読書日記保存版(印象に残った本) 2007年1月〜2007年12月back
12月25日(月) B
「南方録の行方」 戸田勝久2600円淡交社
利休その人と茶についての書物の解説。現
代語訳が上手く眼に浮かぶ情景。その極限
までの美学は、茶事こそ感動体験の共有と
いう、まさにデザインという言葉を想起した。
12月22日(土) B
「普通の家族がいちばん恐い」 岩村暢子
新潮社1500円。広告代理店の正月とXマス
の食卓調査から 浮かび上がる40歳代以下
の主婦の私中心志向。まさに 偽装家族とで
も呼びたい現状に戦慄感。日本の将来に?
12月9日(日) B
「景観まちづくり論」 後藤春彦 学芸出版社
2600円。景観の公共性を歴史・文化に求め
るのはわかる。しかしそれだけでなく、良い景
観、美しい景観とは 何んなのかについても、
正面切って、挑戦してほしい気がしてしまう。
11月19日(日) B
「21世紀の国富論」 原 丈人 平凡社
1400円。米のベンチャーキャピタル会長が
グローバル経済の次の姿を熱く語る。あくま
でも上を向いた目線と前向きな姿勢、さらに
明るく楽観する態度は、感動的ですらある。
11月13日(火) A
「峠の歴史学」 服部英雄 朝日新聞社
1400円。九大教授の全国峠行。佐々成政の
有名な冬季ザラ峠越えの真実。さらに熊野小
栗街道や、ヘンロ道の悲惨な史実は衝撃的。
11月6日(火) B
「実測!ニッポンの地域力」 藻谷浩介
日経新聞出版社1800円。週刊エコノミスト
連載単行本化。日本政策投資銀行若手研
究者が斬る 地域の意外な本当の姿。重視
は人口動態 言外に地域文化充実に期待。
10月26日(金) B
「迷惑な進化」 S・モレアム NHK出版
1800円。現在の様々な病気を誘発する遺
伝子が、実は過去の時代、当面の災難を避
けるための進化によるもの と米の進化医学
研究者。訳が非常に良くて 楽しめる書物。
10月9日(火) B
「読みにくい名前はなぜ増えたか」 佐藤 稔
吉川弘文館1700円。秋田大教育学部教授
古来からの命名から、当て字 全盛の現在ま
で。保守的富裕層と 価値感に個性を求めざ
るをえない層、格差社会の一指標の認識。
9月16日(日) B
『「イベント」実務がよくわかる本』 平野暁臣
イースト・プレス2800円。日本イベント業務管
理協会名誉会長によるハンドブック全390頁。
当然全てを網羅した内容、面白そうな仕事だ。
9月1日(土) A
「ツリークライミング 樹上の世界へようこそ」
J・ギャスライト全国林業改良普協会1810円
純粋で前向きな米生まれ。樹に登ることは 登
山と同じ大きな感動体験 精神にも肉体にも好
影響。さらに日本古来の林業技術をも礼賛。
8月23日(木) B
「地図に訊け」 山岡光治 ちくま新書 700円
同世代の国土地理院の技官を退職 地形図
作りの現場が長かっただけに面白い話がゾ
ロゾロ。地図好きには コタエられない内容。
8月16日(木) B
「プランB 2.0」 レスター・ブラウン2500円
ワールド ウォッチ ジャパン。もう10年以上の
付き合いだが、着実に予測は現実化。ここで
はグローバリズムに替わる 新平和的経済主
義エコ・エコノミーとして その具体策を提唱。
8月9日(木) B
「芸術の美と類型」 山本正男 スカイドア
3000円。芸大名誉教授の美学講義録。美
がどこから来るか 自我・世界、形象・理念、
観照・感動の要素で典型・写実・印象・装飾
構成・抽象・表出・象徴の8類型での鑑賞。
7月30日(月) B
「公共空間の活用と賑わいまちづくり」
学芸出版社4000円。パリのオープンカフェ
の様に、都市中心部に 賑わいを取り戻すた
めの実施例。警察・保健所への説得資料か
朝市・屋台・大道芸などイベント、にも言及。
