読書日記保存版(印象に残った本) 2005年1月〜2005年12月back
12月28日(水) B
「団塊の世代『黄金の十年』が始まる」
堺屋太一 文藝春秋1600円。日本の社会
構造の分析から見た その特異な世代。定
年以降も悠々と働けば、少子化恐るるに足
らずとバラ色未来 堺屋先生 久々の快打。
12月10日(土) B
「遺伝子で探る人類史」J・リレスフィールド
講談社ブルーバックス1040円。遺伝子分
布を、数学・統計学手法で解析、人類の祖
先を探る。それは直線的な系譜でなく クモ
の巣の様な 拡散と混合の歴史。秀訳だ。
12月7日(水) B
「Y染色体からみた日本人」中堀豊1200円
岩波科学ライブラリー。性を決定するY染色
体の働きを冷静に語る徳島大医教授。遺伝
子に意志があるかの風潮に乗らず、日本人
また日本社会の構造にまでいたる想像力。
11月27日(日) B
「昭和住宅メモリー」エクスナレッジ2400円
特別編集ムック「HOME NO.5」。建築家自
邸や名作再訪 執筆陣も豪華な重量級。最後
に井上章一 「建築家がたてた、すみにくい住
宅について」の一文が皮肉たっぷりで秀逸。
11月2日(水) B
「ぼくらはみんなハゲている」 藤田慎一
太田出版1480円。テレビマンユニオン・ディ
レクター番組制作とその後のルポ。有名会社
内幕 こんなに書いて大丈夫か。最後には現
代社会においての自己認識の問題にまで。
10月23日(日) B
「査察機長」 内田幹樹 新潮社 1500円
新米ジャンボ機長技量査察フライト。査察官
とベテランの3人、雪のNY・JFK空港着陸ま
でのコックピット。事件が起きるでもないのに
全編緊張感。ただエピローグが、饒舌過ぎ。
10月16日(日) B
「土木遺産 ヨーロッパ編」 ダイヤモンド社
2200円 (社)建設コンサルタンツ協会。道路
橋・公園・ダム・運河・鉄道・下水 等。今や景
観なっている、先人達の叡智の結晶を解説。
写真・図版も適切で、いうことございません。
9月30日(金) B
「写真でみる 民家大事典」日本民俗建築学会
柏書房15000円。2002年1月26日の「図説
民俗建築大事典」の姉妹書470頁。写真主体
は良いのだが そうなると図面も対照したくなっ
てくる。つまりは2冊が必要というわけでした。
9月4日(日) A
「幼児化するヒト」 C・ブロムホール1800円
河出書房新社。動物としては未成熟なヒトの
進化。その幼形成熟が、大集団としての社会
性確保のため と英のTV制作者。後半は様々
な社会現象を「幼児化」から、と明快に説明。
8月20日(土) B
「家事の基本 大事典」成美堂出版1500円
掃除・洗濯・収納・炊事・修・付き合い・防犯・
防災・健康・家計まで、オールカラーで図解。
遅ればせながら 家内も本屋に取寄せ注文。
8月11日(木) B
「免震住宅のすすめ」深堀美英820円講談社
ブリジストンで 免震ゴムを開発、さらに一条工
務店での免震住宅の実績からの、現状と将来
展望は技術者だけに冷静。これだけで免震住
宅の全てを理解可能 講談社ブルーバックス。
7月27日(水) B
「日本人はどのように国土をつくったか」
3000円学芸出版社。上田 篤・中村良夫・樋口
忠彦編。上田先生の唱える地文学、環境を読み
歴史を想像する11編の論文。まとめ「地文学の
未来」 編者による鼎談が、多様な視点で出色。
7月12日(火) B
「音と文明」 大橋 力 岩波書店 4400円
やたら勿体をつけた文体、自慢げな文章に閉口
しつつも、圧倒的な情報量に好感。音という感性
からデザインを考えるに様々なヒント。学術書と
言うべきか迷う、不思議なスタンスは意図的だ。
6月16日(木) B
「希望のニート」 二神能基 東洋経済新報社
1500円。引きこもりや不登校、ニートの再出発
支援NPO代表。スローワークを提唱しニートの
純粋な社会観こそ、現在の異常な社会を変える
希望なのだ、という現場報告は説得力十分だ。
5月21日(土) A
「グローバリズムの『失敗』に学ぶ15の原則」
M・ゾニスD・レフコビッチS・ウィルソン1900円
アスペクト。面白い。14の国の失敗の最後、中
国を検証。総括は「自由市場と民主主義が必要
だが、それまでにはローカルな道のりがある」。
5月5日(木) B
「開運!神社めぐり」 藤臣柊子 ワニブックス
1300円。有名神社を巡り、監修の辰宮太一と
対談。写真代わりの著者の細密イラストは良。
監修者の含蓄ある言葉・世界観も、なかなか。
4月16日(土) B
「幸福の政治経済学」 ダイヤモンド社 2400円
B・S・フライ A・スタッツァー。計量経済学による
幸福の定量化。統計的手法は多少難解も 経済
的状態と同時に政治的形態「直接民主制と連邦
制」が幸福感に寄与する、という刺激的な結論。
4月7日(木) B
「遺伝子と運命」 ピーター・リトル 1500円
講談社ブルーバックス新書で570頁 英の遺伝
学者が個人の生涯(運命)への遺伝子の関わり
また社会そのものでの位置づけなど、かなり微
妙な問題の 冷静かつ慎重な現状報告である。
3月14日(月) B
「毛皮と皮革の文明史」下山 晃 ミネルヴァ書房
3800円。毛皮への人類のあくなき追求を、太古
から近代まで。中盤以降、いわゆる フロンティア
といわれる東と西の辺境が 毛皮を求め踏破され
た経緯。それはまさに裏世界史をみる如き驚き。
3月7日(月) B
「子どもはことばをからだで覚える」正高信男
中公新書ワイド版全10冊38000円(分割不可)
京大比較行動学教授による子どもの言語発達の
学術書。聴覚のメロディから言葉を覚える仮説や
身体運動との関係など、内容は 非常に刺激的。
2月12日(土) B
「素顔のジパング 飯田線」 新葉社 2200円
地元出版社 「奥天竜ろまん紀行」シリーズ巻六
今回は 泣ける話も多く○。力作のJR東海・飯田
支店「飯田線テーマパーク構想」は秀逸。これだ
けでこの本の存在意義は十分にあるといえる。
2月4日(金) B
「こころ熱く武骨で うざったい中国」 麻生晴一郎
情報センター出版局 1500円。中国旅行後、好き
になるか、嫌いになるかは両極端という。不法滞在
で得た思考の違いへの言及は今までなく、新鮮か
つ面白い。が 舞台は天安門前夜、今を知りたい。
1月9日(日) B
「国別 藩と城下の事典」 工藤博正・編 6600円
東京堂出版。全国 546藩、戦国から版籍奉還ま
での栄枯盛衰。天災・一揆、藩財政の窮乏、藩主
の交代の中での人間模様は、想像するになかな
か面白い。正月休みにも、あまりに長い660頁。