読書日記保存版(印象に残った本) 2006年1月〜2006年12月back
12月24日(日) B
「カラー・ルールズ」 伊達千代 2300円
エムディエヌ コーポレーション。グラフィック・
デザインでの 色彩技法の教科書。大変勉強
になった、が問題は、これらのテクニックがス
ルッと出てくるだけのセンスがあるかないか。
12月16日(土) B
「世界飛び地大全」 吉田一郎 社会評論社
2400円。飛び地マニアを自称する1963年
生まれは早大大学院在学中、紛争の産物と
しての、世界各地の飛び地の経過を丹念に
たどる、全431頁。ただ々恐れ入りました。
12月3日(日) B
「藤森照信の特選美術館三昧」 TOTO出版
2500円。今や世界的な建築家として名高い
先生の美術館建築めぐり。雑誌「モダンリビン
グ」に連載加筆、わかり易い言葉での建築の
華・美術館の楽しみ方。読者には贅沢三昧。
11月26日(日) B
「歴史的遺産の保存・活用とまちづくり」
改訂版3500円学芸出版社。1996年登録
有形文化財の制度ができ、いかに保存・活
用するかが重要となった。そんな事例の報
告。編者の大河直躬先生は恩師でもある。
11月12日(日) B
「渋滞学」 西成活裕 新潮選書 1200円
東大航空工学の先生が、渋滞の仕組みを数
学的に解析。はじめは姑息な学問と思ってい
たが工学さらには生体での応用など 幅広い
学際領域にまたがることの、認識も新たに。
11月2日(木) B
「景観法と景観まちづくり」 日本建築学会編
学芸出版社 3800円。後ろ2/3の全国のま
ちづくり32の、事例紹介が有益。さまざまな
アプローチがあって、まさに 教科書のような
雰囲気。編者代表は、東大西村幸夫教授。
10月22日(日) B
『みんなの意見』は案外正しい」 角川書店
S・スロウィッキー 1600円。社会の動き方を
探る、集団経済学という 組織論の紹介。社会
学とも政治学とも。こういうのを見るとアメリカ
の底力を感ずる。書名の薄っぺらさには ×。
10月9日(月) B
「台湾入門 増補改訂版」 酒井 亨 2200円
日中出版。共同通信の元記者による台湾史。
初版は2001年、とくに 民族ルーツに詳しく言
及。そこから生じた、微妙な感情・思考など一
般メディアでは知りえない 現状報告は有益。
9月17日(日) B
「究極の文房具カタログ」高畑正幸1500円
ロコモーションパブリッシング 。TVチャンピ
オン文房具通で優勝。機械工学から工業意
匠のマスター出が 自作イラストとともに語る
蘊蓄。マストアイテム編と題した 楽しい本。
9月6日(水) B
「大阪のひきだし」 監修・橋爪紳也 2000円
鹿島出版会。船場での都市再生の各種運動
の総覧。フィールドノートと銘打ってはいるが
貴重な、まちづくり事典とも言うべきものだ。
8月24日(木) B
「着物あとさき」 青木 玉 新潮社 1700円
「芸術新潮」連載 遺された母の着物を慈しみ
辿る着物への旅 つれづれ。祖父の幸田露伴
母の幸田文 ゆずりなのだろうか、折り目正し
く格調高い文章、読む度に感ずる 心地よさ。
8月21日(月) B
「歌うネアンデルタール」 S・ミズン 早川書房
2200円。言語以前の コミュニケーション手段
とは?それが音楽である、という状況証拠を探
る。言語を発明できなかったネアンデルタール
は絶滅。だが感情・心の源、音楽は大切だと。
7月19日(水) A
「フラット化する世界 下」 T・フリードマン 同
続いて、未来予測の下巻。終わりのない進歩
への道程として 初等教育の重要性を。さらに
イスラム社会の、冷静な分析。世界平和にま
で至る想像力は 感動的。NYタイムズ記者。
7月4日(火) B
「写真集 東海道の旅」 林 忠彦・林 義勝