7月19日(木) B
「よくわかる最新音響の基本と仕組み」
岩宮眞一郎 1500円 秀和システム 図解入
門シリーズ。音の原論から 聴覚・心理・空間
技術・アート・デザインまで網羅 九州芸工大
(現九大)音響工学の先生。勉強になった。
6月28日(木) B
「タイムスリップ 飯田線」笠原 香・塚本雅啓
大正出版 3800円。稀種電車の宝庫と呼ば
れた飯田線。その理由や さらに沿線風景の
多様さを、今にして理解。少し マニア度が高
いが昭和30年代を懐かしく思い浮かべた。
5月31日(木) B
「農!黄金のスモールビジネス」 杉山経昌
築地書館 1800円。宮崎で観光ぶどう園を
経営の、外資系脱サラ男。大口と雑言に辟
易も 言っていることは正しい。つまり農協と
関わらない、直販での小規模農業の勧め。
4月26日(木) A
『「愛」という言葉を口にできなかった二人のた
めに』 沢木耕太郎 幻冬舎1500円。暮らしの
手帖連載の映画鑑賞記。まるで今それを観て
いる如く、泣かされた。「生きていく」 ということ
への深い感情を自分に置き換え 過去を想う。
4月16日(月) A
「永遠の別れ」 E・K・ロス D・ケスラー
日本教文社1714円。愛する人の死から、生
きる勇気を見出すまで。訳の上手さも手伝っ
て、「愛」と「死」と「生」を描く言葉は 感動的。
4月6日(金) B
「歴史を未来につなぐ まちづくり・みちづくり
新谷洋二・編著3500円学芸出版社。いわ
ゆる 「歴みち事業(歴史的地区環境整備街
路事業)」の実践報告。昔には、考えられな
いような道路行政の柔軟な対応には驚き。
3月13日(火) B
「路地からのまちづくり」 西村幸夫・編著
学芸出版社 3000円。建築基準法上認めら
れない4m未満の道路を、排斥するのではな
く、なんとか生かそう、あるいはもっと積極的
に街づくりにつなげる、先進地の試み紹介。
3月6日(火) B
「『退化』の進化学」 犬塚則久 820円
講談社ブルーバックス。上陸から4億年、ヒト
の歴史は進化ではあるが一方で器官の退化
の歴史でもある。それらを見事に説明する解
剖学の権威。書名もそのものズバリで◎だ。
2月26日(月) B
「自然の暮らしがわかる本」 山と渓谷社
新田穂高・城の内まつ子1600円。筑波移住
の自然派ライター。軽いフットワークで、全国
取材。内容はほぼ全方位、さながら自然生活
大全の雰囲気。ネットワークの中心を予感。
2月24日(土) B
「死にたくないが、生きたくもない。」 720円
小浜逸郎 幻冬社新書。60を迎えた団塊世代
の哲学者の「老い」について。誰もが思ってい
ながらも 口に出せないい本音ばかり。同感。
2月14日(水) B
「遣唐使全航海」 上田 雄 草思社 2300円
1931年生の元高校教諭、研究書ではなく読
物としての、3回の遣隋使、15回の遣唐使の
記録。人物の描写も細かく、当時の雰囲気が
想像可能。通説ほど危険ではなかった模様。
1月31日(水) B
「写真集 水路の造形美」 渡部一二
東海大学出版会 3800円。多摩美教授に
よる 水路空間の研究。全国107の水路景
観、とその造形の考察。農業用水・生活用
水を求め、水路を開いた先人の重い歴史。
1月26日(金) B
「花見と桜」 白幡洋三郎 PHP新書660円
京大農学部から、国際日本文化センター教
授。花見の必要条件として群桜・飲食・群集
をあげ日本独特の、貴賎上下を超えた共同
の幸福の場として 歴史的・社会学的考察。
1月22日(月) B
「ヤマトタケるに秘められた古代史」 崎元正教
けやき出版 2300円。日本武尊と武内宿禰は
同一人?日立を早期退職の研究家 神社伝承
から神武即位を三世紀とし、天照大神ヒミコ説
など、度肝をぬく内容。古代史空白部に一石。