の低い本棟の母屋　広い屋敷で 左手は増築建物

離れにも生けられた花と器が並んでいたものの 興味の対象は古民家

日常生活は土蔵裏手の新築和風住宅らしいが 管理も行き届いて気持ちのいい空間

２列３間の和室から 庭をとおして阿智川対岸の下条方向　一部 夏障子と籐むしろ敷き

奥には土間空間　おそらく右手には馬屋　そして左手に竈と流し 手前に囲炉裏

しばらく先輩の ご兄弟の当主と話したが 長屋門左手の土蔵を民泊に開放しているという

本棟民家/森本家・長屋門 �繧ﾍら（くわはら）

（２０１９・１１・１２）

飯田市の弁天近く 県道の松尾新井交差点 際に巨大な長屋門

梁間２間 桁行方向は１５間の他を圧倒する大きさ　

門を入るとこれも堂々たる本棟建物が姿をあらわす　主構造の間口は１０間はありそうだ

松尾の庄屋として「大森本」と呼ばれていた名家の母屋で築３０４年になるという

現在 焼肉レストランとして営業しており もともとは玄関の左には貴人用の式台と玄関があったようだが

現在は多人数用の客室となっているらしい　大戸があったと思われる入り口からは 元は馬屋をふくめて大きな土間

現在は薪ストーブが置かれ 赤い暖簾は手洗い室入り口

土間からは南方向へ板の間がつづき 会計事務スペースになっている

その奥は小展示スペース　

客席は１０帖の２間つづきの座敷にテーブルが５卓　木部は漆で塗られている

建物については かなり記録が残っていて この和室部分は明治期に増築改装されたようだ

右写真 床の間の向こうの別室に多人数向けの これも２間つづきの１９帖

東南に面した縁側から庭の２方向　元の屋敷地は現在の１.５倍ほど南側に広く

現在の道路には別棟　さらに隠居建物もあり　北側には酒造蔵もあったという

２階建ての長屋門 屋敷内から

本棟民家/宮井家・九如亭（きゅうじょてい）

（２０１９・１２・２６）

天竜川の左岸 いわゆる竜東の中段　下久堅知久平から南に向い ちょっとした平に大きな屋根

明治初期の建築だという本棟民家　２階屋根裏の養蚕空間を広くした 丈の高い堂々とした雰囲気

あの天龍峡の岩に刻まれた十勝を命名し揮毫した 書聖・日下部鳴鶴も長逗留したという名家

外庭から右手の門を入ると 座敷に面した内庭　その奥には茶室もある

外庭から上の道路方向　本屋は棟のみ瓦で 平部分は鉄板葺き 当時としては板葺きだったかもしれない

左が通常の入り口で その右手には式台を備えた客用の玄関があり そこから８帖の前の間

その奥には１５帖の客間があり 九如亭の額が飾ってある　基本的に木部は漆塗り

日常用の入り口からは一部吹抜けの板の間だが 本来は土間で奥の台所に通じていたようだ

本建屋から突きだ出た形で内庭に面した１２.５帖の上座敷と１０帖の下座敷　現在若い女性当主の作品展示

それにつづいて右写真は大広間とも通ずる１２.５帖　ここは多人数用の座卓と座椅子

２階への階段通路の４帖にも安楽椅子　右の入り口空間は７.５帖

本棟風複合民家/前島家・右馬允（うまのじょう）

（２０２０・１・２１）

大鹿村大河原 小渋川を見下ろす高台の元庄屋

敷地からは大河原の集落が一望

２棟の土蔵の間から屋敷に入っていく　正面は本棟民家のようだが

奥に２階屋が取り付いている　大正初めに当時の村長だった当主が自ら設計したという

本棟にしては屋根勾配が強すぎる 当初から石置きの板屋根ではなかったのではないか

ただこのころには瓦屋根も普及していたはずで 鉄板葺きにした理由がわからない

玄関からはタタミ敷きの廊下が続き　右に１０帖の客室２室　階段の奥に１２.５帖の和室３室

客室から東側の土蔵方面

西側の庭に廻り２階部分を見る 和室３室がさらに上下に重なっている　庭には放し飼いの鶏数羽

本棟民家/中田家・古民家食堂くるみや…その後

（２０２０・３・２１）

２月連休最終日の昼火事は 今宮町二丁目の古民家食堂　非常線が効果的に張られていたため近づけなかったが