ウエッジ3200円。肝臓ガンを宣告され、脳出
血で半身不随の5年間。最後の仕事となった
東海道風景は圧巻。十六夜日記を 題材に逆
に鎌倉へ下る、四男の写真はきれい過ぎる。
7月3日(月) A
「和風カラーチャート」 南雲冶嘉 1500円
グラフィック社。和の言葉160を選び、そのイ
メージを縦軸・新旧、横軸・強弱つまり季節の
4象限に配置し、色彩と配色を提案。大胆、と
いうか独善的というか、しかし爽やかな気分。
6月26日(月) B
「クール・ジャパン 世界が買いたがる日本」
杉山知之 祥伝社1600円。メディア教育者
の日本サブカルチャー論。否定的に言われ
る無宗教さが タブーの少ない表現の自由を
生み 今後世界での主導性を保つ、は卓見。
6月6日(火) B
「中古カメラの逆襲」 赤瀬川原平2100円
筑摩書房。現在も継続中「アサヒカメラ」連
載。得意の細密鉛筆画と的確なイメージ文
章さらに 実写画像つき。グウの音も出ず。
5月29日(月) B
「漢文の素養」 加藤 徹 光文社新書
720円。誰が日本文化をつくったのか?が副
題。古代から現代に至るまで、漢文の使われ
方から見た日本史、スケールは非常に雄大。
5月13日(土) B
「図説 駅の歴史 東京のターミナル」1800円
河出書房新社 ふくろうの本。神田から大宮へ
移転する交通博物館の企画展から。明治以降
の首都交通史は非常に面白い。豊富な写真で
しめす、首都発展の過程の詳細な研究論文。
4月19日(水) B
「黄金比はすべてを美しくするか?」
マリオ・リヴィオ 早川書房2200円。宇宙物
理学者の黄金比研究。芸術的な意味よりも
フィボナッチ級数や対数らせんの 生物学あ
るいは宇宙的な適合から 「数学」を考える。
4月5日(水) B
「古代文明と気候大変動」 B・フェイガン
河出書房新社2400円。2万年前から現在に
至る気候大変動。あちこちでくりひろげられた
人類・文明の消長、雄大スケールの世界史。
3月26日(日) B
「まちづくり道場へようこそ」 片寄俊秀
学芸出版社1900円 。長崎総科大から関学
大退官教授。千里が丘開発の技術者上がり
だけに、徹底した現場主義。長崎はじめ三田
など、手がけた 街づくりの報告には重量感。
3月7日(火) B
「JR全線 全駅下車の旅」 横見浩彦
KKベストセラーズ 1524円。1995年上記
偉業達成の記録。木造駅舎に思いを馳せて
3年半4636駅の貧乏旅行。最後はホロリ。
2月10日(金) B
「京都迎賓館 ものづくり ひとづくり」2400円
日刊建設通信新聞社。平成の桂離宮を目指
す、和風建築の集大成としての迎賓館。京都
の職方の 技術の伝承まで意図した造営を記
録、まさに書名通りの理想的な普請の物語。
2月8日(水) B
「コクと旨味の秘密」伏木 亨680円新潮新書
コクの構成内容を砂糖・油・ダシと分析、美味
さの本質に迫る 京大教授。味覚に関して今ま
で読んだ中では、もっとも説得力。美や、音楽
について考えるヒントとして、高く評価したい。
2月1日(水) B
「世界のホットドリンク」 1600円
プチグラパブリッシング。コーヒー・茶をはじめ
おそろしく自由で多様な レシピと飲み方。そこ
での民族の風土・歴史の味わい 楽しい企画。
1月27日(金) B
「意味がなければスイングはない」 村上春樹
文藝春秋1333円。ロック・ジャズ・クラシック
10人の音楽家への オマージュ。さすが豊富
な語彙・自在な文体で、それぞれの生き様を
活写。あとがきも格調高く、余韻にひたれる。
1月8日(日) B
「お手伝いで子どもの心を鍛えなさい」
町沢静夫エクスナレッジ1400円。母子密着
を糾弾の ひきこもり専門精神科医。3歳から
小3までに 仲間との遊び・家の手伝い・身体
を動かす など社会的訓練の必要性。同感。