読書日記保存版(印象に残った本) 2009年1月〜2009年12月back
過去読書日記 2000年1月〜2008年12月
12月23日(水) B
「中国歴史建築案内」 楼慶西 TOTO出版
3000円。中国精華大建築史の講義ノート
から、中国の歴史建築詳細は全403頁の
重量級。初めて知ること多く有益だが万里
の長城が どこにも出てこないのは何故?
12月19日(土) B
「世界香水ガイド1437」 原書房1800円
世界的権威の(M)L・トゥリンと香水批評の
(F)T・サンチェスによる5つ星評価。最も携
帯しやすい知性 と述べているが、それを表
現する、芳山むつみの的確な訳こそ秀逸。
12月13日(日) B
「手妻のはなし」 藤山新太郎 新潮選書
1600円。水芸や蝶など、江戸手妻を継承
する1954年生まれ 奇術協会副会長によ
る日本手妻通史は359頁。文章構成も上
手で、まさしく後世に残る 貴重な資料だ。
12月10日(木) B
「木綿再生」 福井貞子 法政大学出版局
2700円。ものと人間の文化史シリーズに
は、これで3度目の登場の1932年生まれ
今回は 鳥取倉吉での半生記を中心として
の絣回顧譚。じっくりと読ませてくれます。
11月27日(金) A
「戦場の哲学者」 J・G・グレン PHP研究所
1700円。1959年刊行以来いまだ重版中
という。欧州戦線への従軍の経験から戦争
ではなぜ平気で人が殺せるのか 人間を考
える故哲学教授 永遠の重い課題の名著。
11月23日(月) B
「トイレの話をしよう」 R・ジョージ1800円
NHK出版。世界のトイレに関する本は 随分
読んできたが これは衝撃的。貧しさの原因
としてのニワトリが先か卵が先か。それはま
さに文明とは何か、を考えさせる女性記者。
11月8日(日) A
「男おひとりさま道」 上野千鶴子 1400円
法研。おそろしく正論ばかりの、特大説得力
の老後男性の生き方論。しかし読むほどに
勇気が湧いてくるという不思議な本。なんと
かオレにも、出来そうな感じがしてきたゼ。
10月16日(金) B
「中井精也の鉄道撮影術 撮り鉄」1800円
アスキー・メディアワークス。時代はもはや
完全に変わってしまったようだ。デジタル一
眼レフの高機能を駆使しての写真は、鉄道
写真というよりも、芸術作品としての存在。
10月9日(金) B
「東国の古墳と古代史」 白石太一郎
学生社2400円。1938年生まれの奈良大
教授。関西と関東の 古墳比較から、ヤマト
朝廷成立前後を 大胆に推論して意外に面
白い。飯田周辺の古墳群も登場して有益。
9月16日(木) B
「振仮名の歴史」 今野真二 集英社新書
700円。清泉女子大教授 漢文を読み下す
ための振仮名だったが 左振仮名には辞書
的要素もある。もしかしたら 柔軟な日本語
および日本文化の根源に関わる問題か。
9月7日(月) B
「定本 日本の色事典」 23000円
視覚デザイン研究所。重さ2kgA4判357頁
の豪華本。1318の色名を 使用例の文学と
ともに表示。こうやってみると色というものが
まさに社会文化そのものであることを実感。
9月1日(火) C
「夜中にチョコレートを食べる女性たち」
幕内秀夫 講談社1400円。若い女性の婦人
科系疾患が増加は何故か?脂肪の摂り過ぎ
の食生活 さらに定期的な性生活が実現され
ていない と指摘の管理栄養士。説得力大。
8月30日(日) B
「僕がワイナリーをつくった理由」 落 希一郎
ダイヤモンド社1500円。新潟県巻町の角田
浜に、日本初の本格的なワイナリーを造りあ
げるまでの、自伝。運もあっただろうが 感動
的な物語。ぜひ 一度訪れてみたいものだ。
8月4日(火) B