あらためて訪ねてみた　本棟古民家食堂の存在は以前から知っていて バータイムにでも と思っていた矢先

報道では全焼ということだった間口６間の本棟民家　意外にも建物外観の原形は保っている

大断面による燃えしろ設計という防火設計法があるが 表面は燃えても 構造的には強度を保つ という考え方で

もしそれに該当するならば 古民家の底力を見る思い

昨年リノベしたばかりだから 当主の落胆は察するに余りある　内部を見ていないので 何ともいえないが

修復可能なのではないか　なんとか不死鳥のように蘇ってほしいものだ

くるみや…解体

（２０２０・５・１４）

火災から２ヶ月半 今後どうするのか 気がかりで 様子をみていたが　解体用の重機が置かれていた

そして ついに解体作業開始　すでに半分がなくなっていた

現場の作業員に聞いたら 完全解体の方針のようだ

さらに古民家部分は ほぼ解体　その裏の住宅部分の方が焼け方が大きい印象

いずれにしても貴重な建物が 跡形も無く消えるのは まことに寂しいかぎり

江戸町家/犬塚家・ゲストハウス＆バーやまいろ

（２０２０・８・９）

八幡旧街道の町家・犬塚家は築２００年

丈の高い２階建ての町家は 江戸末期の姿　右は東（旧道裏側）から見た犬塚家　屋根両側の卯建が目立っている

道路面からやや下がって建物敷地　現在入り口は建物右側面に引戸が設けられている

２年ほど前にゲストハウス＆バー としてリノベーション

大きな薪ストーブと ２階ゲストハウスへの階段

ガラス引戸から奥がゲストハウス専用スペースで 洗面台とシャワー室などがある

現在首都圏の新型コロナの拡大から ゲストハウスは営業を停止　バーが夕方６時から開店している

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なお犬塚家は 以前にも有志による改修工事がなされていて その模様は →ｊｕｍｐ

阿智村駒場宿・町家２軒

（２０２１・３・２８）

昨年１０月２４日 こまんばｍａｃｈｉプロジェクトの主催で 町家・つぼや の見学会が行なわれた

ちょうど所用で参加できなかったが 今回 「中馬ぬくもり街道ひなまつり」 で公開されたので 現場報告

つぼや

同じく上記 団体が中心の駒場会場では この つぼやがセンター的な役割

玄関から土間へ つづいて通路が台所まで 通り庭にしては やや狭い感じ

女性３人がつめての 案内　手作りグッズも販売している　右は中の間から坪庭に面した南側座敷

中の間から中心部の階段を上って ２階へ 　和室が２列に並び　右は道路に面した北側座敷

１階とおほぼ同じ 間取りで中の間から坪庭側の座敷　坪庭の奥には土蔵

坪庭の左側に厠　右側トタン屋根が台所　２階から厠へは急階段が備えられている

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建築は大正１４年から始まり 昭和５年の上棟札が残っている　というわけで 築９０年

１００年にはなっていないが ここでどこまでを古民家と称するのか という問題がでてくる

実際 しっかりした定義があるわけでもなく 昭和２５年の建築基準法施行以前の

伝統的構法（耐震性を筋交でなく貫で担保する）とするのが一般的であるが

戦後すぐのバラックも呼んでいいのか疑問で 結局は 間取り・材料・構造・設備を勘案して

感覚的に判断せざるをえないところだ

亀屋

つぼや より西側に３０ｍほど 郵便資料館の斜め前　同じく街道北側の町家

やはり通り庭が ずっと続いている右手には２階への階段　右写真は道路側の座敷

中の間には ひな人形の段飾り　奥の台所だが これが当初の姿かどうか

古材を使ったという建築年代は不明　また商売屋かどうかも不明

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こちらは 亀屋よりも東側の住宅というか建設会社の事務所のようだ

背の低い厨子２階の様子から かなり古いものと思われる

ｂａｃｋ