「新エディターシップ」 外山滋比古 2600円
みすず書房。35年前の前著の新版という意
味らしい。人間に最も必要な技術が、編集力
というのだ。つまりそこにおける想像力こそが
大切だという。まことに説得力のあるお話だ。
7月10日(金) B
「無差別殺人の精神分析」 片田珠美
新潮選書1100円。精神科医の女子大教授
「肥大化した自己愛」と 「成熟拒否」、その人
格形成過程での、家庭のあり方。さらに大量
殺人に至る 6つの条件を冷静に 事例分析。
6月22日(月) B
「三澤勝衛著作集 風土の発見と創造 2 地
域からの教育創造」 農文協 8000円。第2
巻目は地理学教育論。徹底して ミクロな視
点での実例を、多数示しながらの地域風土
学には恐れ入りました、という感想だけだ。
6月20日(土) B
「余命半年 満ち足りた人生の終わり方」
大津秀一ソフトバンク新書760円。弱冠33
歳の終末医療医。もはや 「宗教的」とも言う
べき死生論。前半は緩和医療の詳細、後半
はそこから出発して 生と死の新しい展望。
6月18日(木) B
「崩壊する世界 繁栄する日本」 三橋貴明
扶桑社 1400円。キワ物的書名も中身は説
得力。歯切れのいい文章で グローバル社会
での 日本の生き方提案。自らの文化を深め
ていけば、やがて世界がついてくる、という。
5月12日(火) B
「能の世界」 馬場あき子 淡交社2000円
御歳81の歌人。雑誌「淡交」連載の35年
振りの再刊行。選びぬかれた 言葉と漢字
の美しい文章、能の細部の鑑賞は当方は
全く不調法ながらも、十分に伝わる内容。
5月8日(金) A
「僕が遍路になった理由」 早坂 隆 連合出版
1700円。就活を放棄しての、野宿での52日
間の遍路記録は、文集の作文風ながら随所
に泣けるところあり 2000年初刊の新装版。
5月1日(金) B
「鯨取り絵物語」 中園成生・安永 浩
弦書房3000円。江戸期を通じて行われた
鯨産業についての数々の絵物語が存在す
る。読み解く 捕鯨から解体まで、その詳細
は 実に面白い。地元福岡県の郷土出版。
4月16日(木) B
「藤森照信、素材の旅」 新建築社 2400円
戸田建設の広報誌に今も連載中。建築の自
然素材の現場を全国に訪ねる旅。相変わら
ず目線の低い先生。くわえて 読みやすい文
章とあって、建築の素人にも楽しめそうだ。
3月28日(土) B
「ベーシック・インカム」 G・W・ヴェルナー
現代書館2000円。独の企業家の提唱 全て
の補助金・生活保障・年金の替わりに、個人
に一定額を配給。50%を近い消費税で賄う
方式、面白いが 大メディアは無視の様子。
3月23日(月) B
「漢字の文明 仮名の文化」 石川九楊
農文協 3048円。書の大御所による 漢字・
仮名文明論から、自論のスケールの大きな
東アジア共同体構想への展開は 諸手を挙
げて賛成とはいかないが、説得力は十分。
2月10日(火) B
「自爆する若者たち」 G・ハインゾーン
新潮選書1400円。独の人口学者。人口急
増 その際の若者人口の増加が そのポスト
を求め戦争・革命・テロを生む、との歴史的
検証。中盤以降 訳が不出来で理解不能。
1月20日(火) B
「最後の冒険家」 石川直樹1600円集英社
太平洋熱気球横断で行方不明 神田道夫へ
の鎮魂歌。それ以前一緒に乗り込んだ若者
の冒険家論は的確、さらに後日譚も キラリ
写真家特有の感傷的なところもなくて、◎。
1月14日(水) B
「資本主義は嫌いですか」竹森俊平1800円
日経新聞出版局。サブプライム問題の 顛末
に最新の様々な経済理論から、資本主義の
本質に迫る 慶大教授。規制の強化と緩和の
繰り返し、と達観だが、未だ事態は進行中。